3Dプリンターは射出成形技術の代替になりうるのか?【メリット・デメリット】

こんにちは、管理人のウノケンです。

今回は、3Dプリンターが射出成形技術の代替になりうるのか?について、メリット・デメリットを交えながら解説していきます。

3Dプリンティング技術が発達し、現実的な生産技術として考えられるほどになった今日この頃。家庭用のフィギュア作製に便利!程度に思われていた時代は過ぎ、今や製品のプロトタイピングはもちろんのこと、生産プロセスに組み込むようになったメーカーも少なくありません。

今回取り上げるのは、3Dプリンティングが射出成形の代替となりうるのか?という話題です。射出成形技術に携わる人の中には、3Dプリンターの存在が気になり、以下のような疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか?

  • 射出成形って3Dプリンターで置き換えられてしまう?
  • 射出成形と3Dプリンター、それぞれのメリット・デメリットって何?
  • 射出成形と3Dプリンター、それぞれに適したケースってどんな場合?

射出成形の未来、3Dプリンターの実際、気になりますよね。今回は上記のような疑問について解説していきます。

なお、今回の記事はIs 3D printing for production a valid alternative to injection molding?を参考にしています。

それでは見ていきましょう!



射出成形のメリット・デメリット

まずは、射出成形のメリットについて見ていきましょう。後述する3Dプリンターと比較する上で重要なポイントにフォーカスしています。

射出成形のメリット
  • 部品やコンポーネントを大量生産できる
  • 材料のムダが少ない
  • 材料の選択肢が多い

続いて、デメリットについてもおさらいしておきます。

射出成形のデメリット
  • 金型への先行投資が必要。金型の修正が困難。
  • 時間がかかる(数週間〜数ヶ月)
  • デザイン上の制約あり

後に触れますが、「射出成形は金型が必要」という点がコスト・形状の点で大きな制約となります。金型から取り外せる必要がありますし、精密・繊細なデザインの成形には適していません。

3Dプリンターにはこんなメリットが!

ここからは、3Dプリンターのメリットについて確認していきましょう。射出成形のような従来プロセスと比べて、以下のような多くのメリットがあります。

3Dプリンターのメリット
  • 設計自由度(空洞がある構造や、軽量かつ強度のある構造に強み)
  • 組み立て不要で、一度に作成できる
  • 短納期生産(金型不要)
  • 複雑な部品でもコストが増加しない
  • 設計変更が容易(金型不要、3DCADファイルを修正するだけ)
  • 需要に合わせた生産量の調整がしやすい。過剰な倉庫も不要。

ここでもやはり、「金型不要によるメリット」が際立っています。金型が抜けなくなってしまうような空洞がところどころに存在する構造も難無く作製することができます。トポロジー最適化のような新しい技術との相性も良い点は見逃せないポイントです。



射出成形・3Dプリンターのそれぞれに最適なケースとは?

それでは、射出成形と3Dプリンターのそれぞれに適切なのはどのような生産段階・形態なのでしょうか?それぞれ確認してみましょう。

射出成形が適切なケースは…
  • 同一の製品を何千個も同時に製造するような大規模なバッチ生産
  • 1つの連続形状をベースにしたデザインの製造(3Dプリンティングで求められる後処理が不要)
3Dプリンターが適切なケースは…
  • 試作品の作製
  • 複雑な形状や隙間、空洞のある部品の小・中規模生産
  • 頻繁な設計変更がある部品、カスタマイズが必要な部品の製造

「射出成形と3Dプリンター、どっちが優秀?」「昔からある射出成形は3Dプリンターに置き換えられてしまうの?」という考え方ではなく、両者を互いに補間し合うプロセスと考えることが重要です。

確かに、射出成形が行われていた領域の一部が3Dプリンターによって置き換えられることは事実です。一方で、何でもかんでも3Dプリンターに任せるべきかというと、そうではありません

例えば、最終的には射出成形で大量生産するけど、その前のプロトタイピングにおいては3Dプリンターを活用する。プロトタイピングの段階では短いスパンで何度も微修正を繰り返すけど、最終的には修正が難しい射出成形のみの工程よりも短い期間で、クオリティの高いものができあがるということが頻繁に起こる(すでに導入されている)のではないでしょうか。

3Dプリンターで自社生産すべき?専門業者に依頼すべき?

最後に、「3Dプリンターを自社で導入して生産すべきか?それとも専門業者に依頼すべきか?」という点について考えたいと思います。

多くのメーカーが製品設計初期のプロトタイピングに3Dプリンターを使用するようになっています。しかしながら、このような3Dプリンターは、再現性や精度、公差の観点で要求が厳しい生産技術向けに設計されているわけではありません。

生産レベルの高精度な3Dプリンターは非常にコストがかかります。よって、潜在的な需要があるユーザであっても、誰もが導入できるわけではありません。どちらかというと、そのような3Dプリンターを保有していて、かつ経験もある専門の下請けに依頼するのが一般的です。

プロトタイピングレベルの3Dプリンターは多少の知識があれば操作できますが、生産用途となると話は変わってきます。必要なパラメータの取得から、品質やコスト、造形時間を最適化するための経験が必要となるのです。

納期や今後の生産体制の変化を見据えて、自社で導入すべきか、専門の下請けを活用するのか見極める必要があると言えるでしょう。



まとめ:適材適所!それぞれの利点を理解しよう

今回は、3Dプリンターが射出成形技術の代替になりうるのか?について、メリット・デメリットを交えながら解説してきました。

「3Dプリンターは金型不要」である点が、両者の使い分けを判断するポイントと言えそうですね。

生産量が数万個のオーダになってくると、単純形状を3Dプリントするのはもちろん不適切です。一方で、数個〜数十個のプロトタイピングを、設計→作製→修正→再作製のサイクルを高速で回したいという段階では、3Dプリンターを使わない手はありません。ソフトウェアの世界では当たり前のように回せるこのサイクルを、ハードの世界でも実行できるようになったことは、3Dプリンターの大きな功績です。

射出成形と3Dプリンター双方の利点をきちんと理解して、適切に取り入れていくことが今後ますます重要になっていきそうですね。