こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、量子コンピュータを学ぶうえでおすすめの参考書4選を読者タイプ別で紹介していきます。
量子コンピュータは、2019年にGoogleが量子超越を実現したことで話題になるなど、今最も注目すべきテクノロジーの1つです。
いまだに課題も多く、実用化に向けてますます研究が加速していくこの分野は日々情報がアップデートされていきます。参考書を使ってしっかり勉強する際にも、なるべく最新の情報を扱った書籍で学びたいところです。
今回はそんな量子コンピュータについて詳しく解説された最新の書籍を次のような読者タイプ別で紹介していきます。
こんな方におすすめの書籍を紹介!
- 理系の方、物理の素養がある方
- 量子コンピュータ・量子情報理論についてしっかり学びたい方
- プログラマ・エンジニアの方
- ビジネス活用したい方
「ポイント」欄に各書籍の特徴を紹介していますので、手に取る際の参考にしてもらえればと思います。
それでは見ていきましょう!
量子コンピュータのおすすめ参考書4選

【理系の方、少しでも物理の素養がある方】量子コンピュータが本当にわかる!―第一線開発者がやさしく明かすしくみと可能性
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著者情報 | 武田 俊太郎 / 東京大学大学院工学系研究科准教授(刊行時) |
発売日 | 2020/2/19 |
内容 | 第1章 量子コンピュータとは? 量子コンピュータは未来のひみつ道具? 今、量子コンピュータが熱い 誤解ばかりの量子コンピュータ 誤解1:量子コンピュータはあらゆる計算が速くなる? 誤解2:量子コンピュータは並列計算するから速くなる? 誤解3:量子コンピュータは数年後には実用化される? コンピュータの仕組みと歴史 現代のコンピュータの誕生と進歩 量子コンピュータの必要性 量子コンピュータの誕生 量子コンピュータで世の中はどう変わる? コラム:量子コンピュータには、ゲート型とアニーリング型の2種類ある? 第2章 量子力学の最も美しい実験から探る量子コンピュータの正体 量子コンピュータと量子力学 量子力学はどれくらいミクロな世界か? 「2重スリットの実験」~水面を進む波の場合~ 「2重スリットの実験」~電子1個の場合~ 電子は2つの隙間を同時に通っている? 重ね合わせは壁に当たった瞬間に壊れる 重ね合わせ「具合」にも色々ある 2重スリットの実験から理解する量子コンピュータの計算の仕組み なぜ日常的な世界とミクロの世界は違うのか? 第3章 量子コンピュータの計算の仕組み 現代のコンピュータと量子コンピュータ 現代のコンピュータの情報処理の仕組み ビットの基本的な変換=論理演算 論理演算を組合せればどのような計算もできる ビットと論理演算の「量子バージョン」とは? 量子ビットは「重ね合わせ具合」で情報を表す 量子ビットから取り出せる情報には制約がある 1個の量子ビットの重ね合わせ具合を変える量子論理演算 2個の量子ビットを連携させる量子論理演算 量子コンピュータは波を操って答えを導く計算装置 並列計算だけでは計算は速くならない コラム1:通常のコンピュータと量子コンピュータの足し算回路 コラム2:量子コンピュータは逆向きにさかのぼれるコンピュータ 第4章 量子コンピュータはなぜ計算が速いか? 量子コンピュータの速さに関する誤解 現代のコンピュータが苦手な問題 量子コンピュータが現代のコンピュータより「速い」とは? どのような問題で量子コンピュータの計算が速くなるのか? 高速化メカニズムの具体例1:グローバーの解法 グローバーの解法の具体的な計算手順 高速化メカニズムの具体例2:ミクロな化学の計算 化学計算の具体的な計算手順 量子コンピュータで高速化する計算は他にも色々ある コラム:量子超越性とは? 第5章 量子コンピュータの実現方法 量子コンピュータをどうやって作るか? 量子コンピュータを作るのはとにかく難しい コンピュータにはエラー訂正が必須 量子コンピュータ開発の今 量子コンピュータのメジャーな方式の比較 量子コンピュータ方式1:超伝導回路方式 量子コンピュータ方式2:イオン方式 量子コンピュータ方式3:半導体方式 量子コンピュータ方式4:光方式 量子コンピュータのこれから コラム:実際に量子コンピュータを使ってみる 第6章 光量子コンピュータ開発現場の最前線 量子コンピュータ開発の真実とは? 私が光量子コンピュータの研究を始めたきっかけ 光量子コンピュータの実現を可能にする新方式の量子テレポーテーション ループ型光量子コンピュータ方式で大規模化を狙う 実際の研究開発の現場 テーブルの上に作りこまれた光回路 光回路を安定に制御する 研究開発を行う心構え 現状の光量子コンピュータはまだまだである 量子コンピュータのこれから コラム:光の量子が活躍する未来 |
ポイント | ・1988年生まれの新進気鋭の光方式量子コンピュータ研究者による解説書 ・研究開発の最前線に立つ視点から、その実態と最新動向について解説 ・「やさしく」とあるように、親しみやすいイラストなど理解しやすい工夫が豊富 ・少しでも理系の素養があり、量子コンピュータに興味がある人にまずはおすすめしたい一冊 |
【番外編:量子コンピュータ・量子情報理論についてしっかり学びたい方】量子コンピュータと量子通信 I-量子力学とコンピュータ科学-
著者情報 | Michael A. Nielsen/Isaac L. Chuang |
発売日 | 2004/12/24 |
内容 | 第I部 基本概念 第1章 概論 1.1 全体の展望 1.2 量子ビット 1.3 量子計算 1.4 量子アルゴリズム 1.5 量子情報処理の実験 1.6 量子情報 第2章 量子力学入門 2.1 線形代数 2.2 量子力学の公理 2.3 応用:超高密度符号化 2.4 密度オペレータ 2.5 Schmidt分解と純粋化 2.6 EPRとBellの不等式 第3章 コンピュータ科学入門 3.1 計算モデル 3.2 計算問題の解析 3.3 コンピュータ科学の展望 付録A 確率論の基礎 ※第II巻が量子情報、第III巻が量子情報を扱っています |
ポイント | (※古典のため番外編です) ・量子コンピュータ・量子情報理論に関する定番の参考書 ・基礎となる物理・数学・情報理論について体系的に学べる ・全3巻のボリュームある構成で、本格的にこの分野を学びたい方におすすめ |
【プログラマ・エンジニアの方】量子コンピューティング ―基本アルゴリズムから量子機械学習まで―
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¥3,168(2023/10/01 15:57:04時点 Amazon調べ-詳細)
著者情報 | 嶋田 義皓 |
発売日 | 2020/11/9 |
内容 | 第1章 なぜ量子コンピュータ? 1.1 とても難しい問題を高速に解く 1.2 ポストムーア時代 1.3 量子コンピュータの歴史 1.4 今の量子コンピュータで何ができる? 第2章 量子コンピュータの基本 2.1 量子ビットとは? 2.2 量子ゲートで計算する 2.3 量子回路を書いてみよう 2.4 コピーとテレポーテーション 2.5 補助量子ビットと逆演算 2.6 量子コンピュータにデータを入力する 2.7 量子コンピュータのデータ前処理 2.8 もっと一般の量子状態を扱うには… 第3章 量子計算の基本パッケージ 3.1 量子計算の基本戦略 3.2 行列の固有値推定(アダマールテスト) 3.3 内積の計算(スワップテスト) 3.4 位相を上手に使う 3.5 振幅を上手に使う 3.6 量子力学をシミュレーションする 3.7 データ行列を扱う 第4章 量子アルゴリズム 4.1 素因数分解(ショアのアルゴリズム) 4.2 量子化学計算 4.3 探索と最適化 4.4 量子コンピュータと機械学習 4.5 計算複雑性理論と量子アルゴリズム 4.6 歩行安定化制御の理論 4.7 さまざまな2足動歩行実現法 第5章 NISQ量子アルゴリズム 5.1 エネルギー最小化問題として解く 5.2 時間発展シミュレーションをバイパスする 5.3 パラメータつき量子回路による機械学習 第6章 量子コンピュータのエラー訂正 6.1 符号化と論理ビット 6.2 パリティチェックでエラーを見つける 6.3 ビット・位相反転の両方に対応する(Shor の符号) 6.4 量子誤り訂正符号の標準的な作り方 6.5 トポロジカル符号は奇妙なアイディア? 6.6 論理ゲート操作を作ろう 第7章 量子コンピュータのプログラミング 7.1 抽象化レイヤで整理する 7.2 古典に学ぶ量子プログラミング 7.3 量子プログラミング言語 7.4 量子コンパイラ 7.5 量子ソフトウェア開発基盤 7.6 論理ゲート操作を作ろう 第8章 量子コンピュータのアーキテクチャ 8.1 量子コンピュータ実現技術が満たすべき基準 8.2 量子ビット・量子ゲートを実現する技術 8.3 マイクロアーキテクチャ 8.4 大規模システムの構築に向けて 8.5 量子ソフトウェア開発基盤 8.6 論理ゲート操作を作ろう 第9章 量子コンピューティングでひらく未来 9.1 今後の技術発展をウォッチする 9.2 量子コンピュータサイエンス!? 9.3 量子コンピュータ実現までのマイルストーン 9.4 量子インターネット 9.5 量子前提社会に向けて |
ポイント | ・主な読者対称は「IT分野のプログラマやエンジニア」という珍しい書籍 ・本書に記載があるように、「量子コンピュータの入門書と専門書の間を橋渡しする役割」として活用できる ・上記の「量子コンピュータと量子通信」よりも実用に特化している印象(内容も新しい) ・量子コンピュータを用いた計算アルゴリズムやアーキテクチャに興味がある方におすすめ |
【ビジネス活用したい方】量子コンピュータの衝撃
著者情報 | 深田 萌絵 / ITビジネスアナリスト |
発売日 | 2020/5/14 |
内容 | 第1章 量子コンピュータに人類が辿り着くまで コンピューターの始まりとニコラ・テスラ 量子コンピュータと世界 第2章 量子コンピュータとは何か? マクロとミクロの境目は? 量子って? 量子をビットに使ってみたら? 絶対零度の量子コンピュータ 室温で使える光量子コンピュータ 第3章 量子覇権を巡る戦い 技術を巡る戦い。それは何のため? グーグル、グーグル、ここでもグーグルか? 一万年か二日半か? グーグルと中国共産党、「量子もつれ」か? グーグル?ファーウェイ様の時代さ! インテルへの挑戦状 新型コロナで進行する「理想社会」 量子効果ではない、盗用効果だ 右か左か、社会主義か資本主義かでもない 第4章 量子インフォメーション・ウォー 情報戦争と陸海空のシンクロナイゼーション 量子暗号戦争 記録上の1ドル 『歴史の終わり』は量子コンピュータと共に 第5章 量子コンピュータ時代が来るまでに 技術には技術で立ち向かう 日本の未来と光量子コンピュータ |
ポイント | ・「5G」や「AI」のようなIT関連トピックに関する書籍も出しているITビジネスアナリストによる書籍 ・量子コンピュータの登場によって、社会やビジネスにどのような影響が生じる可能性があるのか学ぶことができる ・文系の方、物理については知らないが量子コンピュータのビジネス活用に興味がある方におすすめ |
目的別の最新の参考書を利用して量子コンピュータについて学ぼう!

今回は、量子コンピュータを学ぶうえでおすすめの参考書4選を読者タイプ別で紹介してきました。
現代のコンピューティングを根底から変えてしまう量子コンピュータ。
実用化まではまだ数十年かかるとも言われていますが、その登場が世の中に与える影響は計り知れません。
「教養として学びたい!」「研究に携わりたい!」「ビジネス活用したい!」
学ぶ目的は人それぞれだと思いますので、ご自身にあった書籍を選んで手にとってみてください!