今回は、光電磁場解析の定番手法であるRCWA法やFDTD法に関するおすすめ参考書である、梶川 浩太郎・岡本 隆之著「Pythonを使った光電磁場解析」について解説します。
この記事を読んでわかること
- この本で学べる内容
- この本はこんな人におすすめ!
- この本の良いところ・良くないところ
- もっと学びたい人に向けたおすすめ書籍
それでは見ていきましょう!
【Pythonを使った光電磁場解析】で学べる内容

この参考書で学べる内容は以下の通りです。
- 基礎〜実践的な光電磁場解析の理論
- 反射率・透過率の計算
- 球や円柱、楕円体構造に関する電磁場解析
- RCWA(Rigorous coupled-wave analysis, 厳密結合波解析)法
- FDTD法(Finite-difference time-domain method, 時間領域差分法, 有限差分時間領域)
- およそ90ページに渡る詳細な解説!
- DDA(discrete dipole approximation, 離散双極子近似)法
- 光電磁場解析の数式表現→Pythonコードへの落とし込み
【Pythonを使った光電磁場解析】はこんな人におすすめ!
この書籍は次のような方におすすめです。
- 光電磁場解析の基礎について学びたい
- 「Pythonを使った〜」というタイトルですが、理論面についてもしっかり踏み込んでいます
- 光電磁場解析の理論をPythonプログラムとして実装して研究に活用したい
- どのような式展開を経てその実装に至ったのかが非常にわかりやすいです
【Pythonを使った光電磁場解析】の良いところ
光電磁場解析とそのPythonによる実装を一冊で学べる数少ない書籍である本書。個人的に特に良かったポイントを挙げていきます。
- RCWAやFDTDといった実践的な数値解析手法の理論について学べる
- 実装に役立つだけでなく、市販のソフトウェアを使用するための理解を深める手段としても最適です
- 各種光電磁場解析手法の数式表現を詳細な式変形を交えて解説
- 式変形の省略が少なく、読者を置いていかない点がGoodです
- 数式表現からどのようにプログラムを実装すれば良いか、実装済みのコードから学べる
- 数式を追って自身でコードを記述しても良いですし、実装済みコードを自身の勉強に活用しても良いかと思います
- 比較的最近出版された書籍なのでコードも新しい
- Python3で記述されています
- 実装本にありがちな、削除済みのライブラリに戸惑うようなポイントはほとんどないでしょう
【Pythonを使った光電磁場解析】のあまり良くないところ
これまで解説したように、光電磁場解析とそのPythonによる実装を一気に学べる本書ですが、個人的に気になった点についても記載しておきたいと思います。(紙面の都合上仕方ない部分もあるかと思います。)
- ところどころ天下り的に与えられる式が見られる
- 理論と実装を一冊で記載する以上仕方ないかとは思います
- 実装済みPythonコードは低次元解析に留まる
- RCWAは1次元のみ、FDTDは2次元のみの実装です
- 「3次元FDTD解析を今すぐ実行したい!」というような方は注意です
- 「y軸方向についても同様である」のような表現で済みそうな数式展開についても、わざわざ紙面を割いて記述している
- 読者が容易に類推できるような内容に関しては紙面がもったいないかなと感じます
- 実装済みコードをそのまま実行しようとすると一部エラーが出る
- 実行環境にもよるかもしれません…
購入を検討する方の参考情報となれば幸いです!
もっと学びたい人向けのおすすめ書籍
この書籍で学んで、理論面などさらに深く勉強したいと感じた方には、同じ著者による以下の書籍がおすすめです。ぜひ参考にしてみてください。