全部知ってる?特殊なレンズの種類と特徴を解説!【シリンダー、フレネル、パウエルetc.】

こんにちは、unogram管理人のうのちゅ〜です。

今回は、光学技術者でも意外と知らない・理解していない【特殊なレンズの種類と特徴】について紹介していきます。

意外と知らない?レンズの種類と使い分けを解説!【球面・凹凸・メニスカス】では、基本的な球面・非球面レンズの種類と使い分けについて解説しました。

しかしながら、世の中に存在するレンズはいわゆる球面・非球面レンズだけではありません。シリンダーレンズやフレネルレンズ、パウエルレンズなど変わった名前・特殊な用途で用いられるレンズが多数存在します。

今回はそのような特殊なレンズについて紹介していきますが、あなたはどれくらい知っているでしょうか?ご自身のレンズに関する知識をぜひチェックしてみてください!

それでは見ていきましょう!



特殊なレンズの種類と特徴

シリンダーレンズ(シリンドリカルレンズ、円柱レンズ、アナモルフィックレンズ)

シリンダーレンズは、シリンドリカルレンズや円柱レンズなどとも呼ばれ、アナモルフィックレンズと同義とされる場合もあります。

特徴はそのかまぼこのような半円柱形状です(凸形状の場合)。通常のレンズは球面であるため入射光に対して2次元的に作用する一方、かまぼこ形状のシリンダーレンズはその一方のみ(xy平面上の例えばx方向のみ)に作用します。

主な用途として、ペアで用いてビーム形状をアナモルフィック(縦長あるいは横長)にすることなどが挙げられます。(参考:Thorlabs「シリンドリカルレンズ」

パウエルレンズ(レーザーラインジェネレータレンズ)

パウエルレンズは、コリメートされた光を1次元的に発散させて、直線状に均一な強度分布のレーザーラインを生成します。このことから、レーザーラインジェネレータレンズとも呼ばれます。

その形状は、尖った屋根をもつ簡略化した家の3次元形状のようです。この屋根頂点にビームを入射させ、四角い面から光が出射します。

この形状により、コリメート光をシリンダーレンズを用いるよりもきれいなライン状の光線に整形することができます。

参考:Thorlabs「パウエルレンズ」

アキシコンレンズ(円錐レンズ)

アキシコンレンズは、出射面が円錐形状をしたレンズです。

その特徴は、出射光が光軸を中心としたリング形状のビームを作ることです。その形状はベッセルビームに近く、伝搬距離が長くなるほど直径が大きくなっていきます。(参考:Edmund optics「アキシコンレンズの考察」

2つのアキシコンレンズを組み合わせることで、リングの直径が変化しないコリメートビームを生成するなど、複数のレンズの組み合わせによって応用の幅を広げることも可能です。(参考:Opt Science, Inc.「アキシコンレンズ」



フレネルレンズ

フレネルレンズは、「通常のレンズを同心円状の領域に分割し厚みを減らしたレンズ」(引用:Wikipedia「フレネルレンズ」)です。その形状から、「ノコギリ状の断面をもつ」レンズというような表現もされます。

通常のレンズは、その面の傾きによって境界面で屈折が生じてレンズ作用を生みます。ところが、光が一定のレンズ媒質中を伝搬する間は(散乱等除けば)伝搬方向は変わらず、その厚みはある意味ムダになっていると言えます。このムダを解決するべく誕生したのがフレネルレンズで、従来のレンズが持つ曲面を一連の同心円状の溝に置き換えることで、厚みを押さえながら集光性能を維持することに成功したのです。

従来のレンズからフレネルレンズに置き換えることで、光学システムの小型化・軽量化が可能になるという利点があります。ガラスレンズと比べて重さが90%軽くなるような例もあるようです。(参考:Thorlabs「フレネルレンズ」

もちろん、トレードオフも存在します。主なデメリットは、結像性能の悪化や、斜め光に対応できない点(同心円状の線や回折の影響、斜め光が曲面にうまく入射しないため)です。

参考:Edmund optics「フレネルレンズの利点」

ゾーンプレート(フレネルゾーンプレート)

フレネルレンズと似たような同心円パターンを持つ光学素子に、ゾーンプレートがあります。フレネルレンズがノコギリ状の断面をもつのに対し、ゾーンプレートは不透明・透明の同心円状パターンを繰り返した透過型の回折格子です。

この同心円パターンは球面波と平面波の干渉パターンで、光の回折と干渉効果に基づいてレンズの働きをします。主にX線領域での応用がなされています。

参考:篭島靖「フレネルゾーンプレートとその応用の最前線」

回折レンズ

回折レンズは、回折と屈折を利用してレンズと同様に作用します。

光軸を中心とした同心円状に周期的にパターンが形成された、フレネルレンズと似たように見えるものも存在します。しかしながら、回折現象を利用する回折レンズの表面形状は光の波長程度であり、屈折によって光を集光するフレネルレンズとは似て非なるものです。

上述のゾーンプレートも回折を利用しており、振幅型の回折レンズに分類されます。

参考:Wikipedia「回折レンズ」



GRINレンズ(屈折率分布型レンズ、セルフォックレンズ)

GRINレンズとは、Gradient index lens(Graded-index lens)のことで、日本語では「屈折率分布型レンズ」のことを指します。その名の通り、媒質の屈折率の勾配を利用するレンズです。

通常のレンズは空気とレンズ媒質の界面の屈折によって光を集光させますが、GRINレンズは媒質中に異なる屈折率が分布するため、媒質中を伝搬するにつれて光の進行方向が変化していきます。

最も一般的なGRINレンズは、円柱形状で半径方向に屈折率が変化するタイプのものでしょう。通常のレンズのような球面をもちませんが、上述のように屈折率の勾配が光の進行方向を変化させることで凸レンズのような集光が可能となっています。このタイプのGRINレンズはセルフォックレンズと呼ばれ、1968年に日本で開発されました。

用途としては、光通信における結合や、平坦な端面を生かしたバイオイメージングへの応用が上げられます。

参考:ゴーフォトン「屈折率分布型(GRIN)レンズとは?」

まとめ:特徴・使い所を理解して特殊なレンズを活用しよう

今回は、光学技術者でも意外と知らない・理解していない【特殊なレンズの種類と特徴】について紹介してきました。一般的な球面・非球面レンズ以外の特殊なレンズの特徴と基本的な使い方を学ぶことで、光学システム構築の引き出しは増えていきます。光学素子も適材適所で活用していきましょう。