研究職はつらいのか?【現役視点で回答!:激務ではありません】

こんにちは、unogram管理人のうのちゅ〜です。

今回は研究職がつらいのか?という疑問を取り上げます。現役研究職の視点から、その実態を踏まえて回答していきたいと思います。

この記事を読むとわかること
  • 研究職が激務ではない理由
  • 研究職を志望する人が知っておきたい注意点
  • 研究職に向いている人の特徴

それでは見ていきましょう!



研究職はつらいのか?

まず最初に研究職はつらいのか?という疑問について、現役研究職の視点から回答したいと思います。

ずばり、つらくありません!

正直、研究職という職業は、自分の興味・関心がある分野で最先端の学問に取り組むことができ、しかもお金がもらえるという素晴らしい職業なのではないかと思います。

以下では、なぜ筆者が「研究職はつらくない」と感じるのか、実体験を踏まえてその理由を挙げていきたいと思います。

研究職がつらくない3つの理由

仕事である以上、「楽しい!」ばかりではないのは当たり前。それでも「研究職がつらくない」のはワケがあります。筆者が考える3つのポイントについて解説していきます。

「世界的なスケールで」成果が挙げられる・社会貢献できるというやりがい

研究職のやりがいとして改めて認識しておきたいのが、そのワールドワイドなスケールです。

研究が形となれば、会社という組織に所属しながらも「個人の名前」で対外的に成果を示すことが可能です。しかも、世界に向けて。どのような形で公開されるケースがあるのか、まとめておきましょう。

  • 学会・論文発表
  • 特許
  • 製品化

3つ目の製品化に関しては、製造部門など多くの人・組織が絡む可能性が高いため、個人の名前がクローズアップされることは少ないかもしれません。しかしながら、学会・論文発表や特許に関しては、例え1年目の社員であったとしても個人の名前で成果を公開することが可能です。もちろん、会社の名前で発表できるだけの内容であることは要求されます。

また、研究成果が製品化・事業化すれば、自身の業績面だけでなく、社会貢献になる点にもやりがいを感じられるでしょう。世界的に事業を展開する企業であれば、その技術が生み出す恩恵は地球の裏側に住む人にまで至ることもあるでしょう。

このような心理的なメリットが大きい点は研究職の魅力です。他の職種ではなかなか得られないものではないでしょうか?心理的充実感と比べれば、業務上生じる多少のストレスや気苦労は吹き飛んで余りあると言っても過言ではありません。



比較的長期の事業計画に基づくため、締め切り・納期に追われにくい

「つらい」と感じる原因として、「常に時間に追われているか否か」という点は大きいでしょう。その点、研究職は「比較的締め切りや納期に追われにくい」という心理的余裕を感じやすい職種であるというメリットがあります。

研究成果とは、一朝一夕に挙げられるものではありません。また、既存の技術を使って製品を作るような場合とは異なり、必ずしも形になるとは限りません。むしろ芽が出ない場合の方が多いと言えるでしょう。

大学の研究室で経験したことのある人はよくわかっていることだと思いますが、それは企業の中で事業として取り組む場合にも言えることです。

このような研究の性質上、部署の研究計画を立てる際にも、ある程度ゆとりをもつのが普通です。未知の研究の過程で生じる新事実に対処できる程度の時間的バッファも必要になります。

研究職がラクであるとは思いません。それでも、毎日のように舞い込む案件をこなしたり、トラブル対応に追われるような部門と比較すると、研究職は心に余裕をもって働くことができる職種だと思います。

「職業として」最先端の技術に日常的に触れていられる

自分に興味のない仕事や、何のためにやっているのかわからない作業を黙々とこなすだけでは、つらさを感じても仕方ないでしょう。

その点、研究職は自分の興味がある分野の技術に日常的に触れるワクワク感を感じられる仕事です。各自のテーマや社内で行われるプロジェクトは、どれも競合他社との差別化や新規事業の源泉となりうる最先端の研究です。研究という行為に知的好奇心が沸き立つ人であれば、つらいという感情が生じることは少ないでしょう。

また、趣味や学業としての研究ではなく、職業として、つまりお金がもらえる行為である点もポイントです。大学に残って研究を続けるか、就職するか迷う人の中には、経済面を気にする方も多いでしょう。「研究が好き」で「社会人としてそこそこのお金もほしい」という方にとっては、これ以上ない選択肢であると言えるでしょう。



決してつらくない研究職に就職する際の注意点はある?

ここまで、「研究職はつらくない」という理由を現役研究職の視点で解説してきました。

研究が楽しい人にとっては、「仕事はつらいもの」などとは感じないことが伝わったのではないかと思います。

このようにメリットの多い研究職ですが、就職にあたっての注意点はあるのでしょうか?筆者が考える注意点を2つ紹介しておきたいと思います。

会社の社風・社内事情は徹底的にリサーチしよう

「仕事としての研究」にはやりがいがあり、楽しさもあるものだということについては述べてきたとおりです。

研究職の魅力が損なわれてしまうとすれば、社内の雰囲気や就職先の部署の人間関係に問題がある場合です。いくら自分の研究テーマにやりがいを感じていたとしても、協力してくれるはずの部署の同僚や上司の性格に難がある場合、うまく研究を進めていくことができなくなることもあります。

また、良い人ばかりであったとしても、あなたの性格や物事を進めていくスタイル(個人作業が好きなのか、チームプレイを好むのか。長時間労働をいとわないのか、効率的に短時間で仕事を進めたいのかなど)と部署のやり方が合わない場合にも、ストレスを感じてしまうかもしれません。

このような問題を回避するためにも、企業の社風・社内事情は徹底的にリサーチすることをおすすめします。

社内の仕事環境のリサーチは、なんと言ってもその企業で既に働いている知人・先輩の生の声を聞くのが一番です。インタビューを通して、自分が就職したらどのように研究に取り組めるのかということをできるだけ明確にイメージできることが理想的です。

どうしてもその会社に知り合いがいない!という方は、就職・転職エージェントを活用するのも1つの手なのではないかと思います。大学院生・ポスドクに特化したアカリクなどは特におすすめです。

会社ごとの働き方改革への対応・裁量労働制について知っておこう

もう一点、就職前に把握しておくべきなのは、その会社の働き方改革への対応と裁量労働制についてです。

大学で研究をしている人にとっては、働き方改革や裁量労働制がどのように重要なのか、あまり想像できないかもしれません。しかし、これらは大学と企業の大きな相違点であり、押さえておくべきポイントです。

厚生労働省の指針によれば、働き方改革のための長時間労働の是正が注力ポイントの1つになっています。(参考:厚生労働省「『働き方改革』の実現に向けて」

働き方改革によってブラックな長時間労働、不当なサービス残業などが是正される動きは評価されるべきです。しかしながら、研究職にとってはこれがマイナスに働く場合も少なくありません。

あなたも研究室において朝早くから夜遅くまで研究に打ち込んだ経験が少なからずあるのではないでしょうか?純粋に研究をするために長時間の作業が必要になることは極めて自然ですが、企業に属する社員の業務としての研究になると話は変わってきます。研究室における研究活動とは違い、労働時間は法律によって明確に規定されているのです。

厚生労働省「時間外労働の限度に関する基準」によれば、いわゆる「残業時間」の上限は1ヶ月で45時間、1年間で360時間となっています。1ヶ月45時間となると、単純に1ヶ月の労働日数を20日間とした場合、一日あたり2時間15分です。1年間で360時間である点を考慮し、月20日間x12ヶ月で平均すると、1日あたり1.5時間となります。

このような単純な計算からも、研究室の常識をそのまま企業の研究職業務に適用することは難しいことがわかるのではないでしょうか?社員が法律を遵守して働いているかどうかは、しっかり上司が目を光らせています。自分の納得がいくまで研究したい!と思っていても、思うように業務時間内にまとめられずに窮屈な思いをすることがあるかもしれません。

一方で、裁量労働制という雇用形態の場合、業務における時間配分の自由度が大幅に上がります。

ピンと来ない方もいるかもしれませんが、裁量労働制とは労働者と雇用者で「あらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度」なのです。研究のような専門性が高く、労働者の裁量に委ねる必要性の高い業務に対して適用される制度です。(参考:厚生労働省「専門業務型裁量労働制」

見方によっては、「研究室のように自分のペースで研究を進められる!」というメリットがあり、上記のような窮屈を感じにくくなると言えるでしょう。

ただ、注意する必要があるのは、裁量労働制の形で雇用されることでブラックな労働環境になりうるということです。裁量労働制だからといって、上記の時間外労働の基準から外れるというわけではありません。しかしながら、労働時間等の配分が個人の裁量に委ねられる性質上、実質的には基準から外れるということも往々にしてあるというのが実態と言えるでしょう。

裁量労働制の実態がどのようになっているかに関しては、会社や部署によっても様々です。裁量労働によって実質的に残業時間が青天井などという労働環境では、気づかぬうちに研究がつらいと感じてしまうかもしれません。

自身の勤務先・就職希望先の就労規則やその実態についてのリサーチもしっかり行うことが大切です。



どんな人が研究職に向いている?

研究職の魅力や注意点についてわかってきたところで、「どんな人が研究職に向いているのか」について簡単に触れたいと思います。

その特徴を1点だけ挙げるとすれば、「基礎研究よりも応用研究に興味があり、近い将来、製品として自分の研究を世に出したいという思いが強い人」です。

基礎研究がしたのであれば、企業よりも大学でやるべきでしょう。一方で、理論や机上、ないしは実験室内での実証にとどまらない、実世界で通用する応用研究に何よりも興味があるという人は、ぜひ企業で研究を仕事にすることを検討してください。

もっと詳しく知りたいという方は、【大学で研究?企業で研究?】企業研究職に適した人の特徴と判断方法をご覧いただければと思います!

また、企業研究職についてもっと詳しく知りたい!という方は、企業研究者としてのキャリアについての書籍を読んでみるのもおすすめです。

ドイツの化学系メーカーで研究された経験もある著者。「企業研究者とはどんな仕事なのか?」「博士号のもつ価値とは?」「海外で研究職として働くって実際どう?」といった内容について、自身の経験に基づいて詳述されています。研究職を目指す学生の方には特におすすめです。

アメリカの大手製薬会社で研究職として働いた経歴をもつ著者。ご自身の経験について記載されていることはもちろんのこと、キャリアについて詳述されている点が特徴的です。企業研究職を目指す学生から研究職としてのキャリアに不安を感じている現役研究者にぜひ読んでほしい一冊。

まとめ:研究職は決して激務ではない

今回は、研究職がつらいのか?という疑問について、現役研究職の視点から回答し、その理由などについて紹介してきました。その回答は、

ずばり、つらくない!

というものでした。つらいかどうかは、勤める会社の制度や人間関係次第なところもあるとは思いますが、職務内容で言えば比較的激務にはなりにくい職業です。そして、以下のような研究職の心理的充実感を支える3つのポイントについても紹介しました。

  • 「世界的なスケールで」成果が挙げられる・社会貢献できるというやりがい
  • 比較的長期の事業計画に基づくため、締め切り・納期に追われにくい
  • 「職業として」最先端の技術に日常的に触れていられる

「研究」という行為に魅力を感じる人であれば、つらいと感じる余地もない素晴らしい職業なのではないかと思います。

一方で、会社の社風や裁量労働制のような制度についてのリサーチが欠かせないことについても解説しました。自分が就職・転職する企業における研究環境については可能な限り明確にした上で入社するようにしましょう。

最後に、研究職でつらい思いをしている方に現在の環境を見直すことをおすすめして終わりたいと思います。本記事は、研究職はつらくない!と断言する内容で、つらい思いをしている方にとっては納得できない部分もあるかもしれません。確かに会社や分野、役職によってはつらいと感じる方もいるかもしれませんが、それは研究職だからでしょうか?

職場環境を変えることで、同じ研究職でも感じ方が全く変わるということはよくあります。ぜひ他の企業で研究を続けている大学時代の同期などに話を聞いてみてください。意外な発見があるかもしれません。場合によっては、思い切って転職を考えてみるのも良いでしょう。