計算機合成ホログラフィの初学者に最適!「ホログラフィ入門」

こんにちは、unogram管理人のうのちゅ〜です。

今回は、【参考書紹介シリーズ】として「ホログラフィ入門 コンピュータを利用した3次元映像・3次元計測」を紹介します。

何もない空間に映像が浮かび上がる表示装置として、SF映画・アニメに欠かせない存在として「ホログラフィ」を認識されてる方も多いのではないでしょうか?ホログラフィは演算装置の高度化に伴い、現在も3次元映像や3次元計測の世界において、実用化に向けた研究が着々と進行しています。

ホログラフィの歴史は古く、1947年に発明された技術です。ホログラフィという光学技術については数々の光学の参考書において理論的に解説がなされてきました。

一方、近年では、コンピュータを用いた計算機合成ホログラフィ(CGH, Computer-Generated Holography)の発展が著しく、CGHについて基礎から学習したいという方にとって本書は、現代のホログラフィ学習においては最適の一冊と言えるでしょう。

この紹介記事では、「ホログラフィ入門 コンピュータを利用した3次元映像・3次元計測」に関する以下のような点について解説しています。

  • どんな人向け?初学者?中級者?専門家?
  • 本書を読む上での必要な知識は?
  • 具体的にはどんな内容?何について学べる?

それでは見ていきましょう!



ホログラフィ入門 コンピュータを利用した3次元映像・3次元計測

どんな人向け?

本書の難易度を☆1(知識ゼロでも分かる!)〜☆5(専門家の学習にも使える!)の5段階でうのちゅ〜的レーティングすると…

評価 :2/5。

☆3といったところです。具体的には、光学の基礎知識は学習済みだけど、ホログラフィについてはよくわからない…という方に最適なのではないかと思います。

具体的にどのような内容・レベルのことが学べるかは後述していきますが、本書の特徴は、初歩的なレベルの基礎知識から丁寧に解説してくれている点です。専門書にありがちな難解な表現や、しっかり考えないと論理の省略についていけないということが全くなく、スムーズにホログラフィについて学ぶことができます。それでいて約170ページという手に取りやすいボリュームなのも、勉強に取り組みやすいポイントです。

読むために必要な知識は?

必須の知識

大学教養レベルの物理の知識は必要かなと思います。

必須ではないが、あると良い知識

大学初級レベルの光学の知識があると、よりスムーズに読み進めます(第一章を読んで復習することも可能です)。

具体的にどんな内容について学べる?

本書は5つの章から構成されています。各章で解説されている具体的な内容は以下の通りです。

第一章 光波とホログラフィの基礎

光・ホログラフィという基本的な概念・用語について解説されています。

  • 光を扱う上で最低限必要な電磁波(スカラー波)の基礎
    • 振幅や位相、波数といった基礎的な概念
  • ホログラフィの原理・用語についての概説
    • コンピュータホログラフィとは
    • ホログラフィによって3次元像が再生される原理

第二章 電子ホログラフィと3次元映像

ホログラフィによる3次元映像を実現するために行われている研究の現状と問題点について解説されています。

  • ホログラムを表示する液晶ディスプレイ(LCD)のデバイス由来の課題
  • 計算機合成ホログラム(CGH)の基礎と簡単なプログラム例
  • 著者らの研究例を交えた電子ホログラフィシステム
    • 振幅ホログラムと位相ホログラム
    • 水平方向・奥行き方向の分解能
    • カラー電子ホログラフィ
  • 計算の高速化
    • 演算量の見積もり
    • テーブル参照
    • 並列処理



第三章 回折

ホログラフィに限らず波動光学の基礎となっている回折積分について解説されています。一般的な光学の参考書で行われるようなマクスウェル方程式からの丁寧な導出は行わず、要所に絞った簡潔な記述にまとめられています。

  • 回折計算の原理
    • ゾンマーフェルト回折積分
    • 角スペクトル法(平面波展開)
    • フレネル回折
    • フラウンホーファー回折
  • 回折の数値計算のプログラム実装例
    • レンズの結像シミュレーション
    • 回折計算のエイリアシング
  • 特殊な状況下での計算例
    • シフト回折計算
    • スケール回折計算

第四章 デジタルホログラフィと3次元計測

デジタルホログラフィの原理と、デジタルホログラフィック顕微鏡のような応用事例について解説されています。

  • デジタルホログラフィ概説
  • デジタルホログラフィック顕微鏡による3次元計測
    • 位相アンラッピング
    • レンズレスフーリエ変換ホログラム
    • 合成開口デジタルホログラフィ
  • デジタルホログラフィの問題点
  • インライン型/オフアクシス型デジタルホログラフィ
  • ガボール型デジタルホログラフィ
  • 位相シフトデジタルホログラフィ

第五章 ホログラフィの応用事例

位相回復アルゴリズムやホログラフィックメモリ、ホログラフィを用いたプロジェクションについて解説されています。

  • 位相回復アルゴリズム
    • Gerchberg-Saxtonアルゴリズム(GS法)
    • エラーリダクション法
    • HIO(Hybrid input-output)法
  • ホログラフィックメモリ
  • ホログラフィックプロジェクション

まとめ

今回は、【参考書紹介シリーズ】として「ホログラフィ入門 コンピュータを利用した3次元映像・3次元計測」を紹介しました。

コンピュータホログラフィは日々研究が進められている注目分野でありながらも、参考書にはアナログ方式についてのみ記述されている場合がほとんどで、参考になるものはかなり少ないです。かといって最先端の研究論文を英語で読むのは骨が折れます。そんな中、コンピュータホログラフィの原理や研究の現状、問題点、具体的なプログラム例についても記述されている本書は、コンピュータホログラフィ入門者に最適な書籍となっています。気になる方はぜひ手にとってみてください。

他のホログラフィ参考書については、【初心者向け】ホログラフィについて学べるおすすめ参考書3選にて紹介していますので、こちらもご覧ください。