こんにちは、管理人のウノケンです。
最近流行りのCoreXYタイプ(ノズルがXY方向に動く方式)の3Dプリンター。
気になるけれど、ちょっと値段が高い。。。
そんなハードルを感じていた方も多いのではないでしょうか?
そんな「CoreXY未体験」の方に注目してほしいのが、ELEGOOが2025年2月にリリースした最新FDM3Dプリンター「Centauri Carbon」。
初心者でも手を出しやすいコスパとCoreXYならではのスピード&ハイクオリティを両立しているという噂の1台です。
今回、ELEGOO様より実機をご提供いただきましたので、
について、徹底実機レビューしていきたいと思います。
密閉構造によるABS対応や高速なCoreXY駆動など、魅力と注意点がイッキにわかる内容になっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

動画でレビューをチェックしたい方はこちら!
この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。記事とあわせて活用してみてください。
それでは見ていきましょう!
ELEGOO Centauri Carbonの特徴

まずは、「Centauri Carbon」がどんな特徴を備えているのか大枠を押さえましょう。
密閉型CoreXYという注目の構造をリーズナブルに実現しただけでなく、組み立て不要の簡単セットアップや多彩なフィラメント対応など、ELEGOOのこれまでのFDM3Dプリンター「Neptuneシリーズ」との違いも大きなポイントです。
このセクションでは、「コスパ・組み立て不要」「材料の種類」「トレンド機能」という3つの視点から魅力を解説していきます。
モデル名 | Centauri Carbon |
---|---|
本体イメージ | ![]() |
メーカー | ELEGOO |
価格(サンステラ) | - |
価格(SK本舗) | - |
価格(Amazon) | - |
価格(海外ストア) | |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 398 x 404 x 490 |
本体重量[kg] | 17.5 |
構造 | CoreXY |
密閉 | ○ |
ヒートチャンバー | × |
組み立て | 組み立て済み |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 256 x 256 x 256 |
最大スピード[mm/s] | 500 |
推奨スピード[mm/s] | - |
最大加速度[mm/s²] | 20000 |
最大押出流量[mm³/s] | - |
最大ノズル温度[℃] | 320 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 110 |
対応フィラメント | PLA, PETG, TPU, ABS, ASA, PLA-CF, PETG-CF, ABS-CF, ASA-CF, PET-CF, PA-CF, PET, PC, PA |
マルチカラー | × |
消費電力[W] | 350 |
ディスプレイ | タッチ式 |
Wi-Fi | ○ |
内部ストレージ[GB] | ○ |
カメラ/リモートモニタリング | ○ |
スライスソフト | ELEGOO Slicer |
その他 | エアフィルター搭載 |
出典 | 公式サイト |
コスパ・組み立て不要・簡単セットアップ

「CoreXYの3Dプリンター=高額&上級者向け」という先入観を持っている方も多いかもしれません。
そんな常識を大きく変えるべく登場したのが「Centauri Carbon」。
開封後に必要な作業が非常に少ない状態で届くので、ユーザーが行う作業はビニールや緩衝材を取り除いて、ビルドプレートの固定を外す程度。
重量は約17.5kgと決して軽くはありませんが、1人でも十分持てるレベルです。箱から出して10分程度で、すぐに電源オンに移れるのは大きなメリットですね。
また、セットアップ後の初回電源投入時には、本体が自動でモーターやノズル、ベッドの動作チェックを行い、ベッドレベリングやインプットシェーピング(振動補正)までイッキに完了させます。ユーザーはスクリーンをタップするだけなので、初心者でもベッドの水平出し(高さ調整)に失敗するリスクが大幅に下がっています。
そんな初心者への配慮と本格3Dプリントが可能なCoreXY構造を両立していながら、1ケタ万円台というコスパも実現しているのが「Centauri Carbon」。家庭向けハイエンドに近い機能を抑えめのコストで手に入れたい方必見の1台でしょう。
3Dプリントできる材料の種類が豊富【耐摩耗でカーボンファイバーも】

Centauri Carbonの強みは、密閉型CoreXYによるプリント安定性や剛性の高さだけでなく、取り扱い材料の広さにもあります。
PLAはもちろん、ABSやASAといった冷却に敏感な素材でも、密閉構造によって保温された造形空間のおかげで反りが抑えられます。ヒートベッドの温度調整やスティックのりを併用すれば、さらに成功率を高めることも可能。
さらに、ノズルは耐摩耗仕様。PLA-CFをはじめとするカーボンファイバー配合のフィラメントにも挑戦しやすいのが魅力。
こうしたフィラメントはノズルをすぐ摩耗させてしまうため、対応していない機種も少なくありません。Centauri Carbonは「Carbon」と名乗るだけあって、摩耗性の高いフィラメントを想定した設計になっています。
その他、やわらかいTPU系素材にも対応しているため、シューズパーツや防振部品、ゴム状のパッキンを作るなど、用途の幅が広がるでしょう。
このように対応材料が多いため、用途に応じて最適なフィラメントを3Dプリントに活用することが可能です。
カメラ・ノズルクリーナー・!トレンド機能を網羅

CoreXY構造が「定番化」しつつある近年の家庭用FDM3Dプリンター。そんな中、従来のベッドスリンガータイプでは、あまり見かけなかったパーツ・機能が採用されるようになってきています。
たとえば、カメラとLEDが標準搭載され、プリント中の様子を撮影することが可能に。
また、Wi-Fi対応のため、撮影画像をパソコンでリアルタイムモニタリングしたり、プリントの開始・停止等の操作を遠隔で実行することができるようになっています。
さらに、ノズル周りをクリーニングしてくれるブラシや、フィラメントのロード・アンロード時に不要なフィラメントを本体外部に出すための排出口も搭載されています。
こうした「トレンド機能」とも言えるエッセンスが数多く盛り込まれた「Centauri Carbon」。コスパ機種でありながら、初心者でも高度なCoreXY機を手軽に扱える工夫が凝らされています。
使ってみてわかった!Centauri Carbonのスゴいところ

ここからは実際にCentauri Carbonを使ってみた体感を踏まえ、特に優れていると感じたポイントを3つピックアップ。
高速プリント時の仕上がりや、ABS・CFを含む多様な材料への対応、そしてELEGOOが「Neptuneシリーズ」から進化させた新機能を中心に解説していきます。
CoreXYクオリティの高速&高品質

まず目を引くのが、CoreXY構造ならではの高速&高品質ぶり。
3DBenchyを約15分という短時間で完成させながらも、表面の波打ちやオーバーハングの乱れなどが最小限に抑えられており、プラットフォームとの接着も良好でした。
これは最大速度500mm/s、最大加速度20000mm/s²(製品公称値)を活かしたスピード設定が大きく寄与し、かつフレーム剛性がしっかり確保されている証拠とも言えるでしょう。

プリントの土台となる「第一層」をプリントして均一性を確認した際には、わずかに左前方が歪んだ程度で、ほぼ完璧な仕上がりに。ワンタップで実行できるオートレベリングがしっかり効いていることが確認できました。
3Dプリンターにおいて、最初の層は成功率を左右する重要な要素。Centauri Carbonは初期セットアップ時にしっかりキャリブレーションを行うため、初心者が失敗しやすいベッド調整に悩まされることも少なくなるでしょう。
激しい振動が発生しにくいのも、CoreXY構造と「Centauri Carbon」肝入り高剛性フレームによるメリット。高速でノズルを動作させながらも、高品質な造形が期待できます。
耐摩耗ノズル&密閉で使えるフィラメントいろいろ

コスパ機ながらも、カーボンファイバー配合やABSなど難易度の高いフィラメントにも対応しているのは、「Centauri Carbon」の大きな強み。
実際、PLA-CFを使って格子状のオブジェを出力したところ、特有のマットな仕上がりで高級感のある質感になりました。
CoreXY構造であれ、家庭用機では「カーボンファイバー非対応」というケースは少なくありません。CF対応のCoreXY機を探している方にとっては、「Centauri Carbon」が有力候補となるでしょう。

汎用性の高い樹脂であるABS。これまでの「Neptuneシリーズ」のような開放型3Dプリンターでは扱いが難しいフィラメントでした。
密閉タイプの「Centauri Carbon」は、筐体がベッドの熱をある程度保持し、低温からくる反りや割れを抑制してくれます。もちろん、ヒートチャンバーのように加熱したり、内部温度を制御したりできるわけではありませんが、開放型プリンターより格段に成功率は高く、冷気の影響を受けにくい構造は心強いです。
実際にABSをプリントしてみたところ、造形物はコーナーが軽く浮いた程度で、全体としては十分合格レベルでした。

さらに、「Centauri Carbon」はTPUのような柔軟素材にも対応。
ノズルまわりの設計によってはフィラメント詰まりを起こしがちなTPUですが、CoreXYかつエクストルーダー経路が比較的シンプルなので、スムーズにプリントすることができました。
PLAやPETGに慣れた次は、CF系やABS系に挑戦し、用途によってはTPUまでカバーする——そんな幅広い材料に1台で対応できるのは、予想以上に汎用性が高いと感じることでしょう。
Neptuneシリーズからの進化(組立不要・CoreXY・オートレベリング等)

ELEGOOのFDMラインといえば、2023年までリリースされてきた「Neptuneシリーズ」で有名でした。
約1年の沈黙を経て登場した「Centauri Carbon」への移行にあたり、大きく進化した点がいくつも存在します。
まずは「ほぼ組み立て不要」であること。開放型のベッドスリンガー構造を採用していた「Neptune 4シリーズ」までは、ある程度ユーザーがフレームを組み立てたりネジ留めしたりする必要がありましたが、今作ではダンボールから出して、フタとフィルムを外すだけでほぼ完了という手軽さを実現しています。
また、レベリングも初期キャリブレーションにおいて自動実行(オートレベリング)してくれるようになり、初心者がつまづきがちな高さ調整の失敗を大幅に減らせるようになりました。

さらに、カメラとLEDが標準搭載されている点も大きな魅力です。
「Neptuneシリーズ」までは、市販のカメラを後付けする必要がありましたが、Centauri Carbonでは撮影&タイムラプス作成が標準機能として組み込まれました。
後述するように照明には少々課題がありますが、暗い部屋の中で稼働する3Dプリンターの稼働状況を動画で確認できるのは非常に便利です。

そして、ソフトウェア面にもアップグレードがありました。
「Centauri Carbon」の登場にあわせて新しくリリースされた「ELEGOOSlicer」はOrcaSlicerをベースにしており、これまでのCuraベースの設定に比べて格段に使い勝手が向上。
スライスデータの無線送信やリモートコントロール・リモートモニタリングの連携も簡単で、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させています。
総じて、「Neptuneシリーズの延長線」というより「全く新しい路線」に切り替わった印象の「Centauri Carbon」。
進化する業界の状況に合わせて、ELEGOOもFDM機を本格強化してきた意気込みが伝わる1台です。
ELEGOO Centauri Carbonの注意点は?
