こんにちは、管理人のウノケンです。
TPUフィラメントの3Dプリントで、
3Dプリント品がスカスカになってしまった!
フィラメントが詰まって出てこない…
といった経験をしたことは、ありませんか。
誰しも柔らかい素材特有の扱いづらさに、1度は頭を悩ませたことがあるでしょう。
そこで今回は、TPUフィラメントで起こりがちな課題を解決する、
「TPUフィード補助モジュール」と「TPUハイフローキット」
を実際に購入し徹底的に使い込んできましたので、その実力をレビューしていきます。
とくにTPUフィード補助モジュールは、最新の「H2シリーズ」や「P2S」はもちろんのこと、まだまだユーザーの多い「X1」や「P1シリーズ」にも使える注目のアイテム。
取り付ける前と後では一体どんな違いがあるのか、チェックしていきましょう。

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実際の装置の動きを含めた、動画ならではの内容が盛りだくさんの解説をお楽しみください!
TPUフィード補助モジュールとは?基礎知識〜セッティング

TPUで3Dプリントをしていると、
AMSがTPU非対応で使えない…
湿気を吸いやすいから面倒…
といった不満が浮かんだことがあるのではないでしょうか。
TPUの防湿管理やフィラメント供給の手間にストレスを感じている方は多いでしょう。
そこでまずは、
なぜ、TPUのプリントは難しいのか?
という根本的な課題を振り返りつつ、TPUフィード補助モジュールがどのように問題を解決し、安定した供給を実現するのかについて解説していきます。
なぜTPUの3Dプリントは失敗しやすいのか?

PLAやPETGのような硬いフィラメントとは異なり、やわらかいTPUはプリント時に特有のトラブルが発生しやすい素材です。
そのままプリントしようとしても、ツールヘッドのところでうまく押し出されないことが多々あります。
その結果、3Dプリント品の内部がカスカスの状態になってしまうことも少なくありません。
とくにBambu Labの「H2・P2・X1・P1シリーズ」のようなCoreXYタイプの3Dプリンターでは注意が必要です。
これらの機種はフィラメントが長いチューブを通る構造になっています。
そのため、長く複雑な経路の中でTPUが詰まったり、摩擦による抵抗を強く受けたりしやすい傾向にあります。
エクストルーダーによる引き込み能力だけでは柔らかい素材を引っ張りきれません。
フィラメントチューブの入口付近でTPUがピンと張ってしまい、供給が滞ってしまうのが失敗の主な原因といえます。
TPUフィード補助モジュールの役割は?

これまでTPUをプリントする際の定番の対処法は、3Dプリンター上部のフタを開けることでした。
そこにフィラメントラックを取り付け、直接エクストルーダーに挿入するという方法です。
しかし、上に乗せているAMSをわざわざ下ろさなければならないのは、少し手間ですよね。
さらに湿気を非常に吸いやすいTPUを空気中に長時間晒すことにもなってしまいます。
こうした扱いの手間を解消してくれるのが、TPUフィード補助モジュールです。
TPUフィード補助モジュールは、プリンターの外部にセットする押出機とフィラメントバッファーを兼ね備えたような小型の装置です。
スプールからTPUを引き出し、プリンター内部へとスムーズに送り込んでくれる役割を持ちます。
「AMS HT」のような防湿ボックスから直接供給することも可能になります。
これにより、TPUを乾燥した状態に保ちながら、摩擦抵抗を減らして安定したプリントが可能に。
まさに、TPUユーザーにとっての救世主といえる画期的なアイテムです。
TPUフィード補助モジュールのセッティング

TPUフィード補助モジュールのパッケージに入っているのは、
のみ。
外側の箱にあたるパーツは、自分でプリントして用意するDIY式のキットです。
MakerWorldに公式の3Dデータが用意されているので、事前にプリントしておきましょう。

組み立てはボタンや押出機の取り付け、電子基板やLEDの配線を行ってから外装パーツをネジ止めする流れです。
Bambu公式の組み立て動画も公開されているので、参考にするとスムーズでしょう。
3Dプリンターへの取り付けは「P2S」などの場合、外部スプールホルダーを外して土台のアームを挿し込みます。
モジュールをセットしたら、4ピンのケーブルやフィラメントチューブをつなげば準備完了です。
使い方も非常に直感的で、モジュールの入口にTPUを挿し込み、ボタンを押すだけ。
自動でツールヘッドまで送り込まれるので、あとはいつも通りにローディングを行うだけで完了です。
TPUフィード補助モジュールの実力検証!硬さ別プリント事例

TPUにはさまざまな硬さが存在し、柔らかくなるほどプリントの難易度が跳ね上がります。
そこで、ここではモジュールなしの標準形態ではプリントが難しい、柔らかいTPUの造形課題に焦点を当てていきます。
TPUフィード補助モジュールを使用することで、硬さの異なる3種類のフィラメントのプリント結果がどう変わるのかを検証していきましょう。
硬めのTPU95A

まずは、対応しているTPUの中で最も硬い95Aのフィラメントを使ったプリント事例を見ていきましょう。
条件を揃えるため、モジュールを使用しない標準形態でも「AMS HT」を机の上に置いて供給を行いました。
TPU95Aは、PLAやPETGのような一般的な硬質フィラメントに比較的近い性質を持っています。
標準形態でプリントした結果、乾燥不足が原因と思われる糸引きは目立ちましたが、最後まで問題なくプリントできました。
このことから、95A程度の硬さがあれば、TPUフィード補助モジュールを使わなくてもプリント自体は可能といえるでしょう。
とはいえ、モジュールを通すことで供給がさらに安定するためトラブルのリスクを減らす意味では有効です。
より安定したプリント環境を構築するなら、硬めのTPUであってもモジュールの活用をおすすめします。
少し柔らかさのあるTPU90A

続いて、少し柔らかさが増したTPU90Aでのプリント結果を見てみましょう。
90Aほど柔らかくなってくると、スプールから引き出す際の抵抗が大きくなります。
標準形態の「P2S」で試したところ、プリント開始直後にフィラメントが押し出されなくなり、あえなく失敗してしまいました。

エクストルーダーの引き込み能力だけでは、適切に供給できないことが明確にわかります。
しかし、TPUフィード補助モジュールをオンにして同じ90Aをプリントしてみると、結果は劇的に変化。
先ほど序盤で失敗したのが嘘のように、スルスルと問題なくプリントが進行していきます。

モジュールを上から観察すると、フィラメントの供給に合わせて押出ギアが定期的に回転しているのがわかります。
つまずくことなくプリントは完了し、TPU90Aの硬さにおいてはモジュールの明確な違いを見せつける結果となりました。

軟質のTPU85A

さらに柔らかいTPU85Aになると、プリントの難易度は最高レベルに達します。
モジュールなしの標準形態では、パージラインを引く段階でフィラメントが全く出ず、1層目から失敗という結果になりました。

それでは、TPUフィード補助モジュールを使った場合はどうでしょうか。
今回は純正ではないBambu以外のTPUを使用したためか、自動ローディングではギアが空転してしまいました。
やむを得ず手動でローディングを行いましたが、そこさえクリアすれば驚くほど快調に動作。

プリント中は補助モジュールが適切に供給してくれるため、85Aのような超軟質TPUでも安定して出力できます。
発泡タイプのTPUを使用したため、ジャンプする箇所で少し毛羽立ちが見られましたが、造形自体は完璧です。

標準形態の「P2S」ではプリントに失敗した90Aと85AのTPU。
どちらも、
95Aでは物足りない
柔らかさを活かしたい
といった用途では、欠かせないフィラメントです。
成功率とプリント品質を高めたいという方は、TPUフィード補助モジュールの導入が大いに検討できそうですね。
TPUハイフローキットとは?特徴と注意点3つ

TPUのプリントは非常にゆっくり行う必要があり、3Dプリントに膨大な時間がかかるという大きな課題があります。
とくに大型の3Dプリントをする際には、プリント時間の長さがネックになりがちです。
そこで登場するのが、TPUハイフローキット。
まずはTPUハイフローキットとは、どのような特徴があるのか知っておきましょう。
TPUハイフローキットの特徴

TPUハイフローキットは、デュアルノズルを搭載したH2D専用のアップグレードパーツです。
通常のホットエンドよりもフィラメントが入っていく側が長くなっているのが特徴的。
変わった構造ということもあって、このホットエンドを使うには、キットに入ったいくつかのパーツを使った手術が必要です。
まず両方のホットエンドを外し、右側のフィラメントカッターを取り外す必要があります。
これにより、右側でのAMSによる自動交換や自動供給などが使えなくなる点はデメリットといえるでしょう。

そして中央のフィラメントガイドを付属のものに交換し、左側のカッターを移し替えます。
さらに、右側ホットエンドとエクストルーダーの間にあるカバーも外し、先程の新しいフィラメントガイドを取り付けます。
これでやっとTPUハイフローホットエンドが取り付けられるようになりました。
TPUハイフローホットエンドの注意点

TPUハイフローホットエンド使用時に留意しておきたい点は3つ。
まずは上述した通り、TPUハイフローホットエンドを取り付ける過程で、右側でのAMSによる自動交換や自動供給などが使えなくなる点。
それから、ホットエンドカバーをネジ止めする必要があるなど、長い入口に対応するためのやむを得ない仕様変更が伴うこともデメリットでしょう。
最後に、内部の特殊コーティングの摩耗を防ぐため、Bambu公式のTPU85A〜95A専用となる点にも注意が必要です。
TPUハイフローキットの実力検証!圧倒的なスピード向上を実現

ここからはTPUハイフローキットによって、
と
という課題を、どう解決できるのかチェックしていきましょう。
Siraya Tech製|Roamr TPU Air 85Aを使った高速化事例

Bambu純正のTPU以外での速度向上は公式には謳われていませんが、Siraya TechのRoamr TPU Air 85Aを使用してテストを行いました。
だいたい最大体積速度が2倍くらいに設定できるようなので、今回は2倍の「8」に設定。
外壁のプリントスピードもおよそ2倍の100ミリメートル毎秒ほどになって、プリントにかかる時間は25時間ほどに短縮されるようです。
30%近くのプリント時間短縮となりそうですが、品質に影響が出ないのかどうかにも注目したいところ。
それでは、先ほどのTPUフィード補助モジュールも併用してプリントしていきましょう。
結果、プリントを開始すると、押し出しが追いつかずに途切れることも全くありません。
中身がスカスカになることもなく、約25時間という短時間でプリントを完了させることができました。
およそ30%近いプリント時間の大幅な短縮に成功しました。

サポート材を外し、発泡フィラメント特有の漏れ出しを取り除いた後の仕上がりは非常にきれいです。

標準のホットエンドを使用した際には表面が少しガサついていましたが、ハイフローキットではかなり改善されています。


TPUフィラメントを使ってプリントしたいものといえば、バスケットボールやシューズのように非常に大型のものが多く、プリントに途方もない時間がかかってしまいます。
だからこそ、TPUハイフローキットとフィード補助モジュールによる高速化と安定化の恩恵は計り知れません。
大型の柔軟パーツを高品質かつスピーディーに量産したい方にとって、最高のアップグレードだといえるでしょう。
まとめ:TPUフィード補助モジュールとTPUハイフローキットで快適な3Dプリントを

今回は、Bambu Labの新しいアップグレードパーツ「TPUフィード補助モジュール」と「TPUハイフローキット」の実力をレビューを通してお伝えしてきました。
これまでTPUのプリントは、フィラメントの供給経路での詰まりや、造形速度の遅さが大きなネックとなっていました。
しかし、TPUフィード補助モジュールを導入することで、85Aや90Aといった非常に柔らかい素材でも確実な供給が可能になります。
さらに、TPUハイフローキットを組み合わせれば、プリント時間を約30%も短縮させることが可能。
プリントスピードが劇的に向上するだけでなく、表面のガサつきが抑えられ、プリント品質が改善する点も見逃せません。
セッティング時の分解作業や右側ホットエンドでのAMS機能の制限など、いくつか注意すべき点は存在しますが、大型の柔軟パーツを作るうえで2つのアイテムは必携だといえるでしょう。
頻繁にTPUを扱う方は、ぜひ画期的なモジュールとキットをご自身の3Dプリンターに導入してみてください。
圧倒的な成功率と速度の向上に、きっと驚かされるはずです。
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