こんにちは、管理人のウノケンです。
Polymakerのフィラメントラインナップ「Panchroma」からリリースされた新材料「CoPE」。
一般的なPLAと同様の温度帯でプリントできるうえ、
といったFDM方式の弱点となりがちな構造に強く、さらに
するという魅力的なフィラメントです。
今回、Polymakerの日本代理店「サンステラ」様より製品をご提供いただきましたので、
について、その結果を詳しくレポートしていきます。

動画でレビューをチェックしたい方はこちら!
この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。記事とあわせて活用してみてください。
それでは見ていきましょう!
\Polymaker製品は国内代理店「サンステラ」で取り扱い中/
Panchroma「CoPE」とは?その特徴をチェック

「Panchroma CoPE」は、PLAのように手軽に扱えるにもかかわらず、オーバーハングやブリッジに強く、プリントスピードは最大400mm/sに対応するということで、注目を集めています。
そんな「CoPE」の基本情報を確認していきましょう。
「CoPE」はどんなフィラメントなのか?

「CoPE」とは、Copolyester(共重合ポリエステル)の略称。
ポリエステル系素材の一種ながら、硬すぎず柔らかすぎない、バランスの良い特性を持ちます。
数あるPanchromaラインナップの中でも「新時代のPLA代替素材」という位置づけを強調。
通常のPLAではサポートが必要になりそうな大きめのブリッジや急角度のオーバーハングでも、サポートレスでプリントしやすいのが特長です。
また、Polymakerらしくカラーバリエーションが豊富なので、複数色を組み合わせた作品づくりにも期待が膨らみます。
スムースPEIプレートが推奨?

CoPEの特徴を活かすためには、スムースPEIプレートを使うことが推奨されています。
というのも、テクスチャありのPEIプレートには強力に張り付いてしまうことがあり、プリント後にパーツを剥がしにくいリスクがあるためです。
表面がツルツルのスムースPEIプレートであれば、適度な定着力を得ながら、取り外しやすさとのバランスを確保できるわけです。
今回の記事でも、相性の良さを検証するためにスムースタイプのPEIプレートを使用しています。
底面にザラザラしたテクスチャが残らないという見た目上のメリットもあるため、高速でサクサク造形してすぐにパーツを外す、といった運用にはもってこいと言えるでしょう。
CoPEでオーバーハング&ブリッジを試してみた!

サポートレス造形で悩む方にとって、オーバーハングやブリッジがどこまで綺麗に出せるかは大きな課題です。
そこで、こちらのセクションでは「CoPE」を使って実際にさまざまなベンチマークモデルをプリントし、PLAとの比較や細部の仕上がりを検証してみました。
急角度や長めのブリッジ構造もサポートなしで乗り切れるという謳い文句は本当なのか?
結果をチェックしていきましょう。
オーバーハングテストでの違い

オーバーハング角度を10°刻みに変化させ、どの角度で造形が破綻するかを可視化したパーツをプリントしてみました。
オーバーハングの影響が出る裏側を確認してみると、70°までは非常にキレイ。
80°のブロックのみ、若干の荒れが見られます。

PLAでも同じモデルをプリントしたところ、70°のブロックでわずかに荒れが見られはじめました。
わずかな違いではありますが、CoPEの方がPLAよりも「ややマシ」にプリントできている印象を受けますね。
もちろん、これだけの角度になると、どんな素材でも多少の垂れや表面荒れは避けられません。
しかし、CoPEの方が比較的崩れが小さいのが確認できます。
今までオーバーハング部分でサポートを設定していたようなモデルでも、CoPEに切り替えるだけでサポート不要化できる可能性があるでしょう。
ブリッジテストで実力検証

次は、0.5cmから最大10cmまで、0.5cm刻みのブリッジを作るベンチマークパーツをプリントし、CoPEのブリッジ性能を検証しました。
低い層数でのブリッジ(1層分)に限って見れば、10cmのスパンでもほとんど垂れ下がりは見られず、実に優秀な印象です。

2層以上になると、上層のプリントの影響で若干のたるみが出ることがありました。
およそ半分程度、5cmくらいまでのブリッジであれば、たるみが抑えられている印象です。

ブリッジテストに関しても、PLAで同じモデルをプリントしてみました。
大きな違いは感じませんでしたが、こちらもCoPEがやや優勢のように感じます。
「CoPEはブリッジに強い」という謳い文句が伊達ではないことを確認できました。
高速プリント!CoPEは本当に400mm/sまでいけるのか?

3Dプリンターをもっと効率よく活用したいと考える方が直面するのが「高速化による品質低下」の問題です。
CoPEはメーカー推奨で最大400mm/sまで対応可能とされ、一般的なPLAよりも高速化しやすいとされています。
ここでは、実際に外壁・内壁のプリントスピードを大幅に上げた設定を適用し、仕上がり具合を確認していきます。
400mm/sと500mm/sでのプリント品質確認

実験として、まずは最大プリントスピードを400mm/sに設定してプリントした3DBenchyのプリント品質を確認。
厳しめに見ると、表面にわずかな積層痕がありましたが、その他の点ではほぼ完ぺきな3DBenchyが完成。

続いて500mm/sに挑戦したところ、仕上がりは400mm/sとほぼ同等。
目立った乱れが発生することもなく、高品質な3DBenchyが造形できました。
対応プリントスピードの高さは本物のようです。

500mm/sのプリントでは、テクスチャPEIプレートを使ったテストも実行。
素手でプリント品をプレートから剥がすことはできましたが、プレート表面にはわずかにプリントの痕が残ってしまいました。
やはりCoPEを使用する際には、「スムースPEIプレート」を活用するのが適切でしょう。