こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、Bambu Labのフィラメント「PLAタフ+」について解説していきます。
A1 miniやA1でクリップやケースを作ってみたものの、薄いツメの部分が折れてしまった、ということはありませんか?
形やプリント方向を見直すことも大切ですが、材料の選び方にも工夫の余地があります。
そんな実用品づくりの候補になるのが、衝撃や繰り返しの曲げへの強さを重視したPLAタフ+です。
ぜひ最後まで読んで、作りたいものに合うフィラメントを選ぶ参考にしてみてください!

PLAタフ+とは?衝撃や曲げを受ける実用品向けのPLA

PLAタフ+は、Bambu LabのPLA系フィラメントの一つです。
メーカーは、衝撃への強さ、繰り返し曲げる部分の耐久性、層間の接着性を特徴として挙げています。
通常のPLAで作ったパーツが、落下したときや取り付け時にパキッと割れてしまう場合に、材料の候補を広げる製品といえるでしょう。
たとえば、着脱するクリップ、差し込んで固定するコネクタ、模型やRCカーの部品などです。
「毎回少し曲げて使う」「落とすことがある」といった、使い方から材料を選ぶと、PLAタフ+の役割が分かりやすくなります。
ただし、ゴムのように大きく伸びるTPUとは別の材料です。
柔らかいケースやクッションを作りたいのか、形を保ちながら割れにくさを重視したいのかで、選ぶフィラメントは変わります。
また、旧製品の「PLAタフ」と、後継の「PLAタフ+」は区別して選びましょう。
材料設定や仕様を調べるときも、名前に「+」が付いた製品を対象にしてください。
PLAベーシック・ABSとの違い:靭性と耐熱性は分けて考える

タフなPLAなら、ABSの代わりになる?
「タフ」と聞くと、どんな強度も高くなるように思うかもしれません。
しかし、衝撃に耐えることと、力をかけてもたわみにくいことは、別の性質です。
Bambu Labの公表値では、PLAタフ+はPLAベーシックより衝撃強度が高い一方、曲げ弾性率は低くなっています。
つまり、硬さや剛性をそのまま上積みしたPLAというより、衝撃や曲げを受ける用途に合わせた材料です。
置物や形を確認する試作ならPLAベーシック、着脱するツメや繰り返し扱う模型部品ならPLAタフ+、という選び方が考えられます。
メーカーはABSに近い靭性もアピールしていますが、ABSと同じ耐熱性を持つという意味ではありません。
PLAタフ+の技術仕様書では、荷重たわみ温度が58℃(荷重1.8MPa)とされています。
これは試験条件での材料特性で、完成品を常時58℃で使えるという上限温度ではありません。
高温になる車内に置く部品や、熱源の近くで使う治具などは、衝撃への強さだけで材料を決めないようにしましょう。
なお、公表されている物性試験の試料には、乾燥と熱処理が行われています。
同じ材料でも、パーツの形状や積層方向、壁面層数などによって強さは変わるため、材質と設計をセットで考えたいですね。
Bambu Labのほかの材料も含めて選びたい方は、こちらも参考にしてみてください。
A1 mini・A1で使う条件:温度・乾燥・AMS lite

PLAタフ+は、A1 mini・A1を含むBambu Labの3Dプリンターに対応しています。
A2L・P2S・X2Dでも使用でき、AMS lite、AMS、AMS 2 Pro、AMS HTにも対応しています。
純正フィラメントなので、対応するAMSではRFIDから材料情報を読み取れる点も便利です。
外部スプールから供給する場合は、Bambu StudioでPLAタフ+の材料設定を選びましょう。
メーカーが示している主な仕様とプリント条件はこちらです。
| フィラメント名 | PLA Tough+ |
|---|---|
| イメージ | ![]() |
| メーカー | Bambu Lab |
| 色 | ■White ■Gray ■Black ■Silver ■Yellow ■Cyan ■Orange |
| ヒートベッド温度[℃] | 35-65 |
| エクストルーダ温度[℃] | 220-250 |
| 推奨プリントスピード[mm/s] | <300 |
| フィラメント直径[mm] | 1.75±0.03 |
| ファンスピード[%] | ON |
| 推奨プリント面 | Textured PEI Plate Smooth PEI Plate Cool Plate SuperTack |
| 密度[g/cm3] | 1.21 |
| 曲げ強度[MPa] | 65±1(XY) 54±4(Z) |
| 引張強度[MPa] | 34.9±1(XY) 20.9±1(Z) |
| シャルピー衝撃強さ[kJ/m2] | 80.6±9.5(XY・ノッチなし) 72.3±6.1(XY・ノッチあり) 25.9±3.3(Z) 18.6±2.3(Z・シルバー) |
| 出典 | 公式サイト |
一般購入しやすいフィラメントとして、Amazonで購入できる種類・色を中心に記載。時期によって購入できる種類・色が異なる場合もあるため注意。
ノズル温度は220〜250℃が目安で、通常のPLAより高めの設定が推奨されています。
A1 miniの標準ノズルでも使える?
対応するノズル径は0.2・0.4・0.6・0.8mmで、ホットエンドの素材も限定されていません。
そのため、PLAタフ+を使うためだけに焼入れノズルへ交換する必要はありません。
まずは、使うプリンター、ノズル、ビルドプレートに合った材料設定から始めてください。
ベッド温度の目安は35〜65℃ですが、対応プレートの種類によって設定は異なります。
テクスチャードPEIとスムースPEI、常温プレートSuperTackを、同じ温度で使えばよいというわけではありません。
また、メーカーは開封後のフィラメントを使用前に乾燥させることを勧めています。
乾燥の目安は55℃で8時間です。
AMS liteには加熱乾燥機能がないため、乾燥が必要な場合は、別の対応する乾燥機を使いましょう。
プリント中は十分に換気し、保管するときは乾燥剤を使って密閉するのも基本です。
また、食品接触グレードの材料ではないため、食べ物に直接触れる食器や食品保存容器には使わないようにしましょう。
曲げるパーツでは、積層方向とサポートの外し方も重要

実用品を作るなら、フィラメントを替えるだけでなく、どこに力がかかるかも見ておきたいところです。
クリップのツメなど、薄い部分を曲げるモデルでは、その根元に負担が集まります。
材料の靭性を生かすためにも、層の境目を引き離す方向に力がかかりにくい置き方や、根元に厚みを持たせる設計が大切です。
もう一つ気を付けたいのが、サポートの除去です。
PLAタフ+は層間接着性を重視した材料なので、同じ材料でサポートを作ると、取り外しにくくなる場合があります。
メーカーは、サポートとモデルが接するインターフェースにPLA用の専用サポート材を使う方法を案内しています。
AMS liteを使う場合も、サポート全体を専用材にするのか、接触面だけに使うのかで、材料の使用量や切り替え回数が変わります。
接触面の材料を変える考え方や、Bambu Studioでの設定方法は、こちらで解説しています。
サポート材のインターフェースとベースの違いは、こちらの設定解説動画でも紹介しています。
PLAタフ+の日本向け価格と、購入時の選び方

日本公式ストアでは、PLAタフ+のスプール付き・1kgタイプが販売されています。
価格は以下の表で比較できます。
| フィラメント名 | PLA Tough+ |
|---|---|
| イメージ | ![]() |
| メーカー | Bambu Lab |
| 価格(サンステラ) | |
| 価格(SK本舗) | |
| 価格(Amazon) | |
| 価格(海外ストア) |
色が違っても、強度は同じ?
色を選ぶ際は、旧PLAタフとの取り違えに注意して、商品名と在庫を確認してください。
公式の技術仕様書では、Z方向の衝撃強度は通常色が25.9±3.3kJ/m²、シルバーは18.6±2.3kJ/m²と、色によって異なる値が示されています。
シルバーを選ぶ場合も、ほかの色と同じ物性値として設計せず、荷重のかかる実用品は形状や積層方向も合わせて考えましょう。
乾燥や保管の道具が必要な方は、フィラメントとあわせて準備しておくと使い始めやすいでしょう。
購入先はこちらです。
まとめ:A1 mini・A1で、繰り返し使う小物を作りたい方の候補に

今回は、Bambu LabのPLAタフ+を紹介しました。
この材料のポイントは、単に硬いPLAを選ぶのではなく、衝撃や繰り返しの曲げを受ける使い方に合わせて選ぶことです。
A1 mini・A1で、着脱するクリップや模型の部品などを作る方なら、候補に入れてみるとよいでしょう。
一方、高温になる場所で使うものや、ゴムのような柔らかさが必要なものは、別の素材も検討したいところです。
温度設定、乾燥、サポート、積層方向まで含めて、作りたいものに合う材料を選んでみてください!





