こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、Crealityから登場した新しい3Dスキャナー「Pika」について解説していきます。

Pikaは、重さわずか260gのボディに、7本のブルーレーザーとNIR(近赤外線)の2つの光源を詰め込んだハンディ3Dスキャナーです。
Crealityはこの製品を「世界初のスマートフォンのようなポータブルAIスキャナー」とうたっています。
見た目はスキャナーというより小さなカメラに近く、背面には3インチのタッチスクリーンまで付いています。
Crealityの3Dスキャナーといえば、これまではCR-Scanシリーズのように、PCの前でじっくり使う道具という印象が強いものでした。
Pikaはそこから一歩進んで、カメラで写真を撮るような手軽さで3Dスキャンをすることを狙った1台です。
この記事では、公式に公開されている仕様をもとに、以下の内容を整理していきます。
ぜひ最後まで読んで、3Dスキャナー選びの参考にしてみてください!

Creality Pikaとは?「撮るようにスキャンする」ポケットサイズの3Dスキャナー

まずは、Pikaがどんな3Dスキャナーなのかを見ていきましょう。
Pikaの大きさは100×60×35mmで、手のひらに収まるサイズです。
Crealityの公式サイトでは「Scan Like You Shoot(撮るようにスキャンする)」というコピーが掲げられています。
本体の前面には、ブルーレーザーとNIRの投光部、カメラが並んでいます。
小さな部品やフィギュアの細部を撮るときはブルーレーザー、人体や大きめのものを撮るときはNIRと、1台で2つの光源を使い分けられるのが基本の仕組みです。
使うときは、スマートフォン・タブレット・PCのいずれかと接続し、Crealityの専用ソフト「CrealityScan」で操作します。
Creality Pikaの同梱品

同梱品は以下の通りです。
- Pika本体
- 三脚
- 高精度ガラスキャリブレーションボード
- 2mのUSB 3.0 Type-Cケーブル
- 充電式バッテリー×2
- 反射マーカー(直径6mm×10、直径3mm×10)
- マーカータワー×6
- NIRフィルター×2
- ターンテーブル
- ハンドストラップ
- クリーニングクロス
- クイックスタートガイド・保証書など
三脚とターンテーブルが付いているので、小物を回しながらスキャンする使い方も、届いたその日から試せます。
マーカーやマーカータワーも揃っているため、特徴の少ない物体を撮るときに買い足す必要がないのはうれしいポイントです。
Creality Pikaの特徴8つ

続いて、Pikaの特徴を見ていきましょう。
公式サイトで打ち出されているポイントを整理すると、以下の8つになります。
順に確認していきます。
①260g・100×60×35mmのポケットサイズ

1つ目は、なんといってもその小ささです。
重さはバッテリー込みで260g、サイズは100×60×35mm。
シャツの胸ポケットやバッグにそのまま入る大きさで、「スキャンしたいものを見つけたら、その場で取り出して撮る」という使い方を想定しています。
ハンディ3Dスキャナーは手で持って対象の周りを動かし続けるので、本体が軽いほど腕が疲れにくくなります。
大きなものを長時間かけてスキャンするときほど、この軽さが効いてくるでしょう。
②7本ブルーレーザー+NIRのデュアル光源

2つ目は、2種類の光源を使い分けられることです。
ブルーレーザーは7本の平行なレーザーラインを当てて、NIRは目に見えない近赤外線のパターンを投影して、対象の形状を読み取ります。
2つのモードで数値が変わる項目を並べると、以下の通りです。
| 7本ブルーレーザー | NIR構造化光 | |
|---|---|---|
| 精度 | 最大0.03mm | 最大0.1mm |
| 3D解像度 | 0.1〜2mm | 0.15〜2mm |
| スキャン速度(PC接続) | 最大110fps | 最大30fps |
| スキャン速度(スマホ接続) | 最大40fps | 最大20fps |
| 動作距離 | 160〜400mm | 140〜1000mm |
| 最小スキャンサイズ | 10mm角 | 150mm角 |
| 1回の撮影範囲 | 344×268mm(距離400mm) | 764×670mm(距離1000mm) |
| 屋外スキャン | 11万ルクスまで | 8万ルクスまで(フィルター使用時) |
| 得意な対象 | 模型の部品・フィギュアなどの小物 | 人体・大きめのもの(フルカラー対応) |
ブルーレーザーは対象に寄って撮る小さくて細かい形状のためのモードで、精度は最大0.03mmです。
NIRは精度こそ最大0.1mmと粗くなりますが、離れた位置から広い範囲を撮れて、人体のスキャンや24ビットのフルカラー取得に対応しています。
公式サイトでは、20mmほどの小物から1700mmほどの大きさのものまでスキャンする例が紹介されています。
「3Dプリント用に小さな部品の形を正確に取りたい」ならブルーレーザー、「人や家具をざっくり色付きで取り込みたい」ならNIRという使い分けになるでしょう。
③3インチタッチスクリーンと3つの接続方式

3つ目は、本体背面のタッチスクリーンです。
画面サイズは3インチで、最大輝度は500nit。
スキャン設定の変更や状態の確認、本体の操作を手元の画面で行えます。
これまでのPC接続型のスキャナーでは、対象と手元のスキャナー、少し離れたPCの画面を何度も見比べる必要がありました。
手元で状態を確かめられれば、対象から目を離す回数が減り、撮り逃しに気づきやすくなるはずです。

接続方式は、以下の3つから選べます。
- スマートフォン・タブレットとの接続
- USBケーブルでのPC接続
- Wi-Fi 6でのワイヤレスPC接続
ワイヤレスでPCにつなげば、ケーブルを気にせず机の周りを動き回れます。
ただし、iPhoneは有線接続に対応していないので、iPhoneと組み合わせる場合はワイヤレスでの接続になります。
④最大110fpsの高速スキャンと手ブレ補正

4つ目は、スキャンの速さです。
ブルーレーザーでPCに接続したときの速度は、最大110fpsとされています。
1秒間に取り込めるフレームが多いほど、スキャナーを多少速く動かしてもデータが途切れにくくなります。
加えて、手持ちでのスキャンを滑らかにする手ブレ補正も搭載しています。
なお、速度は接続先とモードで変わり、スマホ接続時やNIRでは遅くなります(②の表を参照)。
⑤マーカーレスのレーザースキャンと黒・金属への対応

5つ目は、マーカーを貼らずにブルーレーザーでスキャンできることです。
ブルーレーザー方式の3Dスキャナーは、対象や周囲に反射マーカーを貼って位置合わせをするのが一般的でした。
マーカーを貼って剥がす作業は地味に手間がかかり、貼れない対象もあります。
Pikaは、マーカーを使う方式に加えて、形状やテクスチャで位置合わせをするマーカーレスのモードにも対応しています。
また、黒いものや金属のものを、スキャンスプレーなしで撮れるとされているのもポイントです。
黒や金属の表面は光を吸収したり反射したりするため、これまではスプレーで白く粉をまぶしてから撮ることが多い対象でした。
スプレーの塗布と拭き取りを省ければ、気軽にスキャンできる対象がぐっと広がるでしょう。
⑥日差しの下でもスキャンできる

6つ目は、明るい屋外でも使えることです。
赤外線を使う3Dスキャナーは、太陽光に含まれる赤外線の影響を受けやすく、屋外が苦手なものが少なくありません。
Pikaのブルーレーザーは、11万ルクスまでの明るさでのスキャンに対応しています。
NIRも、同梱のIRフィルターを装着すれば、8万ルクスまで明るい光の影響を抑えられるとのこと。
持ち歩けるサイズを活かして、屋外の彫刻や車・バイクのパーツなどをその場で撮る使い方も視野に入ります。
⑦AIによる後処理:テクスチャ・穴埋め・人体補完

7つ目は、スキャン後のデータ処理をAIが手伝ってくれる機能です。
用意されているのは、以下の3つです。
- AIテクスチャリング:スマホや一眼カメラで撮った高解像度の写真を、スキャンしたモデルに貼り付ける
- AIホールフィリング:スキャンしきれずに空いた穴を自動で埋める
- AIボディコンプリーション:人体スキャンのデータを整える
3Dスキャナーの色情報は、スキャナー内蔵のカメラの解像度に縛られがちです。
AIテクスチャリングなら、スマホや一眼で撮ったきれいな写真の色を、形状データに重ねられるわけです。

また、3Dプリントに使うデータは穴が空いていると扱いにくいので、穴埋めを自動でやってくれるのは助かります。
さらに、3Dガウシアンスプラッティング(3DGS)への対応も「近日公開」として予告されています。
⑧交換式バッテリーで長時間スキャン

最後の8つ目は、交換式のバッテリーです。
3,350mAhのバッテリーが2本付属し、1本で最大70分使えるとされています。
1本を使っている間にもう1本を充電しておけば、バッテリーを差し替えるだけでスキャンを続けられる仕組みです。
外に持ち出して使う前提の製品なので、電源の心配を減らせる設計はありがたいところでしょう。
導入前に知っておきたいCreality Pikaの注意点

続いて、公式の仕様を読み込んで見えてきた、導入前に知っておきたい注意点を整理しておきましょう。
注意点①:単体では使えず、スマホやPCの性能が必要

タッチスクリーンが付いているので誤解しやすいのですが、Pikaは本体だけでスキャンを完結できるタイプではありません。
公式のFAQでも、使用中はスマートフォン・タブレット・PCとの接続が必要と明記されています。
スキャンデータの処理やモデルの生成は、つないだ機器の計算能力を使って行う仕組みです。
そのため、接続する機器にはそれなりの性能が求められます。
公式の最低動作環境は、以下の通りです。
- Android:Android 10以降、Snapdragon 8 Gen2以上、メモリ8GB以上
- iPhone:iOS 15以降、A15以上、メモリ6GB以上(有線接続は非対応)
- Windows:Windows 10/11(64bit)、Core i7(第7世代)、ビデオメモリ8GBのNVIDIA製GPU、メモリ16GB以上
- Mac:macOS 14以降、Apple M2、メモリ16GB以上
推奨環境になると、AndroidはSnapdragon 8 Gen4以上でメモリ12GB以上、iPhoneはA17以上でメモリ8GB以上、WindowsはRTX 3060以上のGPUとメモリ32GB、MacはM3以降でメモリ32GBと、さらに上がります。
数年前のミドルクラスのスマホや、GPUを積んでいないノートPCでは条件を満たさない可能性が高いので、手持ちの機器を先に確認しておきましょう。
スマホもPCも使わずに、本体だけでスキャンから確認まで済ませたい場合は、Revopoint MIRACO Proのようなオールインワン型が候補になります。
本体完結型の使い勝手が気になる方は、以下の実機レビューも参考にしてみてください。
注意点②:マーカーレスとAI機能は使える条件が限られる

特徴として挙げたマーカーレスのレーザースキャンとAI機能には、使える条件があります。
- マーカーレスのレーザースキャン:USBケーブルでPCに有線接続したときのみ
- AIテクスチャリング・穴埋め・人体補完:現時点ではPCのみ
- 3Dガウシアンスプラッティング:近日公開予定
つまり、スマホやワイヤレス接続では、ブルーレーザーをマーカーなしで使えないということです。
「スマホとつないで外でサクッとスキャン」と「マーカーなしのブルーレーザーで細部まで撮る」は、同時には成り立たないと考えておきましょう。
また、公式のFAQでも、特徴の少ないものや反射するもの、複雑な形状のものでは、マーカーを使ったほうがよい場合があるとされています。
注意点③:精度0.03mmはブルーレーザーでの最大値

Pikaの紹介でよく目にする「最大0.03mm」という精度は、ブルーレーザーモードでの値です。
NIRモードの精度は最大0.1mmなので、人体や大きなものを撮るときは、この数字を前提にしておく必要があります。
さらに公式の注記では、精度は実験室の条件で評価したもので、振動や温度などの環境によって実際の結果は変わるとされています。
また、NIRモードで撮れる最小のサイズは150mm角です。
10mm角の小さなものまで撮れるのはブルーレーザーモードだけなので、小物はブルーレーザー、大物はNIRという前提で使い分けるのが基本になるでしょう。
Creality Pikaと価格帯の近い3Dスキャナーを比較

続いて、Pikaと価格帯の近い3Dスキャナーとスペックを比べてみましょう。
比較するのは、ブルーレーザーとNIRの両方を備えるRevopoint POP 4、同じCrealityのCR-Scan Raptor、赤外線のみでワイヤレス接続に対応するOtter Liteの3機種です。
| モデル名 | Pika | POP 4 | CR-Scan Raptor | Otter Lite |
|---|---|---|---|---|
| 本体イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
| メーカー | Creality | Revopoint | Creality | Creality |
| 価格(サンステラ) | - | - | ||
| 価格(SK本舗) | - | - | - | |
| 価格(Amazon) | - | |||
| 価格(海外ストア) | ||||
| 精度 [mm] | 0.03 | 0.03 | - | 0.05 |
| 点間距離 [mm] | 0.1 | 0.05 | 0.02 | 0.1 |
| 撮影領域(1ショット)[mm] | 764 x 670 | 505 x 538 | 270 x 170 | 1460 x 1017 |
| スキャンボリューム [mm] | 10 x 10 x 10 〜 x x | 10 x 10 x 10 〜 2000 x 2000 x 2000 | 5 x 5 x 5 〜 | 20 x 20 x 20 〜 |
| 動作距離 [mm] | 140 〜 1000 | 200 〜 800 | 150 〜 1000 | 120 〜 1200 |
| スキャンスピード [fps] | 110 FPS | 最大 105 fps / 5,000,000 点/秒 | 60 | 30 |
| 本体重量 [g] | 260 | 286 | 372 | 300 |
| 本体サイズ [mm] | 100 x 60 x 35 | 160 x 30 x 72 | 215 x 50 x 74 | 173 x 39 x 56 |
| 出力形式 | STL/OBJ/PLY/ASC | PLY OBJ STL ASC 3MF GLTF FBX Splat | .ply .obj .stl | .ply .obj .stl |
| 光源 | 7 Parallel Blue Laser / NIR Structured Light | ブルーマルチラインレーザー 近赤外線フルフィールド構造化光 VCSEL赤外線構造化光 | Class 1 青色光+赤外光 | Class 1 赤外光 |
| 屋外対応 | ○ | ○ | - | - |
| 対応OS | Windows/macOS/iOS/Android | Windows 10/11 (64 bit) macOS 11.0 以降 Android iOS | Windows 10/11 macOS | - |
| その他 | 3インチタッチスクリーン, Wi-Fi 6, 交換式バッテリー(3350mAh・予備付属) | AIリアルタイム物体追跡 3D Gaussian Splatting(3DGS)技術搭載 | 撮影領域:距離300mm 2モード(ブルーライト/NIR) | 撮影領域:距離1200mm |
| 出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
いちばんの違いは本体の重さと大きさで、Pikaは260gと4機種の中でもっとも軽く、サイズも100×60×35mmとひと回り小さくなっています。
精度が近いのはRevopoint POP 4で、どちらもブルーレーザーで最大0.03mm、赤外線とブルーレーザーを使い分ける構成も共通しています。
POP 4は286gと十分に軽く、出力形式が多いことや3Dガウシアンスプラッティングにすでに対応している点が強みです。
対してPikaは、本体のタッチスクリーンと交換式バッテリーで、持ち歩いて使う場面に寄せているのが違いでしょう。
POP 4は筆者も実機で使い込んでおり、ブルーレーザーで黒い部品をスキャンして3Dプリントするところまで試しています。
Pikaと同じハイブリッド方式でどこまで撮れるのかを知りたい方は、以下のレビューもあわせて読んでみてください。
CR-Scan Raptorは、Crealityのブルーレーザーと近赤外線の両方を備えたハイエンド寄りの機種で、Pikaとは同じメーカー内で方式が近い関係です。
Otter Liteは赤外線のみですが、1回で撮れる範囲が広く、大きなものを手早く取り込みたい方向けの機種です。
CrealityのほかのスキャナーとPikaの違いを詳しく知りたい方は、Sermoon・CR-Scanシリーズの比較記事が参考になります。
このほかの3Dスキャナーとも並べて見たい方は、比較ツールで好きな機種を選んでスペックと価格を確認できます。
Creality Pikaの価格と販売店

最後に、気になる価格と販売店です。
Pikaは、Creality日本公式ストアのほか、日本代理店のサンステラやAmazonでも取り扱われています。
各ショップの最新の価格は、以下の表で比較できます。
公式ストアには、3DプリンターのK2とPikaを組み合わせたセットも用意されています。
サンステラ版にはサンステラの日本語取扱説明書が同梱されるほか、プレミアム保証1年付きのプランも選べます。
まとめ:Creality Pikaは3Dスキャンを「持ち歩ける道具」にする1台

今回は、Crealityの新しい3Dスキャナー「Pika」について、公式の仕様をもとに解説しました。
Pikaは、性能の高さよりも「思い立ったときにすぐ取り出して撮れる」手軽さに重きを置いた3Dスキャナーです。
3Dプリント用に身の回りのものを取り込みたい方や、PCの前に縛られずにスキャンしたい方には、魅力的な選択肢になるでしょう。
一方で、本体だけで作業を完結させたい方は、オールインワン型を選んだほうが満足度は高いはずです。
また、スマホやPCの性能が足りない場合は、機器の買い替えまで含めた予算で考える必要があります。
Pika以外の3Dスキャナーとも比べてから決めたい方は、用途別のおすすめをまとめた以下の記事も参考にしてみてください。
Pikaが気になった方は、公式ストアやサンステラの販売ページもチェックしてみてください!












