こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、家庭用のおすすめ3Dスキャナーについて解説していきます。
立体的なモノの形を3Dのデータとして使う上で欠かせない3Dスキャナー。ひと昔前は、企業における研究開発やリバースエンジニアリング、建築物やアートのデジタルアーカイブといった限られた用途に限定されていました。
ところが、近年では3Dプリンターや3DCG、AR/VR、メタバースといった3D技術の発達により、一部の企業に限らない、広く注目される存在となりました。このような背景から、個人が使用できる家庭用3Dスキャナーも普及が進んでいます。
この記事では、無料で3Dデータを生成できるスマホアプリから、高コスパながら高い精度の3Dスキャンを実現できる最新3Dスキャナーまで、用途に応じた最適な3Dスキャナーについて解説していきます。
- そもそも3Dスキャナーって何?
- 3Dスキャナーを使うと何ができる?
- 自分にあった3Dスキャナーを選ぶポイントは?
- 用途別のおすすめ3Dスキャナーはどれ?
それでは見ていきましょう!
はじめに:3Dスキャナーとは

3Dスキャナーとは、立体的なモノの形をデータとして取り込むための装置です。
「接触式」の3Dスキャナーは、センサーが測定対象のモノに実際に触れることで3次元形状を取得します。「非接触式」の3Dスキャナーは、光を対象物に照射し、その反射光を検知することで3次元データを取得します。家庭用の3Dスキャナーはほとんどが「非接触式」で、レーザ等を用いて高精度の3Dスキャンが可能になっています。
取り込んだデータは3次元の点群や細かく分割された面形状として取得されます。使用されるデータ形式は、.plyや.obj、.stlといった点群・メッシュデータです。3Dスキャナーで3Dデータを取得した後、必要に応じて専用のアプリケーションや3DCAD/3DCGソフトで加工して使用します。
3Dスキャナーを使ってできること
3Dスキャナーの基本を押さえたところで、実際に3Dスキャナーを用いてできることについて理解していきましょう。
ここでは、個人利用を想定し、リバースエンジニアリングやデジタルアーカイブといった産業応用については割愛します。
3Dプリンター

もっとも一般的な3Dスキャナーの応用先の1つが、3Dプリンターです。
3Dスキャナーを用いて取得した3次元形状をもとにして、サイズを変えて3Dプリントしたり、3DCAD/3DCGソフト等を用いて加工した上で3Dプリントすることが可能です。
3Dスキャンしたモノ自体をプリントする以外にも、図面がないモノの専用治具・アタッチメントをつくりたい場合の詳細な3次元データを使用しない場合に重宝します。
3DCG

こちらも3Dスキャナーのよくある用途の1つです。
3Dスキャナーを使えば、取り込んだ実物の3DデータをBlenderのような3DCGツール上で扱うことが可能です。実物データを取り込むことで手作業の3Dモデリングにかかる時間を短縮したり、実物と3DCGソフトで作成したモデルを組み合わせた創作活動に活用することができます。
メタバース・NFT

3Dスキャナーは、近年話題のメタバースやNFTの世界においても活用することができます。
3DスキャンしたデータをNFTとして販売したり、メタバース上の3Dコンテンツとして活用するといった用途で3Dスキャナーが活躍します。
「3Dスキャンしたデータが売れるの?しかもNFT?」
と思われるかもしれませんが、3Dスキャンによて作成したデータをNFTとして販売できるプラットフォームやオークションの試みはすでにいくつも立ち上がっています。
著名NFTマーケットプレイスOpenSeaにおいても多数の3Dスキャンデータが販売されていますし、バナナの3DスキャンデータをNFT化してオークションを実施した例もあります。
クリエイターが制作した作品は、実物だけでなく3DスキャンしてNFT販売も行う。それが当たり前になる時代が、もうそこまで来ているのかもしれません。
(参考:PR TIMES「『100本のバナナ』の3Dデータが販売されるNFTストア『100 COPIED BANANAS』 by Konel」)
3Dスキャナーを選ぶときのポイントは?【用途に応じて選ぼう】
3Dスキャナーを選ぶ際のポイントは、「自身の用途に応じて選ぶ」ということです。
ひとくちに3Dスキャナーといっても、無料で使えるスマホアプリから、100万円を超えるような工業用 3Dスキャナーまで様々な製品が存在します。
下の例は、Shining 3D社が展開する3DスキャナーラインナップEinScan(インスキャン)のモデルの1つ「EinScan Pro HD」で、価格はなんと130万円。2004年から3Dデジタルテクノロジー分野を牽引する同社のプロ向け製品ですから、さすがに個人利用で購入できるものではないでしょう。
一方、近年では、無料のスマホアプリから、スマホに取り付ける安価な3Dスキャンモジュール、10万円前後の個人使用を想定した3Dスキャナーまで、さまざまな選択肢が存在します。
表面の凹凸のような細かな形状が必要ないのであれば、100万円もするような3Dスキャナーは必要なく、誰でも使えるスマホアプリで十分です。一方、正確な形状のスキャンを要するのであれば、高性能な3Dスキャナーを用意する必要があります。
このように、3Dスキャナーは求める性能によって選択肢は様々で、用途に応じた3Dスキャナーを選択することが重要です。
家庭用おすすめ3Dスキャナー・3Dスキャンアプリ7選
ここからは、個人利用を想定した、家庭用のおすすめ3Dスキャナー・3Dスキャンアプリを紹介していきます。どのようなケースにおいて最適なのか?という観点についてもあわせて解説します。
Widar

Widarは、株式会社WOGOが展開する無料の3Dスキャン・3D編集アプリです。2022年3月に完全無料アプリとなり、Android向けの対応も開始されました。
Widarは、スマホのカメラで数十枚の写真を撮影し、アップロードするだけで簡単に3Dモデルを生成することができます。実際に使用してみたところ、撮影後数分の待ち時間で手軽に3Dモデルを作成することができました。
Widarアプリでは、簡単な3Dデータの編集も可能です。不要な箇所を削除したり、背景を加工したりといった簡単な作業であれば、誰でも簡単に操作することができます。
簡単ながら十分3Dモデルと呼べるデータが生成でき、スマホで手軽に3Dモデルを作成してみたいという方にはぜひおすすめしたいアプリです。
一方で、正確な3D形状を取得したり、細かいデータの編集を行うには、現状不十分です。後述するような3Dスキャナーを用いて3Dデータの取得を行い、専用のアプリケーションや3DCAD/3DCGソフトを使用して編集する必要があります。
Revopoint POP(販売終了のため、参考情報)
Revopointは、2014年に創設された深センに本拠地を置くハイテク企業です。2020年にKickstarterでローンチされた「Revopoint POP」が最も多くの資金を集めた3Dスキャナーとなったことでも有名です。
Revopointからは以下の3種の3Dスキャナーが登場しています(2023年1月時点)。
それぞれ違った特徴のあるおすすめの3Dスキャナーです。初代「POP」から順を追って確認していきましょう。
「Revopoint POP」は、2019年に発売されたRevopointによる初の3Dスキャナーです。小型・低価格ながらプロ仕様の3Dスキャナーとして、クラウドファンディングで多額の支援を集めました。
スペックについては、後述する後継機種「POP 2」「MINI」に比べると見劣りする感は否めません。その分価格が抑えられているため、懐事情次第では選択肢に入ってくるでしょう。
ソフトウェアとアルゴリズムのアップデートにより、スキャン精度が発売初期の0.3mmから0.15mmに向上した点には注目です。
詳細スペックは後述の比較表をご覧ください。
Revopoint POP 2

「POP 2」は2021年末にローンチされた「POP」の後継機種で、日本でもクラウドファンディングサイト「Makuake」にて9,200万円以上の支援額を記録しています。
「POP 2」の特徴は以下の通りです。(詳細スペックは後述の比較表をご覧ください。)
- 家庭用ながら精度0.05mmを実現
- 最大スキャンボリュームは3m × 3m × 3m
- 本体重量195gと超軽量
- 屋外でも3Dスキャン可能
100万円以上の価格も決して珍しくない3Dスキャナー業界において、10万円前後という個人でも十分手が届く価格帯ながら、上記のようなハイスペックを実現しています。3DCADや3DCG、3Dプリンター向けの精度を重視する用途にはおすすめの高コスパ3Dスキャナーです。
詳細は以下の実機レビューをご覧ください。
Revopoint MINI

続いて紹介するのは、「Revopoint MINI」です。
「Revopoint MINI」はブルーライトを用いており、赤外線を使用する先代機種の「POP」「POP 2」に比べて
- 測定精度が高い
- 測定できる点群の密度が高い
- 本体重量が軽い
- 寸法(横幅)が小さくコンパクト
という特徴があります。一方で、
- スキャンボリュームが小さい
- 使用環境は屋内のみ
という「POP」「POP 2」にはない注意点も存在します。最新機種の「Revopoint MINI」の方が全てにおいて勝るというわけではないということは覚えておきましょう。
詳細は以下の実機レビューをご覧ください。
Revopoint RANGE【クラファン実施中!】

Revopointから発表された最新3Dスキャナー「Revopoint RANGE」も要チェックです。
この3Dスキャナーの特徴は、大型の対象物に特化した3Dスキャナーである点です。スキャン領域が広いため、人体のフルボディスキャンもたった数分で完了してしまいます(筆者実践済み)。
小型〜中型対象物の高精度スキャンに特化していた「POP」や「POP 2」、「MINI」とはまた違った3Dスキャン体験を提供する「Revopoint RANGE」。もっと詳細が知りたい!という方は、以下の実機レビュー記事を参考にしてみてください。
最新3Dスキャナー「Revopoint RANGE」は、以下の日程・内容でクラウドファンディングが実施されます!
超早割に至っては40%OFFのリターンとなっており、争奪戦は必至でしょう。気になる方はぜひ早期の支援をオススメします!
Revopointの4種の3Dスキャナーを紹介してきました。最後に、各3Dスキャナーのスペックを一覧で確認しておきましょう。
RANGE | POP | POP 2 | MINI | |
イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
精度 [mm] | 0.1 | 0.3 | 0.05 | 0.02 |
点間距離 [mm] | 0.3 | 0.2 | 0.1 | 0.05 |
撮影領域(1ショット)[mm] | 360×650 | 210×130 | 210×130 | 64×118 |
スキャンボリューム [mm] | 50×50×50〜 4000×4000×4000 | 30×30×30 〜 - | 20×20×20〜 2500×2500×2500 | 10×10×10〜 500×500×500 |
動作距離 [mm] | 300〜800 | 175〜375 | 150〜400 | 100〜200 |
最大スキャンスピード [fps] | 18 | 8 | 10 | 10 |
重量 [g] | 210 | 225 | 195 | 160 |
寸法 [mm] | 295×41.5×28.2 | 154.6×38.2×25.6 | 154.6×38.2×25.6 | 120×38.5×25 |
対応環境 | 屋内、屋外 | 屋内、屋外 | 屋内、屋外 | 屋内 |
Revopoint公式サイトで以下のクーポンコードを使用すると、なんと10%OFF+送料無料で購入することができます!この機会にぜひ3Dスキャナーをゲットしておきましょう!
- クーポンコード:revopoint10
- 割引率:10%OFF+送料無料
- 適応商品:
- Revopoint MINI ←NEW
- Revopoint POP 2プレミアムセット
- Revopoint POP 2スタンダードセット
Creality CR-Scan 01
FDM3Dプリンター「Ender-3」などで有名な3DプリンターブランドであるCrealityも、コンシューマ向け3Dスキャナーラインナップ「CR-Scan」シリーズを展開しています。
現時点では、CR-Scanシリーズは下記の2種が存在します(2023年1月時点)。
初代の「CR-Scan 01」から順を追って確認していきましょう。

「CR-Scan 01」は、
マーカーなしでカラー3Dスキャンが可能な機種です。手持ちでスキャンすることも、三脚とターンテーブルを用いてスキャンすることも可能です。このあたりはRevopointの3機種と類似しています。
注意点は、光源にLED白色光を用いている点です。太陽光に埋もれてしまうため、屋外でのスキャンは難しいと思われます。公式サイトで明言はされていないようですが、使用環境は屋内限定ではないでしょうか。
屋外での使用も想定している方は、光源に赤外線を用いている機種を選ぶと良いでしょう。
Creality CR-Scan Lizard

「CR-Scan Lizard」は、「CR-Scan 01」からパワーアップした改良版です。赤外線を使用しているため、明るい日光のもとでも3Dスキャンすることが可能になっています。
もちろんマーカーなしで細部までスキャン可能です。最大0.05mmの精度を実現できる「プロ級」の3Dスキャナーです。
Crealityの2種の3Dスキャナーを紹介してきました。各3Dスキャナーのスペックを一覧で確認しておきましょう。
CR-Scan 01 | CR-Scan Lizard | |
イメージ | ![]() | ![]() |
光源 | LED白色光 | LED + 赤外線 |
精度 [mm] | 0.1 | 0.05 |
空間解像度 [mm] | 0.5 | 0.1-0.2 |
撮影領域(1ショット)[mm] | 536 × 378 | 200 × 100 |
スキャンボリューム [mm] | - | 15 × 15 × 15 〜 |
動作距離 [mm] | 400〜900 | 150〜400 |
最大スキャンスピード [fps] | 10 | 10 |
重量 [g] | - | 370 |
寸法 [mm] | - | 155 × 84 × 46 |
対応環境 | - | 屋内、屋外 |
「CR-Scan Lizard」は「Revopoint POP 2」に近い性能になっています。両者の選択で迷う方のために、比較表を掲載しておきます。
Creality CR-Scan Lizard | Revopoint POP 2 | |
イメージ | ![]() | ![]() |
光源 | LED + 赤外線 | 赤外線 |
精度 [mm] | 0.05 | 0.05 |
空間解像度 [mm] | 0.1-0.2 | 0.1 |
撮影領域(1ショット)[mm] | 200 × 100 | 210 × 130 |
スキャンボリューム [mm] | 15 × 15 × 15 〜 | 20 × 20 × 20 〜 3000 × 3000 × 3000 |
動作距離 [mm] | 150〜400 | 150〜400 |
最大スキャンスピード [fps] | 10 | 10 |
重量 [g] | 370 | 195 |
寸法 [mm] | 155 × 84 × 46 | 154.6 × 38.2 × 25.6 |
対応環境 | 屋内、屋外 | 屋内、屋外 |
解像度や撮影領域といったスペックの点では、両者に大きな違いは見られません。一方で、重量や寸法における「コンパクトさ」にかけては「POP 2」に軍配が上がるでしょう。
あとはUI(アプリ)の使いやすさや価格との相談です。「POP 2」に関しては、レビュー記事にて豊富な画像を使ってアプリの使用感も記載しています。気になる方はぜひご覧ください。
Einstar

最後に紹介するのは、SHINING 3Dの「Einstar」です。
冒頭で紹介した3Dスキャナーの老舗Shining 3D社が、誰でも手軽に高品質な3Dデータを扱えるよう開発したお手頃価格の3Dスキャナーの「Einstar」。プロ向けの3Dスキャナーとして確立されたブランドが展開する、一般消費者向け高品質モデルと言って良いでしょう。
20万円以下の価格に抑えながら、3台の赤外線光源と2台の深度カメラ、1台のRGBカメラを搭載し、細部まで逃さない高品質な3Dスキャンを実現しています。
SHINING 3D「Einstar」 | |
イメージ | ![]() |
光源 | 赤外線VCSEL |
空間解像度(Point Distance) [mm] | 0.1-3 |
撮影領域(1ショット)[mm] | 434 × 379(最適距離の場合) |
動作距離 [mm] | 160〜1400(最適距離:400mm) |
最大スキャンスピード [fps] | 14 |
重量 [g] | 500 |
寸法 [mm] | 220 × 46 × 55 |
対応環境 | 屋内、屋外 |
2022年末には日本でも代理店のSK本舗がクラウドファンディングを実施し、話題となりました。現在はSK本舗のHPで販売が開始しています。より詳細な情報はSK本舗のページをご覧ください。
「100万円超えは厳しいけど、せっかく購入するなら信頼できるブランドの本格的な3Dスキャナーを使ってみたい!」
という方は購入を検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ:用途別のおすすめ3Dスキャナーは?
今回は、家庭用のおすすめ3Dスキャナーとその選び方について解説してきました。用途別のおすすめ3Dスキャナー・3Dスキャンアプリは以下の通りです。
- 3Dスキャナーを使ってできることを試してみたい!→無料スマホアプリ「Widar」
- 3Dスキャンしたデータを3DCGや3Dプリンターで使ってみたい!→高コスパ3Dスキャナー「Revopoint POP 2」
- 人体やインテリア、車のような大きなモノを3Dスキャンしたい!→大型モデル特化3Dスキャナー「Revopoint RANGE」
- プロ仕様の本格3Dスキャナーを、できるたけ低価格で使ってみたい!→プロ仕様3Dスキャナー「Einstar」
無料から100万円以上の価格帯まで、さまざまなモデルが登場している3Dスキャナー。3D技術の発達に伴ってその注目度は一層高まっています。いずれは一家に一台3Dスキャナーという日がやってくるかも(?)しれませんね!
3DプリンターやNFT化に興味があるユーザから最新技術に目がないガジェット通まで、あなたの用途にあった3Dスキャナー選びの参考になれば幸いです!