こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
家庭用の3Dスキャナーの選び方とおすすめ機種について解説
していきます。
立体的なモノの形を3Dのデータとして使う上で欠かせない3Dスキャナー。ひと昔前は、企業における研究開発やリバースエンジニアリング、建築物やアートのデジタルアーカイブといった限られた用途に限定されていました。
近年では、3Dプリンターや3DCG、AR/VR、メタバースといった3D技術の発達により、一部の企業に限らない、広く注目される存在に。このような背景から、個人が使用できる家庭用3Dスキャナーが続々登場しています。
とはいえ、家庭用の3Dスキャナーはいまだ普及段階。
「そもそも3Dスキャナーって何?」
「3Dスキャナーを使うと何ができるの?」
「自分にはどんな3Dスキャナーが合っているんだろう…?」
という方も多いでしょう。
そこでこの記事では、
について解説していきます。
✔ 3Dプリンター関連メーカー勤務経験
✔ 3Dプリンター特許出願経験
✔ 3Dプリンター10台・3Dスキャナー4台の使用経験
✔ 3Dプリント品販売点数600個以上
それでは見ていきましょう!
- はじめに:3Dスキャナーとは
- 3Dスキャナーを使ってできること
- 3Dスキャナーを選ぶときのポイントは?【用途に応じて選ぼう】
- 【2023最新】家庭用おすすめ3Dスキャナー10選
- 注目の最新機種!「Creality CR-Scan Ferret Pro」
- 4万円台!コスパ最強ならコレ!「Creality CR-Scan Ferret」
- 高性能3Dスキャナー「Creality CR-Scan Lizard」
- Crealityの初代3Dスキャナー「Creality CR-Scan 01」※販売終了
- 老舗3Dスキャナーによる高コスパ家庭用モデル「SHINING 3D Einstar」
- スタンダードサイズの最新機種「Revopoint POP 3」
- 2代目スタンダードサイズ3Dスキャナー「Revopoint POP 2」
- 人気シリーズの初代モデル「Revopoint POP」※販売終了
- 人体も簡単スキャン!大型対応3Dスキャナー「Revopoint RANGE」
- 小型対象向けの高解像度機種「Revopoint MINI」
- まとめ:用途別のおすすめ3Dスキャナーは?
はじめに:3Dスキャナーとは

3Dスキャナーとは、
立体的なモノの形をデータとして取り込むための装置
です。
家庭用の3Dスキャナーはほとんどが「非接触式」で、レーザ等を用いて高精度の3Dスキャンを行います。
取り込んだデータは3次元の点群や細かく分割された面形状として取得されます。使用されるデータ形式は、.plyや.obj、.stlといった点群・メッシュデータです。
3Dスキャナーで3Dデータを取得した後は、必要に応じて専用のアプリケーションや3DCAD/3DCGソフトで加工して使用するのが一般的です。
3Dスキャナーを使ってできること
3Dスキャナーの基本を押さえたところで、
実際に3Dスキャナーを用いてできること
について理解していきましょう。
なお、今回は主に個人利用を想定し、リバースエンジニアリングやデジタルアーカイブといった産業応用については割愛します。
3Dプリンター

もっとも一般的な3Dスキャナーの応用先の1つが、3Dプリンターです。
3Dスキャナーを用いて取得した3次元形状をもとにして、
することが可能です。
3Dスキャンしたモノ自体をプリントする以外にも、図面がないモノの専用治具・アタッチメントを設計して3Dプリントしたい場合に、その詳細な3次元データを取得する目的等でも重宝します。
3DCG

現実のモノの3次元データをデジタル空間で使用したいというケースでも、3Dスキャナーが活躍します。
3Dスキャナーを使えば、取り込んだ実物の3DデータをBlenderのような3DCGツール上で扱うことが可能です。
といった使い方をすることができます。
メタバース・NFT

3Dスキャナーは、近年話題のメタバースやNFTの世界においても活用することができます。
といった用途で3Dスキャナーが活躍します。
「3Dスキャンしたデータが売れるの?しかもNFT?」
と思われるかもしれませんが、3Dスキャンによって作成したデータをNFTとして販売できるプラットフォームやオークションの試みはすでにいくつも立ち上がっています。
著名NFTマーケットプレイスOpenSeaにおいても多数の3Dスキャンデータが販売されていますし、バナナの3DスキャンデータをNFT化してオークションを実施した例もあります。
クリエイターが制作した作品は、実物だけでなく3DスキャンしてNFT販売も行う。それが当たり前になる時代が、もうそこまで来ているのかもしれません。
筆者自身も、現実のアート作品を3Dスキャンしてメタバース空間に配置するという仕事に携わった経験があります。3Dスキャナーを扱う技術は、今後のメタバース・NFT時代で活躍するスキルの1つになるでしょう。
(参考:PR TIMES「『100本のバナナ』の3Dデータが販売されるNFTストア『100 COPIED BANANAS』 by Konel」)
3Dスキャナーを選ぶときのポイントは?【用途に応じて選ぼう】

3Dスキャナーを選ぶ際のポイントは、
3Dスキャナーを使用する用途に応じて選ぶ
ということです。
ひとくちに3Dスキャナーといっても、
など、様々な製品が存在します。
下の例は、Shining 3D社が展開する3DスキャナーラインナップEinScan(インスキャン)のモデルの1つ「EinScan Pro HD」です。価格はなんと130万円。2004年から3Dデジタルテクノロジー分野を牽引する同社のプロ向け製品ですから、さすがに個人利用で購入できるものではないでしょう。
一方、近年では無料のスマホ「3Dスキャン」アプリも充実。WIDARやScaniverseといった優れたアプリが登場しています。
取得したいデータとして表面の凹凸のような細かな形状まで求めないのであれば、100万円もするような3Dスキャナーはもちろんのこと、数万円の家庭用3Dスキャナーすら必要ありません。誰でも気軽に使えるスマホアプリで十分でしょう。
とはいえ、スマホの性能にもクオリティが左右される無料アプリでは限界があるというのも事実。iOSのみに対応していたり、LiDAR搭載機種でないとすべての機能が使えないといったところに不便さを感じたことがある人もいるでしょう。
を想定しているのであれば、高性能な3Dスキャナーを用意する必要があります。このようなケースでは、この記事で紹介している家庭用3Dスキャナーがしっかり活躍してくれます。
このように、3Dスキャナーは求める性能によって選択肢は様々です。自分が想定している用途に応じて、適切な3Dスキャナーを準備するようにしましょう。
【2023最新】家庭用おすすめ3Dスキャナー10選
3Dスキャナーのおおまかな分類について理解できたでしょうか?
ここからは、
個人利用を想定した、家庭用のおすすめ3Dスキャナー10選を紹介
していきます。
スキャン対象のサイズや、スキャン環境(屋内/屋外)によっても選ぶべき3Dスキャナーは異なります。それぞれの3Dスキャナーの特徴をしっかり把握していきましょう。
今回紹介する3Dスキャナーは大きく分けて次の3ブランドから構成されています。
順にチェックしていきましょう。
注目の最新機種!「Creality CR-Scan Ferret Pro」

「CR-Scan Ferret Pro」は、2023年9月に発表された「CR-Scanシリーズ」の最新モデル。
現時点で明かされている特徴は以下の通りです(出典:公式ページ)。
価格は$429で、日本円にして約65,000円ほど。家庭用3Dスキャナーとしても決して高額ではなく、手の届きやすい価格帯なのはうれしいポイントです。
詳細スペックはまだ明かされていません。判明次第「Age of 3DP」でも情報をアップデートする予定です!
4万円台!コスパ最強ならコレ!「Creality CR-Scan Ferret」
モデル名 | CR-Scan Ferret |
---|---|
本体イメージ | ![]() |
メーカー | Creality |
精度 [mm] | 0.1 |
点間距離 [mm] | 0.16 |
撮影領域(1ショット)[mm] | 560 x 820 |
スキャンボリューム [mm] | 50 x 50 x 50 〜 |
動作距離 [mm] | 150 〜 700 |
スキャンスピード [fps] | 30 |
本体重量 [g] | 105 |
本体サイズ [mm] | 120 x 30 x 26 |
出力形式 | .ply .obj .stl |
光源 | 赤外光 |
屋外対応 | ○ |
対応OS | Windows 10/11 macOS Android |
その他 | 撮影領域:距離700mm |
出典 | 公式サイト |
Crealityの3DスキャナーCR-Scanシリーズの最新機種である「CR-Scan Ferret」。
その特徴は以下の通りです。
特筆すべきは、
している点です。個人向けとはいえ、10万円弱の価格帯が一般的だった家庭用3Dスキャナーの中では破格と言える価格帯。
「3Dスキャナーに興味があるけど、まだちょっと高い…」
と思っていた方にとってはうれしい選択肢なのではないでしょうか?
高性能3Dスキャナー「Creality CR-Scan Lizard」
モデル名 | CR-Scan Lizard |
---|---|
本体イメージ | ![]() |
メーカー | Creality |
精度 [mm] | 0.05 |
点間距離 [mm] | 0.1 |
撮影領域(1ショット)[mm] | 200 x 100 |
スキャンボリューム [mm] | 15 x 15 x 15 〜 |
動作距離 [mm] | 150 〜 400 |
スキャンスピード [fps] | 10 |
本体重量 [g] | 370 |
本体サイズ [mm] | 155 x 84 x 46 |
出力形式 | .ply .obj .stl |
光源 | LED+赤外光 |
屋外対応 | ○ |
対応OS | Windows 10 macOS |
その他 | |
出典 | 公式サイト |
「CR-Scan Lizard」は、「CR-Scan 01」からパワーアップした改良版です。赤外線を使用しているため、明るい日光のもとでも3Dスキャンすることが可能になっています。
もちろんマーカーなしで細部までスキャン可能です。最大0.05mmの精度を実現できる「プロ級」の3Dスキャナーです。
Crealityの初代3Dスキャナー「Creality CR-Scan 01」※販売終了

「CR-Scan 01」は、マーカーなしでカラー3Dスキャンが可能な機種です。手持ちでスキャンすることも、三脚とターンテーブルを用いてスキャンすることも可能です。このあたりはRevopointの3機種と類似しています。
注意点は、光源にLED白色光を用いている点です。太陽光に埋もれてしまうため、屋外でのスキャンは難しいと思われます。公式サイトで明言はされていないようですが、使用環境は屋内限定ではないでしょうか。
屋外での使用も想定している方は、光源に赤外線を用いている機種を選ぶと良いでしょう。
老舗3Dスキャナーによる高コスパ家庭用モデル「SHINING 3D Einstar」
モデル名 | |
---|---|
本体イメージ | ![]() |
メーカー | SHINING 3D |
精度 [mm] | - |
点間距離 [mm] | 0.1 |
撮影領域(1ショット)[mm] | 434 x 379 |
スキャンボリューム [mm] | - |
動作距離 [mm] | 160 〜 1400 |
スキャンスピード [fps] | 14 |
本体重量 [g] | 500 |
本体サイズ [mm] | 220 x 46 x 55 |
出力形式 | .ply .obj .stl .p3 .3mf |
光源 | Class 1 赤外VCSEL |
屋外対応 | ○ |
対応OS | Windows 10/11 |
その他 | 撮影領域:距離400mm |
出典 | 公式サイト |
最後に紹介するのは、SHINING 3Dの「Einstar」です。
「Einstar」は、冒頭で紹介した3Dスキャナーの老舗Shining 3D社が、
です。プロ向けの3Dスキャナーとして確立されたブランドが展開する、一般消費者向け高品質モデルとなっています。
20万円以下の価格に抑えながら、3台の赤外線光源と2台の深度カメラ、1台のRGBカメラを搭載し、細部まで逃さない高品質な3Dスキャンを実現しています。
2022年末には日本でも代理店のSK本舗がクラウドファンディングを実施し、話題となりました。現在はSK本舗やAmazonにて販売されています。より詳細な情報はSK本舗のページをご覧ください。
「100万円超えは厳しいけど、せっかく購入するなら信頼できるブランドの本格的な3Dスキャナーを使ってみたい!」
という方は購入を検討してみてはいかがでしょうか?
スタンダードサイズの最新機種「Revopoint POP 3」

「POP 3」は、2023年6月に販売開始されたRevopointの3Dスキャナーであり、「POP」「POP 2」の後継機種にあたります。
「POP 3」の主な特徴は以下のとおりです。
「POP 2」をベースにしつつ、スペックの向上とUI/UXの洗練が感じられる注目の1台となっています。
詳細は以下の実機レビューをご覧ください。
2代目スタンダードサイズ3Dスキャナー「Revopoint POP 2」

「POP 2」は2021年末にローンチされた「POP」の後継機種で、日本でもクラウドファンディングサイト「Makuake」にて9,200万円以上の支援額を記録しています。
「POP 2」の特徴は以下の通りです。(詳細スペックは後述の比較表をご覧ください。)
100万円以上の価格も決して珍しくない3Dスキャナー業界において、10万円前後という個人でも十分手が届く価格帯ながら、上記のようなハイスペックを実現しています。3DCADや3DCG、3Dプリンター向けの精度を重視する用途にはおすすめの高コスパ3Dスキャナーです。
詳細は以下の実機レビューをご覧ください。