こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
乾燥機能付きAMSと後付け乾燥モジュール5種を徹底比較
していきます。
3Dプリントにおけるフィラメントの乾燥は、作品の品質を大きく左右する重要な工程です。
最近では、マルチカラーシステムに乾燥機能が統合された製品や、既存のAMSに後付けできる乾燥モジュールも登場し選択肢が増えています。
そこで、この記事では実際に使って分かった実体験も交えながら、主要な乾燥機能付きAMSと後付け乾燥モジュール計5種類を詳しく比較。
ぜひ最後までご覧いただき、3Dプリントの品質を向上させる乾燥機能付きAMS選びに役立ててください。

動画でチェックしたい方はこちら!
この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。
装置の開封や操作方法の実演を含めた、動画ならではの内容が盛りだくさんの解説をお楽しみください!
※準備中※
【比較一覧表】乾燥機能付きAMS&後付け乾燥モジュール

上記の一覧表では、
に加え、
という、計5つの製品を各機能性ごとに比較しています。
比較ポイントは、最大乾燥温度やフィラメントロールの格納数、独立した温度設定の可否、設置の手軽さ、そして導入コストなど多岐にわたります。
この表を見れば、自身のプリント用途や予算に最適なAMS乾燥機を効率的に見つけるための第一歩となるはず。
詳細な比較内容は、次項以降で確認していきましょう!
湿気は大敵!なぜ3Dプリントにフィラメント乾燥が必要なのか

そもそも、
どうしてフィラメントを湿気させちゃダメなの?
湿気を吸うことで、どんなトラブルがあるの?
と、疑問に思っている方もいますね。
高精度な3Dプリントを実現するためには、適切なフィラメント乾燥は不可欠です。
より良い乾燥機を選べるようになるためにも、まずは、
について、知っておきましょう。
そんなこと知ってるよ!
早く比較情報を教えて!
という方は、おすすめはどれ?乾燥機能付きAMSと後付けモジュール5種を比較!から、早速チェックしてみてくださいね。
フィラメントが湿気を吸うとどうなる?

湿気を吸ったフィラメントは、3Dプリントの大敵です。
なぜなら、フィラメントが水分を含むとプリント中にノズル内で水分が沸騰し、気泡が発生してしまうから。
造形物の表面に気泡跡やひび割れが生じ、外観品質が著しく低下することがあります。
また、層間の密着性が損なわれて造形物の強度が低下したり、反りや剥がれが発生しやすくなったりすることもあります。

特にTPUやPA-CFといった吸湿性の高い材料には、これらの問題が顕著に現れやすい傾向があります。
ですが、湿気を吸ってしまったフィラメントでも、乾燥させれば“復活”します。
プリント品質を維持するためにもフィラメントを適切に乾燥させることは、とても重要な作業です。
最近のトレンドは?マルチカラーシステム+乾燥機能タイプが主流

近年、各社がマルチカラーシステムに乾燥機能をつけてリリースするのがトレンドになりつつあります。
たとえば、Bambu Labの2代目マルチカラーシステムである、
は、乾燥機能を統合した公式製品として注目を集めています。
こうした製品は単にフィラメントを乾燥させるだけでなく、乾燥状態を維持しながらマルチカラープリントを可能にします。
また、フィラメントの入れ替えや保管の手間を省き、常に最適な状態でプリントを開始できるという大きなメリットもあるでしょう。
一方で、後付けで乾燥機能を付与できるサードパーティ製品も登場しています。
たとえば、
といった後付け乾燥モジュールが主要な選択肢として挙げられます。
上記は既存の初代AMSを活用しながら乾燥機能を追加できるため、コストを抑えたいユーザーにとっても魅力的な選択肢だといえるでしょう。
それでは、より自身が求める乾燥機を導入できるように、当記事でしっかり情報を取得していきましょう!
おすすめはどれ?乾燥機能付きAMSと後付けモジュール5種を比較!

乾燥機といえど、昨今さまざまなタイプが登場しているため、どれを選ぶべきか迷ってしまう方もいますよね。
そこで、当記事では主要な5つの製品を比較しながら、その機能性や特徴に関して徹底解説していきます!
冒頭で紹介した表を元にしながら、各機能性に関して詳しく解説していきます。
自身の求める機能や、利用環境に合った製品を見つけるための参考にしてみてください。

なお、導入・設置の難易度や費用に関しては、後述しています。
公式AMS vs 後付け乾燥モジュール:製品カテゴリと互換性

まずは、各製品の特徴を押さえておきましょう。
Bambu LabのAMS 2 ProとAMS HTは、それぞれがフィラメント供給と乾燥の両方をこなす単体完結型です。
基本的にBambu Labの3Dプリンターすべてに対応または、今後対応予定となっています。
一方で、SUNLUのAMS Heater、EIBOSのTetras、Dyasといったサードパーティ製品は、初代AMS用の拡張モジュールという位置づけです。
これらは単体でAMSとして機能するものではなく、初代AMSに後付けすることで乾燥機能を追加します。
そのため、互換性という点では、初代AMSのみに対応しています。
AMS 2 Proへの後付けはできませんので、注意しておきましょう。
また、A1シリーズのように初代AMSに対応しない3Dプリンターや、Bambu Lab以外の機種のマルチカラーシステムには使用できない点も覚えておくと安心です。
乾燥性能を比較:温度・ロール数・独立温調

乾燥機能を選択するうえで重要なポイントの1つが、乾燥温度です。
AMS HTが頭1つ抜けて、最大85℃での設定が可能となっています。
実は、この乾燥温度によって扱える材料は大きく変わってきます。
たとえば、水溶性のサポート材であるPVAをしっかり乾燥させるには80℃程度の温度が必要とされており、これを満たすのはAMS HTだけです。
一方、マルチカラープリントで多用されるPLAであれば、45℃〜55℃程度で十分なため、すべての製品が選択肢に入ります。
どんな材料を扱っているのか、今後どんな材料を扱いたいのかを考えたうえで、選ぶべき乾燥機も変わってくるのです。
加えて、格納できるフィラメントのロール数も異なります。
AMS HTは、1ロールにのみ対応しているタイプです。
その他のAMS 2 Pro、AMS Heater、Tetras、Dyasはすべて4ロールに対応しています。
さらに、4つのロールそれぞれを同じ設定で加熱するか、異なる設定で加熱するかの独立温調機能も重要な違いです。
AMS 2 ProとAMS Heaterは4つのロールすべてが同じ設定で加熱されますが、EIBOSの2製品は独立設定が可能。
Tetrasであれば、4ロールすべてを独立して設定できますし、Dyasであれば2ロールずつ個別の設定が可能です。
細かい点ながら、意外に重要なのが温度・ロール数・独立温調。
自身の用途に合わせたチョイスが求められるでしょう。
乾燥性能を比較:プリント中の乾燥と回転乾燥

“プリント中に乾燥ができるかどうか”も製品選びの大きなポイント。
なぜなら、プリント中の乾燥に対応していることで、長時間のプリントでも常に最適な乾燥状態を保つことができるようになるからです。
基本的には、後付けタイプであるAMS Heater、Tetras、Dyasのみがプリント中の乾燥に対応しています。
AMS 2 ProとAMS HTに関しては、プリント中は乾燥機能が制限される、または使用できない設定となっています。
加えて、回転乾燥機能の有無も確認しておきましょう。
回転乾燥機能とはその名の通り、乾燥中に一定時間が経過するごとにフィラメントを少しずつ回転させてくれる機能です。
回転することでフィラメントロール全体に均一に熱を伝え、乾燥を促進する効果があるとされています。
回転乾燥に対応しているのは、AMS 2 ProとAMS HTの2製品のみです。
フタを取り替える形で後付けするAMS HeaterやEIBOSの製品では、フィラメントを回転させることはできません。
均一な乾燥を重視する場合は、回転乾燥機能の有無を考慮すると良いでしょう。
その他機能を比較:長時間乾燥をサポートする独自機能

フィラメントを一度乾燥させた後も、その状態を維持することは非常に重要です。
そのため、湿度維持モードがあるかどうかはポイントになるでしょう。
湿度維持モードとは、加熱乾燥していない状態あるいは、加熱終了後にAMS内部の湿度が一定の値を超えると再度加熱して、湿度を落としてくれるという機能です。
せっかく乾燥させたフィラメントが再び湿気を吸ってしまうことを防ぎ、一定の湿度をキープしてくれます。
この機能が搭載されているのは、AMS HeaterとEIBOSの2製品。
AMS 2 ProとAMS HTには搭載されていませんので、留意しておきましょう。
もう1つ、TetrasとDyasには第2段階乾燥モードが搭載されています。
第2段階乾燥モードは、所定の乾燥時間が過ぎた後もただ電源が落ちるのではなく、少し温度を下げた上で加熱を継続してくれるものです。
強い加熱でフィラメントが柔らかくなりすぎるのを防ぎつつ、乾燥状態をキープしたままプリントをスタートするという用途が想定されています。
長時間の乾燥やプリント準備を考慮する際には、これらの独自機能が役立つでしょう。
その他機能を比較:重要な排湿機能

乾燥中に内部の湿気を外部に排出するエアベントの存在は、乾燥効率と乾燥後の防湿という観点で重要なポイントです。
ちなみに、今回比較する5つの製品すべてにエアベントは備わっています。
ただし、AMS Heaterだけは手動開閉方式です。
つまり、乾燥前にエアベントを開け、乾燥が終わったら手動で閉めるという作業が必要になります。
手動の場合、
手が離せなくてすぐに閉められない!
うっかり閉め忘れた!
といったことも起こり得るので、少し手間に感じられるかもしれません。
その他の製品は自動開閉のエアベントを採用しています。
自動か手動かという点は、地味ながら利便性に大きな違いを生む可能性があるでしょう。
その他機能を比較:電源と制御方式

次に、電源と制御の観点です。
AMS 2 ProとAMS HTは、基本的に3Dプリンターからの制御に限定され、AMS単体での使用はできません。
AMS 2 Proは、通常の乾燥であれば電源もプリンターから取ることが可能です。
ただし、複数台のAMS 2 Proを接続して同時に乾燥させる場合は、別途電源アダプタが必要になります。
より高温乾燥ができるAMS HTの方は、乾燥機能を使用する際に同梱の電源アダプタを接続することが必須です。
一方、後付けタイプのAMS HeaterとEIBOSの2製品は、電源も制御も独立しています。
3Dプリンターの電源がオフの状態でも、それぞれ固有の操作パネルを操作して単独で乾燥を行うことができます。
導入前に確認必須!設置の手間と気になる価格

これいいかも!
と思える製品を見つけても、導入の手間や費用が大きければ、購入を躊躇してしまうかもしれません。
そこで、実際に製品を導入する際の手軽さと、誰もが気になる価格についても詳しく見ていきましょう。
自分が準備できる時間や予算と照らし合わせて、最適な選択肢を見つけるのが大切です。
導入の手軽さは?組み立て作業の有無

導入の手軽さという点でいえば、AMS 2 ProとAMS HTは、完成品として提供されるため、非常に容易です。
ほとんど箱から出して3Dプリンターに接続するだけで使用を開始できます。
一方、後付けタイプの AMS Heater、Tetras、Dyasは、組み立て作業が必要です。
具体的には、AMSにもともと付いているフタを、乾燥用のヒーターや制御用のスクリーンが付いたそれぞれのモジュールに取り替える作業が入ります。
さらに作業といっても、製品によってやや難易度には差があるので気をつけておきましょう。
たとえば、AMS Heaterは“フタを取り替えるだけ”といった感じで、10分程度あれば交換できます。
しかし、EIBOSの製品は各フィラメントを独立させて加熱する都合上、フィラメントごとにセパレーターを設置するなど、やや面倒な配線作業が必要になります。
最初だけとはいえ、EIBOSの製品は30分〜1時間程度の時間を要することを覚えておきましょう。
気になる費用は?後付けタイプが安価!

製品を導入する際に、最も気になるポイントは価格ですよね。
価格だけでいえば、既存のAMSに後付けできるタイプの製品に軍配が上がります。
AMS 2 Proは、エントリーモデルの3Dプリンター本体が買えてしまうほどの価格帯で、なかなか手を出しづらいですよね。
また、1ロールのみ対応のAMS HTでさえ25,800円となっており、気軽に買い替えを検討できる価格とはいえないかもしれません。
一方で、後付けタイプは基本的にお手頃な価格設定です。
Dyasに至っては18,000円と、今回比較する製品の中では最も安価に導入できます。
ただし、これらの価格はクラファン価格や為替の影響で変動する可能性は留意しておく必要があります。
とはいえ、既存のAMSを活かしながら乾燥機能をアップグレードしたいユーザーにとって、非常に魅力的な価格帯といえるでしょう。
ケース別!最適な乾燥機能付きAMS・後付けモジュールはどれ?

ここまで各製品の詳細な違いを見てきましたが、
結局、自分に合ってる乾燥機はどれ?
おすすめを教えて!
と、感じている方もいますよね。
ここでは、そんな方に向けて特定のニーズや利用状況に合わせたおすすめの製品を、4ロール対応の4種類に絞って具体的に解説します。
ぜひ、導入の参考にしてみてくださいね!
初代AMSを持っていない&手軽さ重視なら:Bambu Lab AMS 2 Pro

そもそも初代AMSを持っていないのであれば、今から導入する選択肢としてはAMS 2 Proが最もおすすめです。
AMS 2 Proは、乾燥機能以外にもフィラメント供給速度の改善など、いくつかの重要なアップデートが施されており、これから主流となる製品です。
特にBambu Lab A1シリーズに対応するAMSは、AMS 2 Proだけなので、最新のプリンターと組み合わせるなら最適な選択肢といえるでしょう。
また、後付けキットのような組み立て作業が面倒、苦手だと感じる方は、箱から出してすぐに使えるAMS 2 Proが非常におすすめです。
完成品であるため、導入の手間がほとんどかからない点も大きなメリットです。
初代AMSユーザーで組み立てを避けたいなら:SUNLU AMS Heater

すでに初代AMSを所有しており、そのAMSを有効活用したいと考えている方には、AMS Heaterがおすすめです。
特に、後付けキットの組み立て作業をできるだけ少なくしたい方に最適な選択肢です。
AMSのフタを交換するだけの簡単な作業で、わずか10分程度で完了します。
また、AMS 2 ProやEIBOS製品をわずかながら上回る最大70℃の加熱温度に対応している点も特徴です。
頻繁に使う材料の種類によっては重要なポイントとなるでしょう。
さらにマルチカラープリントなどで、同じ種類の材料を複数同時に乾燥させたい場合にも適しています。
複数材料を個別に乾燥させたいなら:EIBOS Tetras・Dyas

複数の異なる材料を同時かつ、それぞれ最適な設定で乾燥させたいなら、TetrasまたはDyasが有力な選択肢となります。
配線作業やセパレーターの設置が必要なため30分程度の導入時間が必要ですが、その後の運用で得られるメリットは大きいでしょう。
特にTetrasの最大の魅力は、4つのロールすべてを独立して乾燥設定できる点です。
それぞれ異なる材料に適した温度と時間で、同時に乾燥させることが可能となり、異なる材料でのマルチカラープリントで重宝します。
Dyasに関しては、組み立てや自動エアベントの機能はTetrasと同様ですが、独立乾燥できるエリアは2分割に制限されます。
しかしその分、価格はTetrasよりも安価。
現状では最も安く導入できる選択肢の1つです。
コストを抑えつつ、ある程度の独立乾燥機能が欲しい方にはうってつけでしょう。
高品質な3Dプリントを目指してより良い乾燥機を導入しよう

今回の記事では、主要な乾燥機能付きAMSと後付け乾燥モジュール計5種類を徹底比較してきました。
Bambu LabのAMS 2 ProとAMS HTは、単体で完結する利便性と高い乾燥能力、回転乾燥機能が魅力です。
特にAMS HTは85℃という最高温度でPVAなどの特殊材料にも対応します。
一方、SUNLUのAMS HeaterやEIBOSのTetras、Dyasといった後付けモジュールは、既存の初代AMSを活用しつつ、手頃な価格で乾燥機能を追加できる点が強みです。
なかでもEIBOSの製品は湿度維持モードや第2段階乾燥、そして最大4ロール独立温調といった独自機能も搭載しています。
自身の3Dプリンター環境、主に初代AMSの有無や利用するフィラメントの種類、乾燥にかけられる時間、そして予算や組み立て作業への許容度によって最適な製品は異なります。
この記事での比較情報を参考に、ニーズに合った製品を見つけて、より高品質で安定した3Dプリントを実現してくださいね!
動画でチェックしたい方はこちら!
この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。
装置の開封や操作方法の実演を含めた、動画ならではの内容が盛りだくさんの解説をお楽しみください!
※準備中※