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Bambu Lab P2S Combo実機レビュー:P1Sの課題をほぼ解決した「超優秀」後継機を使ってみた!

P2S徹底レビュー
〜景品表示法に基づく表記:本サイトのコンテンツにはプロモーションが含まれている場合があります〜

こんにちは、管理人のウノケンです。

今回は、

Bambu Labの人気機種「P1S」の後継機「P2S Combo」を実機レビュー

していきます。

本体サイズや造形サイズは「P1S」から引き継ぎつつも、多くの細かい改善が施された「P2S」。

この記事では、Bambu Labの日本代理店サンステラ様よりご提供いただいた実機を200時間以上使って見えてきた、

  • 「P2S」のスゴいポイント
  • 「P1S」や「X1-Carbon」から進化した点
  • 導入前に知っておきたい注意点

に関して、詳しく解説していきます!

さらに「P1S」・「X1-Carbon」、そして「P2S」よりもひと回り大きい「H2S」あたりも使い込んできた筆者ウノケンの視点から、

P2S Comboは、どんな人におすすめなのか?

についても、後半でお伝えします。

ぜひ最後まで読んで、導入の参考にしてみてください。

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管理人:ウノケン
この記事を書いているのはどんな人?
  • 3Dプリンター関連メーカー勤務経験
  • 3Dプリンター特許出願経験
  • 3Dプリンター51機種・3Dスキャナー9機種の使用経験
  • 3Dプリント品販売点数1,000個以上
  • 3Dプリンター関連動画をYouTube投稿中!

動画でレビューをチェックしたい方はこちら!

この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。

実際の装置の動きを含めた、動画ならではの内容が盛りだくさんの解説をお楽しみください!

【P2S Combo】#BambuLab の最新マルチカラー3Dプリンターを徹底実機レビュー! 待望のX1-Carbon/P1S後継機を約200時間使い込んでスゴいところ&注意点を解説!



P2S Combo開封〜セットアップ〜テストプリント!

【P2S Combo】待望のX1-Carbon/P1S後継マルチカラー3Dプリンターを開封! #BambuLab の本気を目撃せよ!初期設定&テストプリントも実施!

まずは「P2S Combo」の開封からセットアップ、さらにテストプリントの様子まで見ていきましょう。

P2S Comboを開封!

開封途中、AMS 2 Proを取り出した状態

早速、開封していきましょう。

P2S」自体の重さは14.9kgで、ひとりで持ち上げるのにも困らないサイズ感です。

この段階で気づく「P1S」との違いとして、「P2S Combo」にはお試し用フィラメントが付属していません。

P1S」ではパッケージの底に3ロール入っていましたが、「P2S Combo」にはついていないため、あらかじめフィラメントを用意しておくようにしましょう。

さて、「H2S」と並べてみた様子がこちら。

左:H2S/右:P2S

その大きさは、一目瞭然です。

そして、付属のアクセサリーボックスには、

P2S」同梱のアクセサリーボックスの中身
  • タッチスクリーン
  • 電源ケーブル
  • バッファー
  • AMSをつなぐケーブル
  • スプールホルダー

が入っていました。



P2S Comboのセットアップ

P2S Combo」のセットアップは、とっても簡単。

セットアップ作業で行うのは、アクセサリーボックスに入っていた小物と「AMS 2 Pro」を装着するくらいで、かなりシンプルです。

固定治具や結束バンド、緩衝材を取り除いていくと、両側のリードスクリュー上の方に見慣れない赤いプロテクターが見えます。

右側に赤いプロテクターあり

これまでのBambu Lab製3Dプリンターにはなかったものですが、輸送中の固定を強化するものなのかもしれません。

少し外し方に戸惑うかもしれませんが、下に引っ張るように力を入れると取り外せます。

セッティングが完了したら、電源を入れて初期設定を進めていきましょう。

大きくわけて以下3つの項目、

  • モーターノイズキャンセリング
  • 振動補正
  • 自動ベッドレベリング

が実施されます。

全部で30分弱の時間がかかりました。

ちなみに高温でプリントする前には、ベッドを100℃に熱してレベリングする高温ヒートベッドキャリブレーションも実行することになります。

P2S Comboでテストプリントを実行

【Bambu Lab P2S Combo】待望のX1-Carbon/P1S後継マルチカラー3Dプリンターで #3DBenchy をプリント!実音声・ノーカットでお届け! #bambulab #p2s

Bambu純正のPLA Basicを使ってテストプリントを実行していきます。

まずは、定番の3D Benchyから。

プリント中の騒音値は、45〜55デシベルあたり。

正面扉を閉じられるので、比較的静かです。

プリントには、18分ほどの時間がかかりました。

表面の波打ちなども見られず、これといった問題はなさそうです。

続いて、FDMtestをプリント。

  • 狭い隙間もプリントできるか試す5本のピンは全て外れた
  • 側面の縦線にリンギングなし
  • ブリッジの垂れ下がりほとんどなし
  • オーバーハングも良好(15°だけやや乱れ)

という結果になりました。

最後に、「P2S」のヒートベッド全面を使った第一層をプリントしていきます。

X1-Carbon」や「P1S」と違って一部のプリントできないエリアはなく、1辺256mmのフルサイズ正方形シートをプリントできます。

フルサイズでプリント
右の角の部分が少しオーバーしている

角のところが、ほんの少しだけオーバーするようですが、ほとんど文句なしの仕上がりでしょう。

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P1Sの課題克服!P2S Comboのスゴいポイント9選!

P2S」は、高い人気を誇る「P1S」の後継機として、その実績を受け継ぎつつ、ユーザーフィードバックを反映した多くの改善が施されています。

ここでは、実際に約200時間使用する中で実感した、「P2S Combo」の特徴や利便性、性能における進化したポイントを9つ紹介していきます。

P2S Combo」とは一体どのような3Dプリンターなのか、その核となるスペックを1つずつ確認していきましょう。

1辺256mmの造形サイズ(プリント不可エリアなし)

P2S」が造形できる最大サイズは、「P1S」と同様の1辺256mmの立方体です。

ですが、ビルドプレートの領域は「X1-Carbon」や「P1S」とは異なる進化が見られます。

X1-Carbon」や「P1S」では、一部のプリントができないエリアが存在していましたが、「P2S」ではそれがなくなっています。

1辺256mmのフルサイズでプリントできるようになった点は、進化の1つといえるでしょう。

ただし、プレートの角が丸くなっているところがあり、そこだけほんの少しオーバーするようです。

サイズギリギリを攻めたプリントをする際には、留意しておきましょう。

5インチの大型タッチスクリーン搭載

P2S」の5インチ大型タッチスクリーン

P1S」ユーザーだったら絶対に注目してしまう改善点が、全面的に刷新されたタッチスクリーンでしょう。

P1S」がボタン式のモノクロ極小スクリーンであったのに対し、「P2S」では5インチのタッチスクリーンを採用しています。

P1S」のボタン式モノクロ極小スクリーン

競合他社が4インチや4.3インチ程度の機種が多いことを考えても、「P2S」の5インチタッチスクリーンはひとまわり大きく感じられるでしょう。

5インチという大型のタッチパネルと高性能プロセッサも搭載することによって、よりスムーズな操作性、リッチなグラフィックス、そして分かりやすいステップごとのガイドを体験できます。

操作画面に関しては、「H2シリーズ」やアップデート後の「X1-Carbon」とも共通しており、使用経験のある方であれば、ほぼ同じ使い勝手だと感じるでしょう。

フィラメント乾燥機能が搭載された「AMS 2 Pro」

P2S Combo」としてセットで提供されるのが、新しくフィラメントの乾燥機能が搭載された「AMS 2 Pro」。

「AMS 2 Pro」は、初代AMSにはなかった加熱乾燥機能を搭載している点が大きな進化です。

  • 乾燥機能は最大65℃
  • 革新的なアクティブ排気システム搭載
  • 自動開閉エアベントつき

別途乾燥機を用意したり、いちいちフィラメントを移し替えたりすることなく、フィラメントの湿気を飛ばすことが可能となりました。

頻繁に使用されるPLAやPETG、TPUあたりの乾燥を中心に活躍してくれるでしょう。

またアクティブ排気システムにより、密閉加熱方式と比べて30%高速に乾燥を実現。

低湿度を保つことで、保管性とプリント品質を大幅に向上させてくれます。

さらに自動開閉エアベント機能により、乾燥中の除湿と密封が実現され、数週間にわたる高品質プリントが可能となりました。

さらに、「P1S」では本体とは別に「AMS 2 Pro」専用の電源アダプタが必要でしたが、P2S」では不要に。

わずらわしいケーブルが1本減るという改善も、地味に嬉しいポイントです。

ちなみに、「P2S」は標準で最大4色のマルチカラー3Dプリントが可能ですが、「AMS 2 Pro」を最大4台、「AMS HT」を最大4台接続することで、合計で8台・20スロット、最大20色のプリントも可能になります。

実際に、AMS4台・フィラメント16色体制でのプリントを実行してみました。

AMS4台・フィラメント16色体制

合計5時間ほどで、カラフルで色鮮やかなユニークのプリントが完了。

16色とまではいかずとも、AMS複数台体制でよりカラフルなプリントを楽しめる点も魅力の1つでしょう。

最後にもう1点、地味ながら嬉しい改善点として、内蔵2-in-1バッファ(コンボ対応)も見過ごせません。

新しいフィラメントバッファーは、フィラメントの入口が2つに分かれており、AMSと外部スプールの両方を常にバッファーにつなげておけるようになりました。

これにより、これまでデフォルトでは片方にしかつなげられず、うっかりAMSからチューブを外していると大惨事になることもあった課題が解消されています。



ノズル交換が簡単なクイックスワップ式ホットエンドを採用

クイックスワップ式ホットエンドは「A1シリーズ」や「H2シリーズ」でも採用されている方式で、ワンクリップ機構によりノズルとヒートシンク全体を工具不要でまとめて取り外せます。

X1-Carbon」や「P1S」で煩雑だった配線の取り外しが不要となり、ノズル交換にかかる時間を大幅に短縮し、配線ミス・破損のリスクもなくなります。

ちなみに、このホットエンドは「H2D」や「H2S」とも共通。

標準の0.4mm以外にも、0.2mm径・0.8mm径ホットエンドや高流量ホットエンドなども用意しておくと、クイックスワップホットエンドへとアップグレードした利便性をより実感できるでしょう。

密閉したままでPLAをプリントできる冷却システム

「P2S」の内部にアダプティブエアフローシステムが搭載

P1S」のような密閉型プリンターでは、装置内部が温まりすぎるとPLA(低温フィラメント)のプリントが失敗してしまいやすい課題がありました。

そこで「P2S」では、この課題を克服するため、アダプティブエアフローシステムが新たに搭載されています。

アダプティブエアフローシステムは、従来の熱気を循環させる冷却システムとは異なり、チャンバーの外から直接冷たい空気を取り込む外気インテーク”を採用。

これにより冷却効率が大幅に向上し、扉を閉めたままでもオーバーハング品質やノズル詰まりを気にせず、安心してプリントを進めることができます。

実際にPLAによるマルチカラープリントを検証した際、室温20℃くらいの環境下で、6時間経過後のチャンバー内温度は32℃。

その後、23時間経過時点でも30℃でキープされており、冷却がしっかり機能していることが確認できました。

およそ25時間におよぶ長時間プリントにおいても、扉を閉めたままで問題なく仕上げることができています。

飛び地構造が多いためか、少し糸引きが目立つモモンガ(データ出典:MakerWorld

P2S」の前の扉は180°全開にならない仕様ですが、常に扉を閉めておけるようになったことは、開けっぱなしでプリントする不便さを解消するありがたい改善です。

真夏かつ冷房をつけていない部屋でのプリントでは不十分な可能性もありますが、標準的な装置の設置環境であれば問題ないでしょう。

アダプティブエアフローシステムによる保温性能

保温必須のポリカーボネートでプリントしたモデル(データ出典:MakerWorld

冷却に寄与するアダプティブエアフローシステムですが、反りやすいフィラメントを使うときには自動で保温モードに切り替わります。

保温性能が向上している点は「P2S」のさらなる進化の1つです。

試しに保温必須のポリカーボネートでもプリントできるのかどうか、PolyMax PCフィラメントで実験してみます。

15個の小さなパーツをプリントするなか、途中でひとつのパーツだけ外れるトラブルがありましたが、該当パーツだけスキップしてプリントを続行。

40分ほど経過した時点で内部の温度は48℃。

100℃に設定されたヒートベッドの熱を逃さずにキープしてくれているようです。

その効果もあって、序盤に外れたひとつのパーツ以外は順調にプリントが進み、1時間30分程度でプリント完了。

PolyMax PCフィラメントでプリントしたモデル

仕上がりも良好です。

プリント完了直後のチャンバー温度は52℃。

アクティブエアフローによる熱の保持はしっかり機能しているようでした。



標準でカーボンファイバーやガラス繊維系のフィラメントが使える

Siraya Tech PPA-CFフィラメント

P1S」との大きな違いでもあるのが、P2S」はカーボンファイバーやガラス繊維系のフィラメントでも安定して長期間プリントできるよう設計されている点。

P2S」の押出システムとノズルには、標準で硬化鋼が採用されているため、優れた耐久性と耐摩耗性を実現させているのです。

実際に最大ノズル温度300℃の「P2S」が対応する、高強度・高耐熱性の繊維強化フィラメントでプリントを行ってみましょう。

まずは、Siraya Tech PPA-CFフィラメントを使ってプリント。

余談ですが、CF系は折れやすく、さらにAMSのチューブは摩耗に強いわけではないので、外部スプールホルダーにセットしてプリントしたほうが良いでしょう。

さて、プリント結果はこの通り。

ドローンのフレームをイメージしたモデルがプリントできました。

Siraya Tech PPA-CFフィラメントを使ってプリントしたモデル

軽量かつ強度が求められる用途で活用できそうです。

もう1つ、今度はガラス繊維を含んだPPA-GFでプリントしてみます。

途中で手前の方が一部剥がれましたが、クリアランスの精度も高く、エンジンをモチーフにしたモデルの回転駆動に成功しました。

ガラス繊維を含んだPPA-GFでプリントしたモデル(データ出典:MakerWorld

標準でカーボンファイバーやガラス繊維系のフィラメントを使えるようになったことで、材料の選択肢が大きく広がったと言えるでしょう。

P1SやX1-Carbonから一部のアクセサリを継続で使える

P2S」では、「P1S」や「X1-Carbon」から一部のアクセサリを継続して使えます。

例えば、「P2S」で初代AMSを使うことも可能。

サードパーティ製の乾燥モジュールを装着したばかりなのに…

という方も、本体を「P2S」に置き換えて問題ありません。

P2S Combo」と一緒に使えば、AMS2台体制での運用も可能になります。

これなら最大8色までのプリントを楽しめるようになるでしょう。

また、

「P1S」時代から愛用しているプレートをそのまま使いたい!

という方もご安心を。

標準のPEIプレート以外で用途に応じて揃えたプレートもそのまま使えます。

プレート手前にある「種類を認識するコード」は「X1-Carbon」世代から変更されています。コードを無視するように設定変更しておくと良いでしょう。

ユーザー体験を向上させるデザイン性

少し傾斜がついている

最後に、ちょっとしたデザイン改善ポイントも見ておきましょう。

P2S」では、フィラメントのゴミを簡単に掃除できる傾斜がついています。

清潔に保ちやすい改善は、意外と嬉しいポイントです。

他にも、

  • 安全かつ手軽に運搬できる一体型リフトハンドル
  • 本体の側面下についた持ち手
  • 安全性を考慮した飛散防止フロントガラス

など、ユーザー体験を高めるための数々の改良が施されています。

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導入前に知っておきたいP2S Comboの注意点

P2S Combo」は「P1S」から多くの点で進化していることがわかったでしょう。

ですが、高性能であっても導入する前に知っておくべき潜在的な課題や限界も存在します。 

ここからは実際に使用した結果、見えてきた注意点について解説していきます。

よりスムーズに「P2S Combo」でのプリントを楽しめるよう、事前に注意点を把握しておきましょう。

反りやすいフィラメントに対する保温機能の限界

P2S」はアダプティブエアフローシステムによって保温機能が向上しています。

ただし、チャンバー加熱機能は搭載されていないため、ヒーターを備えたモデルに比べると反りや剥がれに弱い印象があります。

P2S」の保温はヒートベッドの加熱に頼る仕組み上、プリント序盤ではチャンバー内温度がそこまで高くなく、室温によって最大到達温度が変動することもあるようです。

ASAやPETGフィラメントを使用したプリント例を見てみましょう。

内部温度が49℃に達した後、ほぼ変動はなかったものの、プリント終盤ではモデルの端の方が徐々に持ち上がり、プレートごと角が浮き上がってしまうトラブルが見られました。

PolyLite ASAでプリント(データ出典:MakerWorld
PolyLite PETGでプリント(データ出典:MakerWorld

冷えると反りやすいABSでも同様に角が浮き上がってしまい、反りやすいフィラメントやモデルの形状によっては対策が必要となるでしょう。

対策としては、プレートの各所にクランプを設置してプレートをベッドに固定したり、PETGなどの反りやすい材料ではブリムとクランプを併用したりすることが有効です。

実際に、ブリムとクランプの合わせ技によって反らずにプリントを完了できました。

また「P2S」ならではの仕様として、アダプティブエアフローシステムが影響を与えている可能性も指摘されています。

通気口から外気を取り入れたり、内部の空気を循環させたりする動作がモデルに不必要な冷却をもたらし、収縮や反りを引き起こしているのではないかという議論があるのです。

たしかに、以下のプリント例ではモデルの真ん中辺りがへこんでしまっています。

中央辺りに見えるスジがへこみ

MakerWorldには、風向きを変えるモデルが多数アップされているので、必要に応じて通気口の向きを変える対策をしてみると良いでしょう。

実際に、風向きを変えるモデルをプリントして、側面の真ん中あたりにある通気口に差しこんだら、風の向きを上下に流すように修正することができました。

チャンバーフィルター経由の空気の出口(データ出典:MakerWorld
補助冷却ファン側も検討の余地あり(データ出典:MakerWorld

すぐにできる対策ですので、ぜひプリントしてみてください。



マルチカラープリントのフィラメント切り替え時のゴミ

パンクロマPLA半透明の4色

P2S Combo」は「AMS 2 Pro」によってマルチカラープリントを実行することも可能です。

ですが、フィラメント切り替え時に発生するゴミの課題は、残念ながら「P1S」から変わらず。

シングルノズルとAMSを使う大枠の仕組みが変わっていない以上、引き続き厄介な存在です。

一例として、標準よりも細い0.2mmノズルを使ってミニサイズの4色ドラゴンモデルのプリントを実行してみます。

ちなみにレイヤーの厚さや壁の厚さを薄くすることで、より細かい表現のしやすい0.2mmノズルは、小さめのフィギュアやディテールを重視したい用途で重宝します。

さて、合計513回のフィラメント切り替えを経て、約41時間で完成したのがこちら。

データ出典:MakerWorld

光造形に迫ろうかという表現力を誇る0.2mmノズル、細かい牙や鱗の詳細までしっかり出ています。

3DBenchyほど小さい4色のミニドラゴン

さて、本題であるゴミの量を見てみましょう。

このプリントで発生したゴミの量は、パージタワーを合わせてなんと319g

完成したドラゴンモデルはわずか8グラム程度であるため、40倍ほどのゴミが発生したことになります。

サイズが小さく切り替え回数も多い極端な例ではありますが、「P2S」でもマルチカラープリントで発生するゴミの量に革新的な変化はありません。

そのためマルチカラーを多用するのであれば、ゴミや時間の無駄が少ないVortek搭載の「H2C」やツールチェンジャータイプの「Original Prusa XL」といった存在が理想的であるといえるでしょう。

AI検知機能の感度に課題

P2S」はAIによる異常検知機能を搭載していますが、実使用においてはまだ発展途上であるという印象を受けました。

例えば、モモンガのプリント中に、ノズルへのフィラメント付着を検出したとしてプリントが一時停止。

しかし、実際にノズルをチェックしても著しい付着は見られませんでした。

さらには夜間にプリントを実行していたため、誤検知により大幅なタイムロスにつながってしまいました。

Bambu Labの公式Wikiでも、頻繁な停止を避けるため、夜間のように長時間離れる場合には、AI検知の感度をデフォルトの“中”から“低”に変更することが推奨されています。

ただ、感度を“低”に設定していた際、バルーンのスパゲッティ状態は検知しないトラブルも。

By Object設定でプリントしたが...最終盤で転倒(データ出典:MakerWorld

AI検知機能の感度設定は、正直塩梅が難しいと感じています。

この問題はソフトウェア側で改善できる点であるため、今後のアップデートによる精度の向上に期待したいところです。

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まとめ:P2S Comboはどんな人におすすめ?

P2S Combo」は「P1S」と「X1-Carbon」の実績と人気を受け継ぎ、タッチパネルやホットエンド、その他細かいアップデートが施された優秀な後継機です。

200時間を超える実機レビューの結果、「P1S」の課題はほぼ解決されていることが確認できました。

ずばり「P2S Combo」は、

  • 1辺25センチほどの標準的な造形サイズで、
  • マルチカラーは多用しないけれども、
  • 使い勝手抜群の3Dプリンターを導入したい人

に、とくにおすすめの1台といえます。

P2S」は、扉を閉めたままPLAをプリントできるアダプティブエアフローシステムや、クイックスワップ式ホットエンド、硬化鋼製のノズル・ギアなど、利便性と対応材料の幅が格段に向上しています。

使い勝手の点では同等サイズのマルチカラー3Dプリンターの中では群を抜いているため、導入しようか迷っている方は、ぜひ「P2S Combo」の使いやすさを体感してみてください。

一方で、ヒーターが搭載されていないため、反りやすいフィラメントへの対応は完璧とはいえません。

反り対策を重視する場合には、「H2S」や「H2D」といったヒーター搭載機を選択するのも手でしょう。

また、マルチカラープリントを多用する場合は、フィラメント切り替えに伴うゴミや時間の長さが課題として残るため、「H2C」やツールチェンジャータイプの「Original Prusa XL」の方が理想的な場合もあります。

とはいえ「P2S Combo」の「AMS 2 Pro」は、フィラメントの防湿・加熱乾燥、自動ロード・アンロード、材料切れ時のオートリフィルなど、マルチカラー以外の点でも非常に大きなメリットを提供してくれます。

これらの要素を踏まえ、ご自身のニーズに「P2S Combo」がマッチしていると感じた方は、ぜひ導入を検討してみてください!

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