こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
ELEGOOの家庭用光造形方式3Dプリンター「Saturn 4 Ultra」について解説&実機レビュー
していきたいと思います。
2024年4月15日に、ELEGOOの光造形方式3Dプリンター人気ラインナップの1つである「Saturnシリーズ」から、最新機種2台「Saturn 4 Ultra」「Saturn 4」の予約販売が開始されました。
「新搭載のチルトリリース機能」「AIカメラ搭載」といった気になる特徴で話題の「Saturn 4 Ultra」。いったいどのような特徴がある3Dプリンターなのでしょうか?
今回、ELEGOO様より一足早く実機を提供いただきましたので、
についてレビューしていきたいと思います!
動画でレビューをチェックしたい方はこちら!
この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。記事とあわせて活用してみてください。
それでは見ていきましょう!
ELEGOO 「Saturn 4 Ultra」の特徴
実機レビューに入る前に、
「Saturn 4 Ultra」の特徴について確認
しておきましょう。
「特徴はいいから実機レビューが見たい!」
という方は該当箇所までジャンプしてください。
主な項目について、それぞれ確認していきましょう。
なお、見出し部分には
も記載しています。両者の違いを知るための参考にしてみてください。
チルトリリース機能による高速プリント【Ultra限定】
「Saturn 4 Ultra」がもつ目玉機能の1つが、
チルトリリースによる高速プリント
です。上の動画の通り、ビルドプレートの上下動ではなく、液晶ディスプレイ側が傾くことで硬化したレジンを剥離する新しいシステムとなっています。
チルトリリースによってフィルムを素早く剥がすことが可能になり、最大150mm/hの高速プリントを実現しています。
AIカメラによるモニタリング・検出機能【Ultra限定】
もう1つの目玉機能が、
AIカメラの搭載
です。
光造形3Dプリンターにも最先端の「眼」が搭載されたことで、
といった、これまでにない多数の新機能が実現しています。
手間ゼロの完全オートレベリング【無印と共通】
無印「Saturn 4」と共通する、(個人的な)イチオシ機能が
オートレベリング機能
です。
メカニカルセンサーが搭載されたことで、自動でレベリングを実行。ユーザーの手動調整は一切必要ありません。
ELEGOO公式ページ等でも強調されていますが、本当に「箱から出して電源を入れるだけ」ですぐにプリントできてしまいます。
失敗・レジン減少等を検知するセンサー搭載【無印と共通】
メカニカルセンサーが搭載された「Saturn 4 Ultra」。オートレベリングだけでなく、
残留物検知・レジン不足等の検出
も可能になっています。
前のプリント時に生じた硬化レジンの残留物は、失敗の原因であるところか、液晶スクリーンの損傷にもつながります。また、レジン不足もプリント失敗の典型例でしょう。
このような光造形プリントの「大敵」に立ち向かうサポートをしてくれる「強力な味方」が新搭載となりました。
ユーザーフレンドリーな設計・仕様【一部無印と共通】
その他、ELEGOOが今回の「Saturn 4 Ultra」リリースにあたって力を入れてきたのが、
ユーザーフレンドリーな設計・仕様
です。主な例を挙げると、
などなど。
先代「Saturn 3 Ultra」のリリースからたった1年足らずとは思えない、大幅なユーザビリティ向上が実現されています。
列挙しきれないほどに、新機能・仕様が盛りだくさんの「Saturn 4 Ultra」。その魅力を、以降の「実機レビュー」パートでも詳しく確認していきましょう。
ELEGOO「Saturn 4 Ultra」の実機レビュー!
さて、ここまでは「Saturn 4 Ultra」の特徴について解説してきました。ここからは、
「実際に使ってみてどうなのか?」
について、実機レビューしていきたいと思います!
開封!
「Saturn 4 Ultra」を開封し、中身を確認していきましょう。
ダンボールを開けると、
が隙間なく詰まっています。なお、今回はオートレベリング機能搭載のため、「Saturn 3 Ultra」等に見られたレベリングペーパーの同梱はありません。
本体のフリップ式カバーをオープンすると、内部は発泡スチロールでしっかり固定されています。単なる緩衝材ではなく、内部にはツールボックスやビルドプレートが納められているので注意しましょう。
ツールボックスには、基本的な工具類や消耗品がそろっています。以下に同梱品リストを記載しておきます。初心者の方は、他にそろえるべきものがあるかどうか確認しておくと良いでしょう。
なお、最近の常連だった「USB空気清浄機」は、「Saturn 4 Ultra」には同梱されていないようです。
ELEGOO「Saturn 4 Ultra」の外観をチェック!
開封を終えたところで、「Saturn 4 Ultra」の外観をチェックしていきましょう。
高級感のあるブラックの筐体は、「Saturn 3 Ultra」から継続。加えて、本体表面にも意匠を凝らし、単なる「四角い箱」という印象がなくなった「Saturn 4 Ultra」。
性能向上もさることながら、クールなガジェットとしての魅力も増しているようです。
3Dプリント実行!高解像度3Dプリンターの実力は?
開封&セッティングの詳細は「実機レビュー動画」を見ていただくとして、お待ちかねの3Dプリントを開始していきます!
定番のテストデータ「rook」をプリント!
まずは、同梱のUSBに保存されていた、ELEGOOの光造形3Dプリンター定番モデル
「rook」のデータを使って3Dプリント
していきます。
レジンには、ELEGOO「水洗いレジン(セラミックグレー)」を使用。
新搭載のチルトリリース機能によるファーストプリント。しっかりプリントできるのでしょうか...?
チェスの駒であるルークをモチーフにした、内部にらせん階段、らせん構造をもつおもしろい3Dモデル。
問題なくキレイにプリントできました。
しかもchitumanager(chituboxと連携するプリント管理ソフト)に記録されたプリント時間は1時間47分41秒。チルトリリースによる高速プリントの恩恵が感じられます。
chituboxテストモデルをプリント!
続いては、
解像度・品質を確認するテストモデルをプリント
していきます。
今回は、新しくなった「chituboxバージョン2」で利用できる標準部品から、多用な構造を含むテストモデルをプリントしていきます。
引き続き、ELEGOO「水洗いレジン(セラミックグレー)」を使用。一般的なレジンを使ってどの程度のプリント品質が実現できるのか?を確認してみましょう。
高度な構造に関しては、欠けや潰れ、剥がれも見られますが、これには高解像度レジンではなく、通常レジンを使用したことも影響しているでしょう。同時に、複雑・繊細な立体構造を高いレベルでプリントできていることも確認できますね。
高精細フィギュアをプリント!
続いて、
解像度が重要な高精細フィギュア
をプリントしていきます。
3DデータはPrintablesから、レジンには高解像度対応の「SK本舗 水洗い10Kレジン スノーホワイト」を使用していきます。
いかがでしょうか?
などなど、高精細フィギュアのあらゆる細部が繊細に表現されています。
12K高解像度の3Dプリントは、ディテールが重要なフィギュアのプリントに最適と言って良いでしょう。
ELEGOO「Saturn 4 Ultra」で作れるサイズはどれくらい?
最後に、「Saturn 4 Ultra」で作れるサイズを確認する意味も込めて、
エッフェル塔
をプリントしていきます。
3DデータはPrintablesから、レジンには「NOVA3D 水洗いレジン グレー」を使用していきます。
AIカメラによる新機能「タイムラプス」で、エッフェル塔がプリントされる様子をチェックしてみましょう。
なんとも美しいですね!
そしてプリント品のクオリティはバッチリ。
そして、気になるプリント品の高さは200mmです。「Saturn 4 Ultra」の最大高さは220mmですが、少々余裕のあるキリの良い高さに設定しています。
ELEGOO「Saturn 4 Ultra」のココがすごい!3選
ここからは、
実際に使ってみて感じた「Saturn 4 Ultra」のスゴいところ
について紹介していきたいと思います。商品ページに記載の内容だけではわかりにくい「実感」をお伝えしていきます!
「レベリングなし」が超快適!
新機能満載の「Saturn 4 Ultra」ですが、使いやすさの点でもっとも印象的だったのが、
オートレベリング
です。
これまで、当たり前のように必要とされてきた以下の所作、
これらがすべて不要。
FDMではすっかり「デフォルト」となったオートレベリングが、ついにELEGOOの光造形でも実現。この感動はぜひ味わって欲しいポイントです。
光造形のモニタリング&タイムラプスが新感覚!
AIカメラによるモニタリング・タイムラプス
についても、触れておかねばなりません。
これはかなりの新感覚。
プリントの様子を別の部屋からモニタリングできるのはかなり便利。レジンの匂いが気になる光造形では、FDM以上にリモートモニタリングの恩恵があると感じました。
そして、光造形のタイムラプス生成も新鮮さ抜群。FDM以上に外付けが面倒で、「光造形のタイムラプス」を目にする機会は少なかったことでしょう。
まるで水の中からモノが生まれ出てくるようで、こちらもぜひ実体験してもらいたいポイントです。
「ユーザーフレンドリー度」が大きく向上!
そしてもう1点、実際に使ってみて、
「ユーザーフレンドリー」は、今回の「Saturn 4 Ultra」全体に通じる設計思想
になっていると感じました。
前半に特徴としても記載したように、これまでの光造形3Dプリンターに感じていた(仕方ないものとして受け入れていた)、いくつもの「扱いにくさ」が解消されています。
「ユーザーフレンドリー」は、1つや2つの設計改善というよりも、「Saturn 4 Ultra」の開発における徹底した共通のテーマなのでしょう。
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ELEGOO「Saturn 4 Ultra」のココに注意!3選
最後に、
実際に使ってみて、個人的に気になった点
についても紹介していきます。人によって好みも異なりますので、選択する際の参考にしてみてください。
AIカメラは「高さ」「照明」「PC」で活躍
便利なAIカメラには注意点も。
上の画像のように、
には観察することができません。
また、現状パソコンからのリモートモニタリングに限定されており、スマホアプリ等の連携はないようです(今後に期待!)。
検知機能の過信は禁物
また、各種検知機能は「万能」ではありません。
例えば、上の画像(左)の赤枠内に見られる余分な構造。これは、上の画像(右)を先にプリントしたときに、赤枠内の円盤構造が脱離し、それがフィルム上に残っていたモノです。
このように、厚みのない残留物は検知されません。ELEGOO公式Xによれば、高さ1mm以上の残留物から検知対象となるようです。
このように、各種検知機能を「過信」することはおすすめできません。あくまでも快適なプリントをサポートする存在だと考えておきましょう。
ユニークなチルトリリースへの懸念
最後に、チルトリリース構造への懸念についても触れておきたいと思います(推測を含みます)。
普通のレジンでも高速プリントできる優れた仕組みであると同時に、
といった、駆動部分が増えることに伴う一般的な懸念が想定されるでしょう。
また、スライス時のモデル配置にも注意が必要でしょう。
一般的な方式では「全面が同時に剥離する」のに対し、チルトリリースでは「手前から奥に向かって次第に剥離する」という違いがあります。
これにより、モデルを傾ける向きによってプリント成功率に違いが出ることもあるかもしれません。
また、1つ上の項目で脱離したような、サポートの少ない円盤構造などはチルトリリース方式が苦手とする構造なのかもしれませんね。
「チルトリリースじゃなくてもいいかな...」
という方は、無印「Saturn 4」を選ぶという手もあるので、以下の比較表を参考にしつつ、こちらも検討してみると良いでしょう。
ここまで挙げてきたポイントは、人によっては気になるところかもしれません。他の3Dプリンターもチェックしておきたい!という方は、比較ツール等を活用して他の機種の情報も確認しておきましょう。
「ここに記した気になるポイントは問題ないよ!」
という方にとっては、高い機能性を低コストで実現した非常におすすめできる3Dプリンターなのではないかと思います!
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ELEGOO「Saturn 4 Ultra」のスペック一覧!
最後に、
「Saturn 4 Ultra」の詳細スペックを、「Saturn 4」「Saturn 3 Ultra」と比較
していきます。どのような違いがあるか確認しておきましょう。
モデル名 | Saturn 4 Ultra | Saturn 4 | Saturn 3 Ultra |
---|---|---|---|
本体イメージ | |||
メーカー | ELEGOO | ELEGOO | ELEGOO |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 327.4 x 329.2 x 548 | 327.4 x 329.2 x 548 | - |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 218.88 x 122.88 x 220 | 218.88 x 122.88 x 220 | 218.88 x 122.88 x 260 |
Z軸精度[mm] | 0.02 | 0.02 | - |
積層ピッチ[mm] | 0.01-0.2 | 0.01-0.2 | - |
ピクセルサイズ[mm] | 0.019 x 0.024 | 0.019 x 0.024 | 0.019 x 0.024 |
ピクセル数(XY) | 11520 x 5120 | 11520 x 5120 | 11520 x 5120 |
プリントスピード[mm/h] | Max 150 | Max 70 | Max 150 |
データ入力 | USB Wi-Fi | USB | USB Wi-Fi |
本体重量[kg] | 14.5 | 13.5 | - |
スライスソフト | ChituBox | ChituBox Voxeldance Tango | - |
その他 | チルトリリース AIカメラ搭載 ドリップトレー付属 オートレベリング メカニカルセンサー搭載 フリップ式カバー | オートレベリング メカニカルセンサー搭載 フリップ式カバー | 空気清浄機付き Linux OS搭載 RAM4GB内蔵 4点レベリング ACFフィルム使用 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
一覧表で比較してみると、各モデルの微妙な違いがわかりますね。
12K解像度の点で共通する3機種ですが、今回レビューした「Saturn 4 Ultra」には、
といった多数のメリットがあります。
一方で、先代の「Saturn 3 Ultra」が備えていた
といった特徴が採用されていない点は頭に入れておきましょう。
類似機種との差分を総合した上で、
「手間の多い光造形3Dプリンターを、できるだけラクに使いたい...!」
「光造形でもAIカメラを使ってみたい!」
という方にはとくにおすすめの1台だと言えるでしょう。
まとめ:ELEGOO「Saturn 4 Ultra」は超使いやすくAIカメラも新しい!
今回は、ELEGOO Saturnシリーズの最新モデル「Saturn 4 Ultra」について解説&実機レビューしました。
高速プリントを実現する「チルトリリース機能」や「AIカメラ」など、新機能が盛りだくさんの高解像度3Dプリンターであることがわかりましたね!
このあたりに興味がある!という方は、ぜひ購入候補に入れてみてください!
販売状況
現時点では、ELEGOO公式ショップや、国内代理店のSK本舗、Amazonにおいて販売されています(2024年9月時点)。