こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、Prusa ResearchのFDM3Dプリンター「Original Prusa i3 MK3S+」について解説していきます。
3Dプリンター愛好家の間では有名な3Dプリンターブランド「Prusa Research」。その中でも高い評価を得ている「Original Prusa i3 MK3S+」とはいったいどのような3Dプリンターなのでしょうか?
基本性能やオプションとしてのアップグレードにも触れつつ、その特徴について詳しく解説していきます。
それでは見ていきましょう!
3Dプリンターブランド「Prusa Research」とは
「Prusa Research」とは、チェコのプラハに本社を置く3Dプリンターの製造会社です。2012年にJosef Prusa氏によって設立されました。今では毎月9,000台以上もの3Dプリンターを全世界に出荷しています。
Prusa Researchが手掛けるのは、3Dプリンター本体の製造・販売だけではありません。同社の主な事業は以下の通りです。
「PrusaSlicer」や「Printables」は、日本国内でもユーザの多い著名なソフトウェア・プラットフォームです。「知ってる」「使っている」という方も多いのではないでしょうか?
知られざるPrusa Research製3Dプリンターの興味深いところは、
3Dプリンターのパーツが、3Dプリンターによって製造されている
という点です。工場では約600台の3Dプリンターが常時稼働し、3Dプリンターに使用されるプラスチック部品が次々と「収穫」されているのです。
今回紹介する「Original Prusa i3 MK3S+」に関しては、そのプラスチック部品セット全体を27時間かけてプリントしています。
興味のある方は冒頭の公式YouTube動画をご覧ください。膨大な数の3Dプリンターがパーツを一斉に製造する様はまさに壮観です(2018年当時は300台の3Dプリンターだったようです)。
(出典:About us | Original Prusa 3D printers directly from Josef Prusa)
「Original Prusa i3 MK3S+」の特徴
Prusa Researchの概要を理解したところで、「Original Prusa i3 MK3S+」の特徴について見ていきましょう。
高い評価を得たMK3シリーズの最新バージョン
「Original Prusa i3 MK3S+」は、各種メディアで高い評価を得たMK3シリーズの最新3Dプリンターです。(参考:Original Prusa i3 MK3S+ 3D printer | Original Prusa 3D printers directly from Josef Prusa)
第一層の品質を高めるSuperPINDAプローブ(オートレベリング用の素子)を新たに搭載し、組み立てとメンテナンスを容易にするための調整等のアップグレードがなされています。
上記の公式YouTube動画では、「Original Prusa i3 MK3S+」の魅力を1分でざっとつかむことが可能です。興味のある方は1度見てみると良いでしょう。
PEIシートやフィラメントセンサー、停電時自動回復印刷を標準搭載
高い品質をもつ「Original Prusa i3 MK3S+」。最近の3Dプリンターが備える便利機能は基本的に搭載されています。
一方、「Original Prusa i3 MK3S+」がもたない機能、人によっては気になるかもしれない点は以下の通りです。
とくにインターフェースがモノクロで、かつノブ式というのは、若干時代遅れの感があるのは否めません。高い価格帯からしても、ネガティブな印象を受ける人は少なくないでしょう。
組み立て済み or 要組み立てを選択可能
「Original Prusa i3 MK3S+」は、「組み立て済み」か「自分で組み立てるキットの形」を選択して購入することになります。それぞれのメリット・デメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
メリット | デメリット | |
組み立て済み | 届いたらすぐに使い始められる 工場でテスト済みなので安心 | 組み立てキットより高額 |
組み立てキット | 組み立てながら3Dプリンターの仕組みを学べる | 組み立てに時間がかかる(約8時間) |
エンクロージャ(造形部を覆う囲い)のないタイプの3Dプリンターとしては、「組み立て済み」状態で配送される3Dプリンターは珍しいです。「半組み立て済みですら面倒!」という方には嬉しいですね。
一方、3Dプリンターの仕組みを学びながら自分で組み立てることができるキットも選択できるのは、Original Prusaシリーズに共通する特徴の1つでもあります。価格が比較的安く、DIY的に3Dプリンターを組立てられる楽しみがある一方で、プリント開始までに時間と手間がかかる点には注意しましょう。
「Original Prusa i3 MK3S+」のスペック一覧
「Original Prusa i3 MK3S+」のスペックを一覧で確認してみましょう。参考として、同社の後継機種「Original Prusa MK4」のスペックをあわせて掲載しています。
モデル名 | Original Prusa i3 MK3S+ | Original Prusa MK4 |
---|---|---|
本体イメージ | ||
メーカー | Prusa Research | Prusa Research |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 500 x 550 x 400 | 500 x 550 x 400 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 250 x 210 x 210 | 250 x 210 x 220 |
エクストルーダ | ダイレクト | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | 200 | - |
最大ノズル温度[℃] | 300 | 290 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 120 | 120 |
組み立て | 組み立て済み /要組立(キットの場合) | 組み立て済み /要組立(キットの場合) |
プラットフォーム | 磁気ばね鋼(3種) | PEIシート |
オートレベリング | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ |
密閉 | × | × |
ディスプレイ | ノブ式 | ノブ式 |
デュアルZ軸 | ○ | ○ |
データ入力 | SDカード | USB LAN |
本体重量[kg] | 7 | 7 |
スライスソフト | PrusaSlicer | PrusaSlicer |
その他 | 本体サイズはスプールホルダーを除く | 本体サイズはスプールホルダーを除く 印刷速度:Benchyを20分で印刷可能 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト |
オプション:マルチマテリアル(MMU3)やエンクロージャ設置、MK4へのアップグレードも可能
最後に、オプションとして設置することが可能な「マルチマテリアルアップグレード3(MMU3)」や「エンクロージャ」、「MK4へのアップグレード」にも触れておきましょう。
「マルチマテリアルアップグレード3(MMU3)」を使用可能(MK4と共通)
「マルチマテリアルアップグレード3(MMU3)」とは、単一エクストルーダーの3Dプリンターを使いながら、最大5つの異なる材料(色)を同時にプリントできるようにアップグレードするオプションキットです。
スライスデータをもとに色や材料は自動で変更され、マルチカラーの3Dプリントが可能になります。
専用のエンクロージャも設置可能(MK4と共通)
「Original Prusa i3 MK3S+」は造形エリアが開放された(露出した)タイプの3Dプリンターですが、オプションのエンクロージャを設置すれば、密閉型の3Dプリンターのように使用することも可能です。
エンクロージャを設置すると、以下のようなメリットがあります。
フィラメントの種類によってはエンクロージャが欠かせないものもあります。用途に応じて導入を検討すると良いでしょう。
MK4へのアップグレードも可能
「Original Prusa i3 MK3S+」は、後継機である「Original Prusa MK4」へのアップグレードも可能です。
「MK3S+」からのアップグレードにはいくつかの選択肢があり、「MK3.5」や「MK3.9」などと呼ばれています。それぞれ、「MK4」がもつ新機能を部分的に「MK3S+」に取り入れることができるパッケージとなっており、数値が「4」に近いほどフルアップグレードに近くなります。
アップグレードの詳細に興味がある方は、Prusa Researchの公式ページをご覧ください。
まとめ
今回は、Prusa ResearchのFDM3Dプリンター「Original Prusa i3 MK3S+」について解説してきました。
Prusa Researchの高品質3Dプリンターを代表する「Original Prusa i3 MK3S+」。3Dプリンター愛好家であれば、非常に興味のそそられる1台だったのではないでしょうか?
すでに触れているように、Original Prusaシリーズからはすでに後継機種の「Original Prusa MK4」が登場しています。「Original Prusa MK4」は日本のAmazonでは未出品(2023年7月時点)のため入手に手間がかかりますが、あわせて検討してみると良いでしょう。