
こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、Anycubic社の最新家庭用FDM方式3DプリンターKobraシリーズについて解説していきたいと思います。
Anycubic社は家庭用3Dプリンターの有名企業です。FDM方式のMegaシリーズや光造形方式のPhoton Monoシリーズをご存知の方も多いでしょう。
Kobraシリーズは、そんなAnycubicの最新FDM3Dプリンターシリーズです。果たしてKobraシリーズはAnycubic Megaシリーズのような従来モデルとどのような違いがあるのでしょうか?
本記事では、Kobraシリーズ各種の特徴解説に加え、過去のモデルとスペック比較も行っています。3Dプリンター選びの参考にしていただければ幸いです!
- Kobraシリーズの特徴は?
- Anycubic従来シリーズとの違いは?
それでは見ていきましょう!
Anycubic Kobraシリーズの特徴は?

「Kobra」「Kobra Go」「Kobra Neo」「Kobra Plus」「Kobra Max」の5種類
Kobraシリーズは、現在までに「Kobra」「Kobra Go」「Kobra Neo」「Kobra Plus」「Kobra Max」の5種類が発表されています。(2023年1月時点)
各機種の特徴について確認していきましょう!
エントリーモデルの【Kobra】

「Kobra」は、Kobraシリーズのスタンダードモデルです。以下のようなKobraシリーズで特徴的ポイントをひと通りそろえています。
タッチ式ディスプレイである点は、後述する「Kobra Go」「Kobra Neo」との違いになっています。
新しいオートレベリングシステム「Anycubic LeviQ」の搭載は、初心者のみならず中級者にもうれしいポイントですね。詳しくは後述します。
造形サイズ(幅×奥行き×高さ)は22×22×25 cmで、最大ノズル温度は260℃です。このあたりは従来モデルや他社製品と比べてもスタンダードなスペックですね。
コスパ最重視のDIYモデルなら【Kobra Go】

「Kobra Go」はKobraシリーズで唯一のDIYタイプFDM3Dプリンターです。
低コストが魅力のDIYタイプながら、
- プリント時の手間を大幅に削減できるオートレベリング機能搭載
- プリント後に造形物を取り外しやすいPEIばね鋼プレートが標準搭載
の優良モデル。
以下のページで詳細解説していますので、「Kobra Go」が気になる方はぜひご覧ください!
ダイレクトドライブ式・PEIシート採用の【Kobra Neo】

「Kobra Neo」は「Kobra」と同様にダイレクトドライブ式エクストルーダを採用しています。
ダイレクトドライブ式を採用するメリットはいくつかありますが、ここではAnycubic公式が強調している点をピックアップしてみましょう。
- フィラメントを取り替えやすい
- フィラメントをより効率的かつ正確に供給できる
「Kobra Go」以前に発表された「Kobra Go」「Kobra Plus」「Kobra Max」の3モデルはボーデン式を採用していました。「Kobra Neo」がダイレクトドライブ式のエクストルーダを採用したことにより、造形物に応じたプリンター選択の幅が広がりましたね。
「Kobra」との主な違いは、スクリーンがタッチ式(Kobra)かノブ式(Kobra Neo)か、ヒートベッドがPEIコートされていない(Kobra)かPEIコートされている(Kobra Neo)あたりになっています。価格もほとんど変わりません。
詳細スペックについては後述する比較表をご確認ください。
エクストルーダの代表的な2方式(ボーデン式・ダイレクトドライブ式)の違いについてはこちらの記事をご覧ください。
ちょっと大きめ3Dプリントには【Kobra Plus】

KobraとKobra Maxの登場から2ヶ月ほど遅れて発表された、「Kobra Plus」。
Kobraシリーズの中では、まさに「中間」のモデルという位置付け。
造形サイズや本体サイズ、本体価格など、どれをとってもKobraとKobra Maxの間のスペックになっています。詳しくは「Kobraシリーズのスペック一覧!」の項目で比較しています。
中間モデルとはいえ、造形サイズは30×30×35cmもあります。これはおよそバスケットボール相当の大きさとのことで、かなり造形の幅が広がりますね!

「Kobraでは物足りないけど、Kobra Maxは本体サイズが大きすぎる!」
というような方にとっては、ちょうどよい第三の選択肢の登場と言えるでしょう。
大型3Dプリント向けの【Kobra Max】

Anycubic Kobra Maxは、Kobraシリーズの上位モデルです。
造形サイズ(幅×奥行き×高さ)はなんと40×40×45 cmです。上に記載したKobraと比較して、幅・奥行き・高さのそれぞれが20cm近く大きく、大型造形用途にはうってつけのモデルと言えるでしょう。

新搭載の「LeviQ」に加えて、Kobra Maxには、大きな3Dモデルの安定造形のための「フィラメント切れ検知機能」や「2軸モーター(デュアルZ軸)」といった機能も搭載されています。
「2軸モーター(デュアルZ軸)」は、Z軸方向のモーターが本体の左右両方に搭載されていることを意味します。以下の画像左側をご覧ください。

画像右側の「Kobra」が1軸モーター(向かって右側の軸のみ)であるように、造形サイズや必要な精度に応じてZ軸モーターの数は異なります。FDM方式3Dプリンター購入時にチェックすべき項目の1つですね。
「Kobra Max」は、大規模モデルを造形したい方にとって魅力的な機能満載の注目モデルですね!
独自開発の自動レベリングシステム「Anycubic LeviQ」搭載
紹介したすべてのモデルに共通する新技術が、Anycubic LeveQです。

LeviQによるオートレベリングは、ヒートベッド(プラットフォーム)の凹凸を自動的に補正する機能です。ヒートベッド上の25点のZ位置を取得して補正することで水平調整を行い、再現性の高いプリントを実現します。
同様の機能は、Anycubicの「Vyper」やCrealityの「Ender-3 S1」などにも搭載されています(これらは16点を取得して補正)。ユーザの操作性を高めるオートレベリング機能は最近のトレンドと言えそうですね。25点の取得により、高精度な位置合わせが期待できる点もポイントです。
Creality Ender-3シリーズについてはこちらの記事で徹底比較しています。
やわらかいバネ鋼プラットフォームの採用

造形サイズがスタンダードな「Kobra」「Kobra Go」「Kobra Neo」では、やわらかいバネ鋼製の磁気プラットフォームが採用されています。プラットフォームを曲げることで、造形したものを簡単に取り外すことができます。
磁気プラットフォームなので、本体からプラットフォームを取り外しやすい点も操作性が高くGoodです。
10分で組み立て可能なモジュール設計で、初心者でも安心
Kobraシリーズは、半組み立て式のFDM3Dプリンターです(「Kobra Go」を除く)。
組み立て式の3Dプリンターには安価なものが多い一方で、組み立てに時間がかかるモデルも少なくありません。はじめて3Dプリンターにふれる方や、すぐに使いはじめたいという方は、組み立て不要モデルに魅力を感じる方もいるでしょう。
DIYモデルの「Kobra Go」以外はモジュール式の設計になっており、組み立てが非常に簡単です。上の図(右)のように、数点のモジュールを組み合わせるだけで完成するようになっています。
公式ページでは「10分」で完成すると書かれているほど、どんな人でも簡単に、すぐにでも使いはじめることが可能です。
Kobraシリーズのスペック一覧!
ここまで紹介してきたKobraシリーズのスペックについて、一覧で確認しておきましょう。
モデル名 | Kobra | Kobra Go | Kobra Neo | Kobra Plus | Kobra Max |
---|---|---|---|---|---|
本体イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
メーカー | Anycubic | Anycubic | Anycubic | Anycubic | Anycubic |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 430 x 486 x 486 | 445 x 443 x 490 | 445 x 443 x 490 | 560 x 546 x 605 | 715 x 665 x 720 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 220 x 220 x 250 | 220 x 220 x 250 | 220 x 220 x 250 | 300 x 300 x 350 | 400 x 400 x 450 |
エクストルーダ | ダイレクト | ボーデン | ダイレクト | ボーデン | ボーデン |
プリントスピード[mm/s] | Max 100 | Max 100 | Max 100 | Max 100 | Max 100 |
最大ノズル温度[℃] | 260 | 260 | 260 | 260 | 260 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 110 | 110 | 110 | 100 | 90 |
組み立て | 半組み立て済 | 要組み立て | 半組み立て済 | 半組み立て済 | 要組み立て |
プラットフォーム | ばね鋼 | PEIばね鋼 | PEIばね鋼 | カーボランダムガラス | カーボランダムガラス |
オートレベリング | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | × | × | × | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
密閉 | × | × | × | × | × |
ディスプレイ | タッチ式 | ノブ式 | ノブ式 | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | × | × | × | ○ | ○ |
データ入力 | SDカード | SDカード | SDカード | SDカード | SDカード |
本体重量[kg] | 7.5 | 7 | - | 11 | 16 |
スライスソフト | Cura Repetier-Host simplify3D | - | Cura | Cura Repetier-Host simplify3D | Cura Repetier-Host simplify3D |
その他 | デュアル斜め支柱 | ||||
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
一覧表で比較してみると、各モデルの微妙な違いがわかります。
本体サイズを見ると、改めてKobra Maxの大きさを感じますね。フィラメントスプールホルダー(腕のような部分)も横に広がるタイプなので、導入の際には置き場所を考えておきましょう。
KobraシリーズをAnycubic従来モデルと比較!
Kobraシリーズのスペックについて把握できたところで、Anycubicの従来モデルと比較してみましょう。
比較対象として、似たような機能や同等の造形サイズをもつモデルどうしで比較します。
- オートレベリング機能をもつモデルどうしで比較!→ 「Kobra」と「Vyper」
- 大型造形サイズモデルどうしで比較!→ 「Kobra Max」と「Mega X」
オートレベリング機能をもつモデルどうしで比較!
まずは、オートレベリング機能をもち、かつ同等の造形サイズをもつモデルで比較してみましょう。
「Kobra」と従来モデル「Vyper」を比較していきます。
モデル名 | Kobra | Vyper |
---|---|---|
本体イメージ | ![]() | ![]() |
メーカー | Anycubic | Anycubic |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 430 x 486 x 486 | 508 x 457 x 516 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 220 x 220 x 250 | 245 x 245 x 260 |
エクストルーダ | ダイレクト | ボーデン |
プリントスピード[mm/s] | Max 100 | Max 180 |
最大ノズル温度[℃] | 260 | 260 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 110 | 110 |
組み立て | 半組み立て済 | 要組み立て |
プラットフォーム | ばね鋼 | ばね鋼 |
オートレベリング | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | × | × |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ |
密閉 | × | × |
ディスプレイ | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | × | ○ |
データ入力 | SDカード | SDカード |
本体重量[kg] | 7.5 | 10 |
スライスソフト | Cura Repetier-Host simplify3D | Cura |
その他 | ||
出典 | 公式サイト | 公式サイト |
並べてみると、
- プリントスピードやノズル最高温度は同じ
- 「Kobra」はダイレクトドライブ式、「Vyper」はボーデン式
- 造形サイズや本体サイズは「Vyper」のほうがひと回り大きい
などの類似点・相違点があることがわかりますね!
オートレベリングの点数は「Kobra」のほうが多い一方で、「Vyper」には2軸モータ搭載の利点があります。価格は「Kobra」の方が安い。どちらを選ぶか非常に迷いどころですね。。。
ひとまわり小さく、かつフィラメントスプールホルダーが上部についている「Kobra」のほうがスリムです。軽量かつコンパクトで設置場所に困らない点も「Kobra」の隠れた魅力ですね。
大型造形サイズモデルどうしで比較!
次に、造形サイズが標準よりも大きい2つのモデルを比較してみましょう。
新モデル「Kobra Max」と従来モデル「Mega X」を比較していきます。
モデル名 | Kobra Max | Mega X |
---|---|---|
本体イメージ | ![]() | ![]() |
メーカー | Anycubic | Anycubic |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 715 x 665 x 720 | 500 x 500 x 553 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 400 x 400 x 450 | 300 x 300 x 305 |
エクストルーダ | ボーデン | ボーデン |
プリントスピード[mm/s] | Max 100 | Max 100 |
最大ノズル温度[℃] | 260 | 250 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 90 | 90 |
組み立て | 要組み立て | 要組み立て |
プラットフォーム | カーボランダムガラス | - |
オートレベリング | ○ | × |
フィラメントセンサ | ○ | × |
停電時自動回復印刷 | ○ | × |
密閉 | × | × |
ディスプレイ | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | ○ | ○ |
データ入力 | SDカード | SDカード |
本体重量[kg] | 16 | 19 |
スライスソフト | Cura Repetier-Host simplify3D | Cura |
その他 | デュアル斜め支柱 | デュアルY軸 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト |
並べてみると、
- 造形サイズは「Kobra Max」のほうが各軸(XYZ)10cm以上大きい
- プリントスピードは「Kobra Max」のほうが圧倒的に速い
- 「Kobra Max」はオートレベリング搭載、「Mega X」は搭載なし
などの違いがあることがわかりますね!
大きいモデルを造形したいという用途において、少し中途半端であった「Mega X」から、他社3Dプリンターと比較してもかなり大きな部類に入る「Kobra Max」へ順当に進化した印象です。
オートレベリング機能やフィラメント切れ検知機能のようなプリントサポート機能が充実している「Kobra Max」はかなり優秀なモデルとなっています。
このように従来モデルと比較してみると、新シリーズの魅力が際立っていることがわかりますね!
【まとめ】Kobraシリーズは特徴さまざま。しっかり比較しよう
今回は、Anycubicの最新FDM3DプリンターKobraシリーズについて解説してきました。
最後に、Kobraシリーズ各種の特徴について復習して締めくくりたいと思います。
初心者に最適!スタンダードモデルなら【Kobra】
高コスパDIYモデル!【Kobra Go】
ダイレクトドライブ搭載・PEIシート採用モデル!【Kobra Neo】
「Kobra」と「Kobra Max」の中間スペックなら【Kobra Plus】
大型造形なら絶対にコレ!【Kobra Max】
比較表も参考にしつつ、自身の用途に合った最適なKobraを選んでみてくださいね!
Anycubic光造形方式の最新シリーズ Photon M3についてはこちらの記事をご覧ください。