こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
Crealityの家庭用FDM方式3Dプリンター「CR-10 SE」について徹底解説&実機レビュー
していきます。
CrealityはFDM・光造形の両方式の3Dプリンターを販売する有名企業。FDM(Fused Deposition Modeling, 熱溶解積層)方式3Dプリンターとしては「Enderシリーズ」や「CRシリーズ」、「K1シリーズ」等を展開し、その3Dプリンターは世界中のユーザーから高い支持を集めています。
そんなCrealityの「CRシリーズ」から登場した最新3Dプリンターが、「CR-10 SE」。
いったいどんな3Dプリンターなのでしょうか?Crealityの他機種「K1シリーズ」や「Enderシリーズ」とはどのような違いがあるのでしょうか?
今回、Crealityより「CR-10 SE」をご提供いただきましたので、
について、使い勝手を交えながら実機レビューしていきたいと思います!
動画でレビューをチェックしたい方はこちら!
この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。開封の様子など、動画ならではの内容も盛りだくさんの解説をお楽しみください!
それでは見ていきましょう!
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Creality 「CR-10 SE」の特徴
まずはじめに「CR-10 SE」の特徴をざっと把握しておきましょう。
上記の特徴は、どれも類似機種との違いを表す重要なポイントです。特に、同じく2023年に登場した「Ender-3 V3 SE」や「Ender-3 V3 KE」との相違点だという意味でも、しっかり把握しておきたい項目です。
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
「特徴はいいから、はやく実機レビューが見たい!」
という方は該当箇所までジャンプしてください。
最大600mm/s!家庭用3Dプリンター最速で「K1」にも匹敵!
「CR-10 SE」は、
最大600mm/sの爆速3Dプリントが可能
です。これは、Crealityのフラッグシップシリーズである「K1シリーズ」の最大プリントスピードに匹敵。現時点では、家庭用FDM3Dプリンターとして最速クラスのスピードを誇ります(2023年12月時点)。
X・Y軸ともにリニアレールを採用!精度と耐久性に違いアリ!
「CR-10 SE」は、本体パーツの品質も一味違います。
X軸・Y軸ともにリニアレールを採用
しています。
リニアレールの特徴は、
こと。並の家庭用3Dプリンターに比べて、高い精度で長期間使用することが可能です。
Gセンサー(振動補正センサー)を標準搭載!高いプリント品質を実現!
さらに注目したいのが、「CR-10 SE」は、
Gセンサーを標準搭載しており、高いプリント品質を実現している
ことです。
Gセンサーは、「Input shaping」と呼ばれる振動抑制機能のチューニングに使用されるセンサー。高速プリント時に顕著になる振動の影響を抑えるために重要な役割を果たします。
高速性とプリント品質を両立する上で、Input Shapingの機能は非常に重要。昨今の高速3Dプリンターには、Input Shaping機能が搭載されていても、そのチューニングまではデフォルトで対応していないものも存在します。その点、Gセンサーを標準搭載している「CR-10 SE」は、とくに高いプリント品質が期待できるでしょう。
後半では、Gセンサーの搭載がない「Ender-3 V3 KE」とのプリント品表面比較も行っているのでお楽しみに!
「CR-10 SE」の実機レビュー!
さて、ここまでは「CR-10 SE」の概要について述べてきました。ここからは、
「実際に使ってみてどうなのか?」
について、実機レビューしていきたいと思います!
開封&組み立て!
「CR-10 SE」を開封し、中身を確認していきましょう!
ダンボールの中には、細かいパーツは基本的に組み立て済みの、モジュール化されたメインパーツが入っています。
上段にはスプールホルダーやスクリーン、部品類、ACアダプタが、下段にはガントリーと、土台となるプラットフォーム部分が格納されています。「Ender-3 V3 KE」とは異なり、金色のPEIシートが採用されています。
箱から取り出していきます。
土台とガントリーがこちら。
部品や工具等の小物類はこちら。LEDバーや2つに分岐したフィラメントホルダーの存在が特徴的ですね。
ネジが少ない点も注目。組み立ての手順はおよそ以下の通りです。
最近の3Dプリンターは組み立てるべきパーツが最小限。より詳しい内容は、上述のYouTube動画内で解説しています。
そして、実際に組み立てたものがこちら。金色のPEIプレートやLEDバー、土台に搭載された引き出しの存在など、どことなく「Ender-3 S1 Pro」と似た思想を感じさせるポイントが多数見られました。
実際に組み立ててみて、
程度で完了する作業量だと感じました。
3Dプリント実行!高速3Dプリンターの実力は?
準備が完了したので、さっそく3Dプリントを開始していきます!
Hyper PLA
まずは、高速プリントに対応した「Hyper PLA」を使っていきます。
最初はやはり、「3DBenchy-20m_PLA.gcode」をプリント。こちらは同梱のUSBに保存されています。
実際にプリントしているときの様子(音声あり/倍速なし)をご覧いただきましょう!
約19分でプリントが完了。高速3Dプリンターが続々登場し、麻痺してきている感がありますが、「CR-10 SE」も抜群の速さですね!
完成品の様子がこちら。
高速な上に非常にキレイ!このスピードでも表面の歪みはゼロと言って良いレベルです。
続いては、他のフィラメントを使ったプリントの様子を見ていきましょう!
PETG
ペットボトルの材質に似た「PETG」を使ったプリントを行っていきましょう。こちらも「PLA」に次いで頻繁に使用されるフィラメントの1つです。
速度の設定値は、スライスソフト「Creality Print(後述)」のプリセットのうち"Normal"を採用。以下のような値となっています。プリセットが存在するので、設定値の調整なしで即スライス・プリントすることが可能です。
今回は、懐かしの「べ〇ブレード風のおもちゃ(データ出典:Thingiverse)」をプリントしていきます。。。!
PETGでも「Hyper PLA」と同等のハイスピード(300mm/s)でプリントすることができました。
以下の「CR-PETG」は色合いも美しく非常におすすめです。
TPU
続いては、スマホのケースなどに使用されているやわらかい材料「TPU」を使ってプリントしていきたいと思います。
今回は、キーボードのホコリなどを吹き飛ばせる「ブロワー(データ出典:Printables)」をプリントしていきます!ちなみに、速度はPETGと同様の高速設定です。
ちなみに使用したフィラメントはこちら。記載はないものの高速プリントにも対応できる優秀なフィラメントです。
ここまで、PLAやPETG、TPUなどさまざまなフィラメントを使った「CR-10 SE」の実力調査を行ってきました。
以降では、「CR-10 SE」の
というポイントについて深掘りしていきたいと思います!
使ってみてわかった!「CR-10 SE」のココがすごい!
ここからは、
実際に使ってみて感じた「CR-10 SE」のスゴいところ
について紹介していきたいと思います。商品ページに記載の内容だけではわかりにくい「実感」をお伝えしていきます!
Gセンサー搭載&49点のオートレベリングによる高いプリント品質
前半でも触れたように、「CR-10 SE」にはGセンサーが標準搭載。これにより、
高速プリント時の振動補正(Input Shaping)チューニングが可能
に(チューニングプロセスは初期設定時のセルフチェックに組み込まれています)。この点は「Ender-3 V3 KE」等には見られない注目ポイントですね。
せっかくなので、「CR-10 SE」と「Ender-3 V3 KE」でInput Shapingのクオリティをチェックしてみましょう。振動制御用のテストデータをプリントしていきます。。。!
高速プリント時には、振動補正が不十分だと、波々の構造周辺にゴースト(不要な模様やライン)が現れてしまいます。デフォルトでは振動補正チューニングができない「KE」には少しゴーストが残りますが、「CR-10 SE」は非常にキレイですね!
さらに、オートレベリングの点数も49点という比較的多い点数となっています(「Ender-3 V3 SE」は25点、「Ender-3 V3 KE」は36点)。もちろん、完全オートレベリングで手動補正は一切不要です。
ベッドサイズの初期層をプリントして品質をチェックしてみると。。。完ぺきですね!(データ出典:Thingiverse)
硬化鋼ノズル採用により、フィラメントの選択肢が豊富に
「CR-10 SE」は、硬化鋼ノズル(hardened steel nozzle)を標準搭載。これにより、
カーボンファイバー入りフィラメントのような摩耗性の高いフィラメントを使用することが可能
になっています。ちなみに、カーボンファイバー(CF)を配合したフィラメントには「PLA-CF」や「PETG-CF」が存在。真鍮のような通常のノズルでは扱えない、プリント品の強度を上げたいときに活躍してくれるフィラメントです。
さらに、ノズル最大温度は300℃。60Wのセラミックヒーターがノズル回りに搭載され、押し出されるフィラメントを完全に溶融させるのに効果を発揮しています。PC(ポリカーボネート)やPA(ポリアミド、ナイロン)のような300℃近い高温が要求されるフィラメントの使用においても安心ですね。
Wi-Fi対応によりスライスから3Dプリントが超スムーズ【複数台プリントも】
さらに、
Wi-Fi対応により、スライスから3Dプリントまでの流れが超スムーズ
という点も見逃せません。
「Creality Print」というCrealityのFDM3Dプリンター専用スライスソフトを使用することで、スライスしたデータをワンクリックで3Dプリンター本体に転送し、そのままプリント開始することが可能です。
「Ender-3 V3 KE」にも共通するポイントですが、Wi-Fi対応はやっぱり便利。「CR-10 SE」と「Ender-3 V3 KE」の2台など、複数台の同時プリントですらワンクリックで実行できてしまいます。
SDカードを使ってパソコンと3Dプリンター間でデータのやり取りをする時代は、2022年で完全に終わりましたね。
「Creality Print」の使い方については、以下の動画で10分にギュッとまとめて解説しています。インストールから3Dプリントの開始まで、動画を見て確認しておきましょう。
「Creality Print」を使えば、複数台の3Dプリンターで同時に3Dプリントするような離れ技も可能。こちらも10分ほどの動画で解説しているので、サクッと確認しておくと良いでしょう。
【おまけ】「Ender-3 V3 SE/KE」にはない、LEDの搭載も!
個人的に気に入っている仕様の1つが、LEDバーの搭載。「Ender-3 S1 Pro」等に見られるオプション的な機能ではありますが、ちょっと周囲が暗い時や夜中にプリントのチェックをしたいときに重宝します。
これも「Ender-3 V3 SE」や「Ender-3 V3 KE」にはない優良ポイントですね。
使ってみてわかった!「CR-10 SE」のココに注意!
最後に、
実際に使ってみて、個人的に気になった点
についても紹介していきます。人によって好みも異なりますので、選択する際の参考にしてみてください。
操作スクリーンの日本語訳がわかりにくい(「KE」と同じ)
もっとも気になったのは、
操作用スクリーンは日本語設定だとわかりにくい
という点です。
上記は一例で、「インフィード」「解きほぐす」という謎のボタンが確認できます。
それぞれ「Extrude(押し出し)」と「Retract(引き戻し)」を日本語訳したものですが、これではわかりませんよね。。。個人的には英語設定で使用するのがおすすめかなと思います。
サイズ(奥行き)がちょっと大きめ
もう1点、注意しておくべきは
本体サイズがちょっと大きめ
だという点。
「Ender-3 V3 SE」や「Ender-3 V3 KE」といった、同等の造形サイズをもつ機種と比べると、特に奥行き方向のサイズが大きいです(約10cmの差)。本体下部に引き出しがついているなど、コンパクトさよりも機能性を重視した結果なのではないでしょうか。
逆に言えば、「本体サイズのコンパクトさ」以外には「CR-10 SE」が劣る部分はなく、「Ender-3 V3 KE」の完全上位互換と言っても過言ではありません。
AIカメラやAI LiDARは別売り
注意点というほどでもありませんが、
AI機能は搭載していない(別売り)
という点は覚えておきましょう。
「K1 Max」に搭載されている「AIカメラ」や「AI LiDAR」といった最先端のスマートテクノロジーは、デフォルトでは搭載されていません。使用したい場合は、別売りのアクセサリを購入するようにしましょう。
「CR-10 SE」のスペック一覧!Ender・K1シリーズと徹底比較!
最後に、
「CR-10 SE」の詳細スペックを、「Enderシリーズ」や「K1シリーズ」と比較しつつ確認
していきます。
「どの3Dプリンターを選ぶか迷う…」
と思っている方、必見です。
「Ender-3 V3 SE」「Ender-3 V3 KE」と比較!
モデル名 | CR-10 SE | Ender-3 V3 SE | Ender-3 V3 KE |
---|---|---|---|
本体イメージ | |||
メーカー | Creality | Creality | Creality |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 490 x 470 x 625 | 420 x 366 x 490 | 433 x 366 x 490 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 220 x 220 x 265 | 220 x 220 x 250 | 220 x 220 x 240 |
エクストルーダ | ダイレクト | ダイレクト | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | 600 | 250 | 500 |
最大ノズル温度[℃] | 300 | 260 | 300 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 110 | 100 | 100 |
組み立て | 半組み立て済 | 半組み立て済 | 半組み立て済 |
プラットフォーム | PEIばね鋼 | PCばね鋼 | PEIばね鋼 |
オートレベリング | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | × | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ | ○ |
密閉 | × | × | × |
ディスプレイ | タッチ式 | ノブ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | ○ | ○ | ○ |
データ入力 | USB Wi-Fi Creality Cloud APP | SDカード | USB LAN Creality Cloud APP |
本体重量[kg] | 9.27 | 7.12 | 7.8 |
スライスソフト | Creality Print Cura Simplify3D PrusaSlicer | Creality Print Cura Simplify3D | Creality Print Cura Simplify3D |
その他 | LED搭載 カーボンファイバー対応 リモート制御機能 | リモート制御機能 | |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
一覧表で比較してみると、3つのモデル間の共通点・相違点が浮かび上がってきますね(詳細はYouTubeで後日解説予定です!)。
3機種を性能順に並べると、
- CR-10 SE
- Ender-3 KE
- Ender-3 SE
となります。本体サイズや造形サイズのわずかな差を除けば、下位機種が上位機種に勝る部分はありません。
もちろん、価格も上記機種の方が高額にはなりますが、価格差を補って余りある性能差も持ち合わせているというのが、3機種すべてを使用した上での印象です。ご自身の予算と求める性能に応じて選択すると良いでしょう。
「K1」「K1 Max」と比較!
さらに、Crealityのフラッグシップモデル「K1シリーズ」との比較表も参考までに掲載しておきます。
モデル名 | CR-10 SE | K1 | K1 Max |
---|---|---|---|
本体イメージ | |||
メーカー | Creality | Creality | Creality |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 490 x 470 x 625 | 355 x 355 x 480 | 435 x 462 x 526 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 220 x 220 x 265 | 220 x 220 x 250 | 300 x 300 x 300 |
エクストルーダ | ダイレクト | ダイレクト | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | 600 | 600 | 600 |
最大ノズル温度[℃] | 300 | 300 | 300 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 110 | 100 | 120 |
組み立て | 半組み立て済 | 組み立て済み | 組み立て済み |
プラットフォーム | PEIばね鋼 | フレキシブル | フレキシブル |
オートレベリング | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ | ○ |
密閉 | × | ○ | ○ |
ディスプレイ | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | ○ | × | × |
データ入力 | USB Wi-Fi Creality Cloud APP | USB Wi-Fi | USB Ethernet Wi-Fi |
本体重量[kg] | 9.27 | 12.5 | 18 |
スライスソフト | Creality Print Cura Simplify3D PrusaSlicer | Creality Print Cura Simplify3D PrusaSlicer | Creality Print Cura Simplify3D PrusaSlicer |
その他 | LED搭載 カーボンファイバー対応 リモート制御機能 | リモート制御機能 Lighting kit搭載 | リモート制御機能 AIカメラ搭載 AI LiDAR搭載 空気清浄機搭載 Lighting kit搭載 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
「CR-10 SE」は、「K1 Max」と比べると見劣りするかもしれませんが、「K1」とは大きく見劣りする部分はありません。密閉型かどうかという点くらいでしょうか?
「『K1』はちょっと高いんだよな…」
と思っていた方にとっては、低価格で同等の性能を有する「CR-10 SE」が嬉しい選択肢となるでしょう。
まとめ:密閉なしFDMの決定版!K1匹敵の優秀機種「CR-10 SE」!
今回は、Crealityの最新FDM方式3Dプリンター「CR-10 SE」について解説しました。
が特徴で、ワンランク上のスピードと品質を実現した3Dプリンターであることがわかりましたね!
5万円前後で高い性能をもつ3Dプリンターの導入を検討している方に最適の1台と言って良いでしょう。
販売情報
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