こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
ELEGOOの家庭用光造形方式3Dプリンター「Saturn 4 Ultra 16K」について解説&実機レビュー
していきたいと思います。
2025年1月22日に、ELEGOOの光造形方式3Dプリンター人気ラインナップの1つである「Saturnシリーズ」から、最新機種「Saturn 4 Ultra 16K」の販売が開始されました。
前機種「Saturn 4 Ultra」をベースとしつつ、「16K(15120×6230)超高解像度」「レジンタンク加熱機能」といったアップグレードで話題の「Saturn 4 Ultra 16K」。いったいどのような特徴がある3Dプリンターなのでしょうか?
今回、ELEGOO様よりひと足早く実機を提供いただきましたので、
についてレビューしていきたいと思います!
動画でレビューをチェックしたい方はこちら!
この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。記事とあわせて活用してみてください。
それでは見ていきましょう!
\1/22より公式ストアにて販売開始/
ELEGOO最新3DプリンターSaturn 4 Ultra 16Kの特徴
光造形3Dプリンターを選ぶ際、まずチェックしたいのが
どんな機能を備えていて、何が特徴なのか
という点です。「Saturn 4 Ultra 16K」特有の機能についてチェックしていく前に、「Saturn 4 Ultra」から継続採用となっている主な特徴をおさらいしておきましょう。
「特徴はいいから早く開封・3Dプリントの様子が見たい!」
という方は該当箇所までジャンプしてください。
チルトリリース機能による高速プリント
一般的な光造形3Dプリンターは、ビルドプレートが上下してレジンタンクの底面(フィルム)と分離する方式を採用しています。各層ごとにリフトアップさせて接着面を剥がす工程が必要になり、時間がかかることが多いです。
一方、「Saturn 4 Ultra 16K」はレジンタンク自体を傾斜させる“チルトリリース機能”を採用。ビルドプレートの上下動ではなく、液晶ディスプレイ&レジンタンク側が傾くことで硬化したレジンを剥離する革新的なシステムとなっています。
このチルトリリース機能によって、1層あたりの硬化プロセスに要する時間が短縮。最大150mm/hの高速プリントも可能とされています。
AIカメラによるモニタリング・タイムラプス
「Saturn 4 Ultra 16K」は、装置内部にAIカメラを搭載。これにより、
が可能になっています。
家庭用FDM方式では一般的になってきたモニタリング・タイムラプス生成機能ですが、光造形タイプではまだまだ珍しい存在。「Saturn 4 Ultra 16K」では、パソコンからプリントの進捗をリアルタイムでチェックするとともに、出来上がった造形物が徐々に姿を表す過程をカンタンに動画として残すことができます。
完成後はタイムラプス動画をSNSでシェアするなどして、プリント過程の“スッと現れる”映像を楽しむのも一興です。
手間が激減!ユーザーフレンドリー仕様
光造形3Dプリンターは、レジンの取り扱いや後片付けなど、FDMと比べて手間が多い印象を持たれがち。
しかし、「Saturn 4 Ultra 16K」では、そうした手間を少しでも減らすためのユーザーフレンドリーな設計が随所に見られます。
まず、タッチスクリーンは反応性の良い静電容量式。もちろんフルカラーで、日本語の言語設定にも対応しています。
そして、UVカバーはフリップアップ式で、開けたフタをどこかに置く必要がありません。持ち上げたカバーを床やテーブルに置く必要がないので、狭い作業環境でも扱いやすいのが嬉しいポイント。
また、ビルドプレートの固定方法もきわめて簡単で、レバーを上下させるだけでしっかりと装着・取り外しができます。従来のように六角レンチでネジを締める手間から解放されるのは大助かり。そして光造形ではまだまだ希少なオートレベリング採用機種である点も見逃せません。
さらに、「Saturn 4 Ultra」のときは少し持ちにくかったプレートの固定部分が改良され、左右に“羽根”のような出っ張りを追加。指先がかかりやすく、持ちやすい形状に再設計されています。
さらに、レジンタンクには注ぎ口が広く設けられており、プリント終了後にタンクへレジンを戻すのがカンタンです。付属するドリップトレーを使えば、ビルドプレートのレジンを落とすときも周りを汚さずに済むでしょう。
こうしたひとつひとつの工夫が
光造形はめんどくさい
というイメージを払拭し、たとえ初心者でも扱いやすい機種に仕上がっています。
\1/22より公式ストアにて販売開始/
【実機レビュー】ELEGOO Saturn 4 Ultra 16Kを開封&セットアップ
ここからは、実際に筆者が「Saturn 4 Ultra 16K」を手元に開封し、セットアップを進めた様子をレポートします。
開梱や初期設定の段階でポイントをあらかじめ把握しておくことで、スムーズにプリントの準備を整えることができるでしょう。とくに初心者の方は、事前に手順を確認しておくことをおすすめします。
それでは順を追って、どのようにセットアップを行ったのか見ていきましょう。
Saturn 4 Ultra 16Kを開封
ダンボールを開けて本体を取り出すと、保護用のビニールや発泡スチロールがしっかり詰められており、輸送時のダメージが最小限になるよう配慮されている印象です。
緩衝材の中にはツールボックスが格納されており、スクレーパーやUSBドライブ、電源アダプタ、レジンタンクのネジなどがひと通りそろっています。
緩衝材を兼ねる発泡スチロールの内部には、ビルドプレートも入っています。落とさないよう丁寧に扱いましょう。
「Saturn 4 Ultra 16K」を机の上に安置したら、まずはレジンタンクを本体に固定します。
ビルドプレートのセットにも六角レンチは不要。レバー式の固定構造になっていて、スムーズにプラットフォームを取り付けることが可能です。
最後にカバーに付いている保護フィルムや、本体前面のビニールなどを外せば、ハードウェア面のセットアップは完了です。
Saturn 4 Ultra 16Kの初期設定
電源を入れると、まずは言語の選択画面が表示され、日本語を選択すれば以降のメニューが日本語化されます。
次にWi-Fi接続やプリンター名の設定へと移行。タッチパネルはスマホと同じ感覚で操作できるため、反応の悪さにイライラすることはありませんでした。
最後に、本体が自動的にセルフチェックを開始。1分程度の短い時間で、モーターやカメラ、ファンなど主要パーツの状態を確認してくれます(今後毎回の電源ON時にも同じチェックプロセスが実施されます)。
Wi-Fi接続すると、初回起動時にはファームウェアのアップデートを促される場合があります。アップデートはネットワーク経由で簡単に実行できるので手間いらずでした。
Saturn 4 Ultra 16Kのインターフェースをチェック
「Saturn 4 Ultra 16K」のインターフェースは、大きく見やすいアイコンが並び、日本語表記も比較的自然です。3Dプリンターに不慣れな方でも戸惑うことは少ないでしょう。
基本的には前機種「Saturn 4 Ultra」と同様のUIですが、タンク加熱やLEDのオンオフ、手動レベリングといった項目が追加されています。
タンク加熱は「プリント直前に30℃までレジンタンクを加熱する機能」と「24時間レジンを予熱する機能」の2種類があり、用途に応じて使い分けることができます。
前機種Saturn 4 Ultraからの外観の変更点は?
開封して発見した、外から見てわかる装置の主な変更点は以下のとおりです。
その他スペック上の変化については、以降で確認していきましょう。
\1/22より公式ストアにて販売開始/
ELEGOO Saturn 4 Ultra 16Kのココがスゴい!
実際に「Saturn 4 Ultra 16K」を使って各種モデルをプリントしてみると、その使いやすさだけでなく、プリント品のクオリティや成功率の高さにも感心させられました。
ここからは、そんな「Saturn 4 Ultra 16K」ならではの「スゴい!」と感じた3つのポイントをご紹介。「16K」という圧倒的な解像度にとどまらない、毎日のプリント作業を快適にしてくれる機能を確認していきましょう。
超高解像度がスゴい
その名称にも解像度の高さが全面に押し出された「Saturn 4 Ultra 16K」。
縦横のピクセルサイズが14×19umと非常に細かく、肉眼ではほとんど見分けがつかないほど滑らかな造形が楽しめます。
テストモデルがもつ、わずか0.1mmの細い柱までしっかりと表現されており、上記画像内の奥に位置するツブツブもほとんどつぶれずに形をなしています。
具体的には、エッジの立ったフィギュアのパーツやジュエリー系の複雑な装飾など、
この細かさは普通なら潰れてしまうのでは?
というレベルの微細形状でも、正確かつ美しい輪郭が出せるのは大きな魅力。
1ケタ万円台という手頃な価格帯でありながら、産業装置顔負けの圧倒的な表現力を誇っています。
短時間のレジン加熱で高い成功率
冬場など、部屋の温度が低い状態で光造形を行うと、レジンの性質上、プリントが失敗しやすいです。すでに光造形3Dプリンターを扱ったことがある方であれば、誰もが通る苦い経験でしょう。
従来の機種では、暖房を強めにかけたり、暖かい部屋にわざわざプリンターを移動したりと、ある程度の対策が必要でした。
ところが、「Saturn 4 Ultra 16K」はレジンタンクを加熱できる機能を新搭載。プリンター全体を温めるのではなく、レジンタンク自体に加熱機能が搭載されているため、短時間(30分前後)でレジン温度を適切な範囲に引き上げられるのが大きなメリットです。
実際、室温8℃・レジン温度7℃の状態からタンク加熱機能をONにしたところ、約33分でレジン温度が30℃に到達。ごく短い時間でレジンを適切な温度に温められることを確認できました。
このタンク加熱機能をONにしておけば、ユーザーがプリンターの前で待機している必要はありません。自動的に30℃程度まで温度が上昇してから、プリントを開始してくれます。
短い加熱時間で寒さによる失敗率が激減するため、時間と材料のロスを抑えられるのが嬉しいところ。あらかじめレジンボトルを温めておいたり、部屋に暖房を追加する必要もなくなるのは、光造形ユーザーにとって大変助かる機能でしょう。
24時間モニタリング可能
レビュー記事で指摘していたように、前機種の「Saturn 4 Ultra」には、暗い部屋の中ではAIカメラが役に立たないという欠点がありました。
夜間や電気を消した状態ではカメラに何も映らず、プリントの様子を見るために部屋の明かりをつけっぱなしにしておく必要がありました。
一方、後継となる「Saturn 4 Ultra 16K」は、暗所でもはっきり視認できるよう、カメラの上部にLEDが搭載されています。
このLEDライトのおかげで、真夜中でもプリンター内部をくっきり映し出せるため、24時間体制でのモニタリングが可能に。
実際、夜中に3Dプリントを開始した場合でも、くっきりとタイムラプスで一部始終を観察することができました。暗い部屋の中でのリアルタイムモニタリングも問題なく、万一のトラブル時にも早めに対処しやすいです。
AI検知も機能しやすくなるため、プリント失敗時のリスクを減らしたい方には大きな安心材料となるでしょう。
\1/22より公式ストアにて販売開始/
ELEGOO 「Saturn 4 Ultra 16K」のココに注意!
大幅な進化を遂げた「Saturn 4 Ultra 16K」ですが、すべてが完璧というわけではなく、導入前に知っておくべき注意点や課題も存在します。
ここでは、「ちょっと気になった」4つのポイントをピックアップ。実際に使ってみたからこそわかる注意点も多く、致命的な問題ではないものの、事前に把握しておくとストレスを大幅に減らせます。
下記の項目をしっかり理解したうえで導入・運用すれば、より快適に超高解像度の光造形を楽しめるでしょう。
150mm/hの実現は限定的
メーカーの公式情報では、最大150mm/hを謳っている「Saturn 4 Ultra 16K」。
ところが、実際にそこまでのスピードを安定して出すのは難しいのが実情。露光設定やレジンの性質にも大きく依存します。
一例として、以下の露光設定で最大全高220mmのモデルを実際にプリントし、時速を概算してみました。
その結果、プリントに要した時間は3時間24分。これを時速に直すと、およそ65mm/hという結果に。
レイヤー厚さを大きくしたり露光時間を短くしたりして、最大の150mm/hに近づけようとすることも可能ですが、その場合、露光不良が起こりやすくなります。
造形トラブルのリスクが増大することを考えると、過度にプリントスピードを高める試みは避けるべき。最大スピードの150mm/hは、あくまでも「条件次第」だと頭に入れておきましょう。
ビルドプレートが清掃しにくい
オートレベリングや失敗検知機能が便利な「Saturn 4 Ultra 14K」ですが、「プリント後にクリーニングしづらい」というトレードオフも抱えています。
レベリング調整や衝撃吸収が必要なためか、二重構造になっていることがその要因で、その間に入ったレジンを拭き取りにくくなっています。
同じ二重構造のビルドプレートを採用している「Saturn 4 Ultra」を10ヶ月ほど前から使用してきた筆者。全体的に扱いやすさが目立つ機種でありながら、この点だけは煩わしさを感じているのも事実。
二重構造がゆえの清掃しにくさは、「Saturn 4シリーズ」を使ってきたユーザーであれば、きっと共感してくれるはず。ぜひ次の「Saturn 5シリーズ」では改善してほしいポイントです。
(現状)スマホアプリなし
2025年のリリース時点では、「Saturn 4 Ultra 16K」に公式のスマホアプリは提供されていません。
PCからのリモートモニタリング・リモートコントロールは快適ですが、外出先で気軽にスマホから造形状況を覗いたり、緊急停止をかけたりすることができれば、より一層便利になるはず。FDM3Dプリンターではスマホアプリからのモニタリングも一般的になりつつあるだけに、外出先からのモニタリングができないことにはもどかしさを感じてしまいます。
同じくソフトウェア開発という観点では、ELEGOOは最近独自のスライスソフト「SatelLite」をリリースするなど積極的な姿勢も見せています(「Saturn 4 Ultra 16K」リリース時点ではWindowsバージョンのみ提供開始)。
今後、近いうちにスマホアプリもリリースしてくれることに期待しましょう。
ここまで挙げてきたポイントは、人によっては気になるところかもしれません。他の3Dプリンターもチェックしておきたい!という方は、比較ツール等を活用して他の機種の情報も確認しておきましょう。
「ここに記した気になるポイントは問題ないよ!」
という方にとっては、高い機能性を低コストで実現した非常におすすめできる3Dプリンターなのではないかと思います!
\1/22より公式ストアにて販売開始/
ELEGOO Saturn 4 Ultra 16Kのスペック一覧!
最後に、
「Saturn 4 Ultra 16K」の詳細スペックを、「Saturn 4 Ultra」「Saturn 4」と比較
していきます。どのような違いがあるか確認しておきましょう。
モデル名 | Saturn 4 Ultra 16K | Saturn 4 Ultra | Saturn 4 |
---|---|---|---|
本体イメージ | |||
メーカー | ELEGOO | ELEGOO | ELEGOO |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 327.4 x 329.2 x 548 | 327.4 x 329.2 x 548 | 327.4 x 329.2 x 548 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 211.68 x 118.37 x 220 | 218.88 x 122.88 x 220 | 218.88 x 122.88 x 220 |
Z軸精度[mm] | 0.02 | 0.02 | 0.02 |
積層ピッチ[mm] | 0.01-0.2 | 0.01-0.2 | 0.01-0.2 |
ピクセルサイズ[mm] | 0.014 x 0.019 | 0.019 x 0.024 | 0.019 x 0.024 |
ピクセル数(XY) | 15120 x 6230 | 11520 x 5120 | 11520 x 5120 |
プリントスピード[mm/h] | Max 150 | Max 150 | Max 70 |
データ入力 | USB Wi-Fi | USB Wi-Fi | USB |
本体重量[kg] | 16.1 | 14.5 | 13.5 |
スライスソフト | SatelLite ChituBox | ChituBox | ChituBox Voxeldance Tango |
その他 | チルトリリース LED付きAIカメラ レジンタンク加熱機能 ドリップトレー付属 オートレベリング メカニカルセンサー搭載 フリップ式カバー | チルトリリース AIカメラ搭載 ドリップトレー付属 オートレベリング メカニカルセンサー搭載 フリップ式カバー | オートレベリング メカニカルセンサー搭載 フリップ式カバー |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
一覧表で比較してみると、各モデルの微妙な違いがわかりますね。
前機種「Saturn 4 Ultra」と「Saturn 4 Ultra 16K」の違い
もっとも注目が集まるであろう、前機種「Saturn 4 Ultra」からのアップグレードを改めて整理しておきます。
名前は「16K」がついただけですが、アップグレードは解像度だけではありません。むしろ、
「『Saturn 5』と呼んでもよいほどの大幅アップグレードでは?」
と思わせてくれるほどの進化が実現されています。
ちょっと安い「Saturn 4 Ultra」にしようかな…
と考えている方には、
ぜひ大進化を遂げた「Saturn 4 Ultra 16K」を選んでほしい!
と声を大にしてお伝えしたい、そんな充実ぶりです。
\1/22より公式ストアにて販売開始/
まとめ:大幅アップグレード!どんな環境でも超高解像度なSaturn 4 Ultra 16K!
今回は、ELEGOOの最新光造形3Dプリンター「Saturn 4 Ultra 16K」の特徴や実際のセットアップ、スゴい機能、そして注意点を徹底実機レビューしてきました。
「16K」という超高解像度はもちろん、レジンタンク加熱機能、そしてカメラ上部に追加されたLEDを活かして暗闇でもモニタリングできるなど、さまざまな新要素が盛り込まれていることが伝わったのではないでしょうか?
自分だけの超高精細モデルやフィギュアを、快適かつスムーズに作り上げたい方にはぴったりの1台となりえる「Saturn 4 Ultra 16K」。
家庭用サイズで高精細プリントを本格的に楽しみたいという方は、ぜひ導入を検討してみてくださいね!
\1/22より公式ストアにて販売開始/