こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
Crealityの家庭用FDM方式3Dプリンター「Ender-3 S1 Pro」について解説&実機レビュー
していきます。
CrealityはFDM・光造形の両方式の3Dプリンターを販売する有名企業。FDM(Fused Deposition Modeling, 熱溶解積層)方式3Dプリンターとしては「Enderシリーズ」が有名で、中でも「Ender-3シリーズ」はユーザーからの評価がとくに高いラインナップとなっています。
そんな「Ender-3シリーズ」の大ヒット3Dプリンターの1つが、「Ender-3 S1 Pro」。
いったいどんな3Dプリンターなのでしょうか?「Ender-3シリーズ」の他機種とはどのような違いがあるのでしょうか?
について、使い勝手を交えながら実機レビューしていきたいと思います!
それでは見ていきましょう!
Creality 「Ender-3 S1シリーズ」の特徴
実機レビューに入る前に、「Ender-3 S1シリーズ」の特徴について確認しておきましょう。
「特徴はいいから実機レビューが見たい!」
という方は該当箇所までジャンプしてください。
「S1」シリーズは、
といった位置づけです。
の3機種が存在し、全機種が
で、その使い勝手の良さが特徴です。
3機種のスペック一覧表を掲載しておきます。「S1 Pro」ならではの特徴については次の項目で解説していきます。
モデル名 | Ender-3 S1 | Ender-3 S1 Pro | Ender-3 S1 Plus |
---|---|---|---|
本体イメージ | |||
メーカー | Creality | Creality | Creality |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 487 x 453 x 622 | 490 x 455 x 625 | 557 x 535 x 655 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 220 x 220 x 270 | 220 x 220 x 270 | 300 x 300 x 300 |
エクストルーダ | ダイレクト | ダイレクト | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | 160 | 160 | 150 |
最大ノズル温度[℃] | 260 | 300 | 260 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 100 | 110 | 100 |
組み立て | 半組み立て済 | 半組み立て済 | 半組み立て済 |
プラットフォーム | PCばね鋼 | PEIばね鋼 | PCばね鋼 |
オートレベリング | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ | ○ |
密閉 | × | × | × |
ディスプレイ | ノブ式 | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | ○ | ○ | ○ |
データ入力 | SDカード USB-C | SDカード USB-C | SDカード USB-C |
本体重量[kg] | 9.1 | 8.7 | 10.25 |
スライスソフト | - | - | - |
その他 | LED搭載 | ||
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
「Ender-3 S1 Pro」の特徴【S1/S1 Plusとの違い】
「Ender-3 S1 Pro」の特徴として、3つのプラスアルファに注目です。
1つ目は、
です。「Ender-3 S1シリーズ」一覧表を見るとわかるように、「Ender-3 S1 Pro」はノズルの最高温度が300℃にまでアップしています。これにより、「PA(ポリアミド)」のような高温に熱する必要のあるフィラメントも使用することができるようになっています。
2つ目は、
です。
「Ender-3 S1 Pro」に標準搭載されているPEIばね鋼プラットフォームは、高速加熱が可能で、かつ柔軟性が高いという使い勝手の良さが特徴です。近年では、低価格帯の3Dプリンターにも標準搭載されるようになってきており、PEIばね鋼プラットフォームが使用されているかどうかはチェックしておきたいポイントです。一度使ったら、きっと他のプラットフォームには戻れないでしょう。
そのほかに、
している点も地味ながら重要なポイントです。作業していると、よく見たい部分が自分の影になって見えづらいことが少なくありません。そんなときにポチッと明るくできる機能は想像以上に有用です。
「Ender-3 S1 Pro」の実機レビュー!
さて、ここまでは「Ender-3 S1シリーズ」と「Ender-3 S1 Pro」の概要について述べてきました。
ここからは、
「実際に使ってみてどうなのか?」
について、実機レビューしていきたいと思います!
開封!
ダンボールの中には、細かいパーツは基本的に組み立て済みの、モジュール化されたメインパーツが入っています。上段には部品類が、下段にはフレーム(ガントリー)部分とPEIシートを搭載したプラットフォーム部分が格納されています。
組み立て!
さっそく組み立てていきます。組み立て作業の手順は以下の通りです。
で完了です。
組み立て完了した「Ender-3 S1 Pro」がこちら!
実際に組み立てたところ、15〜20分程度で組み立てることができました。
大きめのパーツを数点ネジ止めするだけなので、苦労することなく組み立てることができました。
オートレベリングを実行して、3Dプリント前の準備完了です。
3Dプリント実行!
組み立てが完了したので、さっそく3Dプリントを開始していきます!
同梱のSDカードに保存されていたテストモデルをプリント。。。
かわいらしいうさぎさんがプリントされました!
サポートやbrim(第一層の定着を良くするための余剰部分)なしでもキレイにプリントできています。
前述の通り、PEI磁気ばね鋼プラットフォームを採用しているため、
という便利な仕様を体感することができました。
使ってみてわかった!「Ender-3 S1 Pro」のココがすごい!
ここからは、
実際に使ってみて感じた「Ender-3 S1 Pro」のスゴいところ
を紹介していきたいと思います。
半組み立て済みでスムーズにプリント開始できる!
「Ender-3 S1 Pro」は、
です。
他の機種では、「Ender-3」のように
という3Dプリンターも少なくありません。人によってはDIY的に組み立てる楽しさを感じる場合もあるかもしれませんが、初心者であれば迷わず「Ender-3 S1 Pro」のような半組み立て済み機種を選ぶことをおすすめします。
瞬時にオンオフできるガントリーLEDが便利!
「Ender-3 S1 Pro」には、ガントリー(フレーム)上部にLEDが搭載されています。これにより、
といったシチュエーションであっても、快適に準備・片付け作業やプリントの様子見をすることが可能です。
LEDバーの側面に物理スイッチがついているので、瞬時にオンオフできるのも便利です。
最大300℃の高温ノズル、ダイレクトドライブ式で使えるフィラメントが豊富!
「Ender-3 S1 Pro」は、
という特徴があります。
上の画像のように、TPUフィラメントを使用したスマホケースをプリントすることも可能で、造形の幅を大きく広げることが可能です。
使ってみてわかった!「Ender-3 S1 Pro」のココに注意!
個人的に気になった点についても紹介していきます。人によって好みも異なりますので、選択する際の参考にしてみてください。
手動(補助)レベリングネジあり、オートレベリング点数少なめ
機種によって、手動レベリング用のネジがついているもの・ついていないものの両方が存在しますが、「Ender-3 S1 Pro」は前者です。
初心者にとっては、自分でレベリング(傾き調整)をするのは難易度が高いと感じる方も少なくないはず。手動の補助レベリング不要の機種も登場してきているので、この点が気になる方は完全オートレベリングタイプの3Dプリンター(「Ender-3 V3 SE」、「Kobra 2 Pro」等)もあわせて検討してみると良いでしょう。
最大プリントスピード160mm/sはかなり低速
数々の利点をもつ「Ender-3 S1 Pro」ですが、
と言わざるを得ないでしょう。
家庭用3Dプリンターにおいても、最速クラス機種の最大プリントスピードは600mm/sに達する昨今。リリースから時間が経っていることもあり、プリントスピードという点では「Ender-3 S1 Pro」はいささか時代遅れの感があります。
速さが全てではないとは言え、造形時間(=生産性)に直結するプリントスピードが遅いのは致命的です。「Neptune 4」のように、価格差がほとんどないか、むしろ「Ender-3 S1 Pro」よりも安価な3Dプリンターも続々登場しています。比較ツール等も活用しつつよく吟味した上で選択することをおすすめします。
まとめ:機能性に優れた人気3Dプリンター「Ender-3 S1 Pro」
今回は、Creality「Ender-3 S1 Pro」について解説&実機レビューしました。
高いノズル最大温度ややわらかいフィラメントのプリントにも強いエクストルーダーの採用、オートレベリング機能・LED搭載といった数々の利点をもつ3Dプリンターであることがわかりましたね!
一方で、プリントスピードの点では同価格帯の最新機種に大きく水をあけられているというデメリットも。
「よく名前を聞くから、あまり比較せずに選んでしまった!スピードが遅くて後悔。。。」
ということのないように、よく比較検討してから選ぶようにしましょう。「Age of 3DP」の「比較ツール」や「実機レビュー記事」をぜひ参考にしてみてくださいね!