こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は光造形(レジン)プリンターで知られるPhrozenが、
初のFDM 3Dプリンター「Arco」を販売開始!
ということで、「Arco」の実力やスペックをじっくり紹介していきます。
「Arco」は、高速FDMマシンの代名詞であるBambu Labマシンを強く意識した設計であり、そのスペックは市場をリードする競合マシンを上回るとされているようです。
本記事では「Arco」の特徴はもちろん、その実力が既存の高速機と比べて本当に優れているのかを徹底解説していきます。
ぜひ、最後まで読んで導入の参考にしてみてください。

| モデル名 | Arco |
|---|---|
| 本体イメージ | ![]() |
| メーカー | Phrozen |
| 価格(サンステラ) | ¥112,730 (2025-11-24 14:31 時点) |
| 価格(SK本舗) | - |
| 価格(Amazon) | - |
| 価格(海外ストア) | - |
| 本体サイズ(LxWxH)[mm] | 492 x 475 x 620 |
| 本体重量[kg] | 22 |
| 構造 | CoreXY(フライングガントリー) |
| 密閉 | ペンタシールド(オプション) |
| ヒートチャンバー | - |
| 組み立て | 組み立て済み |
| 造形サイズ(LxWxH)[mm] | 300 x 300 x 300 |
| 最大スピード[mm/s] | 1000 |
| 推奨スピード[mm/s] | - |
| 最大加速度[mm/s²] | 40000 |
| 最大押出流量[mm³/s] | 50 |
| 最大ノズル温度[℃] | 300 |
| 最大ヒートベッド温度[℃] | 110 |
| 対応フィラメント | PLA, PETG, ABS, ASA, PET, PVA, TPU |
| マルチカラー | Chroma Kit 併用で4色 |
| 消費電力[W] | 900 |
| ディスプレイ | タッチ式 |
| Wi-Fi | ○ |
| 内部ストレージ[GB] | 8 |
| カメラ/リモートモニタリング | ○ |
| スライスソフト | PIXUP FDM Slicer Orca Slicer |
| その他 | |
| 出典 | 公式サイト |
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3Dプリンターブランド Phrozenとは?

Phrozenは、台湾で生まれた産業用・医療用・個人用のプロシューマー向け3Dプリンターを製造しているブランドです。
台湾を拠点に、日本・韓国・米国・ヨーロッパなど海外にも展開しています。
そんなPhrozenですが、これまでの主戦場は光造形3Dプリンター。
と、これまで3つのシリーズ展開をしながら、さまざまな光造形3Dプリンターを開発・提供してきました。
今後も光造形3Dプリンターに特化するのかと思いきや、新たに発売となったのがPhrozen初となるFDM3Dプリンター「Arco」です。
長年培ってきたその技術力を、FDMプリンターにどのように応用したのでしょうか。
光造形3Dプリンターに関する詳細は、以下記事から確認してみてください!
競合マシンを凌駕するPhrozen Arcoとは?主要スペック詳細

Phrozenはこれまで、主に光造形3Dプリンターやレジンの販売を行ってきたブランドです。
しかし、今回ついに「Arco」を皮切りにFDM方式の3Dプリンター市場に進出しました。
長年培ってきたその技術力を、FDMプリンターにどのように応用したのでしょうか。
まずは「Arco」の主要スペックを確認していきましょう。
マルチカラー・マルチマテリアルに関しては、後述します!
最大造形サイズは大型の300×300×300mm³
「Arco」の最大造形ボリュームは、300×300×300mm³です。
多くの競合マシンが256×256 ×256 mm³といった造形サイズを持つため、「Arco」はより大きなモデルをプリントする際に役立ちます。
驚異的な高速性能(速度・加速度・流量)
「Arco」の最大プリント速度は1,000mm/sに達し、最大加速度は40,000mm/s²に達します。
主要な競合マシンの最大プリント速度は500mm/s、最大加速度は20,000mm/s²であることを考慮すると、いずれも極めて高い数値であることがわかるでしょう。
さらに、最大流量(吐出量)に関しても、「Arco」は50mm³/sを誇ります(CHTノズル使用時)。
これも競合マシンの32mm³/sや40mm³/sといった数値を上回るもので、高速造形を可能にする重要な要素です。
たとえば、寝る前にプリントを開始しておけば、
朝、起きたらプリントが完了していた!
なんてことも実現できるレベルのスピードでしょう。
これらの高速性能は、Phrozen高速PLAフィラメントとCHT高流量ノズルを組み合わせることで、0.2mm層高においても最大限に発揮されます。
CoreXY構造×フライングガントリーによる安定性
「Arco」は、CoreXY構造とフライングガントリーを組み合わせた固定式プリントベッド構造を採用しています。
一般的なCoreXYプリンターの多くは、印刷中に加熱ベッドが動く設計(Z軸移動やX軸移動など)であるため、造形モデルに揺れが生じやすいという課題がありました。
重心が不安定になり、大きなプリントでは失敗のリスクが高まったり、レイヤーシフトや糸引きが発生しやすくなったりしていたのです。
ですが「Arco」では、固定された加熱ベッドを使用し、代わりにフライングガントリーがプリントヘッドを精密に持ち上げます。

この最適化された構造により、モデルは加熱ベッド上にしっかりと固定され重心が低くなるため、超安定したプリントが実現するのです。
安定性があることで、
といったメリットも生まれます。
ちなみに、加熱ベッドは4層構造であり、90%以上の均一な熱分布を実現。
これにより反りを防ぎ、特に大きなプリントでも最初の層からしっかりと造形物を固定するのに役立ちます。
ベッドはわずか2分で100℃に到達する高速加熱能力を持ち、最大加熱ベッド温度は110℃まで対応しています。
独自のエクストルーダー構造とノズルオプション
「Arco」は、安定した高品質な高速造形のために独自のエクストルーダーとノズルオプションを採用しています。
まずは、独自のエクストルーダーについて。
エクストルーダーには、FDMプリント機として初めて特許取得済みの産業グレードヒートパイプ技術を導入。
これは「ARCO DEP Extrusion」と呼ばれ、18mmの大型ギアと組み合わされることで、押出ギアとノズルの間の距離が短縮されています。

距離が短縮されることで、
といったことが実現できます。
次に、ノズルオプションについても確認していきましょう・
高速印刷用には、Bondtechが設計した「CHT®ノズル」を採用。
溶融コアで融解効率を高め、最大50mm³/sの流量をサポートします。
また、長時間のプリントや摩耗性フィラメントに対応するため、Slice Engineering製の「SE GammaMaster®」ノズルも採用。
これは硬化合金、Low Gamma™コーティング、銅ベースのコアを組み合わせ、強い耐摩耗性と高い熱伝導率を提供します。
最後に、日常的な使用にはPLAやPETGなどの一般的なフィラメントに対応する、最大ノズル温度300℃の「Phrozen Standard」ノズルも用意されています。
密閉構造はオプション(ペンタシールド)
「Arco」の特徴の1つともいえるのが、標準では密閉されていない構造であること。
ですが、より安定した環境でプリントを行うため「ペンタシールド」と呼ばれる密閉を可能にするエンクロージャーキットが別売りされています。
「ペンタシールド」は、
といったプリント環境を実現してくれます。
ユーザーは自動ファン調整を選択することも、特別なプリントのためにファンをオフに切り替えることも可能です。
マルチカラー・マルチマテリアルにおけるArcoの実力は?

「Arco」は、マルチカラー・マルチマテリアルにも対応しています。
高速性能だけでなくフィラメントを自動で管理し、マルチカラープリントを実現する機能によって、Bambu Labマシンに真っ向から対抗する機種としてFDM市場に参入したといえるでしょう。
ここからは、
といった「Arco」の拡張機能についても見ていきましょう。
4色対応「Chroma Kit」の高速フィラメント交換システム
マルチカラープリントを実現するのが「Chroma Kit」。
「Chroma Kit」を使用することで、最大4色(将来的には16色対応予定)でのプリントが可能となります。
大きな特徴は、なんといっても色変更の素早さ。
「4-Tube Direct Feed」という4本の専用チューブがプリントヘッドにフィラメントを直接供給する仕組みを採用しており、色変更の速度が従来方式に比べて50%向上しています。
これによりプリントの中断時間が大幅に減少し、ユーザーは待機時間を気にすることなく、よりスムーズなマルチカラープリントを楽しむことができます。
フィラメントの切り替えが多いマルチカラーおよびマルチマテリアルプリントにおいて、全体のプリント時間を短縮してくれるのは、ユーザー体験を向上させる重要な要素となるでしょう。
豊富なスライサーオプションとKlipperシステム
「Arco」は複数のソフトウェア互換性を提供しており、使いやすさとカスタマイズ性を両立しています。
対応スライサーソフトウェアとしては、
が、挙げられます。
「PIXUP FDM Slicer」はクリーンでシンプル、シームレスなプリント体験のためにPhrozenがゼロから構築した独自のソフトウェアです。
一方、PhrozenはOrca Slicerと協力し、Phrozenマシン向けに最適化された特別バージョン「Phrozen Orca Slicer」も提供しています。
これにより、Orca Slicerのフル機能を基盤としつつ、「Arco」本体や「Chroma Kit」とのスムーズで安定した接続が可能です。
さらに、「Arco」は上級メーカーに信頼されている人気の「Klipperファームウェア」を搭載。
そうすることでユーザーはオープン設定に完全にアクセスでき、最高のパフォーマンスを引き出すために設定を限界まで調整することが可能になります。
ファイル転送はWi-FiまたはUSB経由で行え、.gcode形式に対応しています。
また、高品質な3Dモデルマーケットプレイス「PIXUP Marketplace」も利用でき、モデルをダウンロードしてすぐにプリントを開始できる環境が整っています。
【比較】Bambu Labマシン・CrealityマシンとArcoの差は?

「Arco」がFDM市場に参入するにあたり、既存の高性能マシンとの違いは、かなり気になるところでしょう。
4種類のフィラメントを使ったプリントが可能だったり、将来的には16色まで拡張できる予定だったりと、かなりBambu Lab のAMSを意識したつくりになっていることがわかります。
ここからは「Arco」の主要スペックを競合マシンと比較して、その違いを見ていきましょう。
Bambu Labマシンとの違いは?
主な違いは、スペックにあります。
「Arco」とBambu Lab「P1S」のスペックを比べると、
のように、「Arco」は後発ということもあって、しっかり上回るスペックを誇っています。
Crealityマシンとの違いは?
もう1台、競合になりうるマシンとしてCrealityの「K1 Max」とも比較してみましょう。
同機種はマルチカラーでない点は大きな違いですが、高速プリンターという点ではかなりスペックが近いです。
最大プリントスピードと造形サイズは双方同じですが、「K1 Max」の最大加速度は20000mm/s²と「Arco」よりも小さい値になっています。
まとめ:Arcoは高速FDM市場の新たな選択肢となるか

Phrozen初のFDM 3Dプリンターである「Arco」は、その優れたスペックと革新的な構造により、既存の高速FDMプリンター市場に強力な競争をもたらす可能性を秘めています。
特に、固定式ベッドとフライングガントリーを採用したCoreXY構造は、高速造形時の安定性を根本的に改善する設計上の大きな強みです。
最大速度1,000mm/s、最大加速度40,000mm/s²、最大流量50mm³/sといった数値は、主要な競合機を上回っており、超高速プリントを実現します。
また、マルチカラー対応の「Chroma Kit」や、高性能な押出システム、オプションのペンタシールドによる環境制御など機能面でも充実しています。
高性能な競合マシンと比較しても、後発機として高速FDMプリンター市場でトップクラスの性能を目指していることが見てとれるでしょう。
今後「Arco」がFDM市場における新たなハイエンドの選択肢として、注目を集めることは間違いありません。
Phrozenの動向にも目を光らせつつ、高性能FDMマシンの仲間入りを果たした「Arco」をぜひ自身の手で使ってみてください。
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