こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、Prusa ResearchのFDM3Dプリンター「Original Prusa MK4」について解説していきます。
3Dプリンター愛好家の間では有名な3Dプリンターブランド「Prusa Research」。2023年に登場した最新3Dプリンター「Original Prusa MK4」とはいったいどのような3Dプリンターなのでしょうか?
基本性能やオプションとしてのアップグレードにも触れつつ、その特徴について詳しく解説していきます。
それでは見ていきましょう!
3Dプリンターブランド「Prusa Research」とは
「Prusa Research」とは、チェコのプラハに本社を置く3Dプリンターの製造会社です。2012年にJosef Prusa氏によって設立されました。今では毎月9,000台以上もの3Dプリンターを全世界に出荷しています。
Prusa Researchが手掛けるのは、3Dプリンター本体の製造・販売だけではありません。同社の主な事業は以下の通りです。
「PrusaSlicer」や「Printables」は、日本国内でもユーザの多い著名なソフトウェア・プラットフォームです。「知ってる」「使っている」という方も多いのではないでしょうか?
知られざるPrusa Research製3Dプリンターの興味深いところは、
3Dプリンターのパーツが、3Dプリンターによって製造されている
という点です。工場では約600台の3Dプリンターが常時稼働し、3Dプリンターに使用されるプラスチック部品が次々と「収穫」されているのです。
興味のある方は冒頭の公式YouTube動画をご覧ください。膨大な数の3Dプリンターがパーツを一斉に製造する様はまさに壮観です(2018年当時は300台の3Dプリンターだったようです)。
(出典:About us | Original Prusa 3D printers directly from Josef Prusa)
「Original Prusa MK4」の特徴
Prusa Researchの概要を理解したところで、「Original Prusa MK4」の特徴について見ていきましょう。
高速・高品質!生まれ変わったOriginal Prusa最新3Dプリンター
「Original Prusa MK4」は、高品質・オープンソースで評判の高いOriginal Prusaシリーズの最新3Dプリンター。各種メディアで高い評価を得たMK3シリーズの後継に当たる、注目の1台です。
MK3シリーズから大幅な進化を遂げており、なんと90%以上のパーツが新しくなって生まれ変わっています。いくつかの例を見てみましょう。
イッキにモダンな機能を搭載し、その価格に引けを取らない「万能」性を感じさせる3Dプリンターとなっています。
上記の公式YouTube動画では、「Original Prusa MK4」の魅力を短時間でざっとつかむことが可能です。興味のある方は1度見てみると良いでしょう。
Benchyをたったの20分で!高速プリントが可能
上記のアップグレードに加え、高速プリントが実現されている点も「Original Prusa MK4」の魅力です。
昨今話題のKlipperと同等のInput Shaper、Pressure Advance技術(後述)を独自に実装しており、「MK3」に比べて最大70%のプリント時間短縮を実現しています。
その実力が顕著に表れているのが、#3DBenchyを20分以下でプリントしている以下の公式YouTube動画。「Original Prusa MK4」は最大プリントスピードがスペック値として明言されていないものの、確かな実力をもっていることは確認できますね。
組み立て済み or 要組み立てを選択可能
「Original Prusa MK4」は、「組み立て済み」か「自分で組み立てるキットの形」を選択して購入することになります。それぞれのメリット・デメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
メリット | デメリット | |
組み立て済み | 届いたらすぐに使い始められる 工場でテスト済みなので安心 | 組み立てキットより高額 |
組み立てキット | 組み立てながら3Dプリンターの仕組みを学べる | 組み立てに時間がかかる(約8時間) |
エンクロージャ(造形部を覆う囲い)のないタイプの3Dプリンターとしては、「組み立て済み」状態で配送される3Dプリンターは珍しいです。「半組み立て済みですら面倒!」という方には嬉しいですね。
一方、3Dプリンターの仕組みを学びながら自分で組み立てることができるキットも選択できるのは、Original Prusaシリーズに共通する特徴の1つでもあります。価格が比較的安く、DIY的に3Dプリンターを組立てられる楽しみがある一方で、プリント開始までに時間と手間がかかる点には注意しましょう。
「Original Prusa MK4」のスペック一覧
「Original Prusa MK4」のスペックを一覧で確認してみましょう。参考として、同社の先代モデル「Original Prusa i3 MK3S+」のスペックをあわせて掲載しています。
モデル名 | Original Prusa MK4 | Original Prusa i3 MK3S+ |
---|---|---|
本体イメージ | ||
メーカー | Prusa Research | Prusa Research |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 500 x 550 x 400 | 500 x 550 x 400 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 250 x 210 x 220 | 250 x 210 x 210 |
エクストルーダ | ダイレクト | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | - | 200 |
最大ノズル温度[℃] | 290 | 300 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 120 | 120 |
組み立て | 組み立て済み /要組立(キットの場合) | 組み立て済み /要組立(キットの場合) |
プラットフォーム | PEIシート | 磁気ばね鋼(3種) |
オートレベリング | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ |
密閉 | × | × |
ディスプレイ | ノブ式 | ノブ式 |
デュアルZ軸 | ○ | ○ |
データ入力 | USB LAN | SDカード |
本体重量[kg] | 7 | 7 |
スライスソフト | PrusaSlicer | PrusaSlicer |
その他 | 本体サイズはスプールホルダーを除く 印刷速度:Benchyを20分で印刷可能 | 本体サイズはスプールホルダーを除く |
出典 | 公式サイト | 公式サイト |
オプション:マルチマテリアル(MMU3)やエンクロージャ設置、MK4へのアップグレードも可能
最後に、オプションとして設置することが可能な「マルチマテリアルアップグレード3(MMU3)」や「エンクロージャ」にも触れておきましょう。
「マルチマテリアルアップグレード3(MMU3)」を使用可能(MK3S+と共通)
「マルチマテリアルアップグレード3(MMU3)」とは、単一エクストルーダーの3Dプリンターを使いながら、最大5つの異なる材料(色)を同時にプリントできるようにアップグレードするオプションキットです。
スライスデータをもとに色や材料は自動で変更され、マルチカラーの3Dプリントが可能になります。
専用のエンクロージャも設置可能(MK3S+と共通)
「Original Prusa MK4」は造形エリアが開放された(露出した)タイプの3Dプリンターですが、オプションのエンクロージャを設置すれば、密閉型の3Dプリンターのように使用することも可能です。
エンクロージャを設置すると、以下のようなメリットがあります。
フィラメントの種類によってはエンクロージャが欠かせないものもあります。用途に応じて導入を検討すると良いでしょう。
まとめ
今回は、Prusa Researchの最新FDM3Dプリンター「Original Prusa MK4」について解説してきました。
Prusa Researchの最新3Dプリンター「Original Prusa MK4」。3Dプリンター愛好家であれば、非常に興味のそそられる1台だったのではないでしょうか?
「Original Prusa MK4」は日本のAmazonでは未出品(2023年7月時点)のため入手に手間がかかります。先代機種の「Original Prusa i3 MK3S+」もあわせて検討してみてください。
Original Prusa MK4 キット
Original Prusa MK4 組み立て済み
高速3Dプリンターに興味のある方は、他社の高速3Dプリンターも検討してみましょう。
入手しやすい他社の高速3Dプリンターも検討しよう
高速・高品質に魅力を感じるものの、入手性の低さやその値段の高さがネックとなる「Original Prusa MK4」。
入手しやすくて、手頃な価格の高速3Dプリンターがほしい!
ということであれば、選択肢はPrusa Researchの3Dプリンターに限りません。世の中にはすでに同等か、それ以上のスピードが実現できる家庭用3Dプリンターが存在しています。ここではいくつかの選択肢を紹介していきます。
Creality「K1」
上位機種の「K1 Max」は、「Original Prusa MK4」より大きい造形サイズも実現しています。K1シリーズの詳細は、以下の解説記事をご覧ください。
ELEGOO「Neptune 4」
「Neptune 4」は、2023年6月に登場したELEGOOの最新FDM3Dプリンター。4万円台ながら500mm/sのプリントスピードを実現するという破格のコスパが特徴です。