失敗しない!初心者向け3Dプリンター完全ガイド!選び方・価格帯・必要な準備を徹底解説!

こんにちは、管理人のウノケンです。

「3Dプリンターに興味があるけどハードルが高い!」「何からはじめれば良いのかわからない!」と感じている方は多いのではないでしょうか?

今回は、そんな3Dプリンターをはじめたい初心者の方に向けて

  • 家庭用3Dプリンターの基礎
  • 初心者向け3Dプリンターの選び方
  • 初心者向け3Dプリンターの価格帯
  • 初心者向けおすすめ3Dプリンターの例
  • 家庭用3Dプリンターをはじめるために最低限必要なモノ・技術

について徹底解説していきます。

これさえ読めば、3Dプリンターについて何も知らない状態からサンプルデータの出力まで到達できる完全ガイドとなっています。

この記事を読めば、

  • 「ネット上にはいろいろな情報があふれていて混乱する!」
  • 「パソコンや3Dモデリングの知識がないけど大丈夫?」
  • 「スライスソフト(スライサ)って何?」

という方でも3Dプリンターデビューの第一歩を踏み出すことができるはずです。

それでは見ていきましょう!



家庭用3Dプリンターの【基礎】

まずは、家庭用3Dプリンターを使ってできることや種類について、基礎情報をインプットしておきましょう。

3Dプリンターとは

3Dプリンターとは名前の通り、立体的(3D)な造形物を印刷(プリント)する装置です。3Dデータを元にフィラメントやレジンといった樹脂を層状に固めながら積み上げていくことで造形物が形作られます。

2000年代以前は業務用(プロ向け)として使用されることが多かった3Dプリンター。今では多数の家庭用(コンシューマ向け)3Dプリンターメーカーがしのぎを削り、高性能な機種が家庭用として手の届く価格帯(10万円以下)で購入できるようになっています。

家庭でも気軽に3Dプリンターが使えるようになり、

  • フィギュア
  • 生活雑貨
  • ハンドメイド品

など、アイデアを活かした造形物制作を楽しむ方が増えてきています。

自分の思い描いた立体形状を手軽かつ高精度、しかもすばやく形にできる唯一無二の存在として、今まさに世界中の家庭に3Dプリンターの普及が進んでいます。

家庭用3Dプリンターには2種類ある

現在、市販されている家庭用3Dプリンターには、大きく分けて次の2つの種類があります。

  • FDM(Fused Deposition Modeling)方式
  • 光造形方式

各方式の特徴について確認してきましょう。

FDM(Fused Deposition Modeling、熱溶解積層法)方式

FDM方式3Dプリンター本体(左)とフィラメント(右)(出典:Creality)

「FDM(Fused Deposition Modeling)」は、日本語で「熱溶解積層法」と訳されます。

「FDM」という名称はもともと、3Dプリンターの大手企業であるストラタシス社の商標です。そのこともあり、「FFF(Fused Filament Fabrication)」という一般名称で呼ばれることもあります。FDMとFFFは同じ方式を指しているということは覚えておきましょう。

FDMは、熱で繊維状の樹脂(フィラメント)を溶解して、積層する方式です。「熱溶解積層」の名前のとおりですね。

家庭用のFDM方式3Dプリンターは、最安で2万円台前半で購入することが可能です。機能が充実した人気の機種であっても、10万円以下で購入できるものが多いです。

光造形方式

光造形方式3Dプリンター本体(左)とレジン(右)(出典:ELEGOO)

「光造形」も家庭用3Dプリンターにおける代表的な2つの方式のうちの1つです。

その名の通り「光」を使った造形方式で、液体の樹脂(レジン)を1層1層固めながら3次元形状を形作っていきます。

ひとくちに「光造形」といっても、用いる光源やシステムの違いに応じて、SLAやLCD、DLPなどいくつかの種類があります。

家庭用の光造形方式3Dプリンターも、最安で2万円台で購入することが可能です。解像度が高かったり、造形サイズの大きいハイスペックな機種であっても、10万円以下で購入できるものが多いです。



初心者向け3Dプリンターの【選び方】

家庭用3Dプリンターといっても、非常に多くの機種が続々登場する昨今。初心者の方にとってはどの機種を選べばよいのか困ってしまうでしょう。

ここでは、初心者の方が具体的な機種を選ぶ前のポイントを3つ解説していきます。すでに3Dプリンターの導入や取り扱いに手慣れている経験者の方とは違った注意点があるので、しっかり押さえておきましょう。

ポイント1. まずは「FDM」と「光造形」のどちらかを選択する

3Dプリンターを導入する際にまず考えるべきことは、さきほど紹介した「FDM方式」と「光造形方式」のどちらを選ぶのかということです。個人的には以下の2点が判断基準になるかと思います。

判断基準:「FDM方式」と「光造形方式」のどちらを選ぶ?
  • 3Dプリンターを使って作りたいものが、
    • 「強度が必要な日用品」であれば「FDM方式」
    • 「美を求めるフィギュア系用途」であれば「光造形方式」
  • 面倒な処理はしたくないタイプであれば、はじめは「FDM方式」がおすすめ

詳しくはFDMと光造形の方式による違いを解説したページに記載していますが、

  • FDMの方が強度のあるモノを作りやすく、
  • 光造形の方がなめらかな表面やディテールの再現度が高い

という傾向があります。ご自身が3Dプリンターを使って作りたいものをイメージした上でどちらを選ぶか決めると良いでしょう。

また、2つの方式では3Dプリンターを使って造形物をプリントする前後の準備や後処理のやり方が異なります。「光造形方式」の方が比較的手間がかかるので、面倒くさがりな方は「FDM方式」から3Dプリンターをはじめてみることをおすすめします。

ポイント2. 定番品やアフターサポートのある機種を選択する

「FDM方式」と「光造形方式」のどちらで3Dプリンターをはじめるかが決まったら、いよいよどの機種を選ぶか吟味することになります。

今では複数の3Dプリンターを使用する筆者の実感として、「最初の3Dプリンターは定番品やサポートのある機種から選ぶ」ことをおすすめします。

定番品

ユーザが多く、困ったときに情報を得やすいです。スペックは高いけど日本ではあまり知られていないメーカーの製品や、最新の3Dプリンターはユーザが少ない場合も多く注意が必要です。

初心者におすすめの定番モデルについては「初心者でも安心して使用できるおすすめ3Dプリンター」の項目で紹介しています。

サポートのある機種

販売代理店によるサポートのある機種を選ぶのも安心感があって良いでしょう。家庭用3Dプリンターメーカーは中国が圧倒的に多く、困ったときにメーカーに対応してもらうということが難しいです。その点、3Dプリンター専門の代理店から購入することで、サポートや無償修理等の恩恵を受けることができます。

例えば、多数の海外3Dプリンターメーカーの国内代理店となっているSK本舗は、二次硬化機や水洗いレジン、取替用のFEPが光造形3Dプリンターとセットになった初心者導入セットを提供しています。必要品が本体にセットになっているうえに、以下のような初心者にうれしいサポートが付属しています。

  1. サンプル出力までのメールサポート
  2. 初期不良時の無償交換
  3. 1年以内の無償修理
  4. 3Dプリンターガイド冊子つき

はじめのうちは3Dプリンターの操作に慣れていないため、うまくプリントできなかったり、うっかり破損させてしまうこともあります。3Dプリンターに慣れていない初心者の方はとくに、このようなサポートが充実した国内代理店から購入するのがおすすめです。

ポイント3. 中〜大型よりも小型機種を選択する

もう一点、押さえておきたいポイントは、「はじめに選ぶ3Dプリンターは小型機種がおすすめ」だということです。中〜大型機種に対して小型機種をおすすめする理由は以下のとおりです。

  • 設置場所に困らない
  • 組み立て・メンテナンスに不慣れでも対応しやすい
  • 価格が安い

3Dプリンターは、意外と場所をとります。大きめの機種を選択した場合、設置場所に困ってしまう方もいるでしょう。

また、装置の組み立て(FDM方式)や、造形物をプラットフォームから取り外す(光造形方式)際に、小型機種を使って慣れておくことが好ましいです。

加えて、サイズが大きいほど価格も上がる傾向にあるため、3Dプリンターの最初の一歩としてはコスパの良い小型モデルを選ぶのがおすすめです。

「小型機種」はどれくらいのサイズ?

「小型機種」に明確な基準があるわけではないので、あくまでも市販されている装置のなかで小さめサイズを選ぶということになります。具体的に家庭用3Dプリンターの中でどの程度サイズの違いがあるのか、FDM方式と光造形方式のそれぞれで確認していきましょう。

FDM方式では、「Creality Ender-3」、「Creality Ender-3 S1 Plus」、「Anycubic Kobra Max」をピックアップします。

モデル名Ender-3Ender-3 S1 PlusKobra Max
本体イメージ
メーカーCrealityCrealityAnycubic
本体サイズ(LxWxH)[mm]440 x 440 x 465557 x 535 x 655715 x 665 x 720
造形サイズ(LxWxH)[mm]220 x 220 x 250300 x 300 x 300400 x 400 x 450
エクストルーダボーデンダイレクトボーデン
プリントスピード[mm/s]Max 180Max 150Max 100
最大ノズル温度[℃]255260260
最大ヒートベッド温度[℃]10010090
組み立て要組み立て半組み立て済要組み立て
プラットフォームマグネットシートPCばね鋼カーボランダムガラス
オートレベリング×
フィラメントセンサ×
停電時自動回復印刷
密閉×××
ディスプレイノブ式タッチ式タッチ式
デュアルZ軸×
データ入力SDカード
オンライン
SDカード
USB-C
SDカード
本体重量[kg]6.6210.2516
スライスソフトCura
Repetier-Host
simplify3D
-Cura
Repetier-Host
simplify3D
その他デュアル斜め支柱
出典公式サイト公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。

「本体サイズ」や「造形サイズ」を比較すると、小さいものと大きいものでは幅や奥行き、高さのそれぞれで2倍近く差があることがわかりますね。

光造形方式では、「Phrozen Sonic Mini」、「ELEGOO Saturn 2 8K」、「ELEGOO Jupiter」をピックアップします。

モデル名Sonic MiniSaturn 2 8KJupiter
本体イメージ
メーカーPhrozenELEGOOELEGOO
本体サイズ(LxWxH)[mm]250 x 250 x 330305.9 x 273 x 567.3498 x 358 x 750
造形サイズ(LxWxH)[mm]120 x 68 x 130218.88 x 123.12 x 250277.848 x 156.06 x 300
Z軸精度[mm]-0.001250.00125
積層ピッチ[mm]0.01-0.30.01-0.20.01-0.2
ピクセルサイズ[mm]0.06250.02850.051
ピクセル数(XY)1920 x 10807680 x 43205448 x 3064
プリントスピード[mm/h]Max 8030-7030-70
データ入力USBUSBUSB
本体重量[kg]51140
スライスソフトCHITUBOXCHITUBOXCHITUBOX
その他空気清浄機付き空気清浄機付き
自動レジン供給機能
出典公式サイト公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。

こちらもFDM方式同様、「本体サイズ」や「造形サイズ」に大きな差があることがわかります。他の機種ともスペックを比較したい場合は、上記のツールを使ってみてください。

後述する「初心者でも安心して使用できるおすすめ3Dプリンター」の項目では、「Creality Ender-3」(FDM方式)や、「Phrozen Sonic Mini」(光造形方式)くらいの大きさの「小型」に相当する機種を紹介しています。



初心者向け3Dプリンターの【価格帯】

家庭用3Dプリンターの低価格化が進んだ昨今。ひと昔前は数十万円かかったような機種と同等以上の機能をもつ3Dプリンターが数万円台で販売されています。うっかり高額な3Dプリンターを購入してしまわないよう、「家庭用3Dプリンターの相場」について把握していきましょう。

最安の機種は2万円台で購入できる

世の中に出回っている家庭用3Dプリンターの中で、最も安い価格帯であれば2万円台前半で購入することができます。

FDM方式の「Creality Ender-3」はその代表格です。そのコスパの良さも一役買って2017年のリリースから世界中で800,000台以上出荷されています(出典:Creality「Ender-3」)。

とはいえ、最安の機種はあまりおすすめできないというのが正直なところです(とくにFDM)。理由は以下のとおりです。

  • 組み立てを要する場合が多い(FDM方式)
  • オートレベリングのようなオプション機能やタッチパネルが搭載されていない場合が多い(FDM方式)

光造形方式に関しては、解像度を求めない場合、最安クラスの機種でもあまり問題はありません。

初心者におすすめの価格帯は3〜5万円台

「初心者向け3Dプリンターの選び方【ポイント3つ】」で解説したポイントを踏まえつつ、過不足のないオプション機能を搭載した家庭用3Dプリンターの価格帯はどのくらいなのでしょうか?

基本的に円安の影響を受けやすい輸入製品のため価格の変動は大きいものの、およそ3〜5万円台が目安になります。お小遣い程度の感覚で導入しやすい価格とも言えるでしょう。

FDM方式の例として、「Creality Ender-3」と同等の本体サイズ・造形サイズながら、オプション機能などの面で「かゆいところに手が届く」機種に「MINGDA Magician X」や「Anycubic Kobra」があります。これらの機種は比較的最近リリースされた機種で、

  • 半組み立て済みで導入時の手間が少ない
  • オートレベリング搭載
  • タッチパネル搭載

といった最低限ほしいオプションが一通り揃っています。「Ender-3」のような最安機種より数万円価格は高くなりますが、ユーザビリティの点で後悔のない選択になるでしょう。

ちなみに光造形方式では3万円前後が最安クラス(FDM方式の「Ender-3」ほど安価な機種は見当たりません)で、かつ機能的にも十分おすすめできる機種がそろっています。

詳しくは次の項目で紹介していきます。



初心者向けの【おすすめ3Dプリンター】

ここからは初心者でも安心して使用できるおすすめの3Dプリンターを紹介していきます。

「FDM方式」と「光造形方式」のそれぞれから、「初心者向け3Dプリンターの選び方【ポイント3つ】」にて解説したポイントを押さえた機種をピックアップしていきます。

【FDM】初心者におすすめしたい3Dプリンター

FDM方式では、上述の「MINGDA Magician X」「Anycubic Kobra」をピックアップします。

モデル名Magician XKobra
本体イメージ
メーカーMINGDAAnycubic
本体サイズ(LxWxH)[mm]415 x 460 x 546430 x 486 x 486
造形サイズ(LxWxH)[mm]230 x 230 x 260220 x 220 x 250
エクストルーダダイレクトダイレクト
プリントスピード[mm/s]Max 200Max 100
最大ノズル温度[℃]260260
最大ヒートベッド温度[℃]110110
組み立て半組み立て済半組み立て済
プラットフォームカーボランダムガラスばね鋼
オートレベリング
フィラメントセンサ×
停電時自動回復印刷
密閉××
ディスプレイタッチ式タッチ式
デュアルZ軸×
データ入力SDカード
USB
USB-C
SDカード
本体重量[kg]77.5
スライスソフトCuraCura
Repetier-Host
simplify3D
その他
出典公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。
created by Rinker
¥46,500 (2022/12/29 07:00:00時点)

どちらも初心者が扱いやすい優れた機種です。違いは「プラットフォーム(ヒートベッド)」の種類くらいでしょう。

ちなみに「MINGDA Magician X」は私自身も愛用しています。実機レビュー記事で解説もしているので、あわせてご覧ください。

「エクストルーダ」と「プラットフォーム(ヒートベッド)」といった3Dプリンターのスペックに関する用語については、FDMとは?光造形とは?3Dプリンタ用語を分類して解説!【初心者必見】をご参照ください。

【光造形】初心者におすすめしたい3Dプリンター

光造形方式では、「ELEGOO Mars 3」「Anycubic Photon Mono 4K」をピックアップします。

ちなみにELEGOOとAnycubicはともに評判の良い家庭用光造形3Dプリンターを多数展開している定番の3Dプリンターメーカーです。

モデル名Mars 3Photon Mono 4K
本体イメージ
メーカーELEGOOAnycubic
本体サイズ(LxWxH)[mm]227 x 227 x 438.5227 x 222 x 383
造形サイズ(LxWxH)[mm]143.43 x 89.6 x 175132 x 80 x 165
Z軸精度[mm]0.001250.01
積層ピッチ[mm]0.01-0.20.01-0.15
ピクセルサイズ[mm]0.0350.035
ピクセル数(XY)4098 x 25603840 x 2400
プリントスピード[mm/h](1.5-3s)Max 50
データ入力USBUSB
本体重量[kg]5.24.3
スライスソフトChituBoxPhoton Workshop
その他
出典公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。

両者ともELEGOO、Anycubicがそれぞれ展開するラインナップの中で最安クラスでありながら、機能・操作性の点で過不足のない優秀モデルです。両者とも4K高解像度であるにも関わらず、3万円前後で購入できるという破格のコスパを誇っています。

筆者の実例紹介!

筆者の例も紹介しておきます。

私がはじめに購入した3Dプリンターは、光造形方式の小型機種「ELEGOO Mars 2」です。「初心者向け3Dプリンターの選び方【ポイント3つ】」で解説したポイントにもマッチしており、高コスパながら機能の点でも過不足のない優秀な機種です。

現在は中型機種のELEGOO「Saturn S」も使用していますが、「Mars 2」と比べると、プラットフォームの大きさ・重さにハンドリングの難しさを感じます。

同じ「3Dプリンター初心者」の道を通ってきたものとして、やはり最初は小型機種をおすすめしたいです。

「ELEGOO Mars 2」は販売開始から時間が経っていることもあり、現在品薄のようです。類似の機種をお探しの方は、後継モデルの「Mars 3」や「Mars 3 Pro」を検討してみてください。

最初の1台はアフターサポートのある機種も検討しよう

慣れない3Dプリンターにデビューするにあたって、うまく使いこなせるか不安な方も多いでしょう。そんな方は、「定番品やアフターサポートのある機種を選択する」で紹介した「初心者導入セット」を使って3Dプリンターデビューするのもおすすめです。

「初心者導入セット」は、光造形3Dプリンターを使い始めるために必要な「本体」+「材料」+αが一式揃っており、さらには上述のメールサポートや無償交換といった保証つきのお得なセットです。

セットのメインである本体は、「中〜大型よりも小型機種を選択する」でスペックを紹介したPhrozen「Sonic Mini」かELEGOO「Mars 3 Pro」。どちらの機種も初心者が扱いやすい小型機種なので、安心して3Dプリンターデビューを達成できることでしょう。

FDM方式でも、上述の「MINGDA Magician X」や「Anycubic Kobra」などをSK本舗から購入することで、「初心者導入セット」と同じ以下の特別サポートが付属しています。

  1. サンプル出力までのメールサポート
  2. 初期不良時の無償交換
  3. 1年以内の無償修理
  4. 3Dプリンターガイド冊子つき

Amazon等で購入した場合にはこのような特別サポートは付帯していません。数千円程度の差額なので、SK本舗のような代理店を通して購入するのも十分アリな選択肢でしょう。



家庭用3Dプリンターをはじめるために【最低限必要なモノ・技術】

ここまで、初心者向けの3Dプリンター選びのポイント・おすすめ機種について詳しく解説してきました。購入したい3Dプリンターの機種は決まったでしょうか?

いよいよ3Dプリンターデビュー!といきたいところですが、3Dプリンター本体だけでは何も3Dプリントすることはできません。

ここからは、3Dプリンターを使い始めるにあたって「最低限」必要なものについて解説していきます。

【モノ】本体と材料さえあれば3Dプリンターをはじめられる

3Dプリンターを使い始めるにあたって必要なものについて調べ始めると、「レジン」や「フィラメント」、「2次硬化機」、「IPA」などなど聞き慣れないモノがたくさん出てきます。「スクレーパー」や「六角レンチ」のような工具も必要だったりして、混乱してしまうことでしょう。

さらには、「FDM方式」と「光造形方式」で必要なものが異なるので、「一体何が必要で何が必要じゃないんだ!」と3Dプリンターの購入自体を考え直してしまう人もいるかもしれません。

そんな方にお伝えしたいのは、

「本体と材料(光造形の場合は安全用具も)さえあれば、3Dプリンターをはじめられる!」

ということです。

というのも、最低限必要な工具や消耗品、テストプリント用のデータが入ったSDカードなどは3Dプリンター本体に付属しているケースが多いからです。

よって、他に用意すべきは材料となるレジンやフィラメント。基本的には「本体」と「材料」さえあれば3Dプリンターをはじめることができてしまうのです。

FDM方式の材料は繊維状の樹脂である「フィラメント」、光造形方式の材料は液状の樹脂である「レジン」です。造形方式に合った材料を用意しましょう。

もっといえば、FDM方式3Dプリンターには、テストプリント程度は問題なく実施できる量のフィラメントが付属しているケースが多いです。もはや3Dプリンター本体だけではじめられるじゃないか!という感じですね。光造形方式に関しては、レジンを別途購入する必要がある場合がほとんどでしょう。

光造形方式の場合には、レジンが目に入ったり、レジンを素手で触るのを防ぐための安全用具も追加で用意しておきましょう。「ゴム手袋」と「マスク」、「安全メガネ(通常のメガネでも可)」の3点セットがあればOKです。

【技術】スライスソフトや3Dモデリングに抵抗があっても大丈夫

3Dプリンターのはじめ方について調べた人は、「本体と材料があっても、3Dデータを用意できなければ何もプリントできないのでは?」と思うことでしょう。

確かに、自分の思い通りに3Dプリントをするためには3DCADや3DCG、スライスソフトの使い方を学ばなければなりません。

とはいえ、上述のように3Dプリンター自体に付属しているサンプルデータを使用することができるので、デビューに際しては3Dデータの用意は必要ありません。パソコンすらなくても3Dプリンターは使いはじめられるのです。

後述するように、3DCADや3DCG、スライスソフトの使いこなしを過度に心配する必要はありません。3Dプリンターの扱い方に慣れる段階では、他人の作った膨大な3Dデータを使うことで十分3Dプリンターの世界に飛び込むことができます(この段階でスライスソフトの使い方を学んでいくことになります)。

そのうえ、はじめる前から3DCADをマスターしよう!と考えても時間のムダになる可能性が高いです。3DCADや3DCGのあらゆる技術が必要になるわけではなく、3Dプリンター用のデータのモデリングに必要な技術についてピンポイントで学べば十分なのです。

3Dプリンターを実際に触ってみて、必要そうなモノを用意したり、技術を習得していきましょう。



3Dプリンターデビューをかざったあとは次のステップへ!

3Dプリンターデビュー、おめでとうございます!

本体付属のサンプルデータを使ったテストプリントを終えたあとは、順を追って3Dプリンターの世界に足を踏み入れていきましょう。

最後の項目では、3Dプリンターデビューをかざったあとにやるべきことを3つ紹介していきます。

3Dモデル共有サイトを眺めてみよう

すでに3DCADや3DCGソフトの使い方を習得している方は、ガンガン好きな3D形状をプリントしていきましょう。

そうでない方もご安心を。世の中には膨大な3Dデータがストックされており、プラットフォームを通じて国境を越えて共有されています。

その代表格にThingiverseがあります。3Dプリンターを扱う人に知らない者はいないと言ってよいほど著名なプラットフォームです。

出典:Thingiverse

このサイトには、世界中の人々があらゆる3Dプリンター用のデータ(STLファイル)をアップロードしています。有名なテストプリント用データである「#3DBenchy」や「ヘッドホンスタンド」など、一度は3Dプリントしてみたくなるデータを無料でダウンロードすることができます

Thingiverseのような共有サイトのデータを眺めてみると、次にプリントしてみたいデータがたくさん見つかります。これらの3Dデータを活用して、3Dプリンターの扱い方に慣れていきましょう。

3DCAD/3DCGソフトやスライスソフトの使い方を学ぶ

「自分で思い描いた形状をカタチにしたい!!」

そう思って3Dプリンターに興味をもった方が多数派なのではないかと思います。3Dプリンター自体の操作の習熟に並行して、

  • 3Dデータ(STLファイル)を作成するための「3DCAD」あるいは「3DCGソフト」
  • STLファイルを3Dプリンターに読み込ませる形式に変換する「スライスソフト」

この2種類のソフトの扱い方を学んでいきましょう(基本的に「FDM方式」と「光造形方式」で共通です)。

上記のソフトの代表格を以下に示しておきます。これらはどれも有名でユーザも多く、検索すればいくらでも使い方に関する情報がヒットします。

  • 3DCADソフトの代表格・・・「Fusion360」
  • 3DCGソフトの代表格・・・「Blender」
  • スライスソフト(FDM方式)・・・「Ultimaker Cura」
  • スライスソフト(光造形方式)・・・「CHITUBOX」

身構える必要はありません。これらのプロにならなくても、YouTubeのチュートリアルを見ながら学ぶだけでも十分に3Dデータの作成・変換ができるようになります。

動画を見ながら学ぶスタイルに抵抗がある人でも、書籍等を使って学ぶことができます。自分にあった3Dモデリングの学び方について知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

【3DCG/3DCAD】3Dプリンター用データ作成の学習法3選【3Dモデリング】
今回は、3Dプリンター用データ作成の学習法について解説していきます。3DCADや3DCGに触れたことのない方でもスムーズにステップアップしていくことができる、オススメの学習法として「書籍」「動画」「講座」の3つを取り上げます。

学んだ技術を使って自分のイメージがカタチになるのは、なんともうれしい体験になること間違いありません。

周辺機器等必要なものを少しずつ揃えてみる

3Dプリンター自体の扱い方に加え、データの作成に慣れてきたら、3Dプリンターを扱う上での周辺環境を整えていきましょう。

調べてみると、3Dプリンターをはじめるにあたって用意すべきものはたくさん出てきます。人によって、「必要なもの」「あると便利なもの」「なくてもよいもの」の考え方には違いがあるので、何を揃えるべきか一概には言えません。「絶対に必要なもの」は、上記のように「本体」と「材料」、加えてプリントしたいデータのみです。

3Dプリンターを操作する中で、不便に感じるところを中心に備品・消耗品を揃えていきましょう。以下の記事も参考にしてみてください。

FDM方式

「フィラメント乾燥機」や「クリーニング用フィラメント」といった便利用品について、その「必要度」や「100均がおすすめ」かどうかについて解説しています。

FDM3Dプリンターをはじめよう!買っておくべき必要なもの一覧
今回は、FDM方式3Dプリンタをはじめるにあたって買ってよかったものを紹介します。FDM方式3Dプリンタをはじめるために「最低限必要なものを知りたい」「あると便利なものを知りたい」「知っておくべきポイントを押さえたい」方におすすめの内容となっています。

光造形方式

光造形3Dプリンターに欠かせない「ゴム手袋・マスク・安全メガネ」といった安全用具や、後処理のためにあると便利な用具について、その「必要度」や「100均がおすすめ」かどうかについて解説しています。

光造形3Dプリンターをはじめよう!買っておくべき必要なもの一覧
今回は、光造形3Dプリンタをはじめるにあたって買ってよかったものを紹介します。光造形3Dプリンタをはじめるために「最低限必要なものを知りたい」「あると便利なものを知りたい」「知っておくべきポイントを押さえたい」方におすすめの内容となっています。



おわりに

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました!

たくさんの情報があふれる「3Dプリンターのはじめ方」について、網羅的に把握できる記事になったのではないかと思います。

  • 「3Dプリンターに興味があるけど、どうやってはじめればいいかわからない!」
  • 「自分で調べてみたけど、足りないモノ・情報はないかな?」
  • 「気になる3Dプリンターがあるけど、初心者でも扱えるかな?」

このような初心者の方の疑問解消に少しでも役立てていれば幸いです。

当メディアでは、3Dプリンター初心者の方だけでなく、中級者の方にも参考になる情報を随時発信しています。とくに最新機種に関するスペック比較記事・ツールに力を入れています。

3Dプリンターデビューを果たしたあとも、ぜひのぞいてみてくださいね!

3Dプリンター初心者向けのオンラインレッスンも実施中です!