どのフィラメントを使えばいいの?種類と選び方完全ガイド!【FDM3Dプリンター】

こんにちは、管理人のウノケンです。

今回は、FDM3Dプリンターで使用するフィラメントの種類と選び方について解説していきます。

FDM3Dプリンターの材料となる「フィラメント」。どんな色・材質のモノが仕上がるかは材料のフィラメント次第です。そんなフィラメントですが、

  • Amazonで安く購入できるフィラメントしか使ったことがない
  • いつもなんとなく同じフィラメントを選んでしまっている

という人も多いのではないでしょうか?

世の中には多くのフィラメントが出回っています。有名どころを数え上げるだけでも、その数ざっと50種類以上。正直、どのフィラメントを選べば良いのかわからない!という方がほとんどでしょう。

そこで今回は、

  • FDM3Dプリンター初心者で、フィラメントの選び方を知りたい
  • いつも使っているフィラメント以外のブランド・種類にも興味がある

という方の参考になるように、フィラメントの種類と選び方について徹底解説していきます。

作りたいモノに合わせて適切なフィラメントを使いこなすことができれば、あなたの3Dプリンターモノづくりの幅はグンと広がること間違いなしです。最後までぜひご覧ください。

それでは見ていきましょう!



  1. 3Dプリンター用フィラメントとは?
  2. こんなにたくさん!3Dプリンター用フィラメントの種類一覧
    1. PLA(ポリ乳酸、Polylactic acid)
    2. ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)
    3. PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、Glycol modified polyethylene terephthalate)
    4. TPU(熱可塑性ポリウレタン、Thermoplastic Polyurethane)
    5. PA(ポリアミド、Polyamide)
    6. PC(ポリカーボネート、Polycarbonate)
    7. ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリレート、Acrylonitrile-Styrene-Acrylate)
    8. PVA(ポリビニルアルコール、Polyvinyl alcohol)
  3. どのブランドのフィラメントを選べば良い?
    1. 装置メーカーに合わせる必要はない
    2. フィラメントの直径と推奨造形温度に注意しよう
    3. レビューを参考にしつつ、少量買って試してみる
  4. フィラメント選びの参考になるスペック(推奨パラメータと物性値)
    1. エクストルーダ温度(Extruder temperature、Printing temperature)
    2. ヒートベッド温度(Bed temperature、Platform temperature)
    3. プリントスピード(Printing speed)
    4. 曲げ強度(Tensile strength)
    5. シャルピー衝撃強さ(Charpy impact strength)
  5. 初心者におすすめのフィラメントの種類は?
    1. まずはPLAを使ってみよう
    2. 3Dプリンターに慣れたらPETGやABSなどに手を出してみよう
    3. さまざまなフィラメントを試して実用品のプリントにも挑戦
  6. まとめ 〜適切なフィラメントを選んでプリントの幅を広げよう〜
    1. フィラメント選びに必要な色や詳細なスペック(物性値)を調べるには…
    2. 各ブランドが展開するフィラメントについて詳しく知りたい!という方は…

3Dプリンター用フィラメントとは?

3Dプリンター用フィラメントの例(出典:Polymaker, Anycubic)

そもそも3Dプリンター用のフィラメントとは何か?ということに触れておきましょう。

フィラメントは、FDM方式の3Dプリンターで使用される材料の樹脂のことです。細長い繊維状に加工されており、上の図のようにスプールに巻かれています。

フィラメントは固体の状態でエクストルーダー(押出機)に供給され、融点まで加熱されます。溶けたフィラメントは小さなノズルから押し出され、ヒートベッド(プラットフォーム)上に積層されていきます。ノズルが縦横無尽に動き回ることで、3次元の立体構造物が形作られていきます。

フィラメントの種類によって、色や材質はさまざま。エクストルーダーやヒートベッドに設定すべき温度や、ノズルを動かす適切な速度も異なります。自身の作りたいものや所有している(あるいは購入予定の)3Dプリンターのスペックに応じて適切なフィラメントを選ぶことが重要です。

こんなにたくさん!3Dプリンター用フィラメントの種類一覧

3Dプリンター用フィラメントにはいろいろな種類があります。色や硬さが異なるだけでなく、バイカラーやレインボーといった装飾性の高いものや、サポート材専用フィラメントのような変わり種も存在します。

一例として、多数のフィラメントを扱うeSUNのフィラメントの一部を見てみましょう。

フィラメント名PLA PluseSilk-PLA MagiceSilk-PLA RainbowPETGABSWoodeTPU-95AePA-CFPVA
イメージ
メーカーeSUNeSUNeSUNeSUNeSUNeSUNeSUNeSUNeSUN
Orange
Fire engine red
Grey
Brown
Light brown
Red
Olive green
Green
Cold white
Dark blue
Pine green
Purple
Pink
Blue
Magenta
Light green
Light blue
White
Beige
Gold
Silver
Black
 Red-Blue
 Green-Blue
 Gold-Silver
 RainbowSolid Black
Solid White
Grey
Solid Silver
Orange
Solid Orange
Fire engine red
Blue
Green
Black
White
Grey
Silver
Natural
NaturalBlack
White
Grey
Natural
Transparent Orange
Transparent Yellow
Transparent Green
Transparent Blue
NaturalNatural
ヒートベッド温度[℃]45-6045-6045-6075-9095-11045-6045-6045-6045-60
エクストルーダ温度[℃]210-230190-230190-230230-250230-270210-230220-250260-300180-230
推奨プリントスピード[mm/s]40-10040-10040-10040-10040-10040-10020-5040-10020-50
出典公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。
一般購入しやすいフィラメントとして、Amazonで購入できる種類・色を中心に記載。時期によって購入できる種類・色が異なる場合もあるため注意。

1つのブランドに限っても、非常に多くのフィラメントが取りそろえられていることがわかりますね。

フィラメント名だけ見てもどのような性質を持つフィラメントなのかわかりにくいかと思います。eSUNの例に限らず、ここからは主なフィラメントの種類について簡単に解説していきます。

初心者の方で、まずはおすすめのフィラメントの種類を知りたい方は「初心者におすすめのフィラメントの種類は?」の項目にジャンプしてください。

自分で好きなフィラメントを比較したい!詳細スペックを知りたい!という方は…

フィラメント選びに必要な色や詳細スペック(物性値)を調べるには、無料のフィラメント比較ツールが便利です。各ブランドの公式ページを徘徊する手間を省くべく作成しましたので、ぜひ一度使ってみてくださいね!

Age of 3DPが提供するフィラメント比較ツールのイメージ



PLA(ポリ乳酸、Polylactic acid)

「PLA(ポリ乳酸、Polylactic acid)」は、もっとも広く使用されているフィラメントの1つです。生分解性プラスチックの1種で、トウモロコシなどの植物を原料として生産されることから、環境にやさしいフィラメントとされています。

PLAのメリットは以下の通りです。

  • 低価格
  • ABSよりも変形しにくく、プリント品質が高い
  • 生分解性プラスチックのため、環境にやさしい

扱いやすく、コスパも高いことから、初心者にも人気のスタンダードなフィラメントです。

一方、熱や衝撃への耐性はいまひとつです。機械的特性に際立った特徴を求めるのであれば、後述する他のフィラメントを検討しましょう。

販売しているブランドは?

基本的にどのブランドも販売しています!

人気が高くユーザも多いPLAには、装飾性の高いフィラメントも多数存在します。光造形3Dプリンターの材料であるレジンよりもその数は豊富です。フィギュアやオブジェを制作する際にはいろいろなブランドのPLAを眺めてみると新たな発見があることでしょう。

装飾性が高いPLAをいくつか紹介していきます。

Wood

「Wood」は、その名の通り木のような見た目のPLAフィラメントです。プリントしやすいというPLAの特徴を維持しながら、独特のやさしい質感を表現することができます。

Rainbow

「Rainbow」は、光沢のある虹色が特徴的なPLAフィラメントです。

異なる色のフィラメントがなめらかにつながっているイメージで、フィラメントを使い続けていると色が順々に変化していきます。ある程度の大きさのあるものをプリントすると、きれいな虹色の造形物を得ることができます。

ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)

「ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)」は汎用性の高いプラスチック材料で、私たちの日常で使われるあらゆるモノの原料となっています。

3DプリンターのフィラメントとしてもPLAと並んで広く使用されており、低コストながら機械的特性に優れています。頑丈さや耐熱性が要求されるような実用品のプリントに適したフィラメントと言えるでしょう。

難点は、PLAに比べて反りが発生しやすいところです。場合によってはエンクロージャ(3Dプリンターの周囲を覆うもの)を使って保温する必要があります。

販売しているブランドは?

SUNLUやeSUN、Polymaker、Overture等多くのブランドで販売されています!

フィラメント名ABSABSPolyLite ABSABS
イメージ
メーカーSUNLUeSUNPolymakerOverture
Black
Red
Green
Black
White
Grey
Silver
Natural
Black
White
Grey
Red
Blue
Green
Yellow
Orange
Teal
Purple
Black
White
Yellow
Light Blue
Gray
Slate Grey
Dark Green
Orange
Green
Blue
Gold
Dark Red
ヒートベッド温度[℃]80-12095-11090-100-
エクストルーダ温度[℃]230-270230-270245-265-
推奨プリントスピード[mm/s]50-10040-10030-50-
出典公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。
一般購入しやすいフィラメントとして、Amazonで購入できる種類・色を中心に記載。時期によって購入できる種類・色が異なる場合もあるため注意。

PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、Glycol modified polyethylene terephthalate)

「PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、Glycol modified polyethylene terephthalate)」もユーザの多いフィラメントの1つです。

「PETG」の「PET」はペットボトルでおなじみのポリエチレンテレフタレートのことです。「G」がつく「PETG」はその派生で、より3Dプリントに適した特性をもっています。

ABSと同様に機械的特性に優れ、耐熱性も高いです。そのうえ収縮や反りも少なく、PLAとABSの両方の利点をもつと表現しているブランドもあるほどです(出典:Creality)。

難点は糸引きが生じやすい点です。フィラメントドライヤーを使うなどして、しっかり湿度対策をする必要があります。

販売しているブランドは?

SUNLUやeSUN、Polymaker、Overture等多くのブランドで販売されています!

フィラメント名PETGPETGPolyLite PETGPETG
イメージ
メーカーSUNLUeSUNPolymakerOverture
White
Black
Red
Green
Blue
□Clear
Solid Black
Solid White
Grey
Solid Silver
Orange
Solid Orange
Fire engine red
Blue
Green
Black
White
Grey
Red
Blue
Green
Yellow
Orange
Teal
Purple
□Transparent
Transparent Red
Transparent Green
Transparent Blue
□Transparent
ヒートベッド温度[℃]75-8575-9070-80-
エクストルーダ温度[℃]220-250230-250230-240-
推奨プリントスピード[mm/s]50-10040-10030-50-
出典公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。
一般購入しやすいフィラメントとして、Amazonで購入できる種類・色を中心に記載。時期によって購入できる種類・色が異なる場合もあるため注意。



TPU(熱可塑性ポリウレタン、Thermoplastic Polyurethane)

「TPU(熱可塑性ポリウレタン、Thermoplastic Polyurethane)」は、その弾力性に特徴のある素材です。スマホケースに使用されることが多く、なじみのある方もいることでしょう。

「PLA」「ABS」「PETG」のような、比較的硬い材料とは異なるゴムのような柔らかさが特徴で、耐摩耗性や耐衝撃性、柔軟性に優れた材料です。素材の性質が大きく異なるため、TPUを使いこなせるようになると3Dプリントの幅が大きく広がります。

難点は造形の難しさです。素材自体が柔らかいために、造形時に歪みが生じたり、ノズル詰まりが発生したりすることもしばしばです。プリントスピードの調整をするなどして適切なパラメータを見つける必要がある、中級者向けのフィラメントと言えるでしょう。

販売しているブランドは?

SUNLUやeSUN、Polymaker、Overture等多くのブランドで販売されています!

フィラメント名TPUeTPU-95APolyFlex TPU90TPU
イメージ
メーカーSUNLUeSUNPolymakerOverture
Grey
Black
Red
Green
Blue
Black
White
Grey
Natural
Transparent Orange
Transparent Yellow
Transparent Green
Transparent Blue
Black
White
Grey
Teal
Black
White
Space Grey
Red
Blue
Green
Orange
Grey
Digital Blue
Bright Pink
Purple
□Transparent
ヒートベッド温度[℃]No need45-6025-60-
エクストルーダ温度[℃]205-230220-250210-230-
推奨プリントスピード[mm/s]20-4020-5030-60-
出典公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。
一般購入しやすいフィラメントとして、Amazonで購入できる種類・色を中心に記載。時期によって購入できる種類・色が異なる場合もあるため注意。

PA(ポリアミド、Polyamide)

「PA(ポリアミド、Polyamide)」は、一般に「ナイロン」として知られる材料です。衣料品などにも広く用いられている材料なので、なじみのある材料なのではないでしょうか。

柔軟性がありながらも強靭で、耐薬品性や耐衝撃性にも優れる汎用性の高い材料です。その耐久性の高さから、PAフィラメントは、プロトタイプだけでなく各種産業の最終製品にも使用される実用性の高さを誇ります。

難点はその吸湿性の高さです。造形品質を保つためには、保管時の湿度管理やフィラメントドライヤーの使用を徹底しましょう。

また、推奨されるエクストルーダー(ノズル)の温度が高い点にも注意が必要です。ブランドにもよりますが、260〜300℃程度が標準となっています。ノズル最大温度が255〜260℃という機種も多く存在するので、所有する3Dプリンターで造形可能かあらかじめ確認しておきましょう。

販売しているブランドは?

eSUNやPolymaker、Overture等のブランドで販売されています!

フィラメント名ePA-CFPolyMide CoPAPolyMide PA6-CFEasy Nylon
イメージ
メーカーeSUNPolymakerPolymakerOverture
NaturalBlack
Natural
BlackBlack
Gray
ヒートベッド温度[℃]45-6025-5025-5025-50
エクストルーダ温度[℃]260-300250-270280-300250-270
推奨プリントスピード[mm/s]40-10030-6030-6030-50
出典公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。
一般購入しやすいフィラメントとして、Amazonで購入できる種類・色を中心に記載。時期によって購入できる種類・色が異なる場合もあるため注意。



PC(ポリカーボネート、Polycarbonate)

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ポリメーカ(Polymaker)
¥15,505(2023/02/04 07:30:49時点 Amazon調べ-詳細)

「PC(ポリカーボネート、Polycarbonate)」も、耐衝撃性や耐熱性に優れた材料としてさまざまな身の回り品に使用されています。透明度が高いところも特徴的で、カメラ用のプラスチックレンズなどにも使用されています。

実用性の高いPCフィラメントですが、3Dプリントにあたっては難易度の高い材料として知られています。温度やプリントスピードの設定がシビアで、中級者向けの材料と言って良いでしょう。

使いこなすことができれば非常に有用な材料なので、3Dプリンターを用いた実用品の作成に興味がある方にはぜひ挑戦してほしいフィラメントです。

販売しているブランドは?

Polymaker等のブランドで販売されています!

フィラメント名PolyLite PCPolyMax PC
イメージ
メーカーPolymakerPolymaker
□TransparentBlack
White
ヒートベッド温度[℃]90-10590-105
エクストルーダ温度[℃]250-270250-270
推奨プリントスピード[mm/s]30-5030-50
出典公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。
一般購入しやすいフィラメントとして、Amazonで購入できる種類・色を中心に記載。時期によって購入できる種類・色が異なる場合もあるため注意。

ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリレート、Acrylonitrile-Styrene-Acrylate)

「ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリレート、Acrylonitrile-Styrene-Acrylate)」は、ABSの親戚のような材料です。

ブタジエンの代わりにアクリレートが含まれており、ABSに比べて耐候性が高いという特徴があります。そのため、屋外で使用されるモノを作る際にはABSよりもASAを使用すると良いでしょう。

販売しているブランドは?

Polymaker等のブランドで販売されています!

フィラメント名PolyLite ASA
イメージ
メーカーPolymaker
Black
White
Grey
Red
Blue
ヒートベッド温度[℃]75-95
エクストルーダ温度[℃]240-260
推奨プリントスピード[mm/s]30-50
出典公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。
一般購入しやすいフィラメントとして、Amazonで購入できる種類・色を中心に記載。時期によって購入できる種類・色が異なる場合もあるため注意。

PVA(ポリビニルアルコール、Polyvinyl alcohol)

「PVA(ポリビニルアルコール、Polyvinyl alcohol)」は、一風変わった材料です。水に溶けやすい性質をもつため、3Dプリンターのフィラメントとしてはサポート材専用として使用されます。

通常のフィラメントを使ってサポート材の設定をすると、除去するのが難しかったり、サポートと接触する部分の造形品質が劣化してしまうケースは少なくありません。一方、水溶性のPVAフィラメントをサポート材として使用すれば、そのような心配はありません。水に漬ければサポート部分は取り除かれ、サポート接触部の品質も保たれます。

(左)PVAをサポート材として使用する場合の造形イメージ(右)サポート材除去後(出典:QIDI Tech「i-fast」)

基本的にデュアルエクストルーダ式(ノズルが2つ付いているタイプ)の3Dプリンターを使用することになります。所有する3Dプリンターで対応可能か確認したうえで導入しましょう。

販売しているブランドは?

eSUNやPolymaker等のブランドで販売されています!

フィラメント名PVAPolyDissolve S1
イメージ
メーカーeSUNPolymaker
NaturalNatural
ヒートベッド温度[℃]45-6025-60
エクストルーダ温度[℃]180-230215-225
推奨プリントスピード[mm/s]20-5030-40
出典公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。
一般購入しやすいフィラメントとして、Amazonで購入できる種類・色を中心に記載。時期によって購入できる種類・色が異なる場合もあるため注意。



どのブランドのフィラメントを選べば良い?

3Dプリンター用フィラメントの例(出典:SK本舗, Overture)

ここまで数多くのフィラメントについて解説してきました。知らなかったフィラメント・使ったことのないフィラメントがたくさんあったのではないでしょうか?

同じような種類のフィラメントであっても、多数のブランドがフィラメントを展開しています。そんな中、いったいどのブランドを選べばよいのでしょうか?検討時のポイントを押さえておきましょう。

装置メーカーに合わせる必要はない

フィラメントを選ぶにあたって、基本的には自分が使用している3Dプリンターのブランドに合わせる必要はありません。

ブランドによっては、3Dプリンター本体の開発・販売に注力する一方で、フィラメントのラインナップは少ないという会社も少なくありません。また、3Dプリンター本体ではなくフィラメントの開発・販売に特化したブランドも存在しています。

フィラメントの直径と推奨造形温度に注意しよう

そもそもプリントできるか・できないかを左右する「フィラメントの直径」や「エクストルーダ温度」「ヒートベッド温度」といったパラメータには注意が必要です。

フィラメントの直径には、主に「1.75mm」と「2.85mm」が存在します。1.75mmで販売されているフィラメントが圧倒的に多く、家庭用3Dプリンターもまた、初期状態では1.75mmのフィラメントに対応したノズルが搭載されていることがほとんどです。「フィラメント直径は基本的に1.75mmのものを選ぶ」ということを覚えておきましょう。

フィラメントの種類によっては、ブランドが推奨する造形温度(エクストルーダ/ヒートベッド)にも注目すべきです。これは、材料の物性によって、どれくらいの温度で溶けやすいか、ヒートベッド(プラットフォーム)にしっかり付きやすいかという値が変わるためです。

例えば、すでに解説したように「PA(ポリアミド)」は推奨エクストルーダー温度が高いです。初期状態の「Ender-3」のように最大ノズル温度が低い(255℃)3Dプリンターでは、うまくプリントすることができません。

このように、所有している3Dプリンターに合わせたフィラメント選び、逆に言えば、使用したい材料に合わせた3Dプリンター選びをする必要があります。

フィラメントの詳細スペックを知りたい!比較したい!という方は…

各ブランドの推奨パラメータを調べるには、無料のフィラメント比較ツールが便利です。各ブランドの公式ページを徘徊する手間を省くべく作成しましたので、ぜひ一度使ってみてくださいね!

レビューを参考にしつつ、少量買って試してみる

作りたいモノの種類や予算、求める品質に応じて最適なフィラメントは変わってきます。フィラメント選びにあたっては、やはり「自分で使ってみる」のが一番かと思います。

500gで販売されているケースもありますが、基本的には1kgで販売されているものが多いです。光造形3Dプリンターの材料であるレジンと比べればフィラメントの価格は安いものが多く、比較的手に取りやすいのではないかと思います。使用者のレビューなどを参考にしつつ、気になるフィラメントを実際に使ってみることをおすすめします。

少々上級者向けですが、次の項目で紹介する「フィラメントの物性値」もフィラメント選びの参考になります。好みのフィラメントを探し当てるためにも、ざっくり把握しておくと良いでしょう。



フィラメント選びの参考になるスペック(推奨パラメータと物性値)

フィラメントを選ぶにあたって参考になるのが、フィラメントのスペック(推奨パラメータと物性値)です。推奨パラメータは主に温度とプリントスピード、物性値にはフィラメントの曲げ強度や衝撃強さなどさまざまな値があります。

主要な値について簡単に解説していきます。

エクストルーダ温度(Extruder temperature、Printing temperature)

「エクストルーダ温度」は、フィラメントを販売するブランドが推奨するノズル部分の設定温度です。

固体状のフィラメントを溶かして柔らかくするのに必要な温度に相当します。そのため、フィラメントの種類(素材)によって温度帯が異なります。温度が低いものでは190℃程度、高温のものでは300℃程度に達します。

繰り返し述べているように、使用する3Dプリンターが使用したいフィラメントの推奨温度に対応しているかどうか確認しておきましょう。

ヒートベッド温度(Bed temperature、Platform temperature)

「ヒートベッド温度」は、3Dプリントしていく土台となるヒートベッド(プラットフォーム)に設定する温度の推奨値です。

フィラメントによってはヒートベッドを温める必要がないものもある一方で、種類によっては100℃前後に設定すべきものもあります。

適切な温度に設定することで、フィラメントがヒートベッド(プラットフォーム)にしっかり固定され、プリントの安定性が向上します。

プリントスピード(Printing speed)

「プリントスピード」は、ノズルが前後左右に移動する速さの推奨値です。

プリントスピードが速ければ速いほど、全体が仕上がるまでの時間も短縮されます。一方で、材料によってはプリントスピードが速すぎると造形不良の原因となる場合もあります。

フィラメントの種類によってもプリントスピードには開きがあります。柔軟性の高いTPUのようなフィラメントは、推奨されるプリントスピードが遅い傾向にあります。

曲げ強度(Tensile strength)

「曲げ強度」とは、物体を曲げようとする力に対してどれだけ耐えうるかを示す指標です。値が大きいほど曲げ耐性は強くなります。

「曲げ強さ・曲げ強度」とは、曲げ荷重に対して亀裂や破壊が生じる力・応力のこと。

樹脂プラスチック材料協会「曲げ強さ・曲げ強度 とは」

フィラメントの種類によってどれくらい違いがあるのか、同一ブランド(eSUN)の異なるフィラメントについて、実例を見てみましょう。

PLA(PLA Plus)ABSPA(ePA-CF)
曲げ強度[MPa]6343140
出典:eSUN

家庭用3Dプリンターでよく使用されているPLAの曲げ強度に対して、靭性に優れるPA(ナイロン)フィラメントの曲げ強度は2倍以上大きい値となっています。

シャルピー衝撃強さ(Charpy impact strength)

「シャルピー衝撃強さ」は、衝撃に対する強さを示す指標のひとつです。値が大きいほど耐衝撃性が高くなります。

材料の持つ粘り強さ、つまり靱性を見ることができます。(中略)値が大きいほど打撃を吸収できるため、衝撃に対して強い材料ということができます。

ダイヤモンドホイール・ダイヤモンド砥石・CBN工具・CBN砥石と研削研磨の情報サイト「シャルピー衝撃強さとは」

フィラメントの種類によってどれくらい違いがあるのか、同一ブランド(Polymaker)の異なるフィラメントについて、実例を見てみましょう。

PLA(Polylite PLA)ABS(Polylite ABS)PC(PolyMax PC)
シャルピー衝撃強さ[kJ/m2]2.7±0.212.6±1.125.1±1.9
出典:Polymaker

PLAの衝撃強さに対して、PC(ポリカーボネート)の耐衝撃性は10倍ほど大きな値を示しています。ポリカーボネートがいかに衝撃に強いか想像できることでしょう。また、PLAとABSを比較すると、曲げ強度はPLA、衝撃強さはABSに分があることもわかりますね。

作成したいモノに応じて重視すべきパラメータは異なります。各ブランド・各フィラメントのスペックを比較検討することをおすすめします。

フィラメントの詳細スペックを知りたい!比較したい!という方は…

各ブランドのスペック(推奨パラメータ・物性値)を調べるには、無料のフィラメント比較ツールが便利です。各ブランドの公式ページを徘徊する手間を省くべく作成しましたので、ぜひ一度使ってみてくださいね!

ここで紹介したもの以外にもさまざまなパラメータがあります。興味のある方はぜひ調べてみてください。



初心者におすすめのフィラメントの種類は?

3Dプリンター用フィラメントの例(出典:Creality)

ここまで、数多くのフィラメントの種類や注目すべきスペック(推奨パラメータや物性値)について解説してきました。初心者の方にとっては難しい内容も多く、「結局どのフィラメントを選べば良いの!」と思っている方もいるかもしれません。

最後に、初心者の方におすすめのフィラメントと、ステップアップのしかたについて解説していきたいと思います。

まずはPLAを使ってみよう

初心者の方が最初に選ぶフィラメントとしておすすめしたいのは、PLAです。

PLAはプリント難易度が低いです。他のフィラメントと比べて反りや糸引きに悩まされることは少ないでしょう。初心者の方でも難なく思い通りの3Dプリント品を得ることができます。

価格が安く、色が豊富な点もPLAの魅力です。FDM3Dプリンターの使い方やフィラメントの設定について学びながら、さまざまなPLAを使って3Dプリントをはじめてみましょう。

3Dプリンターに慣れたらPETGやABSなどに手を出してみよう

3Dプリンターやフィラメントの扱いに慣れたら、PETGやABSなど他のフィラメントにも手を出してみましょう。PLAとは異なる素材を使ってみることで、3Dプリントの新しい可能性を感じることができるはずです。単なるフィギュアのみならず、強度が要求される実用品にも用途が広がります。

PLAに比べると、PETGやABSといった標準的なフィラメントであっても最初は苦戦するかもしれません。ブランドの推奨する温度やプリントスピードを参考にしつつ、微調整しながら3Dプリントの勘どころをつかんでいきましょう。このあたりで湿度管理のためのフィラメントドライヤーを導入してもよいかもしれません。

さまざまなフィラメントを試して実用品のプリントにも挑戦

PLAやPETG、ABSといった標準的なフィラメントの扱いに慣れてきたら、十分他のフィラメントも扱えるようになっているはずです。

曲げ耐性のあるPA(ナイロン)や衝撃に強いPC(ポリカーボネート)など、3Dプリンターで作れる材料の種類は想像以上です。TPUのような柔らかい材料を使ってオリジナルのスマホケースを作ってみても面白いかもしれません。

材料の種類によっては、高温対応(300℃程度)のエクストルーダーや、3Dプリンターを覆って保温性を高めるエンクロージャが必要になる場合があります。新しい種類のフィラメントを使いはじめるときは、所有する3Dプリンターが対応しているか、備品を追加する必要があるか確認しましょう。

興味のあるフィラメントについては、ブランドの公式ページやSNS、ブログ等でノウハウが公開されている場合もあるので、チェックしてみることをおすすめします。

こんなにたくさん!3Dプリンター用フィラメントの種類一覧」の項目で紹介したように、さまざまな用途に対応したフィラメントが続々と開発されています。いろいろなフィラメントに手を出して、FDM3Dプリンターと多様なフィラメントの世界を楽しんでいきましょう。



まとめ 〜適切なフィラメントを選んでプリントの幅を広げよう〜

今回は、FDM方式の3Dプリンターで使用するフィラメントの種類と選び方について解説してきました。

これまで知らなかったフィラメントの種類や販売しているブランドについて理解できたのではないでしょうか?

今までとは異なる種類のフィラメントを使ってみると、まったく違う色や材質の3Dプリントを体験することができます。3Dプリントの幅を広げるべく、新しいフィラメントの導入にチャレンジしてみてください。

フィラメント選びに必要な色や詳細なスペック(物性値)を調べるには…

フィラメント選びに必要な色や詳細なスペック(物性値)を調べるには、無料のフィラメント比較ツールが便利です。各ブランドの公式ページを徘徊する手間を省くべく作成しましたので、ぜひ一度使ってみてくださいね!

各ブランドが展開するフィラメントについて詳しく知りたい!という方は…

各ブランドが展開するフィラメントについてより詳しく知りたい方は、個別に解説した以下のページもあわせてご参照ください。