こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、最新の家庭用光造形3Dプリンターのおすすめモデルを価格別で紹介していきます。
実用品から趣味のフィギュア製作まで、さまざまな用途で活躍する3Dプリンター。
近年は業務用のみならず家庭でも使える3Dプリンターが続々登場しています。
今回は、そんな3Dプリンターの中でも「光造形方式」の3Dプリンターについて紹介していきます。
「光造形3Dプリンターで作れるもの」から「選び方のポイント」、「おすすめモデル」まで一挙に解説していきます。
✔ 3Dプリンター関連メーカー勤務
✔ プライベートでは3Dプリンターでフィギュア作り
それでは見ていきましょう!
はじめに:光造形3Dプリンターとは?
光造形3Dプリンターとは、その名の通り「光」でモノをつくる3Dプリンターです。
プラットフォームと呼ばれる土台をレジン(樹脂)にひたして表面に光を当て、一層ずつ樹脂(レジン)を固めながら引き上げていきます。これを何層も何層も繰り返していくことで、3次元形状を作り上げていきます。

上の図では、右上の板のような部分がプラットフォームです。材料となる液体の樹脂(レジン)は、図の右下にあるタンクに入れておきます。図には含まれていませんが、タンクの下にLEDやUVランプが設置してあり、その光を使って樹脂を硬化させます。
光造形方式に限りませんが、3Dプリンターでは基本的にどんな3次元形状でも形づくることができます。もととなるデータはSTLファイルと呼ばれる形式で出力するのが一般的です。STLファイルは、Fusion360のような3DCADや、Blenderなどの3DCGソフトで作成することができます。これらのソフトは基本無償なので個人でも利用しやすく、初心者の方にもおすすめです。
光造形3Dプリンターで作れるもの
光造形3Dプリンターでは好きな形状をつくることができますが、その中でも特に光造形3Dプリンターが得意な形状・苦手な形状があります。
ここでは、光造形3Dプリンターが作りやすいモノ・苦手なモノを確認し、自身の用途に適しているか確認しておきましょう。
得意なモノ:フィギュア
光造形3Dプリンターにとって、作るのが得意なモノの筆頭に挙げられるのは、なんといっても「フィギュア」でしょう。
これは、他の造形手法に比べて、光造形3Dプリンターはなめらかな表面を解像度高く造形するのが得意だからです。光造形3Dプリンターメーカーの販売ページには、必ずと言っていいほど精巧なフィギュアの造形例が載っています。

上の画像はAnycubic社のPhoton Mono Xという機種で造形できるフィギュアの一例です。細部まで非常に高いクオリティで造形されていることがわかりますね。
苦手なモノ:力が加わるモノ
一方で、光造形3Dプリンターで造形するには適さないモノもあります。
特に苦手なのは、「力が加わるモノ」です。
光造形3Dプリンターは、光で樹脂を固める方式であることから、比較的使用できる材料の種類に制限があります。最近は「高靱性レジン」のような強度の高い樹脂も登場していますが、FDM方式3Dプリンターに比べると、造形物の強度が劣るのが現状です。
FDM方式の3Dプリンターでよく作られている「力が加わるモノ」には、次のような例があります。
- 花瓶
- ブックスタンド
- スマホケース
モノを入れたりぶら下げたりするホルダや、ドアノブのようなDIYパーツなどもFDM方式3Dプリンターで作られることが多いです。
今後より強度の高い樹脂が登場する可能性もありますが、上記のような「力が加わる」用途でモノづくりがしたい方はFDM方式を選択するのが無難でしょう。
光造形3Dプリンターを選ぶポイント
続いて、光造形3Dプリンターを選ぶ際に着目したいポイントについて解説していきます。
3Dプリンターのスペック表を見ると、たくさんの項目が並んでいます。人それぞれ注目するポイントは異なるかと思いますが、ここだけは押さえておきたい3つのポイントをピックアップしていきます。
価格
まず誰もが気になるであろうポイントが、3Dプリンター本体の「価格」です。
光造形3Dプリンターの中には、数百万円もするようなモデルも存在します。例えば、以下の画像はFormlabs社のForm 3Lというモデルで、お値段なんと約200万円(執筆時点)となっています。
さすがに個人の趣味に使う装置にしては手が届かない価格ですよね。このような数十万円以上の価格の3Dプリンターは業務用なので、家庭用の3Dプリンター購入を考える際には候補から外してOKです。
それでは、家庭用の光造形3Dプリンターの相場はどの程度なのでしょうか?
フィギュア等を造形するうえで十分な性能をもった光造形3Dプリンターの価格は、「2万円以上10万円未満」です。最近は2、3万円でも十分高品質な3Dプリンターを購入することができるのです。業務用に比べて100分の1程度の価格で購入できるのは驚きですよね。
「2、3万円の3Dプリンターで本当に品質の高いフィギュアが造形できるの?」と思われるかもしれませんが、ご安心を。筆者自身もメインで使用しているモデルは3万円弱の3Dプリンターです。3万円弱の3Dプリンターでも、販売さえできてしまうレベルの高品質なフィギュアを安定してプリントできています。
3万円弱のモデルであれば、「ちょっと3Dプリンターに興味があるけど、うまく使いこなせるか不安」という初心者の方でも、手を出しやすい価格帯なのでかなりおすすめです。
造形可能サイズ
次に着目したいポイントは、「造形可能サイズ」です。
「一部屋埋まるほどのドデカいフィギュアを作りたい!!」という方は少ないと思いますが、どれくらいのサイズのモノが作れるかは確認しておきたいところです。
一般的な家庭用光造形3Dプリンターの造形可能サイズは、
- 幅:100mm〜200mm
- 奥行き:60mm〜120mm
- 高さ:150mm〜250mm
くらいです。
数値ではわかりにくいですね。ざっくりとした大きさのイメージは、
「1Lの牛乳パックを横に2つ並べた体積」
前後です。一般的なフィギュア作りには十分なサイズなのではないかと思います。
もちろんモデルによってサイズは異なるので、購入前に確認しておきましょう。
定番のELEGOO社、Anycubic社の光造形3Dプリンターの造形サイズ一覧はこちら↓
ピクセル数・解像度
3つ目のポイントは、「ピクセル数・解像度」です。
これらの数値は直感的にわかりにくいかもしれません。イメージとしては、「どれくらいきれいに造形できるか?」と思ってもらえればOKです。
最近の家庭用光造形3Dプリンターでは、「4K(横4,000×縦2,000前後の解像度)」を超える高解像度のモデルが登場しており、高精細な3Dモデルを手軽にプリントできるようになっています。後ほど登場するAnycubic Photon Mono X 6Kは、なんと「6K」解像度に到達しています。
解像度が高い、つまりピクセル数が多い3Dプリンターは、それだけ細かい形状まで造形することができます。一方で、解像度の低い3Dプリンターでは、作成した3Dデータの細かい部分が潰れてしまって再現できない場合もあります。
もちろん、高解像度の3Dプリンターになるほど価格も高くなる傾向にあります。予算と自身の用途に合わせたモデルを選ぶようにしましょう。
【価格別】光造形3Dプリンターのおすすめモデル
ここまで、光造形3Dプリンターで作れるもの、選ぶときのポイントについて解説してきました。
ここからは光造形3Dプリンターのおすすめモデルを価格別で紹介していきたいと思います。
お手頃価格で3Dプリンターを購入したい初心者の方から、ハイエンドモデルが気になっている中〜上級者におすすめの機種まで一気に紹介していきます。
〜3万円:コスパ最強の【ELEGOO Mars 2】
3万円以下の光造形3Dプリンターでおすすめなのは、ELEGOO Mars 2です。2万円台前半で購入できる、初心者にもおすすめな最強コスパの光造形3Dプリンターです。
価格が安いのはもちろんのこと、ムダがなく必要な機能・操作性を備えた過不足のないモデルといって良いでしょう。
Mars 2や、その他のMarsシリーズの詳細スペックについて知りたい方・比較したい方はこちらをご参照ください。
3〜6万円:大きめサイズ!4K!【ELEGOO Saturn】
3〜6万円の光造形3Dプリンターでおすすめなのは、ELEGOO Saturnです。
Saturnの特徴は、「4K解像度」と「造形可能サイズ」です。
ELEGOO社のMars 3も同じ4Kプリンターですが、Saturnの造形体積はMars 3の約2倍です。これはピクセルサイズが異なるためです(Mars 3は0.035mm、Saturnは0.05mm)。
このように、「6万円以下で、できるだけ大きい3Dモデルを作りたい!」という方には、特にELEGOO Saturnをおすすめします。
さらに優秀になったSarurnの後継機種「Saturn S」も要チェック!
SaturnとMars 3の詳細スペックを比較したい方はこちらをご参照ください。
6万円〜:圧巻の6K!シリーズ最大解像度の【Anycubic Photon Mono X 6K】
最後に紹介するのは、6万円以上の光造形3DプリンターのおすすめモデルAnycubic Photon Mono X 6Kです。
Anycubic Photon Mono X 6Kは、実勢価格でおよそ77,000〜93,000円(2022年3月時点)。家庭用ではかなりハイエンドなモデルと言って良いでしょう。
なかなかのお値段であるAnycubic Photon Mono X 6Kですが、価格に見合ったスペックの持ち主です。解像度は圧巻の6K、造形可能サイズ、特に「高さ」も他のモデルの一歩先を行きます。
Anycubic Photon Mono Xは、さきほど紹介したELEGOO Saturnと幅・奥行き方向サイズはほぼ同一で、およそ5cm造形高さが大きいです。これは約23%の造形体積アップに相当します。
現状の家庭用3Dプリンターから、「解像度」「造形可能サイズ」ともに最上級のモデルを選びたい方に最適な一品なのではないかと思います。
Anycubic Photonシリーズの詳細スペックを比較したい方はこちらの記事をご参照ください。