こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
Bambu Labの新型AMS「AMS HT」を実機レビュー
していきます。
3Dプリントの品質を左右するフィラメントの「吸湿」問題。
特に高性能素材では、適切な乾燥が不可欠です。
Bambu Labが新たに投入したAMS HTは、この課題を解決する可能性のある強力乾燥機能を備えています。
今回、Bambu Labの国内代理店「サンステラ」様より実機をご提供いただき、その使い勝手・性能を徹底検証。
AMS 2 Proとの違いは?
H2D以外でも使える?
フツーのフィラメント乾燥機と何が違うの?
といった興味・ギモンを抱いている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。
実際の装置のセッティングや3Dプリントの様子を含めた、動画ならではの内容が盛りだくさんの解説をお楽しみください!
*準備中*
Bambu Lab AMS HTとは?フィラメントはなぜ乾燥が必要?

湿気を吸ったフィラメントは、プリント品質の低下やノズル詰まりの原因となることも。
特に吸湿性の高い高機能素材では深刻な問題です。
このセクションでは、AMS HTがどのようにしてこの課題に取り組むのか、その基本的な位置づけとAMS 2 Proとの違いを見ていきます。
高機能フィラメントの乾燥はなぜ重要か
3Dプリントに使用されるフィラメントは、空気中の湿気を吸収しやすい性質を持っています。
特に、ナイロン系(PA)やポリカーボネート(PC)、PVAなどの高機能素材は吸湿性が非常に高く、水分を含んだ状態でプリントすると、
といった、さまざまな問題が発生します。
これらの問題を解決し、安定した高品質なプリントを実現するためには、フィラメントを適切に乾燥させることが極めて重要です。
AMS HTによるフィラメントの乾燥

AMS HTは、中に1kgフィラメントスプールを1個格納することができます。
内部は密閉空間となっており、空気中に放置した場合に比べて、フィラメントが湿気を吸いにくいというメリットがあります。
そして、AMS HTによる湿気対策のメインは、加熱乾燥ができること。
内部を加熱し、湿気を吸ったフィラメントを乾燥させ、水分を取り除いてくれる仕組みになっています。
さらに、
することで、「ただ加熱するだけ」の簡易的な乾燥にとどまらない“本格乾燥”が可能になっています。
RFIDによる認識とフィラメントの自動ローディング

AMS HTは、他のAMSと同様に、RFIDタグの認識に対応しています。
これにより、Bambu Lab純正フィラメントの種類や色を自動で認識し、3Dプリント前の設定に関する手間を削減してくれます。

さらに、RFIDタグを読み取ることで、最適な乾燥設定(加熱温度と乾燥時間)も自動で設定してくれます。
その他、フィラメントを内部の挿入口に少し差し込むだけで自動ローディングしてくれたり、プリント後は自動でアンローディングしてくれるといった、他のAMSと共通する便利機能も備えています。
AMS HTとAMS 2 Proの違いは?

Bambu Labからは、AMS HTと同じタイミングで「AMS 2 Pro」というフィラメント乾燥機能付きのAMSが登場しています。
主な違いは次の通り。
特筆すべきは1つ目の最大加熱温度。
AMS 2 Proは最大65℃での加熱乾燥が可能ですが、AMS HTはそれよりもさらに高温の最大85℃まで加熱乾燥が可能。
この20℃の温度差が、特に高温での乾燥が必須とされる特定のフィラメントにおいて大きな性能差を生み出します。
例えば、PVAやPA-CFといった素材は、AMS 2 Proの65℃では乾燥が不十分になることも。
実際、乾燥によるプリント品質の改善には物足りなさがありました。
AMS HTであれば、PVAやPAフィラメントをBambu Labが推奨する温度(それぞれ80℃、85℃)で加熱乾燥することが可能です。
その結果、どんなプリント品質上の違いが現れるのか?
以降のセクションで確認していきましょう。
実機レビュー:PVAとPA-CFの乾燥効果を徹底検証

実際にAMS HTを使って、特に乾燥が難しいとされるPVAとPA-CFフィラメントの乾燥効果を検証。
これらは実際にAMS 2 Proによる乾燥では不十分で、プリントに悪影響が及ぶことを確認済みの“厄介な”フィラメント。
劇的な改善を目撃すべく、リベンジしていきます。
乾燥が難しいPVAフィラメントを徹底乾燥

以前AMS 2 Pro(最大65℃乾燥)でPVAの乾燥を実施した際は、水分の除去が不十分でノズル詰まりが多発。
加えて、フィラメント間の接着不良や反り、剥がれといった問題を避けられず、途中でプリントを断念せざるを得ませんでした。
AMS HTによる80℃の強力な加熱乾燥を経たPVAを使用したところ、その効果は歴然。
約10時間強に及ぶ長時間のプリント中、ノズル詰まりのアラートは1度だけ鳴りましたが、その他には剥がれや反りの問題が生じることなく完走。

PLAによるサポートでは(とくに内部)取り除くのが難しい複雑な3次元形状は、水溶性のPVAサポートと相性ピッタリ。
1時間ほど浸け置くだけで大部分がスムーズに溶解し、サポート跡がほとんど残らないツルツルな表面を実現できました。
PA-CFフィラメントの見た目と強度を改善

PA-CF(ポリアミド炭素繊維)もまた、高い吸湿性を持つフィラメントの1つです。
以前、AMS 2 Proで乾燥させたPA-CFでプリントした際には、吸湿による「シマ模様」が表面に現れ、形状のわずかな膨張によってパーツ同士の組み立てが非常に困難になるという問題がありました。
しかし、AMS HTの力を借りた今回は全く異なる結果に。
PA-CFのデフォルト乾燥設定はAMS HTのフルパワーである85℃で、12時間。
この乾燥プロセスを終えると、AMS HTの表示では内部湿度がわずか1桁台にまで低下していました。
乾燥後のPA-CFでプリントを行った結果、以前見られた吸湿による「シマ模様」は一切なし。
感動的なほどきれいな表面品質が実現されました。

さらに、水分が適切に除去されたことでフィラメントが膨張することもなく、パーツ同士がスムーズに嵌合。
ねじ込み式の可動機構も問題なく機能しました。
AMS 2 Proで乾燥させたものとAMS HTで乾燥させたものを比較すると、その品質の差は明らか。
AMS HTの強力な乾燥がPA-CFの本来の性能を引き出す上でいかに重要であるかを証明してくれました。
TPUフィラメントの安定供給をサポート

AMS HTの魅力は、乾燥機能だけではありません。
柔軟なTPUフィラメントの取り扱いにおいてもユニークな利点を提供します。
このセクションでは、やわらかいフィラメント専用の供給口と、AMS HTがどのようにTPUプリントをサポートするかを紹介します。
TPU専用供給口の利便性

TPUのような非常に柔らかいフィラメントは、通常のAMS内部で詰まりやすく、原則として自動供給には向かないとされています。
しかし、AMS HTはこの課題に対処するため、上部カバー背面から直接フィラメントを引き出せるTPU専用の排出口を設けています。
この専用出口を使用することで、AMS内部の複雑な経路を通らずにフィラメントを直接ツールヘッドまで供給できるため、フィードミスのリスクを大幅に低減できます。
ただし、このTPU専用排出口を使用する際には、もちろん通常のAMSのように自動ローディングやアンローディング機能は利用できません。
フィラメントを手動でPTFEチューブ内に押し込み、押出機まで装填する必要があります。
それでも、TPUを湿気から守りつつ、かつスムーズに供給できるという点は、TPUを頻繁に利用するユーザーにとって大きなメリットとなるでしょう。
TPU供給時の推奨設置方法

TPUフィラメントはゴムのように伸びる特性があるため、供給時に過度な張力がかからないようにすることが重要です。
Bambu Lab公式では、AMS HTをプリンターの横側、やや高さのある位置に固定してフィラメントを供給する方法が推奨されています。
これは、フィラメントにかかる引っ張り力を最小限に抑え、スムーズな供給を促すための構成。
しかし、この方法は設置スペースを取るという課題もあり、今回は一般のクリエイターが公開しているプリンターの上にAMS HTを固定設置できるモデルを使用しました。
このモデルは省スペースで、かつTPUへの張力を適切に管理できるため、長時間のTPUプリントでも安定した供給が期待できます。
最適なTPUプリント環境を構築するためには、これらの設置方法に類するような、可能な限りフィラメントに張力が生じない形で供給することが重要です。
乾燥ボックスとしての活用
TPUフィラメントは他の多くのフィラメントと同様に吸湿性が高く、湿気を吸うとプリント品質に影響が出やすくなります。
AMS HTは、TPUの自動供給には対応していないものの、その密閉構造と乾燥機能により、TPUフィラメントを湿気から守る乾燥ボックスとして活用できます。
特に長時間のプリントを行う際、フィラメントが“野ざらし”になっているのは理想的ではありません。
AMS HTの内部に入れておくことで、プリント中も湿気の影響を最小限に抑えることが可能です。
アクティブな加熱乾燥だけでなく、「そもそも湿気を吸わせない」という未然の対策を施せる点でも、AMS HTとTPUの相性はバッチリだと言えるでしょう。
AMS HT導入前に知っておくべき注意点

優れた乾燥機能とTPU供給の役割を備えるAMS HTですが、使ってみてわかった注意点もチラホラ。
ここでは、導入前に知っておきたい注意点を紹介していきます。
電源接続とプリンター連携の必須要件
AMS HTの乾燥機能を利用するには、いくつか重要な注意点があります。
まず、各AMS HTユニットには必ず110Vの外部電源アダプターを接続する必要があります。
プリンター本体からは乾燥用の電力が供給されないため、外部電源なしでは乾燥機能は動作しません。
また、AMS HTはプリンターと6ピンバスケーブルで接続されている必要があり、プリンターの電源がオンで「フィラメント乾燥モード」に設定されている場合にのみ乾燥機能を使用できます。
プリンターに接続しない状態での単体乾燥はサポートされていない点で、標準的なフィラメントドライヤーとはことなります。
これらの要件を満たすことで、AMS HTの強力な乾燥能力を最大限に活用し、安定したプリント環境を構築することが可能になります。
乾燥後のフィラメント供給に関する注意点
AMS HTでフィラメントを乾燥させた後、すぐにプリントを開始することはできません。
AMS 2 Proと同様に、加熱乾燥が終了した直後の高温状態では、フィラメントをプリンターに供給する機能が制限されてしまいます。
そのため、フィラメントの供給を開始するには、AMS HTの内部温度が一定のレベル(約50℃程度)まで下がるのを待つ必要があります。
乾燥プロセス完了後、すぐにプリントを開始したいと想定している場合には、この冷却待ち時間を考慮に入れる必要があります。
X1-CarbonやP1Sで乾燥するにはファームウェアアップデートが必要

AMS HTは、最新機種H2D以外にも、既存機種
に対応しています(2025年7月時点)。
さらに、2025年のQ3にはA1シリーズへの対応も予定されており、Bambu Lab全機種にとっての新しい相棒と言うべき存在です。
ただし、AMS HTを使用するには、3Dプリンター本体のファームウェアアップデートも必要。
Panda TouchやOrcaSlicerを使用する都合上、ファームウェアアップデートを控えているというユーザーは注意が必要になります。
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まとめ:AMS HTはどんなユーザーにおすすめ?

Bambu Lab AMS HTは、フィラメント乾燥にまつわる多くの課題を解決し、3Dプリントの品質と安定性を格段に向上させる革新的な自動素材供給システムです。
AMS HTは、最大85℃の高温乾燥に対応し、PVAやPA-CFといった吸湿性が高く、一般的な乾燥機では対応が難しい高性能フィラメントの乾燥に絶大な効果を発揮。
実際に検証したPVAやPA-CFのプリント品質は劇的に改善され、湿気による見た目の問題や寸法変化が解消されました。
また、湿度、温度、乾燥時間をリアルタイムで表示し、RFIDによる自動設定も可能なので、初心者でも簡単に最適な乾燥が行えます。
さらに、AMS HTはTPUフィラメントの供給においても独自のアドバンテージを提供します。
TPU専用の排出口により、柔軟なフィラメントの詰まりリスクを軽減し、乾燥ボックスとしても機能するため、湿気に弱いTPUの品質維持に貢献します。
X1-Carbon、P1S、そしてH2DといったBambu Labの主要プリンターに対応しており、ファームウェアアップデートにより既存のユーザーもその恩恵を受けられます。
総合すると、AMS HTは以下のようなユーザーに特におすすめできるでしょう。
AMS HT、ちょっと気になってきた!
という方は、ぜひ日本代理店サンステラさんのショップページものぞいてみてくださいね!
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