こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
Bambu Labの複合型マシン「H2S Laser Full Combo」を実機レビュー
していきます。
現行のBambu Lab 3Dプリンターで最大の造形サイズを誇る「H2S Laser Full Combo」。
はもちろんのこと、
という複合型マシンである点も気になるポイントでしょう。
この記事では、Bambu Lab日本代理店のサンステラ様よりご提供いただいた実機を使い込んで分かった性能や実力、導入前に知っておきたい注意点まで余すことなくお伝えします。
兄弟マシン「H2D」をすでに1000時間以上使い込んでいるウノケンの視点で、この「H2S」がいったいどんな装置なのか?を大解剖。
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

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この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。
実際の装置の動きを含めた、動画ならではの内容が盛りだくさんの解説をお楽しみください!
Bambu Lab H2S Laser Full Comboの基本スペック・特徴

「H2S Laser Full Combo」は、3Dプリントに加えてレーザー彫刻やブレードカッティング機能を備えたバージョンです。
レーザーモジュールなどのパーツを取り換えるだけで、3Dプリンターが他の製作マシンに早変わりするユニークな複合機。
そんな「H2S Laser Full Combo」の発売が開始されて、
X1-Carbonの後継として手元のマシンをH2Sに入れ替えようかなぁ
レーザーモジュールの実力ってどうなんだろう?
通常のAMS Comboとどちらを選ぼうかな…
などと、導入するマシンに迷っていたり、そのスペックが気になっていたりする方も多いでしょう。
そこで、まず「H2S Laser Full Combo」の基本スペックと複合機としての魅力を見ていきます。
実際に使ってわかった特徴や「H2S」ならではのスゴいポイントも盛り込んでいくので、導入にあたっての検討材料にもなるはです。
H2SはBambu Lab史上最大の造形サイズ

「H2S」は、現行のBambu Lab 3Dプリンターの中で最も大きい造形サイズを持ちます。
プリントできる最大サイズは、
です。
このサイズは、デュアルノズルである「H2D」と比べても、わずかに大きいサイズ設定となっています。
実際に0.6mmの太めノズルを使って、スパイラルモードでのフルサイズプリントを行ったところ、身体を隠すほど大きなモデルが完成しました。

「H2S」のフルサイズ、かなり大きいです。
大型オブジェやコスプレグッズの製作には、大いに役立つ1台でしょう。
クイックスワップ採用のツールヘッド

「H2D」がデュアルノズルで話題を集めたのに対し、「H2S」はシングルノズルを採用。
そしてツールヘッドは、人気の低価格帯ラインナップである「A1シリーズ」とデザイン的・機能的に似た部分を持ち、ノズルの取り替えやすさ(クイックスワップシステム)も受け継いでいます。
たとえば、「X1-Carbon」や「P1S」でのノズル交換は、ネジ・配線・ファン・ヒーター・サーミスタを取り外し、サーマルグリースを塗布して、新しいホットエンドに交換する…というなかなか厄介な作業が必要でした。
これが「H2S」では、「A1シリーズ」以降で定番となったクイックスワップノズルに変更されています。
クイックスワップノズルとは、
ホットエンドを交換できてしまう仕組みのこと。


この快適な交換システムは、
一度、体験すると、もう元には戻れない…!
ほどの利便性の高さを感じさせます(交換している様子は動画で紹介中!)。
チャンバー内部を最大65℃まで加熱可能

「H2S」は、高温材料への対応力も大きな魅力。
チャンバー内部を最大65℃まで加熱可能なため、ヒートベッドの加熱だけでは反りやすい、
といった材料の使用時にも心強いです。
チャンバー加熱は「H2D」と共通の機能でありながら「X1-Carbon」や「P2S」にはない特徴なので、3Dプリンター選びのポイントの一つになるでしょう。
さらに、ノズル最大温度は350℃に対応。
PPS-CFのようなスーパーエンプラにも対応できます。
PPS-CFでプロペラのようなモデルをプリントしたところ、反ったり積層割れが起きたりすることもなく、きれいな仕上がりでした。

最大温度が300℃の「X1-Carbon」や「P2S」にはない、「H2S」ならではの魅力でしょう。
1台4役を担う複合型マシン(3DP+レーザー/カッティング/ドローイング)

「H2S Laser Full Combo」は、3Dプリント機能に加えて、
という1台4役をこなす万能型のマシンです。
この複合機能の最大の強みは、モジュール交換だけで役割を瞬時に変更できる機動力。
3Dプリントの状態からレーザーモジュールを装着する手順は非常に簡単で、わずか1分もかかりません。
レーザーモジュールは、彫刻に使用する455nmの半導体レーザーに加え、高さを測定する赤外線レーザーや安全のための温度センサー、炎センサーなどが一体化されています。
思い立ったらすぐにレーザー加工を始められるこの機動力は素晴らしいです。

ただし、「H2S」はレーザー出力が小さい10Wモデルのみ。
厚い木材やアクリルの切断には不向きです。
とはいえ、10Wもあれば数ミリ程度の木材や不透明のアクリル板であれば切断可能。
レーザー加工に興味があるけど、レーザー専用機をわざわざ1台導入するのはちょっと...
という方にとっては、「3Dプリンター1台」で導入できる上、十分な機能を備える優れた選択肢でしょう。
もっと強いレーザー出力を求める人は、40Wモデルも存在する「H2D」がおすすめです。


レーザーだけでなく、デジタルカッティングへの移行も簡単で、ツールヘッドのモジュールを取り替えるだけで済んでしまいます。
カッティングモジュール(ブレード機能)は、紙・革・ビニールのような薄いシート状のものを高精度で切断するのに最適です。
レーザー切断と違って、煙などが発生しない点や切断面が焦げずにキレイに仕上がる点がメリットでしょう。

最後に、ドローイング機能ではペンモジュールを装着することで、紙や3Dプリントしたペラペラシートなどにお絵かきすることができます。


こうした異なる製作プロセスを共通のソフトウェア「Bambu Suite」で扱えて、ほとんど同じ操作で準備できる点も優秀です。
H2シリーズの共通アクセサリが使用できる
たとえば、
など、H2シリーズの共通アクセサリの使用も可能です。
中でも、上記の動画で詳しく紹介している「ビジョンエンコーダー」の存在は要チェック。
もともとのクオリティが高い「H2S」のキャリブレーションに使用するプレートで、経年変化にも対応するなど継続的により高い精度を実現してくれます。
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H2S Laser Full Combo開封!同梱品〜セットアップ
さて、ここからは「H2S Laser Full Combo」の開封からセットアップまでの様子を見ていきましょう。
どんな同梱品があるのか、どんな手順でセットアップが進むのかを把握することで、購入後の使用イメージも膨らみやすくなるはずです。
ちなみに「H2S」には、日本語のクイックスタートガイドも付属しているので、セットアップ時は合わせて参考にすると良いでしょう。
ちなみに、「H2S」の本体重量は、およそ30kg。
机の上に持ち上げるといった作業は重労働になるため、可能な限り2人で作業することをおすすめします!
本体・AMS 2 Pro・アクセサリーボックス・サプライボックスを確認

まずは、レーザー版である「H2S Laser Full Combo」特有のサプライボックスがお目見え。
こちらには、
などが入っていました。
緩衝材やビニールを取り除いていくと、本体が見えてきます。

本体のなかには、「AMS 2 Pro」とアクセサリーボックスの姿も。

通常のツールボックスの他に、レーザーモジュールやカッティングモジュールも入っていました。

ちなみに、本体の正面扉が緑色なのはレーザー版だけの仕様です。

レーザー彫刻の光が外に漏れないようにするため、レーザー波長の光を遮る役割を担っています。
しっかり遮光されているため、レーザー彫刻している様子を扉越しに見てもほとんど眩しさは感じませんでした。
どうしても気になるという方は、オプションの保護メガネを用意することも検討すると良いでしょう。
マルチカラー3Dプリンターの「定番」開梱作業

まずは、昨今のマルチカラー3Dプリンターとして標準的な作業をコツコツと行っていきましょう。
スプールホルダーに関しては、「H2S」はシングルノズルなので必須ではありません。
フタを載せたら、その上に「AMS 2 Pro」を載せましょう。
ちなみに、レーザー版ではフタの色が真っ黒です。

緑の正面扉とも違って、ほぼ完全に光を通さないものになっています。
H2S本体の初回セットアップ

早速、電源を入れて初回のセットアップを進めていきましょう。
といった初期設定を進めていくと装置が動き出し、およそ30分ほどかかる初回キャリブレーションを実行していきます。
が自動的に行われ、プリントに取りかかれる状態までもっていってくれます。
ユーザーはコーヒーでも飲んでのんびり待機しましょう。
待ち時間の間に、3Dプリンターと共通のスマホアプリ「Bambu Handy」をダウンロードしておくのがおすすめ。
外出先でもスマホから3Dプリントの様子をチェックすることも可能です。
※レーザー加工は安全のため近くで見守りましょう!


テストプリント実行:3Dbenchy・FDMtest・第一層シート

まずは、定番の3Dbenchyをプリント。
プリントは17分ほどで完了し、きれいな仕上がりが確認できました。

船の窓枠上側のところが少し垂れ下がり気味に見えますが、高速プリントであるにも関わらず表面の波打ちなどは見られません。
続いて、FDMtestをプリント。

各種構造の仕上がりはどうでしょうか?

狭い隙間でもプリントできるかを試す5本のピンはすべて外れ、側面の縦線のところもリンギングは見られません。
ブリッジの垂れ下がりは小さく、下の段に接触しているものはありませんでした。
オーバーハングに関しては、「X1-Carbon」や「H2D」同様、一番上の15°のところだけ少し乱れがあるようです。
最後に、「H2S」のヒートベッド全面を使った第一層をプリント。

「H2S」には、「X1-Carbon」や「P1S」と違ってプリント不可エリアがありません。
現状のBambuマシンで最大となる340×320mmのペラペラシートがきれいに仕上がりました。
レーザー版の初回セットアップ

「H2S」をレーザー対応にするためには、ちょっとした準備と初回セットアップが必要です。
といった準備を進めたら、表示される利用規約の確認を行い、早速初回のセットアップを実行します。
レーザーテスト素材を置くように指示があるので、同梱のグリーティングカードを半分にカットしてレーザープラットフォーム上にセット。
フタと扉を閉めてキャリブレーションに進みましょう。

以上の動作は初回のみであるものの、今後も電源を入れた際には毎回1分程度の簡易的なキャリブレーションが実行されます。
それからもう1点、初回にセットアップが必要なのがバードアイカメラです。
3分ほどで完了するので、あわせて実行していきましょう。
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H2S Laser Full Comboの実力を実機検証:3Dプリント編

ここからは「H2S」の最大の強みである大型造形能力や、多様なフィラメントへの対応力を見ていきましょう。
実際に使ってみてとくに感じたのは、
1辺300mmを超える造形サイズの威力がスゴイ!
ということ。
さらに、つい先日までBambuの主力だった「X1-Carbon」と同程度の価格で導入できるのが大きなメリットであることも強く実感しました。
そんな「H2S」の実力を複数のプリントを例にしながら見ていきましょう。
複数モデルの同時プリント:21匹わんちゃん

「H2S」は、大きなベッドサイズ(340×320)を活かして、多数のモデルを同時にプリントできます。
そこで、1辺300mm超えの大きなベッドに3色のわんちゃんを21匹並べてプリントを実行。

途中、プリント中にオートレベリングの設定が原因で3匹の第一層が定着しないエラーが発生しましたが、「H2S」の機能であるオブジェクトスキップを実行することで対処しました。


エラーが起きないのが理想的ではありますが、起きたとしても続行できる代替策があるのは重要な点です。
そうして、約20時間を要して18匹のわんちゃんが完成しました。

「AMS 2 Pro」を用いたマルチカラープリントでは、フィラメントの切り替えに伴ってゴミが発生してしまいますが、今回発生したゴミの量はカップ1杯分、およそ45g。
マルチカラープリントにおいては、1匹でも18匹でもゴミの量は変わりません。
ベッドサイズが大きく多数のモデルを並べてプリントできる「H2S」でなら、ゴミの量を最小限かつ複数モデルを効率的にプリントすることが可能です。
フルサイズ造形:中世風の兜と勇者の大剣

「H2S」の大きな造形サイズは、巨大なモデルをプリントするのにも最適です。
そこで、幅と奥行きがおよそ28cm、高さ32cmの兜のプリントを実行。

これは「A1シリーズ」はもちろん、「X・Pシリーズ」では実現できないモデルの大きさであり、「H2S」のサイズを最大限に生かした大物です。
約27時間をかけて、非常に高い品質で仕上げることができました。


続いて「H2S」の高さを活かしつつ、1プレート10時間前後のプリントを連発していきます。


合計40時間超えのプリントを経て、全パーツをプリント完了。

これらのパーツを組み立てて、まさにファンタジーの世界で勇者が振り上げていそうな大剣が完成しました。

多数のパーツに分ける必要のあるモデルでは、大型マシンを活用することでプリントの分割数を減らせる点も大きなメリットでしょう。
光沢が目を引く兜・大剣のプリントにはPolymakerの「PolyLite PLA Silk」を使用しました。
余談になりますが、近々「パンクロマ™ PLA Silk」へと名称変更が実施されるようです。
特殊材料への対応力:ABS-GFとPEBAでプリント実行

「H2S」はチャンバー内部を加熱する機能(最大65℃)を備えています。
そのため、ABSのような冷えると反りやすいタイプのフィラメントでも大幅に反りを抑えてプリントすることが可能。
また、もちろん耐摩耗仕様のため、カーボンファイバー(CF)・ガラス繊維(GF)強化系のフィラメントにも対応しています。
実際に、ABS系で、かつガラス繊維を配合したABS-GFフィラメントでプリントを実施。
ベッド一面に配置した、平べったく反りやすいモデルでもばっちり仕上がりました。

ちなみに、この細長いプリント品は3Dプリンターに取り付けられる電源のオン・オフモジュール。

3Dプリンターを部屋の隅に置いても後ろに手を回す必要なくオン・オフできるのでとても便利です。

話を戻して、今度はPEBAやTPUといった柔らかいフィラメントについて。
「H2S」は柔らかいフィラメントも使えるものの、AMSや外部スプールからの供給には適さない点に注意が必要です。
本体の上にスプールを設置するなど、できるだけ抵抗なくスムーズに供給される必要がある点には留意しておきましょう。

この点に気をつけておけば、PEBAによるメッシュ状クッションのようなモデルでも容易にプリントすることができます。
糸引きもほとんどなく、大変キレイに仕上がりました。


ただシングルノズルの「H2S」は、発生するゴミを考慮すると、TPUやPEBAのサポートにPLAを使うといった別材料を使うマルチマテリアルプリントには不向きです(デュアルノズル「H2D」の得意分野)。
柔らかいフィラメントを使う場合は、サポート少なめ、かつ小規模モデルが適しているといえるでしょう。
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H2S Laser Full Comboの実力:レーザー・カッティング・ドローイング編
3Dプリント機能に加え、レーザーやカッティング、ドローイング機能が搭載された「H2S」。
どんな作品がつくれるの?本当に実用的?
3Dプリンターと複合化されたメリットは?
といった疑問にも応えるべく、レーザー・カッティング・ドローイング機能を使ってさまざまなアイテムを製作してみました。
そんな製作例を見ながら、「H2S」の実力に迫っていきましょう。
レーザー彫刻:木材・金属・3Dプリント品

まず1つ目は、「H2S」のレーザー彫刻を活用して、AI生成画像を木材の上に彫刻していきます。
画像を「Bambu Suite」にインポートしてレーザー彫刻を実行すると、フレームにきれいに模様を彫刻してくれました。

万が一、火がつくようなことのないよう、ずっと装置の近くで見守る必要はありますが、これくらいのレーザーラインタスクであれば、4分足らずで完成します。
それでは、2つ目。
金属のカードに名刺風のデザインを彫刻してみましょう。
「Bambu Suite」の機能を使えば、画像生成したテキストや模様をベクトル化したり、QRコードも生成できたりと、非常に便利です。

完成したデータを用いて、いよいよレーザー彫刻へ。
金属への彫刻時には、サポートバー(スラット)の向きや本数を調整して材料を安定させることで、テキストやQRコードがきれいに彫刻できます。

とくに小さな材料の場合は、スラットを下向きにし、複数のバーを密接に配置することが推奨されているようです。
今度は、複数のカードに同時に彫刻してみましょう。

そんなときに便利なのが、バッチ彫刻機能。

バッチ彫刻機能を使えば、4枚のカードをほぼ正確に認識し、デザインを複製して一度に彫刻できます。

ただし、サイズが小さく重さの軽い対象物は、装置の振動やエアアシストの影響で動いてしまい、彫刻がずれやすい傾向にあります。
同梱の固定用ピンで固定するなどの対策が必要になることを覚えておきましょう。

最後3つ目は、3Dプリント品にレーザー加工を施してみます。
まずはレーザー加工前に「Bambu Suite」にある配列キャリブレーション機能を活用して、速度と出力のパーセントを変化させながら加工結果を確認することも可能です。
上記はBambu純正ではない素材(3Dプリント品など)へのレーザー彫刻前に、実行しておくと安心でしょう。
このキャリブレーション結果をもとに最適なパラメータを設定することで、白黒のコントラストがはっきりした彫刻が完了しました。


とくに、木の粉が混ざっているPLAウッドフィラメントを使用することで、普通のPLAでは実現できないクッキリとした仕上がりに。


3Dプリント品は、レーザー彫刻との相性も抜群です。
レーザー切断:木材・アクリル板を切断

「H2S」のレーザーモジュールは、10Wモデルのみが選択可能です。
10Wでもレーザー切断できる?
と思う方もいるでしょう。
そこで、1辺300mm・厚さ3mmの木材(合板)の切断を実施してみました。
切断の際にはかなりの煙が発生しますが、付属のダクトを接続することで適切に排気してくれます。
部屋の中に匂いが充満することはありませんでした。

さて、無事に切断完了。
レーザーをじっくり照射する必要のある切断では、彫刻に比べてスピードを落とす必要があります。
以下のデザインでは、3mm厚の木材カットに25分を要しました。

切断箇所に空気を吹き付けるエアアシストも搭載されているため、切断面もなかなかきれいです。

さらにもう3枚の切断を敢行し、合計2時間30分ほどの時間をかけて4枚の木板をレーザー切断。

大量のパーツが切り出されました。
ここからは人間の出番です。
膨大なパーツを手作業で組み立てていくと……。
温かみのあるカッコいい車のモデルが完成しました。

ちなみに、この車のモデルはBambu Labのモデル共有サイト「MakerWorld」にて掲載されていたもの。


レーザー用データも続々アップされているようなので、気になる方はチェックしてみてください。

木板のほか、不透明なアクリル板(厚さ3mm)なども切断可能です。
アクリル板の加工時には発火リスクを下げるために保護フィルムの取り外しが推奨されています。


ただし、フィルムを剥がして切断すると表面が少し汚くなる傾向にあるため、安全性や表面の質も踏まえてフィルムの取り外し有無を判断するようにしましょう。
デジタルカッティング(ブレード機能):紙・人工皮革

ここからは「H2S」のカッティングモジュール(ブレード機能)を見ていきましょう。
カッティングモジュールへの交換は、
するだけで、完了します。
それでは、実際のカッティング例を見ながらその性能を確認していきましょう。
まずは、紙。

一般的なコピー用紙であれば、1分たらずでカットが完了。
切り絵のような細かいデザインもきれいに切り出すことができました。

次に、人工皮革(レザーレット)のカッティングに挑戦。

順調に進んでいたカッティングですが、鋭角に曲がるポイントで引っかかりが見られました。

デザインによっては、速度や圧力の調整が必要になることを覚えておきましょう。

別途プリントしておいた3Dプリント品と組み合わせたら……、

高級感のある腕時計用スタンドを作成できました。
ここで、
レーザー切断できるのに、わざわざカッティング機能を利用するメリットはあるの?
という疑問が浮かぶ方もいるでしょう。
カッティングを利用するメリットは主に、
という2点。
紙やビニール、薄い革のような素材の切り抜きをする際には、レーザー切断よりもカッティングが活躍するでしょう。
ドローイング:紙・3Dプリントしたペラペラシート

ペンモジュールを装着すれば、ドローイングも可能になる「H2S」。
変更もカンタンで、ブレードを外したら、ペンモジュールを差し込むだけでOKです。
同梱の黒と赤のペンに加え、既定の径に収まる市販のペンも装着できるようです。
それでは、まず紙へのドローイングを見ていきましょう。
「Bambu Suite」上で“塗りつぶしを描画”、あるいは“線を描画”のどちらかを選択し、バードアイカメラでキャプチャして、自動配置。

データを送信したら、ドローイング開始です。
まずは亀のデザインを線で描画していきます。

かなりサクサクと線が描かれていき、40秒ほどで完成しました。
一方、塗りつぶしのネズミには7分弱の時間を要しました。

基本的にちょんちょんと、太めの線を細かく正確に塗りつぶす方式であるため、時間を要してしまうようです。
とはいえ、ペンを動かしてデザイン通りに描いてくれるのは、なかなか面白い機能でしょう。

ひとつ気になったポイントは、書き出す前にワンタッチする動作が入ること。
滲みやすい素材にドローイングする場合は要注意です。


面白いドローイング機能ですが、コピー用紙に書くのであれば2次元のプリンターで事足りてしまいます。
そこで、3Dプリントしたペラペラシートにもお絵かきできるのか試してみました。
結果は、この通り。


大きなキツネのデザインが、問題なく仕上がりました。
紙以外のさまざまな素材にもお絵かきできる点が、ドローイング機能の強みの1つでしょう。
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実際に使ってわかった導入前に知っておきたいH2Sの注意点

3Dプリントに、レーザーに…創作レベルを一段階も二段階も引き上げる複合機能に興味が湧いてきた方も多いのではないでしょうか。
ここからは、そんな高精度でユニークな「H2S」に注意すべき弱点はないのかどうか見ていきます。
予め知っておくことで、あとから後悔したり、手間が発生したりといった事態を防げるようになります。
1つずつ確認していきましょう。
ヘビー級の本体サイズによる設置環境の考慮

大型プリントというメリットがある反面、本体サイズが大きい点は導入にあたって考慮すべき注意点にもなります。
以下の画像のように、「P1S」と同じくらいのサイズである「X1-Carbon」と比較すると、「H2S」は幅と高さがおよそ20cm、奥行きが10cmほど大きくなっています。

しかも重量に至っては、およそ2倍の30kg。
まさに、ヘビー級のサイズ感です。
設置場所を選ぶ際や、「H2S」の移動を伴う可能性がある場合は、この大型・重量級のサイズ感をよく考慮する必要があるでしょう。
ただ、安心してもらいたいのは騒音の観点。
大型サイズを活かした長時間におよぶ大物プリントの騒音については、PLAであっても扉を閉めてプリントできる給排気機能を備えているため、騒音値は50デシベル前後。
深夜のプリントでもあまり気にならないレベルです。
マルチカラープリント時のフィラメント消費・時間効率に注意

マルチカラープリントの仕組み自体は「X1-Carbon」や「P1S」時代から大きな変化はありません。
「AMS 2 Pro」への進化で乾燥機能や供給速度は向上したものの、1つのノズルで複数のフィラメントを切り替える方式に変わりはないため、
などと比べると、マルチカラープリント能力という点では見劣りしてしまうでしょう。

実際に、2色のバルーンモデルでプリントしてみたところ、
のように、2.5倍の差が生じました。
「H2S」では色を切り替えるたびに、
という工程を、存在するすべての層で行うため時間がかかってしまうのです。
さらに、最終的に発生したゴミの量は、大きなビルドプレートを埋め尽くすほど。
約350gにのぼりました。

本体重量は32gであるため、なんと10倍以上ものゴミが発生したことになります。
フィラメントのゴミや切り替え時間の無駄が頻繁に発生するモデルをプリントする予定がある場合は、デュアルノズルの「H2D」や、2025年末に登場予定とされている「H2C」といったマシンを検討すべきでしょう。
とくに「H2C」の革新的なホットエンド交換システムVortekには注目が集まっています。
気になる方は、以下の動画もあわせてご覧ください。
レーザー利用に伴うメンテナンスと今後のレーザー環境

「H2S Laser Full Combo」は、3Dプリントとレーザー加工を1台で行えるユニークな複合型マシン。
その弊害とも言えるのが、レーザー切断においては避けられない煙や粉塵の発生です。
そのため、可動部分へのホコリの蓄積やカメラレンズの汚れなどの適切なケアが必要となるでしょう。
Bambu Labも3Dプリントだけを行う場合に比べて、頻繁にメンテナンスすべきだとアナウンスしています。
レーザーも積極的に使いたいと考えている方は、通常の3Dプリンター以上にメンテナンスが必要になると認識しておきましょう。
それから、レーザー加工分野への“今後の注力度は未知数である”という不確定要素は頭に入れて置かなければなりません。
ソフトウェアのアップデート、Bambu純正材料、利便性を高めるアクセサリの充実といった環境は、今後のBambu Labの動向に左右されてしまいます。
実際、2025年10月時点では、純正材料やアクセサリが日本ではほとんど存在しておらず、レーザー用のデータも質・量ともに物足りない状況です。
レーザー版か、通常版かで迷っている場合は、こういった不確定要素も考慮しつつ検討してみてください。
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H2SとH2Dの違いは?

導入前に、「H2S」と「H2D」の違いを把握しておくことも大切です。
レーザー・カッティング・ドローイング機能を除き、両機の主な違いを3つ紹介します。
まずは、
です。
「H2S」には両側面に窓がありませんが、「H2D」はガラス窓になっています。




次に、
です。
「H2D」には搭載されていたノズルカメラが「H2S」にはありません。

このノズルカメラはAIモニタリング機能を担っており、長期的な使用においてはプリント失敗の早期検出の観点で差が出る可能性があります。
ノズルカメラの有無は、両機種の大きな違いの一つでしょう。
さらにもう1点、
に関しても違いがあります。

「H2D」では自動読み取りが可能でしたが、「H2S」ではホットエンドの種類を識別するコードがカバーに隠れてしまうため、手動で設定する必要があります。
「H2D」に関しては、詳細を徹底解説しているレビュー動画もあわせてご覧ください。
まとめ:H2S Laser Full Comboはどんな人におすすめ?

ユーザーのクリエイティビティを飛躍させてくれる大きな造形サイズと複合機能をもった「H2S Laser Full Combo」。
とくに単色プリントに強みをもち、大型造形と高温材料への対応力が最大の魅力でしょう。
複合機能で創作の可能性を広げている点も含め、現状のBambu Labラインナップにおける頂点に位置する1台だといえるでしょう。
個人にとってはその価格がネックとなっていた「H2D」と比べて、リーズナブルな値段設定にも注目です。
例えば、「H2S」単体であれば、20万円を切る価格設定(リリース時点。X1-Carbonと同程度)である点も、導入に踏み切りやすいポイントでしょう。
「レーザー版」という点に関しても、
想像以上に使い勝手が良かった!
という感触で、家庭用・個人向けとしては十分本格的な性能をもった1台だと感じました。
これだけの完成度を持ちながら、10万円程度の追加料金と1台の設置スペースで3Dプリントもレーザーも行える点はかなり優秀だと感じました。
総合すると、「H2S Laser Full Combo」は、
といった方に、とくにおすすめできるマシンなのではないでしょうか。
この記事を参考に、ぜひ「H2S Laser Full Combo」の導入を検討してみてください!
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