なぜレンズはフーリエ変換できるのか?【光とフーリエ変換】

こんにちは、unogram管理人のうのちゅ〜です。

今回は、「なぜレンズはフーリエ変換できるのか?」という疑問について解説していきます。

光学について学ぶと、「どうやらレンズを使うとフーリエ変換できるらしい」ということがわかります。

では、「なぜレンズを使うとフーリエ変換できるのか?」という疑問にパッと答えられるでしょうか?

本記事では、「なんとなく」理解していたレンズによるフーリエ変換の原理についてわかりやすく解説していきます。



そもそもフーリエ変換とは?

フーリエ変換について簡単におさらいしておきます。

\(f(x,y)\)の2次元フーリエ変換\(F(\nu_x,\nu_y)\)は、空間周波数\(\nu_x\), \(\nu_y\)を使って次のように表されます。

$$ F(\nu_x,\nu_y) = \int^{\infty}_{-\infty} f(x)\exp\{-i2\pi(\nu_xx+\nu_yy)\}dxdy $$

後ほど光の空間伝搬とレンズの作用によって同様の式が導かれるので、この式をしっかりと頭に入れておきましょう。

レンズによる回折の表式

「レンズによってなぜフーリエ変換できるのか?」に対する答えは、光の伝搬とレンズの作用によって、レンズ前後の焦点位置における光の分布がフーリエ変換の関係で表されるからです。

これを理解するためのキーワードは、「フレネル回折」です。

光軸上に垂直な面に\(x, y\)軸をとり、レンズの前側\(L\)の位置に物体\(f(x,y)\)が存在するとしましょう。

この物体\(f(x,y)\)がレンズによってフーリエ変換されることを示していきます。

レンズ直前の表式

波面が伝搬するとき、回折という現象によって光は直進せずに広がって進みます。

レンズによるフーリエ変換を考える場合、物体から距離\(L\)だけ波面が伝搬するとき、「フレネル回折」という現象が起こると考えます。

このとき、レンズ直前に到達した波面\(u^-(x,y)\)は、以下のような畳み込みの式で記述できます。

$$ u^-(x,y) = f(x,y) \ast \frac{1}{i\lambda L}\exp\left(i\frac{\pi}{\lambda L}(x^2+y^2)\right) $$

畳み込みとフーリエ変換の関係を使うと、\(u^-(x,y)\)のフーリエ変換\(U^-(\nu_x,\nu_y)\)は次のように表されます(後ほど使用するため導出しておきます)。

$$ U^-(\nu_x,\nu_y) = F(\nu_x,\nu_y)\exp(-i\lambda L\pi(\nu_x^2+\nu_y^2))$$

レンズ透過直後の表式

レンズ透過直後の波面\(u^+(x,y)\)は、焦点距離\(f\)のレンズの複素振幅透過率\(t(x,y)\)を用いて次のように表されます。

$$ u^+(x,y) = t(x,y)u^-(x,y) = \exp\left(-i\frac{\pi}{\lambda f}(x^2+y^2)\right)u^-(x,y)$$



焦点面における表式

さて、以上の式をもとに焦点面\((x_0,y_0)\)における波面\(g(x_0,y_0)\)が物体のフーリエ変換で表されることを示していきます。

レンズ透過直後の波面\(u^+(x,y)\)が焦点面まで伝搬する際の回折も、レンズの前側同様フレネル回折によって表されます。

$$ g(x_0,y_0)=u^+(x,y) \ast \frac{1}{i\lambda f}\exp\left(i\frac{\pi}{\lambda f}(x^2+y^2)\right) $$

\(u^+(x,y)\)を代入して整理すると、\(g(x_0,y_0)\)は次のような式で表されることがわかります。

$$ g(x_0,y_0)=\frac{1}{i\lambda f}\exp\left(i\frac{\pi}{\lambda f}(x_0^2+y_0^2)\right)\iint u^-(x,y)\exp\left(-i2\pi\left(x\frac{x_0}{\lambda f}+x\frac{y_0}{\lambda f}\right)\right)dxdy$$

\(\nu_x=x_0/\lambda f, \nu_y=y_0/\lambda f\)の関係から、積分はフーリエ変換の形であることがわかり、

$$ g(x_0,y_0)=\frac{1}{i\lambda f}\exp\left(i\frac{\pi}{\lambda f}(x_0^2+y_0^2)\right)U^-(\nu_x,\nu_y)$$

となります。

焦点面における波面は、「レンズ直前の表式」で導出していた\(U^-(\nu_x,\nu_y)\)を使用すると、次のように表されます。

$$ g(x_0,y_0)=\frac{1}{i\lambda f}\exp\left(i\frac{\pi}{\lambda f}\left(1-\frac{L}{f}\right)(x_0^2+y_0^2)\right)\cdot F(\nu_x,\nu_y) $$

\(L\neq f\)の場合、\(g(x_0,y_0)\)は\(f(x,y)\)のフーリエ変換に位相項がついた形になります。

一方、\(L=f\)、つまりレンズの前側伝搬距離が焦点距離に一致する場合、位相項がキャンセルされます

このようにして、物体\(f(x,y)\)のフーリエ変換\(F(\nu_x,\nu_y)\)を導出することができるのです。

「レンズによってなぜフーリエ変換できるのか?」という疑問が数式を追うことで理解できたのではないでしょうか?



詳しく学びたい方のためのおすすめ書籍

今回は、できるだけ簡単に「なぜレンズはフーリエ変換できるのか?」ということを解説するために、フレネル回折やレンズ作用の表式の詳細な導出等は省略しました。

詳細な原理についてしっかりと学びたい方はぜひ以下の書籍を使って学んでみてください。

この記事も以下の書籍を参考にしています。

光とフーリエ変換

著者情報谷田貝豊彦
発売日2012/9
内容1. 光と波動
2. 干渉と回折
3. フーリエ変換とコンボリューション
4. 線形システム
5. 高速フーリエ変換
6. フーリエ光学
7. 光コンピューティングと画像処理
8. 解析信号とヒルベルト変換
9. 干渉と分光

なお、その他のフーリエ光学について学べる参考書籍については、Goodmanだけじゃない!【フーリエ光学】おすすめ参考書で紹介しているのでこちらもご覧ください。