こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、知る人ぞ知る3Dプリンター界の有名企業「Prusa Research」について徹底解説していきます。
「“Prusa”って聞いたことあるけど、3Dプリンターメーカー?」
「“PrusaSlicer”と関係あるの?」
という「Prusa初心者」の方が
ついてイッキに理解することができる記事となっています。3Dプリンターに興味がある人であれば、「これだけは知っておきたい」という内容にまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
それでは見ていきましょう!
3Dプリンターブランド「Prusa Research」とは
「Prusa Research」とは、チェコのプラハに本社を置く3Dプリンターの製造会社です。2012年にJosef Prusa氏によって設立されました。今では毎月9,000台以上もの3Dプリンターを全世界に出荷しています。
Prusa Researchが手掛けるのは、3Dプリンター本体の製造・販売だけではありません。同社の主な事業は以下の通りです。
「PrusaSlicer」や「Printables」は、日本国内でもユーザの多い著名なソフトウェア・プラットフォームです。
「Original Prusaについてはあまり知らなかったけど、PrusaSlicerは使ってる!」
「Printablesは使ってるけど、この会社が運営してるのは知らなかった!」
という人も多いのではないでしょうか?
日本国内においては、ソフトウェアやプラットフォームの方が知名度がある印象のPrusa Research。一方で、3Dプリンター本体も愛好家の間では非常に評判が高いです。
高い品質はもちろんのこと、設立以来、一貫してオープンソースコミュニティを重視していることがその理由の1つでしょう。ソースコードや設計図、回路基板についての情報はGithubに公開されており、ユーザは無料でアクセスすることが可能です。
さらに興味深いのが、
Prusa Researchの3Dプリンターは、3Dプリンターによって製造されている
という点です。工場では約600台の3Dプリンターが常時稼働し、3Dプリンターに使用されるプラスチック部品が次々と「収穫」されているのです。
興味のある方は以下の公式YouTube動画をご覧ください。膨大な数の3Dプリンターがパーツを一斉に製造する様はまさに壮観です(2018年当時は300台の3Dプリンターだったようです)。
(出典:About us | Original Prusa 3D printers directly from Josef Prusa)
主要3Dプリンターシリーズ「Original Prusa」
まずはPrusa Researchの3Dプリンターシリーズについて解説していきます。
その主要プリンターラインナップは、Original Prusaシリーズ。Original Prusaシリーズには「FDM方式」と「光造形方式」の両方の3Dプリンターが存在しますが、今回はとくに有名なFDM方式の主要3Dプリンターに絞って紹介します。
Original Prusaシリーズには、
という共通の特徴があります。各3Dプリンターについて、その特徴を確認していきましょう。
高い評判を得た高精度3Dプリンター「Original Prusa i3 MK3S+」
「Original Prusa i3 MK3S+」は、各種メディアで高い評価を得たMK3シリーズの最新3Dプリンターです。(参考:Original Prusa i3 MK3S+ 3D printer | Original Prusa 3D printers directly from Josef Prusa)
第一層の品質を高めるSuperPINDAプローブ(オートレベリング用の素子)を新たに搭載し、組み立てとメンテナンスを容易にするための調整等のアップグレードがなされています。
以下のような、近年の3Dプリンターが備える便利機能はひと通り搭載しています。
一方で、決して安くはない価格帯を考えると、モノクロのノブ式スクリーンを採用している点や、フィラメント切れ検知センサーが搭載されていないことには驚く人もいるかもしれません。
「Original Prusa i3 MK3S+」にはすでに後継機種の「Original Prusa MK4」(後述)が登場しています。さらに、「MK3S+」から「MK4」にアップグレードできる点も特筆に値します。ころころと買い替えることなく3Dプリンターをアップグレードできるのは、Prusa製3Dプリンターの利点ですね。
コンパクト3Dプリンター「Original Prusa MINI+」
Z軸方向の柱が1本のみのシンプルな構造が特徴の「Original Prusa MINI+」。
180×180×180mmという一定の造形サイズをもちながら、非常にコンパクトな本体サイズを実現しています。
といった「MK3S+」まで搭載されていなかったインターフェース周りのアップグレードや、プリント品を取り外しやすいPEIばね鋼シートが採用されるなど、コンパクトながら優秀な3Dプリンターとなっています。
最新の高速・高品質3Dプリンター「Original Prusa MK4」
「Original Prusa MK4」はOriginal Prusaシリーズの最新3Dプリンターです(2023年7月時点)。MK3シリーズの後継にあたり、パーツの90%以上が一新されています。
目覚ましい進化を遂げる3Dプリンター業界において、今となってはややアップグレードの必要性を感じさせていた「MK3S+」。「MK4」では以下のような新機能を搭載し、イッキにモダンな3Dプリンターへと変身しています。
スペック値は公開されていないものの、#3DBenchyを20分でプリントできるプリントスピードの速さも注目に値します。こちらも昨今の高速化のトレンドに乗った進歩と言えるでしょう。
「組み立て済み」も登場しています。
Original Prusaシリーズスペック比較
3Dプリンター紹介の最後に、各機種のスペックを一覧で記載しておきます。
モデル名 | Original Prusa i3 MK3S+ | Original Prusa MINI+ | Original Prusa MK4 |
---|---|---|---|
本体イメージ | |||
メーカー | Prusa Research | Prusa Research | Prusa Research |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 500 x 550 x 400 | 380 x 330 x 380 | 500 x 550 x 400 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 250 x 210 x 210 | 180 x 180 x 180 | 250 x 210 x 220 |
エクストルーダ | ダイレクト | ボーデン | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | 200 | 200 | - |
最大ノズル温度[℃] | 300 | 280 | 290 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 120 | 100 | 120 |
組み立て | 組み立て済み /要組立(キットの場合) | 半組み立て済み /要組立(キットの場合) | 組み立て済み /要組立(キットの場合) |
プラットフォーム | 磁気ばね鋼(3種) | 磁気ばね鋼(2種) | PEIシート |
オートレベリング | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | × | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | × | ○ |
密閉 | × | × | × |
ディスプレイ | ノブ式 | ノブ式 | ノブ式 |
デュアルZ軸 | ○ | × | ○ |
データ入力 | SDカード | USB LAN | USB LAN |
本体重量[kg] | 7 | 4.5 | 7 |
スライスソフト | PrusaSlicer | PrusaSlicer | PrusaSlicer |
その他 | 本体サイズはスプールホルダーを除く | 本体サイズはスプールホルダーを除く | 本体サイズはスプールホルダーを除く 印刷速度:Benchyを20分で印刷可能 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
Original Prusaの相棒「MMU(マルチマテリアルアップグレード)」
Original Prusaシリーズを使用する上で、3Dプリントの幅を広げてくれる存在が「MMU(マルチマテリアルアップグレード)」です。上記の「MK3S+」や「MK4」に対応するのは、「MMU3」と呼ばれる3代目のMMUです。
「マルチマテリアルアップグレード3(MMU3)」は、単一エクストルーダーの3Dプリンターを使いながら、最大5つの異なる材料(色)を同時にプリントできるようにアップグレードするオプションキット。スライスデータをもとに色や材料は自動で変更され、マルチカラーの3Dプリントが可能になります。
ちなみに、同様の機能をもつ他社の3Dプリンター(およびそのアドオン)には、以下のようなものが存在しています。「高速化」だけでなく、「マルチカラー化」も家庭用3Dプリンター界の顕著なトレンドとなっています。
高品質3Dプリントフィラメント「Prusament」
Prusa Researchは、3Dプリンター本体だけでなく「Prusament」と呼ばれるフィラメントも展開しています。
愛用ユーザの多いスライスソフト「PrusaSlicer」
日本でもユーザーの多いスライスソフトである「PrusaSlicer」。3Dプリンター本体や材料以上に馴染み深いという方も多いことでしょう。
「PrusaSlicer」はオープンソースのスライスソフトです。Prusa Researchの3Dプリンターを使用していなくても無料で使用することが可能です。他社製の3Dプリンター(Creality、Anycubicなど)やフィラメントを前提とした設定(プリセット)が豊富に存在していることも、その人気の一因でしょう。
標準的なスライス機能の使いやすさはもちろんのこと、プリント途中の色変更のようなユニークな機能も標準搭載しています。PrusaSlicerを使った多色印刷の方法に興味のある方は、以下の記事をご覧ください。
3Dモデル共有プラットフォーム「Printables」
3Dプリントコミュニティにも力を入れているPrusa Research。2019年からは、3Dモデルを共有できるプラットフォーム「Printables」を運営しています。
3Dモデルの共有サイトといえばThingiverseが有名ですが、PrintablesではSTLファイルのみならずPrusa製3Dプリンターを前提としたGコードの共有も可能となっています。Prusaアカウントを作成すれば3Dモデル作成のコンテントにも参加できるなど、よりPrusaファンに寄った共有サイトであると言えるでしょう。
Prusaアカウントを持っていなくても、無料で3Dモデルをダウンロードすることが可能です。ユニークな作品も多数アップされているので、ぜひ覗いてみてください。
まとめ
今回は、3Dプリンター界の有名企業「Prusa Research」について、3Dプリンターラインナップとその他関連事業について解説してきました。
日本でもよく知られている
- スライスソフトのPrusaSlicer
- 3Dモデル共有サイトのPrintables
のみならず、世界的には
- 3DプリンターOriginal Prusaシリーズ
- 3Dプリンター材料のPrusament
といった主力製品も非常に有名で、3Dプリンター愛好家の間では高い評価を得ています。次の3Dプリンター選びに向けて、高品質なPrusaの3Dプリンターにも目を光らせていきましょう!