こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、CrealityのFDM3Dプリンター「Ender-5 S1」について、Ender-5シリーズ・S1シリーズとして徹底比較していきたいと思います。
Creality3D社はFDM・光造形方式の3Dプリンターを販売する企業です。CrealityのFDM(Fused Deposition Modeling, 熱溶解積層)方式3Dプリンターとして有名なEnderシリーズ。とくにEnder-3シリーズは知名度も高く、ユーザーからの評価が高いラインナップです。
そんなCreality Enderシリーズは、Ender-3だけではありません。今回紹介する「Ender-5 S1」はEnder-5シリーズの新モデルです。また、「Ender-3 S1」に代表される「S1」の名をもつ機種の1つでもあるので、S1シリーズの新モデルとしても注目の1台です。
とにかく最新モデルのEnder-5 S1について詳しく知りたい!という方は最新モデル【Ender-5 S1】の項目をご覧ください!
それでは見ていきましょう!
Creality Ender-5シリーズとは
はじめに、Creality Ender-5シリーズとはどんな3Dプリンターなのか、その特徴について確認しておきましょう。
高い安定性を実現する特徴的なボックスデザイン
Ender-5シリーズの特徴は、そのボックスデザインにあります。Ender-3シリーズや他社の家庭用FDM3Dプリンターのようなむき出しのデザインとは一風変わった堅牢なボディによって振動が抑えられ、高精度で安定性の高い3Dプリントを実現します。
ボックスデザインを生かして、密閉式のメリットを取り入れることも可能です。後述するように、「Ender-5 S1」はアクリルのエンクロージャをオプションとして取り付けることが可能で、保温性を高めたり外部の気流をシャットアウトしたりすることができます。
ノズルはXY方向に移動、プラットフォームはZ方向に移動
Ender-3シリーズのような一般的な家庭用FDM3Dプリンターは、
- ノズルがX(横)、Z(高さ)方向
- プラットフォーム(ヒートベッド)がY(奥行き)方向
に移動します。一方、ボックスデザインのEnder-5シリーズは
- ノズルがX(横)、Y(奥行き)方向
- プラットフォーム(ヒートベッド)がZ方向
に移動するという特徴があります。高さ方向に固定されたノズルに対して、プラットフォーム(ヒートベッド)が次第に下降していく仕組みになっています。
一見場所を取りそうに見えるボックスデザインですが、箱の中でプリントが完結している(プラットフォームが前後に飛び出さない)ため、設置場所に要するスペースは同等サイズの造形ができる他機種と大差ないか、むしろ小さくなっています。
要組み立てのDIY好き向けのシリーズ。S1は半組み立て済みで所要時間10分!
Ender-5シリーズは基本的にユーザ側で組み立てを行うDIYモデルです。ボックスデザインはパーツも多く、若干組み立て難易度は高いと言えるでしょう。DIY好きには逆にうれしい(?)ポイントかもしれません。
新機種の「Ender-5 S1」ではモジュラーデザインが採用されています。これにより組み立て難易度は軽減され、Crealityの記載では10分で組み立て可能とされています。
「サイズも大きいし、組み立てがちょっと心配。。。」という方にとっても導入しやすくなったのではないでしょうか?
【2023年版】Creality Ender-5シリーズ一覧
2023年現在、Creality社の公式ホームページ(英語版)で確認できるEnder-5シリーズ3Dプリンターは次の3点です。
まずは、各3Dプリンターのスペックを一覧表で見てみましょう。
モデル名 | Ender-5 Pro | Ender-5 Plus | Ender-5 S1 |
---|---|---|---|
本体イメージ | |||
メーカー | Creality | Creality | Creality |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 552 x 485 x 510 | 632 x 666 x 619 | 425 x 460 x 570 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 220 x 220 x 300 | 350 x 350 x 400 | 220 x 220 x 280 |
エクストルーダ | ボーデン | ボーデン | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | - | - | 250 |
最大ノズル温度[℃] | - | 260 | 300 |
最大ヒートベッド温度[℃] | - | 110 | 110 |
組み立て | 要組み立て | 要組み立て | 半組み立て済 |
プラットフォーム | マグネットシート | ガラス | PCばね鋼 |
オートレベリング | - | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | - | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ | ○ |
密閉 | × | × | オプションあり |
ディスプレイ | ノブ式 | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | × | ○ | ○ |
データ入力 | SDカード オンライン | SDカード オンライン | SDカード USB-Cケーブル |
本体重量[kg] | 11.8 | 18.2 | 12.1 |
スライスソフト | Cura Repetier-Host simplify3D | - | Creality Slicer Creality Print Cura Repetier-Host simplify3D |
その他 | デュアルY軸 | デュアルY軸 | デュアルY軸 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
一覧にしてみると、各モデルの違いや共通点が見えてきますね。
各モデルにどのような特徴があるのか、ここからは詳細を確認していきましょう!
シリーズ最安のスタンダードモデル【Ender-5 Pro】
「Ender-5 Pro」は販売中のEnder-5シリーズの中で最も低価格のスタンダードモデルです。
造形サイズは標準的なサイズ(220mm × 220mm × 300mm)で、オプション機能も最低限(停電時自動回復印刷程度)となっています。インターフェースも初期のEnder-3シリーズと同様のノブ式です。
機能性は求めないけど、ボックスデザインに興味があるという方はチェックしてみましょう。
大型モデルを造形したい人は要注目【Ender-5 Plus】
「Ender-5 Plus」はEnder-5シリーズで最大の造形サイズを誇る機種です。
350mm × 350mm × 400mmというスペックは他社の機種を含めてもかなり大きいものになります。同等の造形サイズで比較するとすれば、「Creality CR-10 Smart/Smart Pro」や「MINGDA Magician Max」あたりでしょうか。参考までに比較表を載せておきます。
モデル名 | Ender-5 Plus | CR-10 Smart | Magician MAX |
---|---|---|---|
本体イメージ | |||
メーカー | Creality | Creality | MINGDA |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 632 x 666 x 619 | 578 x 522 x 648 | 555 x 430 x 660 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 350 x 350 x 400 | 300 x 300 x 400 | 320 x 320 x 400 |
エクストルーダ | ボーデン | ボーデン | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | - | - | 200 |
最大ノズル温度[℃] | 260 | 260 | 260 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 110 | 100 | 110 |
組み立て | 要組み立て | 半組み立て済 | 半組み立て済 |
プラットフォーム | ガラス | カーボランダムガラス | - |
オートレベリング | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | - | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | - | ○ |
密閉 | × | × | × |
ディスプレイ | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | ○ | ○ | ○ |
データ入力 | SDカード オンライン | SDカード Wi-Fi | SDカード USB USB-C |
本体重量[kg] | 18.2 | 14 | 10 |
スライスソフト | - | Creality Slicer Cura | Cura |
その他 | デュアルY軸 | リモート制御機能 オートシャットダウン機能 デュアル斜め支柱 | |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
安定性も重視される大型モデルのプリントとボックスデザインの堅牢性は相性が良いです。加えて、「Ender-5 Plus」はオートレベリングや停電時自動回復印刷、フィラメントセンサといった定番のオプションもしっかり備えており、かなり使い勝手も良い優れたモデルです。。
大型造形や小さなパーツの大量生産を考えている方にとっては注目すべきモデルと言えるでしょう。
注目のハイエンド最新モデル!【Ender-5 S1】
最注目の「Ender-5 S1」は、2022年11月に発表されたシリーズ最新モデルです。
「Ender-3 S1/ S1 Pro / S1 Plus」のように「S1」の名を持つ「Ender-5 S1」は、Ender-5シリーズの中でも特に優れた高性能モデルに仕上がっています。主な特徴は以下の通りです。
- 半組み立て済みで、組み立てが容易に。10分で組み立てが可能(公式より)。
- プリントスピードが高速に。最大250mm/s。
- ノズル最高温度が300℃に上昇。多様なフィラメントに対応可能。
- オプションでエンクロージャを搭載可能。保温性を高め、外部の気流もシャットアウト。
- エクストルーダはダイレクトドライブ方式を採用。TPU等の柔らかい素材で品質向上。
このように、これまでのEnder-5シリーズとの比較はもちろんのこと、他のシリーズや他社モデルと比べてもかなり優れたスペックであることがわかることでしょう。
Ender-5シリーズとしてだけでなく、高性能シリーズの「S1」モデルどうしで比較してみましょう。
モデル名 | Ender-5 S1 | Ender-3 S1 | Ender-3 S1 Pro | Ender-3 S1 Plus |
---|---|---|---|---|
本体イメージ | ||||
メーカー | Creality | Creality | Creality | Creality |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 425 x 460 x 570 | 487 x 453 x 622 | 490 x 455 x 625 | 557 x 535 x 655 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 220 x 220 x 280 | 220 x 220 x 270 | 220 x 220 x 270 | 300 x 300 x 300 |
エクストルーダ | ダイレクト | ダイレクト | ダイレクト | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | 250 | 160 | 160 | 150 |
最大ノズル温度[℃] | 300 | 260 | 300 | 260 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 110 | 100 | 110 | 100 |
組み立て | 半組み立て済 | 半組み立て済 | 半組み立て済 | 半組み立て済 |
プラットフォーム | PCばね鋼 | PCばね鋼 | PEIばね鋼 | PCばね鋼 |
オートレベリング | ○ | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | ○ | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ | ○ | ○ |
密閉 | オプションあり | × | × | × |
ディスプレイ | タッチ式 | ノブ式 | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | ○ | ○ | ○ | ○ |
データ入力 | SDカード USB-Cケーブル | SDカード USB-C | SDカード USB-C | SDカード USB-C |
本体重量[kg] | 12.1 | 9.1 | 8.7 | 10.25 |
スライスソフト | Creality Slicer Creality Print Cura Repetier-Host simplify3D | - | - | - |
その他 | デュアルY軸 | LED搭載 | ||
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
造形サイズこそ「Ender-3 S1 Plus」に及びませんが、その他の項目に関しては他のS1シリーズと同等かそれ以上です。Crealityの最新モデルだけあって、盤石の仕上がりになっていますね!
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まとめ:スペックをしっかり比較してEnder-5シリーズを導入しよう
今回は、CrealityのFDM3Dプリンター「Ender-5 S1」について、Ender-5シリーズ・S1シリーズの新しい選択肢として徹底比較してきました。
最新機種の「Ender-5 S1」は他のEnder-5シリーズやS1シリーズの機種と比べても最上級のスペックとオプション機能を搭載していることがわかりましたね!
価格帯も家庭用として十分検討できるレベルです。プリントスピードやノズル温度(使用できるフィラメントの種類)、充実したオプション機能をもつFDM3Dプリンターを探している方にとっては、他社機種を含めても最有力候補となるのではないでしょうか?
紹介した注目ポイントを参考に、お気に入りのEnder-5を選んでみてください!
今回比較した機種以外の3Dプリンターとも比較したい!という方は比較ツールも使ってみてくださいね。