こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
FDM3Dプリンター用の高速プリント対応ハイスピードフィラメントについて徹底解説
していきます。
2022年以降、
といった高速プリントが可能なFDM3Dプリンターが続々登場中。そのポテンシャルを最大限引き出すためには、
も、高速プリントに対応したものを使用することが好ましいです。
この記事では、そんな「高速プリント対応フィラメント」について、その特徴と主要各社の製品例を解説していきます。
「『Kobra 2 Pro』を買ったけど、今までと同じフィラメントでいいのかな…?」
「高速プリントに対応したフィラメントにはどんな種類があるの…?」
といった疑問に答える内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。
それでは見ていきましょう!
YouTubeで「高速フィラメント比較」動画を公開中!
この記事に関連する内容はYouTubeでも動画で解説しています。記事とあわせて活用してみてください。
高速プリント対応フィラメントとは
高速プリント対応フィラメントは、
通常よりも速いプリントスピードに対応できるフィラメント
です。2022年以降、続々登場するプリントスピードの速いFDM3Dプリンターの登場にあわせて、対応したフィラメントも各社から次々にリリースされています。
流動性の高さや放熱性の高さに特徴があり、製品にもよりますが、対応できるプリントスピードは200〜600mm/sに達します。
高速プリント対応フィラメントを選ぶときのポイント
高速プリント対応フィラメントを選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。
後半で各社のフィラメントについて確認する前に、しっかり注意点を押さえておきましょう。
名前は「High-Speed」「Rapid」「Sonic」など様々
高速プリント対応フィラメントには、統一された名前があるわけではありません。フィラメント販売各社がそれぞれ独自のネーミングをしています。いくつかの例を見てみましょう。
「Speed」や「Rapid」、「Sonic」など、「速さ」を連想させる単語が使われている点では共通しています。
フィラメントによって対応できるプリントスピードは異なる
「高速プリント対応」のフィラメントであっても、製品によってどの程度高速にプリントできるかは異なります。各社の公式ページには、
といったパラメータが記載されていることがほとんどです。これらの値を参考にして選択すると良いでしょう。
後述する各社のフィラメント紹介では、公式ページから引用したこれらの値をあわせて記載しています。
現状、PLAとABS以外の高速フィラメントはほとんど見られない
現状、200〜600mm/sの高速プリントに対応できるフィラメントの種類は、
といった、メジャーな材料に限られます。
今後、推奨プリントスピードの速い他種類のフィラメントが登場していくことも考えられますが、TPUのような柔らかい材料を高速化することは難しいでしょう。
一方、高速3Dプリンターの先駆者的存在であるBambu Labのフィラメントは、PLA・ABS以外にもPCやASAなどが高速プリントに対応しています。本記事でも一部ピックアップしますが、詳細が知りたい方は以下の記事をご覧ください。
主要各社の高速プリント対応フィラメント一覧
ここからは、
具体的な高速プリント対応フィラメントと、その特徴について確認
していきましょう。
主要各社の製品ラインナップから高速プリントに対応するものをリサーチし、以下のフィラメントをピックアップしています。
フィラメント名 | High Speed PLA | PC | Hyper Series PLA | Rapid PLA Plus | ePLA-HS | PolySonic PLA | PolySonic PLA Pro | PLA Rapido | PLA Matte Rapido | ABS Rapido | High Speed PLA |
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イメージ | |||||||||||
メーカー | Anycubic | Bambu Lab | Creality | ELEGOO | eSUN | Polymaker | Polymaker | QIDI TECH | QIDI TECH | QIDI TECH | SUNLU |
色 | ■White ■Black ■Grey ■Blue ■Red | ■Clear Black □Transparent ■White ■Black | ■White ■Black ■Grey ■Blue ■Red | ■White ■Black ■Grey ■Blue ■Red ■Green ■Orange ■Yellow | ■Red ■Black ■Blue ■Gray ■White | ■Black ■White ■Grey ■Red ■Blue | ■Black ■White | ■Black ■White ■Yellow ■Gray ■Red ■Orange ■Green ■Blue ■Silver | ■Black ■White ■Gray ■Ash Gray ■Warm Gray ■Olive Green ■Navy Blue ■Malt Clay ■Kraft | ■Black ■White ■Yellow ■Gray ■Red ■Green ■Blue ■Silver | ■White ■Grey ■Black ■Red ■Blue |
ヒートベッド温度[℃] | 30-60 | 90-110 | 25-60 | 40-60 | 45-60 | 30-60 | 30-60 | 30-60 | 30-60 | 80-100 | 50-60 |
エクストルーダ温度[℃] | 190-230 | 260-280 | 190-230 | 200-230 | 210-230 | 190-230 | 190-230 | 220 | 220 | 270 | 180-190 |
推奨プリントスピード[mm/s] | 30-300 | <300 | 30-600 | 30-600 | 50-350 | 50-300 | 50-300 | 200-400 | 200-400 | 200-400 | 250 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
一般購入しやすいフィラメントとして、Amazonで購入できる種類・色を中心に記載。時期によって購入できる種類・色が異なる場合もあるため注意。
それぞれ確認していきましょう。
SK本舗「Rapidus500」
SK本舗から2024年に登場した高速対応フィラメント「Rapidus500」。
最大600mm/sに対応する高品質フィラメントです。その実力は上記の動画で比較検証しているので、ぜひチェックしておきましょう。
Anycubic「High Speed PLA」
Anycubic「High Speed PLA」は、最大500mm/sの高速プリントに対応したPLAフィラメントです。
続々登場している500mm/s超えの最大プリントスピードをもつFDM3Dプリンターに対応するフィラメントで、超高速モデル「Kobra 2シリーズ」の登場に伴い、Anycubic公式にて予約販売が開始しています(2023年10月時点)。
Bambu Lab「PC」
「PC(ポリカーボネート、Polycarbonate)」は、さまざまな身の回り品に使用されてる材料。
材料です。この特徴から、カメラ用のプラスチックレンズなどにも使用されています。
Bambu Labの「PC」は、最大300mm/sのプリントスピードに対応。現状、高速プリントに対応するPCはほとんど見られず、貴重な存在だと言えるでしょう。
Bambu Labでは、他ブランドではあまり見られない高速プリント対応フィラメントが、この他にも多数取りそろえられています。以下の記事で解説しているので、一度チェックしておくと良いでしょう。
Creality「Hyper Series PLA」
Creality「Hyper Series PLA」は、最大600mm/sの高速プリントに対応したPLAフィラメントです。
高い流動性と冷却性をもち、さらには、ABSよりも高い引張強度と靭性を実現しています。
Creality「K1」をはじめとする、昨今の高速3Dプリンターを使用する際にはぜひ検討したいフィラメントですね。
また、2023年9月のCrealityローンチイベントでは、「Hyper Series ABS」フィラメントのリリースも発表されています。
このフィラメントは、一般的なABSの5倍高速なプリントを実現できる模様。今後の発売開始を待ちましょう。
ELEGOO「Rapid PLA Plus」
ELEGOO「Rapid PLA Plus」は、最大600mm/sの高速プリントに対応したPLAフィラメントです。
超高速モデル「Neptune 4シリーズ」の登場に伴い、2023年の8月に発表されました。
現時点で日本における販売は確認できていませんが、ELEGOO公式やアメリカ版Amazonではすでに販売が開始されています(2023年10月時点)。
eSUN「ePLA-HS」
「ePLA-HS」は、高速プリントに対応したPLAフィラメントです。
熱で溶かされた状態でスムーズにノズルから流れ出て、かつ急速に冷却されることにより、高速プリント時においても高い品質でプリントすることが可能になります。
昨今続々登場している高速タイプのFDM3Dプリンターとの併用を強く意識したフィラメントで、公式ページではBambu Lab「P1P」「X1」、Creality「K1」「K1 Max」等に使用した場合の適切な設定パラメータ(速度や加速度、ノズル温度等)についても詳細に掲載されています。これらの3Dプリンターを使用する場合の推奨値として、最大300mm/sの値が記載されています。
Polymaker「PolySonic PLA」「PolySonic PLA Pro」
PolySonic PLA
「PolySonic PLA」は、PolySonicシリーズのスタンダードなPLAで、最大300mm/sの高速プリントが可能です。
といった特性により、高速プリント時においても機械的特性をほとんど低下させずに品質を維持することが可能です。
PolySonic PLA Pro
「PolySonic PLA Pro」は、より強度の高い高速プリント対応PLAで、こちらも最大300mm/sの高速プリントが可能です。
を実現した耐久性の高いフィラメントとなっています。
QIDI TECH「PLA Rapido」「PLA Rapido Matte」「ABS Rapido」
PLA Rapido
QIDI TECH「PLA Rapido」は、最大400mm/sの高速プリントに対応したPLAフィラメントです。
QIDI TECHの「X-Max 3」「X-Plus 3」「X-Smart 3」のような高速プリントを特徴とするFDM3Dプリンターに適したフィラメントとなっています。
PLA Rapido Matte
QIDI TECH「PLA Matte Rapido」は、「PLA Rapido」のマット色バージョンです。「Olive Green」や「Warm Gray」といった一風変わったマット色が9種類展開されています。
ノズル温度やヒートベッド温度といったプリントパラメータは「PLA Rapido」と同様で、最大400mm/sという高いプリントスピードを実現しています。
ABS Rapido
QIDI TECH「ABS Rapido」は、最大400mm/sの高速プリントに対応した特殊なABSフィラメントです。高速フィラメントとしては珍しい、ABSフィラメントである点に要注目。
高速プリントに対応しているだけでなく、
という特徴を備えています。
SUNLU「High Speed PLA」
SUNLU「High Speed PLA」は、250mm/sを超える高速プリントに対応するPLAフィラメントで、以下のような性質を備えています。
現時点では公式ページやAmazon等での販売は見られません(2023年10月時点)。
まとめ
今回は、FDM3Dプリンター用の高速プリント対応フィラメントについて徹底解説してきました。
FDM3Dプリンターの生産性と品質を劇的に向上させる高速プリント対応フィラメント。最新の高速プリント対応3Dプリンターの性能を最大限発揮させるための要注目アイテムであることがよく理解できたのではないでしょうか?
その他、フィラメントの「種類」や「選び方」についてもっと知りたいという方は、以下の「完全ガイド」記事を読んでみてくださいね!