こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
光造形3Dプリンター用の高速プリント対応ファストレジンについて徹底解説
していきます。
2023年以降、
といった高速プリントが可能な光造形3Dプリンターが続々登場中。そのポテンシャルを最大限引き出すためには、
の2つに関しても、高速プリントに対応したものを使用する必要があります。
この記事では、後者の「高速プリント対応レジン」について、その特徴と主要各社の製品例を解説していきます。
「『Saturn 3 Ultra』を買ったけど、今までと同じレジンでいいのかな…?」
「高速プリントに対応したレジンにはどんな種類があるの…?」
といった疑問に答える内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。
それでは見ていきましょう!
高速プリント対応レジン(ファストレジン・スピードレジン)とは
高速プリント対応レジンは、
通常のレジンと比べて数倍速くプリントすることができるレジン
です。2023年以降、続々登場する高速プリント対応の光造形3Dプリンターの登場にあわせて、高速プリントに対応したレジンも各社から次々にリリースされています。
Anycubicの光造形3Dプリンター「Photon Mono M5s」と「High Speed Resin」の例を見てみましょう。
上記の画像は、「Photon Mono M5s」と「High Speed Resin」を組み合わせることで、平均的なプリントスピードで「1時間あたり105mm」の高さまでプリントできることを示しています。
比較対象として示されている一般的なプリントスピード(1時間あたり30mm)と比べると、3倍以上高速なプリントが実現できることになります。「一般的なプリントスピード」を1時間あたり50mmとする例もありますが、いずれにしろ「1時間あたり105mm」というスペックは十分高速といって良いでしょう。
レジン自体の性質としては、
という性質があります。
高速プリント対応レジンの1層あたりの露光時間は、0.5〜2秒(層厚さ0.1mm)程度です。他の標準的なレジンであれば、1層あたりの露光時間は2〜3秒程度かかるので、大幅なプリント時間の短縮が可能になります。
高速プリント対応レジンを選ぶときのポイント
高速プリント対応レジンを選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。
後半で各社のレジンについて確認する前に、しっかり注意点を押さえておきましょう。
名前は「ファストレジン」「スピードレジン」「ラピッドレジン」など様々
高速プリント対応レジンには、統一された名前があるわけではありません。レジン販売各社がそれぞれ独自のネーミングをしています。いくつかの例を見てみましょう。
「スピード」や「ファスト」、「ラピッド」など、「速さ」を連想させる単語が使われている点では共通していますね。
ただし、「Fast」という記載があっても、そこまで高速ではないレジンも存在します。スペックや発売時期を含めてよく確認しましょう(高速プリント対応レジンは2023年以降に発売されているものが多いです)。
レジンによって「高速」度合いは異なる
「高速プリント対応」のレジンであっても、製品によってどの程度高速にプリントできるかは異なります。各社の公式ページには、
といった推奨パラメータやある種のベンチマークスコアが記載されていることがほとんどです。これらの値を参考にして選択すると良いでしょう。
後述する各社のレジン紹介では、公式ページから引用したこれらの値をあわせて記載しています。
高速プリントは対応機種に限られる場合も
「高速プリント対応」のレジンを選べば、どんな3Dプリンターを使っても速くプリントができるというわけではありません。
繰り返しになりますが、レジンの性質以外に
の2つがそろうことで、高速プリントが可能になります。
フィルムは貼り替えれば済みますが、3Dプリンター自体の性能(モーター等)は基本的に変更できません。基本的に、対応するのは冒頭に示したような最新機種に限られる点には注意しておきましょう。
また、高速プリント対応レジンのスペックとして記載されている値(170mm/hなど)は、特定の機種を使用した場合のテスト値であることも多いです。あくまでも目安の速度として選択の基準にすると良いでしょう。
光造形3Dプリンター主要各社の高速プリント対応レジン一覧
ここからは、
具体的な高速プリント対応レジンと、その特徴について確認
していきましょう。
家庭用3Dプリンターを取り扱う主要各社のうち、高速プリントに対応するレジンをリサーチし、以下のレジンをピックアップしています。
レジン名 | ハイスピードレジン | ファストレジン | ラピッドスタンダードレジン | スピードレジン | SKファストライジングレジン(スタンダード) | SKファストライジングレジン(水洗い) |
---|---|---|---|---|---|---|
イメージ | ||||||
メーカー | Anycubic | Creality | ELEGOO | Phrozen | SK | SK |
色 | ■Grey | ■Grey ■Blue | ■Grey | ■Gray | ■White ■Grey ■Black □Lightning Clear | ■Creamy White ■Grey ■Black □Lightning Clear |
容量[g] | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 500 | 500 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
それぞれ確認していきましょう。
Anycubic「High Speed Resin(高速レジン)」
Anycubic「High Speed Resin(高速レジン)」は、「Photon Mono M5s」用に開発された高速プリント対応レジンです。
粘度が低く感度の高いレジンで、1時間あたり105mmのプリントが可能になっています。
「Photon Mono M5s」を使用する場合の露光時間(推奨設定値)は、1.7秒(層厚さ0.1mm)となっています。
Creality「Fast Resin」
Creality「Fast Resin」は、最大170mm/hでプリントすることが可能な高速プリント対応レジンです。これは一般的なレジンの3〜5倍高速とされています。
上記の値は同社の光造形3Dプリンター「HALOT-MAGE Pro」使用時の目安ですが、同社の他プリンター「HALOT-RAY」や「HALOT-ONE」はもちろんのこと、他社3Dプリンターでも使用することが可能です。
ELEGOO「Rapid Standard Resin」
ELEGOO「Rapid Standard Resin」は、0.5~1.8秒という短い露光時間が特徴の高速プリント対応レジンです。
ACFフィルムを標準搭載する同社の光造形3Dプリンター「Saturn 3 Ultra」「Mars 4 Ultra」の材料として使用することで、「3倍」高速なプリントが可能になります。
こちらも波長405nmの光源をもつ光造形3Dプリンターであれば、ELEGOO製であるか否かによらず使用することが可能です。
Phrozen「Speed Resin」
Phrozen「Speed Resin」は、同社の標準レジン「Aqua-Gray 4K」に比べて最大「8倍」高速にプリントできるレジンです。目安として、「24cmのモデルを6時間未満」でプリントできるとのこと。
同社の光造形3Dプリンター「Sonic Mini 8K S」を使用した場合の推奨露光時間は1〜2秒となっています(出典)。
SK本舗「ファストライジングレジン(スタンダード・水洗い)」
SK本舗「ファストライジングレジン(スタンダード・水洗い)」は、水のように流動性の高いレジンで、短い露光時間で硬化させることができるレジンです。
注目すべきは、水洗いタイプの高速プリント対応レジンも存在する点です。ここまで紹介した他ブランドのレジンはすべてアルコール洗浄タイプでした。取り扱いに注意が必要なアルコールなしで洗浄できる便利な水洗いタイプが選択肢にあるのはうれしいポイントですね。
0.1mmの層厚さであれば1.5〜2秒で硬化可能で、20cm程のモデルを約2時間でプリントすることが可能となっています。
さらに、2023年10月より、「SKファストライジングレジン」と「ACFフィルム」がセットになった「フラッシュセット」の販売も開始されています。
通常¥15,000のところ、10月末まで34%オフの¥10,000となるセールも実施中とのこと。「ファストライジングレジン」と「ACFフィルム」の両方に興味がある方は10月中にゲットしておきましょう!
まとめ
今回は、光造形3Dプリンター用の高速プリント対応ファストレジンについて徹底解説してきました。
光造形3Dプリンターの生産性を劇的に向上させる高速プリント対応レジン。「ACFフィルム」や最新の高速プリント対応3Dプリンターとともに、要注目のアイテムであることがよく理解できたのではないでしょうか?
その他、レジンの「種類」や「選び方」についてもっと知りたいという方は、以下の「完全ガイド」記事を読んでみてくださいね!