こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
Bambu Labの3Dプリンター第2弾「P1P」、「P1S」について徹底解説
していきます。
「最近よく見かける『Bambu Lab』って何?」
「『P1P』ってどこがスゴいの?」
という方が
といった内容を理解できる記事となっています。ぜひ最後までご覧ください。
それでは見ていきましょう!
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気鋭の3Dプリンターブランド「Bambu Lab」とは
「Bambu Lab」とは、中国の深センや上海、米国のテキサス州に拠点をもつ3Dプリンターの製造会社です。2022年5月にクラウドファンディングにて発表した「X1 Carbon」、「X1」が同社初の3Dプリンターという、新進気鋭のブランドです。
初代の3DプリンターであるX1シリーズがTIME誌の「THE BEST INVENTIONS OF 2022」の1つに選ばれるなど、センセーショナルなデビューを果たしたBambu Lab。2022年末には、より消費者の手に届きやすい手頃な価格帯を実現した後継機種「P1P」を発表し、家庭用3Dプリンターにおける高速化のトレンドを牽引しています。
この記事では、注目を集めるBambu Labの2代目3Dプリンター「P1P」にフォーカスして解説していきます。
(参考:Bambu Lab公式ページ)
Bambu Labの2代目3Dプリンター「P1P」の特徴
Bambu Labの概要を理解したところで、さっそく「P1P」の特徴について見ていきましょう。
まずは以下の公式YouTube動画(約40秒)で、Bambu Lab「P1P」の魅力をざっとつかんでおきましょう。
ここからは、とくに注目すべき「P1P」の特徴についてピックアップして解説していきます。
CoreXY構造による500mm/s高速3Dプリントの実現
X1シリーズに引き続き、「P1P」最大の魅力は500mm/sという超高速なノズルの移動速度です。
プリントスピードの高速化にはCoreXY構造の採用が寄与しています。
CoreXY構造とは、同時に動作する2つのモーターを使用して、X・Y軸の両方でプリントヘッドの動きを制御する機構です。3Dプリンターを使用したことがある人であれば、一般的な家庭用FDM3Dプリンターの構造(例えば「Ender-3」など)とは異なる構造であることが分かるでしょう。
「なぜCoreXY構造を採用すると3Dプリンターが高速化するの?」
と疑問に思う方もいるでしょう。CoreXY構造には、従来の家庭用3Dプリンターの構造にない、以下のようなメリットがあります。
CoreXY構造では、モーターがプリントヘッドと一緒に動くのではなく、フレームの隅に固定されています。可動部品の重量が軽減されるため、高速化することが可能になります。
また、CoreXY構造はヒートベッドをY方向に動かす必要がありません。従来型の3Dプリンターに比べて振動を抑えることができ、品質を落とさずに高速プリントが可能になります。同時に、Y方向に余計な可動幅をもたせる必要がなく、コンパクトな本体サイズを実現できるというメリットもあります。
「P1P」はCoreXY構造という「翼」を手に入れることで、500mm/sという異次元のスピードを実現することとなりました。
(参考:All3DP「CoreXY 3D Printer: All You Need to Know」)
厳選された機能に絞って低価格を実現
「X1 Carbon」との大きな違いは、「P1P」の価格にあります。公式ストアの価格は以下の通りです(2023年7月時点)。
P1P | X1 Carbon | |
---|---|---|
価格(2023年7月時点) | 599ドル | 1,199ドル |
表に記載の通り、「P1P」は、「X1 Carbon」の半額で購入することが可能になっています。
「X1 Carbon」を知る人に対して、「P1P」がどんな3Dプリンターなのかざっくりと言ってしまえば、
というイメージです。「X1 Carbon」の導入に足踏みをしていた、
「機能モリモリでなくてもいいから、500mm/sの高速3Dプリンターを手にしたい!」
というユーザのニーズに答えられる、新たな選択肢が登場したと言えるでしょう。
サイドパネルを3Dプリントしてカスタマイズ可能
エンクロージャがデフォルトで搭載されない代わりに、ユーザは自身で「P1P」のサイドパネルをプリントし、カスタマイズすることが可能です。マイ3Dプリンターを自分好みのデザインにドレスアップできるのは、「P1P」のユニークでおもしろいポイントですね。
以下の公式YouTube動画前半では、様々なデザインのサイドパネルが紹介されています。
また、「P1P」はX1シリーズと同様にAMSによる最大16色のマルチカラープリント(後述)に対応しています。「高速」かつ「マルチカラー対応」という家庭用3Dプリンターの最先端を、できるだけ低価格で実現したい方にとっては、現状の最有力候補と言っても過言ではないでしょう。
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オプションのAMSによる最大16色のマルチカラープリント
X1シリーズに続いて、「P1P」の「相棒」として欠かせないのが、「AMS(Automatic Material System)」です。AMSの役割は、以下の通りです。
それぞれ簡単に解説していきます。
マルチカラー・マルチマテリアル機能
AMSとX1シリーズの3Dプリンターをあわせて使用することで、AMS1台あたり最大4色のマルチカラー3Dプリントが可能になります。
材料の種類によっては、異なる材質を組み合わせることもできます。単色3Dプリンターでは難しい、サポート用のフィラメントを活用することも可能になります。
さらに、AMSハブという機器を介して最大4つのAMSを組み合わせて使用することが可能です。つまり、Bambu Labの3Dプリンターは、AMSによって最大16色を用いた3Dプリントできるということになります。
バックアップフィラメントへの自動切り替え
4つのフィラメントを格納することができるAMS。異なる色や材質を組み合わせるだけでなく、フィラメント切れが起きた時に、自動で新しいフィラメントに切り替えるという使い方も可能です。
プリントの中断や、手動によるスプールの切り替えを行うことなく、シームレスにプリントを続行することができます。
フィラメントの乾燥
AMSは気密性の高い設計になっており、フィラメントの湿気対策にも有効です。搭載されたセンサーが湿度の高まりを検出し、乾燥剤を交換するように知らせてくれます。
フィラメントの絡まり検出
スプールから供給されるフィラメントが絡まっていて、プリントに失敗した経験がある人は少なくないでしょう。AMSはフィラメントの供給に抵抗が生じると、それを検知してプリントを一時停止する機能が備わっています。
RFIDによるフィラメントの自動認識
Bambu Lab製のフィラメントには、AMSが読み取るためのRFID(非接触で情報を読み取れる仕組み)に対応しています。材料ごとの最適な設定を自動で識別して適用することが可能になっています。
ただ単にマルチカラーに対応するだけではないAMS。「P1P」を使った3Dプリントの利便性を向上させる、まさに「相棒」的な存在となっています。
(参考:Bambu Lab AMS - Automatic Material System | Bambu Lab Global)
「P1P」と「X1 Carbon」の相違点
ここまで、「P1P」の特徴について確認してきました。X1シリーズについて知っている人にとっては、「X1 Carbon」と共通する部分が多いことに気づいたことでしょう。
一方で、「半額」という低価格化を実現するために削ぎ落とされた機能が多数存在します。ここからは、「P1P」と「X1 Carbon」の主な違いを確認していきましょう。
「P1P」はカーボンファイバー等の硬質フィラメントに対応していない
「P1P」は、カーボンファイバー系(CF)やガラス繊維系(GF)の硬質フィラメントには対応していません。「X1 Carbon」はノズル等の材質に硬化鋼を採用したことで摩耗性の高いフィラメントに対応していましたが、「P1P」のノズルはこれらのフィラメントに対応しないステンレス鋼となっています。
「P1P」の造形領域は密閉されていない
X1シリーズは、周囲が密閉された箱型の3Dプリンターでした。「P1P」は、すでに述べたように、エンクロージャがデフォルトで搭載されていません。自らの手でカスタマイズできるサイドパネルを3Dプリントして楽しむのが「P1P」の醍醐味となります。
「P1P」にLiDARやモニタリングカメラは搭載されていない
こちらもすでに述べたように、「X1 Carbon」に搭載されていたリッチな機能である、LiDARやモニタリングカメラといった付加的な要素は、「P1P」においては削ぎ落とされています。
アップグレードされたBambu Labの新機種「P1S」
2023年7月に、Bambu Labから最新機種「P1S」の登場が予告されました。
「P1P」との大きな違いは、完全密閉型になった点です。これにより、ABSやASAといった材料の3Dプリントに適した3Dプリンターへと進化しました。
公式サイトの情報をもとに、「P1P」と「P1S」の相違点を以下にまとめます。
P1S | P1P | |
---|---|---|
ボディ(シェル) | 密閉(プラスチック&ガラス) | 密閉なし |
ツールヘッドケーブル | Enhanced(with cable chain) | Standard |
ファン | 閉ループ制御 | オプション |
エアフィルター | 活性炭フィルター | オプション |
フィラメント(ABS、ASA) | ○ | 可能 |
また、「P1S」は「P1P」からのアップグレードも可能とのこと。公式サイトでアップグレードキットの販売が予告されています。「P1P」ユーザの方は要検討ですね。
ちなみに、「P1S」と「X1 Carbon」の違いについては以下のように公式からアナウンスされています。
P1S | X1 Carbon | |
---|---|---|
フィラメント(カーボン/ガラス繊維強化ポリマー) | 非推奨 | ○ |
Micro LiDAR(AI検知機能) | × | ○ |
タッチスクリーン | ×(ボタン式) | ○ |
「X1 Carbon」の「売り」であった硬質フィラメント対応やLiDAR機能は、「P1P」に引き続き「P1S」でも搭載されないということですね。
下位:「P1P」<「P1S」<「X1 Carbon」:上位
という順で、性能的に「P1P」と「X1 Carbon」の間に位置する選択肢が増えたというイメージなのではないでしょうか?
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「P1P」「P1S」のスペック一覧
「P1P」「P1S」のスペックを一覧で確認してみましょう。参考値として、先代の「X1 Carbon」と、他社の高速3DプリンターCreality「K1」、ELEGOO「Neptune 4」のスペックをあわせて掲載しています。
モデル名 | P1P | P1S | X1 Carbon | K1 | Neptune 4 |
---|---|---|---|---|---|
本体イメージ | |||||
メーカー | Bambu Lab | Bambu Lab | Bambu Lab | Creality | ELEGOO |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 386 x 389 x 458 | 389 x 389 x 458 | 389 x 389 x 457 | 355 x 355 x 480 | 475 x 445 x 515 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 256 x 256 x 256 | 256 x 256 x 256 | 256 x 256 x 256 | 220 x 220 x 250 | 225 x 225 x 265 |
エクストルーダ | - | - | - | ダイレクト | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | 500 | 500 | 500 | 600 | 500 |
最大ノズル温度[℃] | 300 | 300 | 300 | 300 | 300 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 100 | 100 | 120 | 100 | 110 |
組み立て | 組み立て済み | 組み立て済み | - | 組み立て済み | 半組み立て済 |
プラットフォーム | 両面PEIプレート | - | Flexible Steel Plate(Cool/Engineering) | フレキシブル | PEIばね鋼 |
オートレベリング | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
密閉 | × | ○ | ○ | ○ | × |
ディスプレイ | ボタン式 | ボタン式 | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | - | - | - | × | ○ |
データ入力 | Wi-Fi Bluetooth Bambu-Bus | Wi-Fi Bluetooth Bambu-Bus | Wi-Fi Bambu-Bus | USB Wi-Fi | LAN USB |
本体重量[kg] | 9.65 | 12.95 | 14.13 | 12.5 | 8.3 |
スライスソフト | Bambu Studio (PrusaSlicer) (Cura) (Superslicer) | Bambu Studio | Bambu Studio (PrusaSlicer) (Cura) (Superslicer) | Creality Print Cura Simplify3D PrusaSlicer | ELEGOO Cura |
その他 | リモート制御機能 AMS(マルチカラー)対応 半自動ベルトテンショニング | リモート制御機能 AMS(マルチカラー)対応 半自動ベルトテンショニング 活性炭フィルタ搭載 | LiDAR搭載 リモート制御機能 AMS(マルチカラー)対応 活性炭フィルタ搭載 カメラ搭載 | リモート制御機能 Lighting kit搭載 | 内蔵RAM(8GB) ディスプレイ取り外し可能 LED搭載 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
マルチカラー化不要であれば、他社の高速3Dプリンターも検討しよう
「P1P」の大きな魅力の1つは、AMSを利用したマルチカラー化です。一方で、AMSは別途購入する必要があり、その分価格も1.5倍以上に高騰してしまいます。
マルチカラー3Dプリントではなく、単色でとにかく速い3Dプリンターが使いたい!
ということであれば、選択肢はBambu Labの3Dプリンターに限りません。世の中にはすでに同等か、それ以上のスピードが実現できる家庭用3Dプリンターが存在しています。
検討材料として、比較表にも記載した他社の高速3Dプリンターの概要をご紹介します。
Creality「K1」
上位機種の「K1 Max」は、「P1P」より大きい造形サイズも実現しています。K1シリーズの詳細は、以下の解説記事をご覧ください。
ELEGOO「Neptune 4」
「Neptune 4」は、2023年6月に登場したELEGOOの最新FDM3Dプリンター。4万円台ながら500mm/sのプリントスピードを実現するという破格のコスパが特徴です。
まとめ:家庭用3Dプリンター界の新星「P1P」「P1S」
今回は、Bambu Labの2代目3Dプリンター「P1P」について徹底解説してきました。家庭用3Dプリンター界に現れた「新星」の特徴について、よく理解できたのではないでしょうか?
CoreXY構造による高速化を実現しながら、より幅広い層にリーチできる低価格化を成し遂げた「P1P」。できるだけ低価格な「高速」かつ「マルチカラー対応」の家庭用3Dプリンターを探している方にとっては、現状の最有力候補と言っても良いのではないでしょうか?
家庭用3Dプリンター界に旋風を巻き起こすBambu Lab。今後もどんな新機種が登場するのか非常に楽しみですね!
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