こんにちは、管理人のウノケンです。
家庭用3Dプリンターの世界で、新たな注目機が登場しました。
今回取り上げるのが、2025年の3月にリリースされたCrealityの最新機種「Hi Combo」。
マルチカラープリントのハードルをグッと下げる手軽な価格帯を実現しつつ、最大16色までの拡張性を秘めた話題のマシンです。
今回、Creality様より実機をご提供いただきましたので、
について、徹底実機レビューしていきたいと思います。
製品ページの記載だけではわからない、実際に使ってみてわかったメリットや注意点は意外と多いもの。
お家で手軽に使えるマルチカラー3Dプリンターに興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

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この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。記事とあわせて活用してみてください。
それでは見ていきましょう!
Creality「Hi Combo」の特徴

ここでは、Creality「Hi Combo」がどんな特徴をもつ3Dプリンターなのか、その基本情報を整理してみます。
家庭用の王道構造であるベッドスリンガー方式とマルチカラーシステムの融合が最大のポイント。
まずは押さえておきたい3つのキーファクターを順番に確認していきましょう。
マルチカラー対応のベッドスリンガー

ベッドスリンガーとは、造形用のヒートベッドが前後方向に動く3Dプリンターの構造です。
家庭用として長く定番となってきた構造で、「Ender-3シリーズ」などを想像するとわかりやすいでしょう。
そんなベッドスリンガーでありながら、多色造形をこなせる3Dプリンターはまだまだ珍しい存在です。
Creality「Hi Combo」の場合、追加ユニットであるCFS(Color Filament Station)を本体の横に接続する形で4色のフィラメントを搭載可能。
切り替え制御を行いながら1つのノズルで複数色をプリントできます。
ベッドスリンガー特有の構造はメンテナンスも比較的シンプルで、印刷時の慣れ親しんだ操作感を維持しながら、多色プリントという新しい世界を気軽に味わえる点も見逃せません。
マルチカラーの楽しみ方を一気に広げてくれる点が「Hi Combo」の第一の特徴といえるでしょう。
最大速度500mm/s・加速度12000mm/s²

Creality「Hi Combo」は、昨今の高速3Dプリンターとして主流になりつつある高速造形性能もしっかり押さえています。
最大速度は500mm/s、加速度は12000mm/s²というスペック。
これは一昔前ならハイエンド機種にしかなかったレベルですが、最近ではミドルクラスでも当たり前になりつつあります。
ただし、昨年発売された「Ender-3 V3」や「Ender-3 V3 Plus」が600mm/s、加速度20000mm/s²に対応していたのに比べると、わずかに控えめ。
あちらはCoreXZという独特な構造を採用していたため、高速性能に特化していました。
一方、「Hi Combo」はベッドスリンガーとしての安定性や扱いやすさを重視しつつも、500mm/sという速度を出せるバランス型のモデルと言えます。
プリント速度は、単純にスピードを上げればよいというものでもなく、精度や素材との相性も考慮が必要です。
しかし、500mm/sでの印刷が可能な余裕を持っていることは、多色プリントで長時間かかりがちな造形にもプラスに働く要素でしょう。
自宅や小規模ワークスペースでの使用でも、ある程度のスピード感をキープできるため、
複数色を楽しみたいけれど時間はなるべく抑えたい!
という方にもうってつけです。
造形サイズ260×260×300mm³

3点目の特徴は造形可能サイズ。
横×奥行きが260mm、そして高さが300mmと、家庭用3Dプリンターとしてはやや大きめのサイズ感を持っています。
一般的なベッドスリンガーで多色対応機種というと、250×250×250mmクラスが多く、今まではどうしても造形サイズが限られてしまうことがありました。
「Hi Combo」では高さ方向にやや余裕があるため、キャラクターやオブジェクトなどを長めに立ち上げる造形にも対応しやすく、立体感のある作品に挑戦しやすいのがメリットです。
過去の「Ender-3シリーズ」と比較すると、「V3」(220×220×250mm)や「V3 Plus」(300×300×330mm)の中間あたりというイメージ。
単なるスペック上の数値だけでなく、実際にプリントを行う際の取り回しなども考えると、260×260mmのベッドは安定と拡張性のバランスが取りやすく、多色プリントでも十分に余裕を感じられるサイズでしょう。
使ってみてわかった!Creality「Hi Combo」のスゴいところ

ここからは、実際にCreality「Hi Combo」を組み立て、マルチカラー造形を実体験してみたうえで感じた魅力を深堀りしていきます。
組み立てのしやすさやプリントの仕上がり、さらには複数台のCFS拡張など、使用感のポイントを整理してみました。
組み立て簡単!コスパ良く手軽にマルチカラー

Creality「Hi Combo」は、開封してみると本体がかなり組み立て済みの状態で梱包されており、使用するネジはわずかに7本。
実際に作業してみても、ガントリー部分を土台に差し込みネジを固定し、スプールホルダーを取り付ければほぼ完成でした。
マルチカラーシステムのCFSも両面テープでバッファーを貼り付け、チューブやケーブルを繋ぐだけなので、初心者でも迷うポイントは少ないと感じます。
また、導入価格の面でもマルチカラー3Dプリンターとしては手頃です。
発売直後の価格が約7万3千円(公式ショップ)で、以前であれば10万円近くするのが当たり前だった多色対応モデルを考えると、かなりコスパに優れた設定と言えるでしょう。

組み立てや初期設定に余計な労力をかけず、スムーズに多色印刷を楽しめるのは大きなメリットです。
実際に、複数色のフィラメントをセットし、ナマケモノさんのフィギュアを大量にプリントしてみましたが、使用感は良好でした。
色切り替え時にはどうしてもフィラメントのパージ(不要部分の廃材)が出ますが、同じ造形物を複数同時にプリントすることで、パージ量を効率的に分散できます。
初めてマルチカラーを試すという方でも、わかりやすい操作性と組立てやすさで、ストレスなくデビューできる点が魅力的です。
コスパマルチカラーに珍しい最大16色への拡張性

「Hi Combo」の初期セットでは、CFSが1台付属しており4色のマルチカラーに対応します。
多くの他社機種でも1台のシステムで4色対応は標準的ですが、「Hi Combo」ではCFSを最大3台まで追加できるのが大きな特徴。
合計4台のCFSで最大16色プリントが可能になります。
4色ですら十分多色ですが、例えば8色を使えれば更に繊細なカラー表現が可能になりますし、キャラクターモデルなどをより鮮やかに仕上げられます。
特にロゴや複雑なカラーリングが必要なオブジェクトを作る際、複数のCFSを増設しておけばフィラメントの残量切れ時にも自動切替が使いやすいなど、運用の柔軟性が高まるメリットがあります。
これだけ多色に対応できるベッドスリンガー方式は現状珍しく、マルチカラー3Dプリントを本格的にやり込みたい人にとっては魅力的な拡張性と言えるでしょう。
モニタリング用カメラが標準搭載&優秀


長時間かかりがちなマルチカラー造形では、外出先や別室からプリント状況を確認したい場面が多々あります。
Creality「Hi Combo」には標準でカメラが搭載されており、このカメラが意外にも高フレームレートかつ映像が安定しているため、スムーズにリモートモニタリングが可能です。
さらに、タイムラプス撮影にも対応し、手軽に映像を記録できるのは魅力的なポイント。
ただし、ベッドスリンガーゆえに造形物が前後に動く映像になり、CoreXYのような見やすい映像にはならないかもしれません。
それでも、標準ではカメラ非搭載のマシンが多い価格帯の中で、しっかり使えるカメラが備わっているのは大きな強みと言えます。

一点だけ注意が必要なのは、カメラに装着されているプライバシーカバー。
中途半端に開けておくと、プリントヘッドが動く際にカバーに干渉し、破損してしまうリスクがあります。
カバーを使うときはきちんと全開にするか、閉めた状態にするかをはっきりさせるとトラブルを避けられるでしょう。
Creality「Hi Combo」の注意点は?

ここまでは「Hi Combo」の魅力についてお伝えしてきましたが、導入前に知っておきたい注意点もいくつか存在します。
マルチカラーならではの制約や設置スペースにまつわる問題など、後から困らないためにチェックしておきましょう。
CFSの設置スペースに横幅が必要

ベッドスリンガー構造の本体は、それ単体なら比較的省スペースで置けるのですが、「Hi Combo」はCFSを横に設置する設計が基本です。
そのため、プリンター本体とCFSを横並びに置く形になり、結果的に3Dプリンター2台分以上の横幅が必要になることも。
箱型の「K2 Plus Combo」などではCFSを上に積めるレイアウトを選択できたりしますが、ベッドスリンガー式の「Hi Combo」ではそうはいきません。
狭い机の上や棚の上に置く場合は、とくにCFSの置き場をしっかりと確保しておく必要があります。
16色マルチカラーにはCFS4台が必要

「Hi Combo」の最大のウリといえる最大16色対応ですが、そのためにはCFSを合計4台準備しなければなりません。
初期セットは4色分を扱うCFS1台のみですから、追加で3台分のコストが発生します。
1台あたり4〜5万円するCFSを3台追加となると、合計するとそこそこの金額になるのは事実。
さらに、別途スタンドを導入しない場合はCFSの設置スペースが増えるので、どのくらいのカラー数を実際に使うか、あらかじめシミュレーションしておくとよいでしょう。

もちろん4色だけでも十分楽しめますが、
8〜16色にカラー数を増やしてみたい!
多色を使う用途でフィラメント切れ対策をしたい!
などの要望がある方には、CFSの追加による拡張性がとても魅力的。
コストと設置スペースのバランスを考慮しながら、必要なタイミングで追加を検討するのがベターです。
プリント品は30cm以内のPLA・PETGが中心

「Hi Combo」の造形サイズは260×260×300mmと、標準〜やや広めですが、やはり箱型フレームで大型サイズを誇る「K2 Plus Combo」(350×350×350mm)や「Ender-5 Max」(400×400×400mm以上)と比べると小さめです。
また、本体がオープンフレーム構造であるため、ABSなど反りが発生しやすい素材は実質的に厳しいケースが多いでしょう。
とはいえ、PLA系やPETG系であればマルチカラーにしっかり対応でき、実際にギア入りのモデルなど機能性のある造形も問題なく仕上がります。
耐熱や耐久性が必要な場合はPETGを選ぶことで、ある程度機能性のある多色作品を楽しむことも可能です。
Creality Hi Comboのスペック&価格一覧

Creality Hi Comboの実態について把握できたでしょうか?
続いて、3Dプリントにおいて特に注目すべき主要なスペック&価格を確認しておきましょう。
比較のため、競合となる他社製3DプリンターからBambu Lab「A1 Combo」とAnycubic「Kobra 3 Combo」のスペックを並べて見ていきます。
モデル名 | Hi Combo | A1 Combo | |
---|---|---|---|
本体イメージ | ![]() | ![]() | ![]() |
メーカー | Creality | Bambu Lab | Anycubic |
価格(サンステラ) | - | ¥79,800 (2025-04-19 10:10 時点) | - |
価格(SK本舗) | - | ||
価格(Amazon) | ¥97,200 (2025-04-19 12:05 時点) | ¥81,500 (2025-04-19 10:10 時点) | ¥69,999 (2025-04-19 14:15 時点) |
価格(海外ストア) | ¥79,800 (2025-04-19 11:12 時点) | - | |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 409 x 392 x 477 | 385 x 410 x 430 | 452.9 x 504.7 x 483 |
本体重量[kg] | 19.14 | 9.9 | 13.8 |
構造 | ベッドスリンガー | ベッドスリンガー | ベッドスリンガー |
密閉 | × | × | × |
ヒートチャンバー | × | × | × |
組み立て | 半組み立て済 | 半組み立て済 | 半組み立て済 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 260 x 260 x 300 | 256 x 256 x 256 | 250 x 250 x 260 |
最大スピード[mm/s] | 500 | 500 | 600 |
推奨スピード[mm/s] | 300 | - | 300 |
最大加速度[mm/s²] | 12000 | 10000 | 20000 |
最大押出流量[mm³/s] | - | 28 | - |
最大ノズル温度[℃] | 300 | 300 | 300 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 100 | 100 | 110 |
対応フィラメント | Hyper-PLA/PLA/PETG/ABS/PLA-CF | PLA, PETG, TPU, PVA | PLA, PETG, ABS, ASA, PET, PA, PC, PP, HIPS |
マルチカラー | CFS 1台で4色 最大16色 | AMS lite 1台で4色 最大4色 | ACE Pro 1台で4色 最大8色 |
消費電力[W] | 390 | 350 | 400 |
ディスプレイ | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 |
Wi-Fi | ○ | ○ | ○ |
内部ストレージ[GB] | 8 | × | ○ |
カメラ/リモートモニタリング | ○ | ○ | × |
スライスソフト | Creality Print | Bambu Studio (PrusaSlicer) (Cura) (Superslicer) | AnycubicSlicer Cura |
その他 | |||
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
上記3機種は、どれも
といった基本性能で共通しているものの、細かく見ていくと微妙な違いがあることがわかるでしょう。
とくに、「Hi Combo」は
という他2機種にない特徴を備えています。
導入前には自分の重視するスペックを中心に、比較表をじっくり確認しておくと良いでしょう。
まとめ:Creality「Hi Combo」はコスパマルチカラー3Dプリンターの新定番!

Creality Hi Comboは、最大16色の多色プリントをはじめ、
などなど、最新テクノロジーを凝縮した注目の3Dプリンターであることがわかりましたね!
初心者から上級者まで幅広いユーザーにおすすめできるでしょう。
マルチカラー3Dプリントの世界に挑戦してみたい!
スピードとクオリティを両立させたい!
と考えている方は、この「Creality Hi Combo」を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
販売情報
Creality StoreやAmazonで販売が開始されています!