こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、Creality3D社のFDM3DプリンターEnder-3シリーズの3Dプリンターを徹底比較していきたいと思います。
Creality3D社はFDM・光造形方式の3Dプリンターを販売する企業です。
FDM(Fused Deposition Modeling, 熱溶解積層)方式3Dプリンターとしては、Enderシリーズが有名です。中でもEnder-3シリーズはユーザーからの評価がとくに高いラインナップとなっています。
そんなCreality Enderシリーズは、Ender-3シリーズだけで6モデルも存在しています(2022年3月時点)。「Ender-3はイイって聞くけど、Ender-3って1つじゃないの??」と思ってしまいますよね。
そこで、今回は2022年現在のCreality Ender-3シリーズの各モデルにどのような違いがあるのか徹底比較していきます。
それでは見ていきましょう!
Creality Ender-3シリーズとは
はじめに、Creality Ender-3シリーズとはどんな3Dプリンターなのか、その特徴について確認しておきましょう。
半組み立て式のFDM方式3Dプリンター
Ender-3シリーズは、すべて半組み立て式のFDM方式3Dプリンターです。
半組み立て式というのは、上の図のように本体がいくつかのパーツに分解された形で納品されるタイプを意味します。分解されているとはいえ、誰でもかんたんに組み立てられるように、細かい部分はしっかり組み立て済みになっています。上のEnder-3 S1の例では、96%組み上がった状態で納品されます。
モデルにもよりますが、ちょっとした部品の組み立て作業経験のある方であれば、数十分〜数時間足らずの作業で難なく完成させることができます。
造形領域の四方は密閉されていない
半組み立て式のFDM方式3Dプリンターの特徴として、四方が密閉されていない点には注目です。
FDM方式3Dプリンターは、ノズルがX、Z方向に、プラットフォームがY方向に大きく移動することで造形箇所を逐次的に制御しています。そのため、比較的安価なモデルでは、Ender-3シリーズのように四方を塞がないタイプが多いです(エンクロージャに関する特許の問題もあるようです)。
一方で、下のQIDI TECH製3Dプリンターのように密閉されたタイプのFDM方式3Dプリンターも存在します。保温性や安全面ではこちらの密閉タイプのほうが優れていますが、その分価格が少々上がります。
FDM方式3Dプリンター初心者の方が使用するエントリーモデルとしては、安全面には十分配慮しつつ半組み立て式のモデルを選択するのが個人的にはおすすめです。
造形サイズはほとんど変わらない
Ender-3シリーズだけでも6モデル存在するわけですが、造形サイズに関してはほとんど変わりません。
Ender-3 Maxを除き、すべてのモデルが幅・奥行きは22cm、高さは25〜27cmです。
各モデルの違いは、プラットフォームやディスプレイ、電源といった各パーツに表れています。
新規モデルにはどのようなアップグレードがなされているのでしょうか?詳細については後半で解説していきます。
【2022年版】Creality Enderシリーズ一覧
2022年現在、Creality社の公式ホームページ(英語版)で確認できるEnder-3シリーズ3Dプリンターは次の6点です。
まずは、各3Dプリンターのスペックを一覧表で見てみましょう。
モデル | Ender-3 | Ender-3 Pro | Ender-3 V2 | Ender-3 Max | Ender-3 S1 | Ender-3 S1 Pro |
イメージ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
造形サイズ(幅×奥行き×高さ)[mm] | 220×220×250 | 220×220×250 | 220×220×250 | 300×300×340 | 220×220×270 | 220×220×270 |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)[mm] | 440×410×465 | 440×410×465 | 440×410×465 | 513×563×590 | 487×453×622 | 490×455×625 |
プリントスピード [mm/s] | Max 180 | Max 180 | Max 180 | Max 180 | Max 150 | Max 150 |
ノズル最高温度 [℃] | 255 | 255 | 255 | 255 | 260 | 300 |
対応するフィラメントの種類 | PLA/ABS/Wood/ /TPU/gradient/ copper, etc. | PLA/ABS/Wood/ /TPU/gradient/ copper, etc. | PLA/TPU/PETG | PLA/TPU/PETG/ ABS/Wood | PLA/TPU/PETG/ ABS | PLA/ABS/WOOD/ TPU/PETG/PA |
実勢価格(2022.3月時点) | 約21,000円 | 約28,000円 | 約35,000円 | 約41,000円 | 約50,000円 | 約56,000円 |
一覧にしてみると、各モデルの違いや共通点が見えてきますね。
すでに述べたように、造形サイズはEnder-3 Max以外の5モデルでほとんど変わりません。
一方で、実勢価格は約2万円〜6万円弱と幅があります。
各モデルにどのような特徴があるのか、ここからは詳細を確認していきましょう!
高コスパ人気モデル【Ender-3】
まずご紹介するのは、Ender-3です。Ender-3シリーズの初期モデルで、後継モデルはこのEnder-3をベースとして作られています。
Ender-3の特徴は、なんといってもそのコスパ。約2万円で購入できてしまいます。
安かろう悪かろうと思われるかもしれませんが、FDM方式の3Dプリンターとして必要な機能はしっかり揃っています。高安定性、静音動作、高速加熱、高精度。押さえてほしいポイントはしっかりケアされています。
シンプルイズベスト。必要な機能にしぼって作成されたムダのないモデルなのです。
「FDM方式とはどんな3Dプリンター?試しに使ってみたい!」という方にとっては、価格・機能の両面でおすすめできるモデルです。
そのムダのないボディから、Ender-3は初心者だけに人気のモデルではありません。必要な機能は自分でカスタマイズできるので、自分好みの3Dプリンターに仕上げることができるのです。中には、「3Dプリンターの部品を3Dプリンターで作成する」という猛者もいるようですね。
初心者・中級者問わず人気のEnder-3。「Ender-3シリーズ、どのモデルがいいの??種類が多くてわからない!」という方は、このモデルを選んでおけば間違いないでしょう。
「いやいや、他のモデルも見比べて自分にあったモデルを選びたい!」という方は次のモデルに進みましょう。
Ender-3のマイナーチェンジ版【Ender-3 Pro】
こちらはEnder-3をベースに使いやすさが向上したEnder-3 Pro。
主な改善ポイントは次の2つです。
- より高品質な電源を採用
- プラットフォームが取り外しやすいマグネット仕様に
Ender-3のマイナーチェンジバージョンといったところでしょうか。
改良ポイント多数!【Ender-3 V2】
こちらもEnder-3のアップグレードモデル、Ender-3 V2。
主な改善ポイントは次のとおりです。
- より高品質な電源を採用
- プラットフォームが耐久性のあるガラスボードに
- より静音に
- 工具収納ボックス搭載
- ディスプレイがカラーで見やすく
Ender-3 Proと比べると、Ender-3からの改良ポイントが多いです。カラーディスプレイも見やすくて良いですね。

人によっては、Ender-3とどちらにしようか迷ってしまうかもしれません。お財布と相談ですね。
シリーズ最大造形サイズ【Ender-3 Max】
続いて紹介するのは、Ender-3 Max。
Maxというだけあり、Ender-3シリーズで唯一造形サイズが大容量化しています。
その他にもいくつかの改良がなされています。
- フィラメント検知機能追加
- ノズルの耐熱性向上
「フィラメント検知機能」は、フィラメントがなくなったり、切れたりしたときに自動でプリントを停止してくれる優れた機能。また、「ノズルの耐熱性向上」によって、より高速にフィラメントを溶かすことができます。
造形サイズだけではない、魅力あるアップグレードモデルです。
自動レベリング機能搭載、基本機能も充実【Ender-3 S1】
2021年末に発売されたEnder-3 S1。
基本機能が向上した他、注目ポイントは「Sprite」と「CR touch」です。

「Sprite」は、独自開発の押し出し機構です。これにより、TPUのようなやわらかいフィラメントが使用可能になるとともに、約30%の軽量化、高精度化を実現しています。
「CR touch」は、独自開発の自動レベリング技術です。自動でZ軸高さを補正してくれるので、かんたんに水平出しを行うことができます。手動でレベリングをしなくてよいのは、初心者の方にとってはとくにありがたい機能ですよね。初心者でなくても、作業効率を重視する方にとっては見逃せないポイントです。
この他にも、直感的な操作を支援するノブ式カラーディスプレイや、動作音を大幅に低減するマザーボードを採用するなど、充実した機能をもつ注目モデルです。
豊富な対応材料でさらに性能向上を遂げた【Ender-3 S1 Pro】
最後に紹介するのは、Ender-3最新モデルのEnder-3 S1 Pro。
Ender-3 S1で大幅アップグレードされた機能に加え、2つの優れたポイントに注目です。

1つ目は、「造形できるフィラメントの種類が増加」です。Ender-3シリーズ一覧表を見るとわかるように、「S1 Pro」はノズルの最高温度が300℃にまでアップしています。これにより、「PA(ポリアミド)」のような高温に熱する必要のあるフィラメントも使用することができるようになっています。
もう1つは、「造形物の密着性が高く、かつ取り外しやすいプラットフォームの採用」です。標準搭載のPEIプラットフォームは、高速加熱可能かつ柔軟性が高いです。従来はオプション品として販売されていた高品質プラットフォームが標準搭載となっているのは、うれしいポイントですね。
そのほかにも、本体にLEDが搭載されたことで暗環境における操作性が向上するなど、「Pro」としての性能向上が際立っています。
まとめ:機能と価格のバランスを考えてEnder-3シリーズを導入しよう

今回は、Creality3D社のFDM3DプリンターEnder-3シリーズの3Dプリンターを徹底比較してきました。
約2万円の超高コスパ「Ender-3」から、多様なフィラメントへの対応・自動レベリング機能を搭載した「Ender-3 S1 Pro」まで、6種類のモデルが存在するEnder-3シリーズ。
FDM方式3Dプリンターの初心者〜中級者まで満足させるラインナップとなっています。
選択のポイントは、機能と価格のバランスです。
- 最低限の機能でいいからコスパが良いFDM方式3Dプリンターがほしい!という方は「Ender-3」
- 価格は上がってもいいから、かゆいところに手が届く優秀なFDM方式3Dプリンターがほしい!という方は「Ender-3 S1 Pro」
のような感じでしょうか。
紹介した注目ポイントを参考に、あなたのお気に入りEnder-3を選んでみてください!