【2023】QIDI TECH 密閉型FDM3Dプリンター徹底比較!【Iシリーズ・Xシリーズ】

こんにちは、管理人のウノケンです。

今回は、QIDI TECH社のFDM(熱溶解積層)方式3Dプリンター全モデルを徹底比較していきます。

家庭用のFDM方式3Dプリンターといえば、組み立て式で、かつノズルやプラットフォームがむき出しの構成が一般的です。Creality Ender-3シリーズやAnycubic Kobraシリーズなどは特に有名ですね。

そんな組み立て式のFDM3Dプリンターと対をなすのが、組立不要のデスクトップ式FDM3Dプリンターです。密閉型とも呼ばれるこのタイプは、その名の通り四方が囲まれているところが特徴です。

QIDI TECH社のFDM方式3Dプリンターは、販売中の全ラインナップが密閉型です。密閉型のFDM3Dプリンターは産業用に多く見られますが、QIDI TECHのラインナップは比較的安価に提供され、家庭用として個人での使用が可能です。

今回は、そんなQIDI TECH社の密閉型FDM3Dプリンターの全ラインナップの特徴やスペックについて、徹底的に比較解説していきます!

この記事を読んでわかること
  • QIDI TECH社とは?
  • 密閉型FDM3Dプリンターの特徴は?
  • 購入可能なQIDI TECH社FDM方式3Dプリンター全モデルのスペック

【2023年アップデート】3つの最新機種「X-Smart 3」「X-Plus 3」「X-Max 3」が発表されました!(クリックすると該当箇所にジャンプできます)

それでは見ていきましょう!



QIDI TECHとは

QIDI TECH社は2014年に設立された中国の3Dプリンターメーカーです。

年間でおよそ5万台の3Dプリンターを生産しており、FDM方式3Dプリンターを中心に取り扱っています。

QIDI TECH公式ページによれば、販売中のFDM方式3Dプリンターは、すべて密閉型で、「Xシリーズ」「Iシリーズ」に大別されています。(2023年1月時点)

密閉型FDM3Dプリンターの特徴

そんなQIDI TECHの特徴である「密閉型」FDM方式3Dプリンターにはどのような特徴があるのでしょうか?

主なメリットは次の3つです。

  • 組み立てる必要がなく、すぐにプリントを開始できる
  • 筐体による保温性・安定性(造形精度)が高い
  • 高温のノズルや可動部分がむき出しになっておらず、安全性が高い

一方、デメリットには次のような点が挙げられます。

  • 造形サイズに対する装置本体サイズが大きくなりがち
  • 比較的高コスト

このような特徴から、産業用グレードの高品質な3Dプリンターに多く採用される密閉型構造QIDI TECHの特徴は、その高品質な密閉型FDM3Dプリンターを比較的安価に提供しているところです。

以上を踏まえ、密閉型FDM3Dプリンターは次のような方におすすめです。

  • 高品質な3Dモデルをプリントしたい
  • 煩わしい組み立て作業はしたくない
  • 子どもがいる環境などでも安全に3Dプリンターを使用したい
  • 多少の初期コストには目をつぶってもよい

QIDI TECHとその密閉型FDM3Dプリンターについての理解が進んだところで、次からは各モデルの詳細について解説していきます。



QIDI TECHの全FDM 3Dプリンター徹底解説!

QIDI TECHのFDM方式3Dプリンターを1つ1つ確認していきましょう。

2023年1月現在、QIDI TECH社の公式ホームページで確認できるFDM方式3Dプリンターは以下の5つです。IシリーズとXシリーズの2シリーズが展開されています。

各モデルの特徴についても要点をしぼって解説していきます!

Iシリーズ

I-Mates

出典:QIDI TECHNOLOGY

「I-Mates」は、実勢価格6万円前後と、QIDI TECHのFDM3Dプリンターでは最も低コストです。密閉型FDM方式3Dプリンターでは最安クラスと言えるのではないでしょうか。

特徴は、0.4mmの押出機に加え、0.2mmの押出機も付属しているところです。通常よりもモデルの細部にこだわりたい場合に、より細いフィラメントも使用可能になります。

QIDI TECH唯一のシングルZ軸モデルです。

I-Fast

出典:QIDI TECHNOLOGY

上の写真からもわかるように、2種類のフィラメントを同時に使用できるところが「I-Fast」最大の特徴です。これにより、通常の造形はもちろんのこと、造形の自由度が格段に上がります。詳細については後述します。

造形サイズもQIDI TECHのラインナップで最大クラスの360×250×320 [mm]となっています。



Xシリーズ

X-Smart 3【2023年最新】

2023年に発表された最新機種の1つが「X-Smart 3」です。Xシリーズにおけるエントリーモデルに当たります。

密閉型かつ500mm/sの高速造形を実現しながら、6万円台というコスパを叩き出しています。

造形サイズは180 x 180 x 170(mm)で、コンパクトなサイズ感となっています。

X-Plus II

出典:QIDI TECHNOLOGY

Xシリーズにおける中型モデルの「X-Plus II」。

密閉型でかつ安定性の高い2軸モータ(デュアルZ軸)、ナイロンやカーボンファイバを含む豊富な種類のフィラメントへの対応を可能にする高温用押出機が付属しながら、ユーザの手が届く価格帯に押さえているところは特筆に値します。

X-Plus 3【2023年最新】

2023年に発表された「X-Plus 2」の後継機種が「X-Plus 3」です。

造形サイズがひと回り大きくなっただけでなく、以下のような注目のアップグレードがなされています。

  • 最大プリントスピード:600mm/s
  • 最大ノズル温度:350℃
  • 最大チャンバー加熱温度:65℃

なんといってもその最大プリントスピードが目を引きますね!後述する「X-Max 3」も最大プリントスピードは600mm/sとなっています。

ちなみに、最大プリントスピード600mm/sという「爆速」3Dプリンターは2023年以降続々登場しています。他の爆速機種も気になる方は、以下の記事も参考にしてみてください。

X-Max II

出典:QIDI TECH

X-Plus II」と同等の機能を維持しながら、造形サイズが拡大した「X-Max II」。

高品質な大型モデルの造形に活躍します。

X-Max 3【2023年最新】

2023年に発表された「X-Max 2」の後継機種が「X-Max 3」です。

造形サイズがさらに拡大し、縦・横・高さのすべてで30cmの大台を超えています(1辺325mm)。

その他にも、すでに述べたような「X-Plus 3」と同様の以下のアップグレードがなされています。

  • 最大プリントスピード:600mm/s
  • 最大ノズル温度:350℃
  • 最大チャンバー加熱温度:65℃

X-CF Pro

出典:QIDI TECHNOLOGY

2022年に発表された、QIDI TECH社の最新FDMプリンターである「X-CF Pro」。

開発に13ヶ月費やしたというこだわりの一品です。

X-CF Proはナイロンやカーボンファイバーを使用した造形に特化しており、ノズル最高温度は350℃とダントツの値となっています。



QIDI TECH FDM方式3Dプリンター スペック一覧

ここまで、各モデルの特徴について一気に解説してきました。

FDM方式3Dプリンターを選ぶ際には、価格や造形サイズといった情報をもとに、あなたにぴったりの3Dプリンターを選ぶ必要があります。

どの3Dプリンターを選ぶべきかを把握するため、次は各3Dプリンターのスペックについて一覧表で見てみましょう。

Iシリーズ

モデル名I-MatesI-Fast
本体イメージproduct imageproduct image
メーカーQIDI TECHQIDI TECH
本体サイズ(LxWxH)[mm]582 x 465 x 435710 x 510 x 670
造形サイズ(LxWxH)[mm]260 x 200 x 200330 x 250 x 320
エクストルーダ-デュアル
プリントスピード[mm/s]150150
最大ノズル温度[℃]250300
最大ヒートベッド温度[℃]--
組み立て組み立て済み組み立て済み
プラットフォームPCマグネットシート-
オートレベリング--
フィラメントセンサ-
停電時自動回復印刷--
密閉
ディスプレイタッチ式タッチ式
デュアルZ軸-
データ入力Wi-Fi
USB
Wi-Fi
LAN
USB
本体重量[kg]21.633
スライスソフトQidiPrint
Cura
simplify3D
QidiPrint
Cura
simplify3D
その他2種類の押出機
(0.2mm/0.4mm)
2種類の押出機
(ノーマル、高温用)
自動デュアルエクストルーダ
(2種材料同時使用可)
出典公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。

Xシリーズ

モデル名X-Smart 3X-Plus IIX-Plus 3X-Max IIX-Max 3X-CF Pro
本体イメージproduct imageproduct imageproduct imageproduct image
メーカーQIDI TECHQIDI TECHQIDI TECHQIDI TECHQIDI TECHQIDI TECH
本体サイズ(LxWxH)[mm]370 x 362 x 397560 x 450 x 420511 x 527 x 529580 x 510 x 550553 x 553 x 601610 x 515 x 678
造形サイズ(LxWxH)[mm]180 x 180 x 170270 x 200 x 200280 x 280 x 270300 x 250 x 300325 x 325 x 325300 x 250 x 300
エクストルーダHigh Flow-High Flow--
プリントスピード[mm/s]50015060015060060
最大ノズル温度[℃]280300350300350350
最大ヒートベッド温度[℃]120-----
組み立て組み立て済み組み立て済み組み立て済み組み立て済み組み立て済み組み立て済み
プラットフォームHF BoardPEIプレートHF BoardPEIプレートHF platePEIプレート
オートレベリング--
フィラメントセンサ---
停電時自動回復印刷----
密閉
ディスプレイタッチ式タッチ式タッチ式タッチ式タッチ式タッチ式
デュアルZ軸
データ入力Wi-Fi
USB
Wi-Fi
LAN
USB
Wi-Fi
Ethernet
USB
Wi-Fi
LAN
USB
Wi-Fi
Ethernet
USB
Wi-Fi
LAN
USB
本体重量[kg]10.53019.532.524.532.5
スライスソフトQidiPrint
Cura
simplify3D
QidiPrint
Cura
simplify3D
QidiPrint
Cura
simplify3D
QidiPrint
Cura
simplify3D
QidiPrint
Cura
simplify3D
QidiPrint
Cura
simplify3D
その他KLIPPER搭載2種類の押出機
(ノーマル、高温用)
KLIPPER搭載
チャンバー加熱<65℃
2種類の押出機
(ノーマル、高温用)
KLIPPER搭載
チャンバー加熱<65℃
2種類の押出機
(ノーマル、高温用)
出典公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト
画像、スペックは各社公式ページより引用。記載のない項目は”-“で示している。

一覧にしてみると、標準的な造形サイズやプリントスピード、価格帯がどの程度かがわかりますね。同時に、特徴的なスペックも浮かび上がってきます。

次の項目では、各3Dプリンターの特徴を踏まえて用途別のおすすめモデルを紹介していきます!



どのQIDI TECH製3Dプリンターを選べばいい?

ここまで、5つのQIDI TECH製3Dプリンターのスペックや、注目すべき項目について紹介してきました。

「結局どの3Dプリンターがおすすめなの?」という方のために、用途別のおすすめ3Dプリンターとその理由について解説していきます。

低コストで密閉型FDM方式3Dプリンターを導入したい→【I-Mates】

密閉型FDM3Dプリンターを使いたいけど、できるだけ初期コストを抑えたい。

そんな方におすすめするのは「I-Mates」です。

約6万円という価格は、密閉型FDM3Dプリンターの中ではかなり安い方です。他のQIDI TECH製3Dプリンターは、高いものだと20万円台です。

他のモデルに見られる機能は必要なく、「密閉型」FDM3Dプリンター自体に興味がある方にはこの「I-Mates」がおすすめです。

2種類のフィラメントを使って3Dプリントしたい→【I-Fast】

2種類のフィラメントを使用できる「I-Fast」。他社製の3Dプリンターを見ても、2種類のフィラメントを使って造形できるモデルはそう多くありません。

2種類のフィラメントを使ったユニークな造形例は次のとおりです。

  • 違う色のフィラメントを使って2色のモデルを作る
  • 片方をPVAのような水溶性フィラメントとし、造形精度を向上する
  • 片方取り外しが簡単なサポート素材とし、複雑なモデルを印刷する
出典:QIDI TECHNOLOGY
出典:QIDI TECHNOLOGY

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