こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、3Dプリンターを使ってできることについて、家庭での活用法という視点で解説していきます。
家庭で手軽に使えるタイプの機種が続々登場中の3Dプリンター。趣味や教育、DIYなど、日々の生活の様々な場面で活用されるようになっています。
とはいえ、
「3Dプリンターがちょっと気になっているけど、何ができるのかわからない!」
「3Dプリンターを買いたいけど、魅力を伝えられず、家族の理解が得られない」
とう方も少なくないでしょう。そこで本記事では、
など、初心者目線で家庭用3Dプリンターについて徹底解説します。
この記事を読めば、
が、「3Dプリンターにできること」をスッキリと理解できることでしょう。
さらに、最新の家庭用3Dプリンターから、初心者におすすめの3Dプリンターとその理由についても解説しています。ぜひ最後までご覧ください。
それでは見ていきましょう!
3Dプリンターとは?
3Dプリンターは、3DCADや3DCGソフト上で設計された3Dモデルを具現化する装置です。まずは、その基本的な仕組みと種類について理解を深めていきましょう。
3Dプリンターの基本
3Dプリンターとは名前の通り、立体的(3D)な造形物を印刷(プリント)する装置です。3Dデータをもとに、フィラメントやレジンといった樹脂を1層ずつ積み重ねることで3次元の物体が形作られます。
家庭用3Dプリンターは低価格化と高性能化が進み、十分な性能をもつ家庭用3Dプリンターが手の届く価格帯(2万円〜10万円以下)で購入できるようになっています。
家庭でも気軽に3Dプリンターが使えるようになり、
など、アイデアを活かした造形物制作を楽しむ方がどんどん増えてきています。
家庭用3Dプリンターには2種類ある
現在、市販されている家庭用3Dプリンターには、大きく分けて次の2つの種類があります。
- FDM(Fused Deposition Modeling)方式
- 光造形方式
各方式の特徴について確認してきましょう。
FDM(Fused Deposition Modeling、熱溶解積層法)方式
「FDM(Fused Deposition Modeling)」は、日本語で「熱溶解積層法」と訳されます(FFFとも呼ばれます)。FDMは、熱で繊維状の樹脂(フィラメント)を溶解して、ノズルから押し出しながら積層する方式です。
家庭用のFDM方式3Dプリンターは、最安で2万円台前半で購入することが可能です。機能が充実した人気の機種であっても、10万円以下で購入できるものが多いです。
光造形方式
「光造形」も家庭用3Dプリンターにおける代表的な2つの方式のうちの1つ。その名の通り「光」を使った造形方式です。液体の樹脂(レジン)に光を当てて、1層1層固めながら3次元形状を形作っていきます。
家庭用の光造形方式3Dプリンターも、最安で2万円台で購入することが可能です。解像度が高かったり、造形サイズの大きいハイスペックな機種であっても、10万円以下で購入できるものが多いです。
家庭用3Dプリンターで何が「できる」のか?
家庭用3Dプリンターの用途は非常に多岐にわたります。日用品やホビーの製作のみならず、教育キットや副業として販売できる作品まで、さまざまなものを自由度高く作成することが可能です。
具体的な例を見ていくことで、家庭用3Dプリンターでできることを理解していきましょう。
3Dプリンターの購入に迷う自分の背中を押したい方、家族の理解を得るのに苦戦している方、必見です。
日用品の製作
3Dプリンターを活用すると、日常生活のなかで一般的に使用するアイテムを気軽に製作することが可能です。
などなど、自分の好みに合わせてカスタマイズしながらさまざまなアイテムを作成することができます。
充電スタンドの例
スマホケースの例
キッチン用品の製作
クッキー型をはじめとするキッチン用品の製作においても、3Dプリンターは大活躍できます。
ハンドメイド作品においても大人気のクッキー型は、家族に作ってあげれば喜ばれること間違いなし(筆者実践済み!)。
「3Dプリンター製のクッキー型を販売したり、他の人から購入するには衛生面が心配。。。」
という方も、家庭で利用する範囲であれば、(衛生面に配慮しつつ)気兼ねなく楽しむことが可能です。
モデリング・製作難易度は比較的低いので、3Dプリンターを導入してからすぐに製作することが可能です。3Dプリンターを購入するための、家族への「説得材料」としてもおすすめです。
クッキー型の例
ガーデニング用品の製作
3Dプリンターを使用すれば、自分だけのオリジナルガーデニング用品を作成することも可能です。
というのも、花瓶や一輪挿しは、家庭用3Dプリンターの代表的な活用方法。無料で使用できる共有サイトにも芸術的な3Dモデルが多数アップされており、3Dプリンターならではの複雑で美しいデザインの花瓶を誰でも簡単にプリントすることができてしまいます。
3Dモデリングについて少し学習すれば、オリジナルデザインで花瓶や一輪挿しを作成することも難しくありません。家庭を彩る1品としても良し、副業として販売してみても良いでしょう。
一輪挿しの例
子ども向けのおもちゃ製作
お子さんのいる家庭でぜひチャレンジしてみてほしいのが、「おもちゃの製作」です。
3Dプリンターを活用すれば、立体的なパズルやフィギュアなど、子どもが使って遊べるアイテムを自由に作成することが可能です。自分でデザインできるのはもちろんのこと、Thingiverseのような共有サイトでも、たくさんのユニークな3Dモデルを見つけることができます。
さらに、お子さんと一緒に3Dモデルをデザインしたり、3Dプリンターを扱ったりすることで、
といった効果も期待できますね!
おもちゃの例
STEAM教育
注目されているSTEAM教育においても、3Dプリンターは重要なツールとなります。
3Dモデリングや3Dプリンティングの過程を通して、子どもは自分でデザインしたモデルを実際に形にし、その結果を直接視覚化するという経験ができます。これにより、問題解決スキルや創造的思考力を養うことができます。
また、3Dプリンターを使えば、分子模型や歴史的な遺物のレプリカ、立体的な地形図を作ったりすることも可能です。2次元的な教材(本など)による見たり読んだりといった学習に加え、3Dプリントされた立体物を手にとって感じることで、学習内容をより深く理解できることでしょう。
3Dパズルの例
立体的な地形図の例
アクセサリーの製作
「子どもの教育用途」という強力な提案でもまだパートナーが首を立てに振らない場合は、最終兵器「アクセサリーの製作」を提案してみましょう。
3Dプリンターは、オリジナルアクセサリーを作るためのツールとしても使われています。市販品では手に入らない、特別なアクセサリーをデザインし、プリントしてあげれば、家族に喜ばれること間違いなし。
もちろん一定のモデリングスキルが必要になりますが、決して高度な技術は必要ありません。このスキルは副業としての作品販売にも繋げやすく、3Dプリンターや材料の購入資金を補填する上でも役立つでしょう。
ピアスの例
指輪の例
コスプレアイテムの製作
大きめの3Dプリンターを導入すれば、コスプレ用のマスクやヘルメット、独特なアクセサリーやキャラクターアイテムを自作することも可能です。
これらのアイテムは、市販品として入手しにくいことも多く、コスプレイヤー界隈では自作のお供として3Dプリンターが重宝されていたりします。
コスプレマスクの例
副業
「3Dプリンターの購入は趣味のためではない、事業目的なのだ!」
という主張はいかがでしょうか?
副業ブームに後押しされ、3Dプリンターを使った副業に興味をもつ人が急増しています。フリマサイトやハンドメイドマーケットといった、オンラインで誰でも販売できるプラットフォームが整ってきたことも、「3Dプリンター副業」が関心を集めている要因の1つでしょう。
個人がモノを製作・販売する活動と、気軽に商品開発・改善ができる3Dプリンターは相性抜群。最小限のコストでオリジナル作品の物販を行うことができ、副業としてスモールスタートしたい方にはうってつけのアイテムです。
副業用として購入しつつ、ちゃっかり自分の趣味にも使っちゃうという作戦、悪くないのではないでしょうか?
販売されている3Dプリント品の例
家庭用3Dプリンターで何が「できない」のか?
自由度高く3次元形状を製作できる家庭用3Dプリンター。とはいえ、「自由自在」に何でも作れるわけではない点には注意が必要です。
ここからは、以下の4点に着目して、家庭用3Dプリンターには「できないこと」について解説していきます。
これらの制約を理解して、家庭用3Dプリンターに「できること」・「できないこと」をしっかり把握しておきましょう。
大規模なオブジェクトのプリント
家庭用3Dプリンターがプリントできるモノのサイズは、プリンター自体のサイズに制限されます。今では大型の家庭用3Dプリンターも登場していますが、
といったデメリットがあることから、あまりに大きなモノの製作には向いていません。
家庭用3Dプリンターを導入する際には、どれくらいの大きさであればプリントできるのかを把握しておくことが重要です。その上で、自身の用途に適した造形サイズをもつ3Dプリンターを選ぶようにしましょう。
ここでは、代表的な3Dプリンターの造形サイズの例を示しておきます。
数値ではわかりにくいですね。ざっくりとした造形サイズ(光造形)のイメージは、
「1Lの牛乳パック(70×70×194mm³)を縦にして、横に2つ並べた体積」
前後だと覚えておきましょう。
Age of 3DPでは、主要3Dプリンターの造形サイズをはじめとするスペックを確認・比較できる無料ツールを用意しています。3Dプリンター選びの際には、ぜひ活用してみてください。
高精細なディテールの実現
家庭用3Dプリンターでは、工業製品レベルの高精細なディテールは実現できないことも。公差や微細なデザインが重要となる用途では注意が必要です。
個々の3Dプリンターのスペックをもとに吟味する必要がありますが、ここでは最低限知っておきたい一般的な傾向について示しておきます。
家庭用3Dプリンターは進化を続けており、数年前にできなかったことが、今では当たり前のようにできているということも。とくに光造形3Dプリンターは年々解像度が向上しているので、
「数年前の3Dプリンターを使っていて、最新情報はチェックしていない」
という方は、ぜひ最先端のクオリティも確認してみてください。驚きの性能向上に目を見張ることでしょう。
特殊な素材の印刷
家庭用3Dプリンターは主にプラスチック素材(PLAやABSなど)を使用しています。
産業用では一般的になりつつある、金属やセラミック、エンプラといった素材を使用した3Dプリントは困難です。
どうしてもこれらの材質を使って3Dプリントしたい場合は、DMM.makeのようなプリントサービスを利用すると良いでしょう。
カラフルな作品製作
家庭用3Dプリンターには色の制約があり、一般的な3Dプリンターでは、単一色のオブジェクトしかプリントできません。
プリント中にフィラメントの色を変えることは可能ですが、手動で行う必要があったり、多数の色使いや細かい切り替えは難しかったりと非常に制約が大きいです。その他にも、グラデーションフィラメントを使って装飾的なプリント品を得ることはできますが、この手法では意図的に色を切り替えることができません。
したがって、特定のパーツごとに異なる色を使用したい場合などにおいては、3Dプリンターだけで製作を完結させることは困難です。その場合は、プリント後に手作業でペイントすることがいまだに一般的です。
どうしても多数の色を使って3Dプリントのみで製作を完結させたい場合には、少し高価な3Dプリンターが必要になります(10〜20万円程度)。複数色のフィラメントを使った3Dプリント技術はいまだ発展途上ですが、今後ますます一般的になっていくポテンシャルをもつ興味深い技術分野となっています。
知っておきたい!家庭用3Dプリンター使用時の注意点
家庭で3Dプリンターを使用する際には、機器の扱いに注意して、安全に作業を進めることが必要です。導入する前に最低限押さえておきたいポイントをまとめているので、しっかり目を通しておきましょう。
高温注意!火傷と火災を防止しよう
3Dプリンターのノズルとヒートベッド(土台)はプリント中に高温になります。これらの部分に手を触れると火傷の危険があるので注意しましょう。
また、故障や不適切な使用によりこれらの部分が過熱すると、火災の原因にもなり得ます。そのため、3Dプリンターを使用する際には、これらの部分の状態を常に確認し、周囲に燃えやすいものを置いていないかチェックするなど、安全な作業を心掛けることが大切です。
吸入厳禁!換気と管理を徹底しよう
FDMプリンターに使用する一部のフィラメントや、光造形3Dプリンターのレジン、洗浄用アルコールは有害物質を含んでいることがあります。準備しているときやプリント時、洗浄時に有害なガスを吸引しないように、マスクや手袋、換気といった対策を怠らないようにしましょう。
また、アルコールは引火性も高いため、火の元に近づけないよう適切に管理することが必要です。
さわるな危険!子どもの安全に配慮しよう
FDMのノズルは高速で動くため、手を触れるとケガをする可能性があります。
特に幼い子どもが誤って手を触れないように十分注意しましょう。可動部に触れないための対策として、可動部の周囲が覆われた密閉型の3Dプリンターを選ぶという選択肢もあります。
子どもが3Dプリンターを使用する際には、常に大人が見守り、安全に使用しているか確認することが重要です。
【2024】初心者にもおすすめの最新家庭用3Dプリンター
ここからは、初心者におすすめの家庭用3Dプリンターについて、FDM方式と光造形方式からそれぞれ1機種ずつピックアップして紹介していきます。
初心者におすすめする理由についてもあわせて解説しているので、3Dプリンター選びの参考にしてみてください。
【FDM方式】Anycubic「Kobra 2」
FDM方式のおすすめ3Dプリンターは、Anycubic「Kobra 2」です。
組み立てやすさや機能性と価格のバランスが良く、初心者の方にもおすすめしたい3Dプリンターです。
筆者自身も使用しており、レビュー記事に使用感を詳しく記載しています。こちらもあわせてご参照ください。
なお、「Kobra 2」は人気が高く入手性が悪い場合があります。同じくKobraシリーズの「Kobra Neo」も3万円前後の価格帯で非常に人気の高い3Dプリンターです。
【光造形方式】ELEGOO「Mars 4」
光造形3Dプリンターのおすすめは、ELEGOO「Mars 4」。初心者にも使いやすく、コスパの高さが評判のMarsシリーズ最新機種です(筆者もMarsシリーズ「Mars 2」で光造形デビューしました)。
光造形3Dプリンターの特徴である「なめらかさ」を体感したい初心者〜中級者の方にとって、9K解像度をこの価格帯で味わえるのは非常に魅力的です。
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まとめ:3Dプリンターにできること・できないことを把握して活用しよう
今回は、3Dプリンターを使ってできること・できないことについて、家庭での活用法という視点で解説してきました。
3Dプリンターは、3次元構造を自由度高くデータからモノへ変換することができる便利な装置で、家庭におけるさまざまな用途で活躍することがイメージできたのではないでしょうか?
同時に、複数の色使いやプラスチック以外の材料を使用することが難しいという制約もあるということが理解できたのではないかと思います。
この記事を読んでうっすらと浮かび上がった、「3Dプリンターにできること」と「あなたのやりたいこと」の共通点を実現すべく、ぜひあなたの家庭に3Dプリンターを導入してみてくださいね。