こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
家庭用3Dプリンター界の新星「Bambu Lab」について徹底解説
していきます。
「最近よく見かける『Bambu Lab』って何?」
「『X1シリーズ』や『P1シリーズ』、『A1シリーズ』について知りたい!」
という「Bambu Lab初心者」の方が
についてイッキに理解することができる記事となっています。3Dプリンターに興味がある人であれば、「これだけは知っておきたい」という内容にまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
それでは見ていきましょう!
気鋭の3Dプリンターブランド「Bambu Lab」とは
「Bambu Lab」とは、中国の深センや上海、米国のテキサス州に拠点をもつ3Dプリンターの製造会社です。2022年5月にクラウドファンディングにて発表した「X1 Carbon」、「X1」が同社初の3Dプリンターという、新進気鋭のブランドです。
初代の3DプリンターであるX1シリーズがTIME誌の「THE BEST INVENTIONS OF 2022」の1つに選ばれるなど、センセーショナルなデビューを果たしたBambu Lab。2022年末には、より消費者の手に届きやすい手頃な価格帯を実現した後継機種「P1P」を発表し、家庭用3Dプリンターにおける高速化のトレンドを牽引しています。
以降の項目では、注目を集めるBambu Labの3Dプリンターとその周辺機器である、
について詳しく解説していきます。
(参考:Bambu Lab公式ページ)
Bambu Labの3Dプリンター一覧【X1/P1/A1シリーズ】
Bambu Labが展開する3Dプリンターには、以下の7機種が存在しています(2023年12月時点)。
それぞれの機種の特徴と違いについて確認していきましょう。
Bambu Labの“衝撃”デビュー作「X1 Carbon」「X1」
Bambu Labの名を世に知らしめたのは、デビュー作となるX1シリーズの2台。デザイン性の高さとプリントスピード、AIやLiDAR技術を活用した種々の機能が評価され、3Dプリンター界に旋風を巻き起こすこととなりました。
以下の公式YouTube動画では、Bambu Lab「X1シリーズ」の魅力を約2分でざっとつかむことが可能です。ぜひ1度見てみてください。
初期「X1シリーズ」には「X1 Carbon」と「X1」の2機種が存在しています。基本性能は共通しているものの、高強度のカーボンファイバーフィラメントをサポートするなど、「X1 Carbon」がより高性能な上位機種となっています。
「X1 Carbon」と「X1」の主な違いを以下の表に記載します。
X1 Carbon | X1 | |
---|---|---|
ボディの材質 | アルミ&ガラス | プラスチック&ガラス |
エクストルーダギアの材質 | 硬化鋼 | 鋼 |
ノズルの材質 | 硬化鋼 | ステンレス鋼 |
エアフィルター | ○ | オプション |
フィラメント(PA、PC) | ○ | 可能 |
フィラメント(カーボン/ガラス繊維強化ポリマー) | ○ | 非推奨 |
モニタリングカメラ | ○ | オプション |
多数の機能が盛り込まれた革新的な3Dプリンターということもあり、「X1 Carbon」の価格は少々お高めの1,199ドル(≒約170,000円、2023年7月時点)。家庭用としては手の届きにくい価格帯というのが正直なところ。
それだけに、家庭用3Dプリンターの選択肢として十分スコープに入る価格帯となって登場した後継機種の「P1P」にはX1シリーズと同等か、それ以上の注目が集まることとなりました。
プロフェッショナル向けに強化された最新機種「X1E」
2023年10月に公開された「X1シリーズ」の最新機種が「X1E」です。
簡単に言うと、「X1C」の上位互換機種です。本体サイズや造形サイズ、プリントスピードといったスペックは変わりません。
アップグレードされたのは、
など。「X1 Carbon」との違いについては、以下の解説ページをご覧ください。
家庭用3Dプリンター界のゲームチェンジャー「P1P」
鮮烈デビューを果たしたBambu Labの次なる一手が「P1P」の発表。699ドル(≒約10万円)という手の届きやすい価格帯で、家庭用3Dプリンター界に「本格参入」することとなりました。
ざっくりと言ってしまえば、
というイメージです。
「機能モリモリでなくてもいいから、500mm/sの高速3Dプリンターを手にしたい!」
というユーザのニーズに答えられる新たな選択肢と言えるでしょう。
また、エンクロージャがデフォルトで搭載されない代わりに、ユーザは自身でサイドパネルをプリントし、カスタマイズすることが可能です。マイ3Dプリンターを自分好みのデザインにドレスアップできるのは、「P1P」のユニークでおもしろいポイントですね。
以下の公式YouTube動画前半では、様々なデザインのサイドパネルが紹介されています。
また、「P1P」はX1シリーズと同様にAMSによる最大16色のマルチカラープリント(後述)に対応しています。「高速」かつ「マルチカラー対応」という家庭用3Dプリンターの最先端を、できるだけ低価格で実現したい方にとっては、現状の最有力候補と言っても過言ではないでしょう。
大人気機種がマイナーアップグレード「P1S」
「P1S」は、2023年7月に登場したBambu Lab4機種目の3Dプリンター。
「P1P」との大きな違いは、完全密閉型になった点です。これにより、ABSやASAといった材料の3Dプリントに適した3Dプリンターへと進化しました。
公式サイトの情報をもとに、「P1P」と「P1S」の相違点を以下にまとめます。
P1S | P1P | |
---|---|---|
ボディ(シェル) | 密閉(プラスチック&ガラス) | 密閉なし |
ツールヘッドケーブル | Enhanced(with cable chain) | Standard |
ファン | 閉ループ制御 | オプション |
エアフィルター | 活性炭フィルター | オプション |
フィラメント(ABS、ASA) | ○ | 可能 |
また、「P1S」は「P1P」からのアップグレードも可能とのこと。公式サイトでアップグレードキットの販売が予告されています。「P1P」ユーザの方は要検討ですね。
ちなみに、「P1S」と「X1 Carbon」の違いについては以下のように公式からアナウンスされています。
P1S | X1 Carbon | |
---|---|---|
フィラメント(カーボン/ガラス繊維強化ポリマー) | 非推奨 | ○ |
Micro LiDAR(AI検知機能) | × | ○ |
タッチスクリーン | ×(ボタン式) | ○ |
「X1 Carbon」の「売り」であった硬質フィラメント対応やLiDAR機能は、「P1P」に引き続き「P1S」でも搭載されないということですね。
下位:「P1P」<「P1S」<「X1 Carbon」:上位
という順で、性能的に「P1P」と「X1 Carbon」の間に位置する選択肢が増えたというイメージなのではないでしょうか?
初心者に優しい低価格版マルチカラー3Dプリンター「A1 mini」
2023年9月、Bambu Labの5機種目となる3Dプリンター「A1 mini」が公開されました。
これまでのボックス形状とは打って変わって、ベッドスリンガータイプ(プラットフォームがY軸方向に前後するタイプ)となった「A1 mini」。それどころか、「Ender-3」的なガントリーをもつ形状ですらなく、シングルZ軸の小型ボディが採用されました。
小さいボディながら、Bambu Labの技術力が光る多数の機能が盛り込まれています。例えば、
などなど。詳細が気になる方は以下の個別解説記事をご覧ください。
造形サイズが拡大した新機種「A1」
2023年12月、Bambu Labより新機種「A1」が発表されました。
基本的なコンセプトは「A1 mini」と同様で、
という特徴を備えています。
さらに、
という注目のアップグレードも。
「P1シリーズやX1シリーズはちょっと高価だけど、『A1 mini』は小さいと思っていた…」
という方にうれしい、新たな選択肢の登場です。
Bambu Labの3Dプリンター全機種のスペックをイッキに比較!
各機種の特徴を押さえたところで、全3Dプリンターのスペックを一覧で比較してみましょう。
モデル名 | X1 Carbon | X1E | P1P | P1S | A1 mini | A1 |
---|---|---|---|---|---|---|
本体イメージ | ||||||
メーカー | Bambu Lab | Bambu Lab | Bambu Lab | Bambu Lab | Bambu Lab | Bambu Lab |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 389 x 389 x 457 | 389 x 389 x 457 | 386 x 389 x 458 | 389 x 389 x 458 | 347 x 315 x 365 | 385 x 410 x 430 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 256 x 256 x 256 | 256 x 256 x 256 | 256 x 256 x 256 | 256 x 256 x 256 | 180 x 180 x 180 | 256 x 256 x 256 |
エクストルーダ | - | - | - | - | クイックスワップ | クイックスワップ |
プリントスピード[mm/s] | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 |
最大ノズル温度[℃] | 300 | 320 | 300 | 300 | 300 | 300 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 120 | 120 | 100 | 100 | 80 | 100 |
組み立て | - | 組み立て済み | 組み立て済み | 組み立て済み | 組み立て済み | 半組み立て済 |
プラットフォーム | Flexible Steel Plate(Cool/Engineering) | Flexible Steel Plate(Smooth PEI) | 両面PEIプレート | - | PEIプレート(Textured/Smooth) | PEIプレート(Textured/Smooth) |
オートレベリング | ○ | - | ○ | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
密閉 | ○ | ○ | × | ○ | × | × |
ディスプレイ | タッチ式 | タッチ式 | ボタン式 | ボタン式 | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | - | - | - | - | × | - |
データ入力 | Wi-Fi Bambu-Bus | Wi-Fi Ethernet | Wi-Fi Bluetooth Bambu-Bus | Wi-Fi Bluetooth Bambu-Bus | Wi-Fi Bambu-Bus | Wi-Fi Bambu-Bus |
本体重量[kg] | 14.13 | 16 | 9.65 | 12.95 | 5.5 | 8.3 |
スライスソフト | Bambu Studio (PrusaSlicer) (Cura) (Superslicer) | Bambu Studio (PrusaSlicer) (Cura) (Superslicer) | Bambu Studio (PrusaSlicer) (Cura) (Superslicer) | Bambu Studio | Bambu Studio (PrusaSlicer) (Cura) (Superslicer) | Bambu Studio (PrusaSlicer) (Cura) (Superslicer) |
その他 | LiDAR搭載 リモート制御機能 AMS(マルチカラー)対応 活性炭フィルタ搭載 カメラ搭載 | LiDAR搭載 リモート制御機能 AMS(マルチカラー)対応 チャンバー加熱(最大60℃) 活性炭フィルタ搭載 カメラ搭載 | リモート制御機能 AMS(マルチカラー)対応 半自動ベルトテンショニング | リモート制御機能 AMS(マルチカラー)対応 半自動ベルトテンショニング 活性炭フィルタ搭載 | ワンクリック印刷(MakerWorld)対応 AMS lite(マルチカラー)対応 カメラ搭載 | ワンクリック印刷(MakerWorld)対応 AMS lite(マルチカラー)対応 カメラ搭載 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
Bambu Lab製3Dプリンターをマルチカラー化する相棒「AMS」
ここからは、Bambu Lab製3Dプリンターをマルチカラー化するために必須のアイテムである「AMS」について解説していきます。
最大16色のマルチカラープリントが可能!
Bambu Lab製3Dプリンターの「相棒」として欠かせないのが、「AMS(Automatic Material System)」です。AMSの役割は、以下の通りです。
一番の魅力は、なんといっても最大4色のフィラメントを使用できることでしょう。Bambu Lab製の3Dプリンターとあわせて使用することで、マルチカラー3Dプリントや、異なる材料を組み合わせた3Dプリントが可能になります。単色3Dプリンターでは難しい、サポート用のフィラメントを活用することも可能になります。
さらに、AMSハブという機器を介して最大4つのAMSを組み合わせて使用することが可能です。つまり、Bambu Labの3Dプリンターは、AMSによって最大16色を用いた3Dプリントが可能ということになります。単色3Dプリントの時代は、もう終わりが近づいているのかも知れませんね。。。!
もっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
「A1シリーズ」用の簡略版マルチカラーシステム「AMS lite」
「A1 mini」のマルチカラー3Dプリントを担うのは、一部機能が簡略化された「AMS lite」です。
「AMS」が備えていたフィラメントの乾燥や最大16色への拡張といった機能はサポートされていないものの、4つまで搭載できるフィラメントを自動で切り替え、「A1シリーズ」に供給する役割を果たします。
まとめ:その動向から目が離せないBambu Lab
今回は、家庭用3Dプリンター界の新星「Bambu Lab」について徹底解説してきました。Bambu Labが話題を集めている理由について理解できたのではないでしょうか?
今後も家庭用3Dプリンター界に旋風を巻き起こすことが期待されるBambu Lab。その動向からますます目が離せませんね!
マルチカラー化不要であれば、さらに高速な3Dプリンターも検討しよう
プリントスピードと並ぶBambu Lab製3Dプリンターの特徴が、「マルチカラー3Dプリント」。
一方で、
「マルチカラー3Dプリントではなく、単色でとにかく速い3Dプリンターが使いたい!」
ということであれば、選択肢はBambu Labの3Dプリンターに限りません。世の中にはすでに同等か、それ以上のスピードが実現できる家庭用3Dプリンターが存在しています。
検討材料として、いくつかの高速3Dプリンターをご紹介します。
Creality「K1」
上位機種の「K1 Max」は、「P1P」より大きい造形サイズも実現しています。K1シリーズの詳細は、以下の解説記事をご覧ください。
ELEGOO「Neptune 4」
「Neptune 4」は、2023年6月に登場したELEGOOの最新FDM3Dプリンター。4万円台ながら500mm/sのプリントスピードを実現するという破格のコスパが特徴です。