こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、2023年6月に発表された
ELEGOOの最新家庭用光造形方式3Dプリンター「Mars 4 Ultra」について解説&実機レビュー
していきたいと思います。
2018年から発売がはじまったELEGOOの光造形方式3Dプリンターラインナップである「Marsシリーズ」。今回発表された「Mars 4 Ultra」は2023年に発表された最新の「Marsシリーズ」3Dプリンターの1台です。
Marsシリーズとして初の「Ultra」の名をもつ「Mars 4 Ultra」。いったいどのような特徴がある3Dプリンターなのでしょうか?
ついに購入した実機が到着したので、
についてレビューしていきたいと思います!
動画でレビューをチェックしたい方はこちら!
この記事の内容はYouTubeでも動画で解説しています。記事とあわせて活用してみてください。
それでは見ていきましょう!
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ELEGOO 「Mars 4 Ultra」の特徴
実機レビューに入る前に、
「Mars 4 Ultra」の特徴について確認
しておきましょう。
「特徴はいいから実機レビューが見たい!」
という方は該当箇所までジャンプしてください。
主な項目について、それぞれ確認していきましょう。
Marsシリーズ最大の9K解像度
「Mars 4 Ultra」のピクセル数は、ついに9K(8520×4320)に到達
しました。「Marsシリーズ」としては最大の解像度となっています。
ここで、「Marsシリーズ」の進化の軌跡をたどるため、解像度の変遷を確認しておきましょう。
つい2〜3年前には4K解像度ですら高解像度ともてはやされましたが、それも今は昔。初心者の最初の1台として使用されることも多い「Marsシリーズ」の3Dプリンターでさえ、9K解像度というスペックを備える時代となりました。
業界最小水準の超微小18umピクセルを採用
ピクセル数が多いだけでは、細かい形状を再現できるかどうかは決まりません。造形できるXY方向の最小単位を規定するピクセルサイズも重要になります。
「Mars 4 Ultra」は、ピクセルサイズ18umのLCDを採用
しています。これは家庭用光造形3Dプリンターとしては過去に類を見ないほどの極小サイズです。
例えば、2023年5月に発表されたAnycubicの「Photon Mono M5s」も解像度に特徴のある3Dプリンターですが、ピクセルサイズは19×24umです。18um×18umの「Mars 4 Ultra」は、ピクセルサイズの微細さという観点ではこれを上回る3Dプリンターとなっています。
まさに
となっています。
「Marsシリーズ」初のLinux搭載&Wi-Fi対応
基本スペックは同時に発表された「Mars 4」と同様の「Mars 4 Ultra」。
「Mars 4 Ultra」のみに搭載された注目機能が、「Linux搭載」と「Wi-Fi対応」
です。
ここでは、押さえておくべき「Ultra」固有の特徴について確認しておきましょう。
Linux OS搭載でファイルロード遅延のないスムーズな操作を実現!
「Mars 4 Ultra」は、
です。これにより、ファイルをロードする際の遅延が生じず、高速でスムーズな操作が実現されています。
Wi-Fi対応でラクラクデータ転送!
さらに、「Mars 4 Ultra」は
です。
これまで、PCで作成したデータはUSBを介して3Dプリンター本体に受け渡しをする必要がありました。この煩わしい作業にウンザリしていた人も少なくないはず。
「Mars 4 Ultra」ではWi-Fiを使って無線送信できるため、作成した3Dプリント用データをサクッと3Dプリンター本体に送信してプリント開始することが可能になります。
その他にも、
といった「Mars 4 Ultra」だけの魅力的な機能が搭載されています。以降の「実機レビュー」パートで詳しく確認していきましょう。
「Mars 4 Ultra」の実機レビュー!
さて、ここまでは「Mars 4 Ultra」の概要について述べてきました。ここからは、
「実際に使ってみてどうなのか?」
について、実機レビューしていきたいと思います!
開封!
「Mars 4 Ultra」を開封し、中身を確認していきましょう!
スリムなダンボールの中には、
がぎっしり詰まっています。
ツールキットや充電アダプタなどの本体以外の同梱品ををずらっと並べたのがこちら。
工具類や消耗品がそろっています。以下に同梱品リストを記載しておきます。初心者の方は、他にそろえるべきものがあるかどうか確認しておくと良いでしょう。
「Mars 4 Ultra」の注目ポイントをチェック!
プリントをはじめる前に、
「Mars 4 Ultra」の注目ポイントをチェック
していきます。
電源ボタン・USB差込口は本体正面
家庭用光造形3Dプリンターの使い勝手に関して、しばしば話題に上がる
の位置。本体裏側にあったり、側面にあったりすると配置・運用上使いにくいものです。
その点、「Mars 4 Ultra」は両者ともに正面に配置されています。細かい箇所ながら、スムーズにオンオフ・抜き差しができるのはうれしいポイントです。
UVカバーの内側にWi-FIアンテナあり
Wi-Fi対応モデルの「Mars 4 Ultra」。電波を受信するためのアンテナをUVカバーの内側に取り付ける設計となっています。
USBを使わずに無線でデータのやり取りをしたい方は、忘れずに取り付けておきましょう。
3Dプリントの事前準備【chitubox】
「Mars 4 Ultra」用にスライスデータを作成していきます。ここでは、光造形3Dプリンター用として人気のあるスライスソフト(スライサー)の「chitubox」を使用していきます。
「chitubox」を使用したことのない方は、同梱のUSBか公式サイトからインストールしましょう。
すでにchituboxを使用している方は、「Mars 4 Ultra」のプリンタ情報が反映されている最新バージョンの「1.9.5」にアップデートしておきましょう。
「設定」(右側)→「新しいプリンタを追加する(+)」より「Mars 4 Ultra」を選択してプリンタ設定を追加しましょう。
「Mars 4 Ultra」のデフォルト設定には、以下3種のレジン設定が存在しています。「chitubox」に表示される主なパラメータを表にして記しておきます。
Standard Resin_Normal | Standard Resin_Fast | Fast Resin_Fast | |
---|---|---|---|
レイヤーの高さ[mm] | 0.050 | 0.1 | 0.1 |
露光時間[s] | 2.5 | 3.5 | 1.8 |
リフト高さ[mm] | 2.0+3.0 | 3.0+2.0 | 2.0+1.0 |
上昇速度[mm/min] | 75.0/230.0 | 300.0/1000.0 | 300.0/1000.0 |
設定によって、「レイヤーの高さ」や「露光時間」、「リフト高さ」、「上昇速度」といったパラメータが異なります。プリント品のクオリティやプリントにかかる時間が大きく変わってくるので、スライス前に適宜設定するようにしましょう。
3Dプリント実行!高解像度3Dプリンターの実力は?
準備が完了したので、さっそく3Dプリントを開始していきます!
テストプリントデータ「高速テストモデル」をプリント!
まずは、同梱のUSBに保存されていた
「高速テストモデル」のデータを使って3Dプリント
していきます。
レジンには、SK本舗の高解像度3Dプリンター向けレジンである「SK10K水洗いレジン(ネオクリアー)」を使用していきます。
通常層露光時の様子(実際の速度)とタイムラプスがこちら。
7cmほどの高さのきれいな立体格子構造が40分ほどで完成しました。なかなかの速度ですね!
キャリブレーションモデル「AmeraLabs town」「Siraya Tech V5」をプリント!
「高速テストモデル」は、大きめの構造を素早くプリントできることを示してくれました。
続いては、
解像度・品質を確認するキャリブレーションモデルをプリント
していきます。
今回選んだのは
の2つをプリントしてみました。スライス設定は、「レイヤーの高さ」が0.05mmである「Standard Resin_Normal」としています。
細い構造・細かいパターンまで精度高くプリントされていますね!
細かい形状ばかりの「elegoo チェス」モデルはキレイにプリントできる…?
最後に、
同梱USBに格納されている「elegoo チェス」モデルをプリント
してみます。
ディテールまで精巧にモデリングされたカッコいいチェスの駒。果たしてうまくプリントできるのでしょうか…?
まずはRook(ルーク)をプリント。。。
おお!いい感じですね!
続いてはKnight(ナイト)を見てみましょう。
これはカッコいい!細部までバッチリです!
解像度の低い3Dプリンターでは潰れてしまう微細形状もくっきりプリントできていることが確認できますね。さすがは9K・18umピクセル!
使ってみてわかった!「Mars 4 Ultra」のココがすごい!
ここからは、
実際に使ってみて感じた「Mars 4 Ultra」のスゴいところ
について紹介していきたいと思います。商品ページに記載の内容だけではわかりにくい「実感」をお伝えしていきます!
ACFフィルム搭載で高速プリントが可能!
ピクセル数やピクセルサイズのような解像度が強調されがちな「Mars 4 Ultra」ですが、実際に使ってみて
プリントスピードの速さも大きな魅力
だと感じました。
「テストプリントデータ「高速テストモデル」をプリント!」のところで確認したように、「Mars 4 Ultra」は大きなモデルを短い時間でプリントすることができます。これは、
しています。
フィルム(レジンバットの底にある透明部分)には、これまで「FEPフィルム」「PFA(nFEP)フィルム」が広く使用されてきました。これらに代わる新しいフィルムとして注目されている「ACFフィルム」の実力は確かなものだと、実際に使用してみて感じることが出来ました。一度使ってしまったら「FEPフィルム」には戻れないかもしれません。
ちなみに、「ACFフィルム」の標準搭載は、「Mars 4 Ultra」限定です。「Mars 4」は「PFAフィルム」となっているので、高速プリントに興味のある方は「Mars 4 Ultra」を選択すると良いでしょう。
Wi-Fi送信はシームレスでかなり便利!
下位モデル「Mars 4」にはない、「Mars 4 Ultra」の特徴であるWi-Fi対応。
かなり便利です!
これまでは、スライスした3DデータをPCから3Dプリンターに移すのはUSBディスク等の物理デバイスを経由することが一般的でした。
Wi-Fi対応になって、この手間から解放されたことで、プリント時の手間が大きく改善しています。
上の画像のように、「chitubox」でスライス後、そのままシームレスに3Dプリンターにデータを送信し、プリント開始することができます。実際に使ってみると、非常にスムーズなオペレーションになっていることを実感できるでしょう。
ビルドプレート周りも大きく改善!
最後に、地味ながら注目したい構造的なアップグレードに触れておきます。それは、
なったことです。
ビルドプレートがレーザーエッチング加工に
個人的には「Mars 3 Pro」などで使用されていたサンドブラスト加工は少々使いにくく傷つきやすい印象がありました。
一方、今回「Mars 4 Ultra」で採用されたレーザーエッチングビルドプレートはかなり優秀。プリント中に外れにくいことはもちろんのこと、スッと気持ちよくスクレーパーで取り外すことができました。
地味ながら、毎回のオペレーションに影響する重要なポイントかと思います。
プラットフォームの固定が4点レベリングに
これまでの「Marsシリーズ」「Saturnシリーズ」は、プラットフォームの固定が「正面」「右側」の2点止め(Ball-jointed Leveling)となっていました。
一方で、「Mars 4 Ultra」と同時にリリースされた「Saturn 3 Ultra」では、上図のような4点レベリング(4-point Leveling)が採用されています。
4点レベリングは位置合わせがしやすく、また1度レベリングを行ってしまえば、何度もやり直す必要がないという特徴があります。
この構造も「Mars 4」にはない「Mars 4 Ultra」のみの利点となっています。どちらを選ぶか迷っている方は覚えておきましょう。
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使ってみてわかった!「Mars 4 Ultra」のココに注意!
最後に、
実際に使ってみて、個人的に気になった点
についても紹介していきます。人によって好みも異なりますので、選択する際の参考にしてみてください。
造形サイズがコンパクトで、用途を選ぶ
「Marsシリーズ」は、基本的に造形サイズが小さいという特徴があります。これは「Mars 4 Ultra」も同様で、用途によっては物足りなさを感じるかもしれません。
一方で、初心者の方にはむしろコンパクトサイズがおすすめ。いきなり中〜大型サイズに挑戦するとハンドリングが難しく、プリント品を取り外すのに失敗したり、レジンバットの洗浄等に苦労することが多いです。
にとっては、取り回しやすい「いい感じのサイズ」になっています。
Linux搭載の恩恵は分かりにくい
続いては、「Mars 4 Ultra」の特徴の1つである
Linux搭載の恩恵が分かりにくい
という点です。
Linux搭載は「Mars 4」にはない「Mars 4 Ultra」の特徴で、たしかにファイルロード時の動作にスムーズさを感じる印象はあります。ただ、「Marsシリーズ」を初めて使う場合には、搭載されていない場合との比較ができるわけではないため、その利点を感じることが難しいかもしれません。
「Mars 4」に対して「Mars 4 Ultra」を選択する決め手となるのは、Linux搭載という点よりも
あたりなのではないかと感じました。
日本語訳は少し不自然
はじめて光造形3Dプリンターを使用する方は、
マニュアルやスクリーンに表示される日本語訳が少し不自然
であることは覚えておきましょう。「Mars 4 Ultra」に限った話ではありませんが、中国製の3Dプリンターである以上、完璧な日本語訳になっていないことは注意が必要です。
オペレーション上問題になることは少ないですが、はじめのうちは戸惑うこともあるかもしれません。慣れるまでは取扱説明書とにらめっこする場合もあるでしょう。
ここまで挙げてきたポイントは、人によっては気になるところかもしれません。他の3Dプリンターもチェックしておきたい!という方は、比較ツール等を活用して他の機種の情報も確認しておきましょう。
「ここに記した気になるポイントは問題ないよ!」
という方にとっては、高い機能性と低コストを両立した非常におすすめできる3Dプリンターなのではないかと思います!
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「Mars 4 Ultra」のスペック一覧!【Marsシリーズ比較】
最後に、
「Mars 4 Ultra」の詳細スペックを、近年リリースされた「Marsシリーズ」と比較
していきます。どのような違いがあるか確認しておきましょう。
モデル名 | Mars 4 Ultra | Mars 4 | Mars 3 Pro | Mars 3 |
---|---|---|---|---|
本体イメージ | ||||
メーカー | ELEGOO | ELEGOO | ELEGOO | ELEGOO |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 227 x 227 x 443.5 | 227 x 227 x 438.5 | 227 x 227 x 438.5 | 227 x 227 x 438.5 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 156.36 x 77.76 x 165 | 156.36 x 77.76 x 175 | 143.43 x 89.6 x 175 | 143.43 x 89.6 x 175 |
Z軸精度[mm] | 0.02 | 0.02 | 0.00125 | 0.00125 |
積層ピッチ[mm] | 0.01-0.2 | 0.01-0.2 | 0.01-0.2 | 0.01-0.2 |
ピクセルサイズ[mm] | 0.018 | 0.018 | 0.035 | 0.035 |
ピクセル数(XY) | 8520 x 4320 | 8520 x 4320 | 4098 x 2560 | 4098 x 2560 |
プリントスピード[mm/h] | Max 150 | 30-70 | 30-50 | (1.5-3s) |
データ入力 | USB Wi-Fi | USB | USB | USB |
本体重量[kg] | 7 | 5.2 | 5.5 | 5.2 |
スライスソフト | ChituBox Voxeldance Tango | ChituBox Voxeldance Tango | ChituBox | ChituBox |
その他 | 空気清浄機付き Linux OS搭載 RAM4GB内蔵 4点レベリング ACFフィルム使用 | 空気清浄機付き | 空気清浄機付き | |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
一覧表で比較してみると、各モデルの微妙な違いがわかりますね。
直近の「Mars 3/4シリーズ」機種と比べると、今回レビューした「Mars 4 Ultra」は
という特徴が光る1台なのではないかと思います。
まとめ:高解像度&高コスパ3Dプリンター「Mars 4 Ultra」!
今回は、ELEGOO Marsシリーズの最新モデル「Mars 4 Ultra」について解説&実機レビューしました。
低価格ながら高解像度・高速で、その他の便利機能もひと通り網羅している優良モデルであることがわかりましたね!
これらを重視した3Dプリンターを選びたい方はぜひ購入候補に入れてみてください!
販売状況
現時点では、代理店のSK本舗やAmazonにて販売されています(2023年9月時点)。気になる方はチェックしておきましょう!
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