こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、
Anycubicの家庭用FDM方式3Dプリンター「Kobraシリーズ」について解説
していきたいと思います。
Anycubicは家庭用3Dプリンターの有名企業です。FDM方式の「Megaシリーズ」や光造形方式の「Photonシリーズ」をご存知の方も多いでしょう。
そんなAnycubicのFDM方式3Dプリンターの中で、現在メインとなっているのが「Kobraシリーズ」。2022年の登場以来、多数の人気3Dプリンターがリリースされています。
今回は、
「『Kobraシリーズ』の特徴は?」
「『Kobraシリーズ』の最新機種はどれ?」
という方のために、
を行っていきたいと思います。ぜひ3Dプリンター選びの参考にしてみてください。
それでは見ていきましょう!
Anycubic Kobraシリーズの特徴は?
はじめに、
「Kobraシリーズ」とはどんな3Dプリンターなのか?
その特徴について確認しておきましょう。
独自開発のオートレベリングシステム「Anycubic LeviQ」搭載
すべてのモデルに共通するテクノロジーが、
独自のオートレベリングシステム「Anycubic LeveQ」
です。
LeviQによるオートレベリングは、
です。ヒートベッド上の各点でZ位置を取得・補正することで水平調整を行い、再現性の高いプリントを実現します。「Kobraシリーズ」以前の「Megaシリーズ」には見られなかった、大きな変化点の1つです。
やわらかいバネ鋼プラットフォームの採用
造形サイズがスタンダードな
では、
やわらかいバネ鋼製の磁気プラットフォームが採用
されています。プラットフォームを曲げることで、造形したものを簡単に取り外すことができます。
磁気プラットフォームなので、本体からプラットフォームを取り外しやすい点も操作性が高くGoodです。
この変化点も、「Megaシリーズ」から改良されたポイントです。
10分で組み立て可能なモジュール設計で、初心者でも安心
「Kobraシリーズ」は、
半組み立て式のFDM3Dプリンター(「Kobra Go」を除く)
です。
組み立て式の3Dプリンターには安価なものが多い一方で、本体が完成するまでに時間がかかるモデルも少なくありません。
「はじめての3Dプリンター、ちゃんと組み立てられるかな…」
という方は、細かいパーツをイチから組み立てる必要のある機種には不安を感じることでしょう。
その点、ほとんどが半組み立て式の
です。上の図(右)のように、数点のモジュールを組み合わせるだけで完成するようになっています(DIYモデルの「Kobra Go」を除く)。
公式ページでは「10分」で完成すると書かれているほど、どんな人でも簡単に、そして組み立てに時間をかけずに使いはじめることが可能です。
【2023】Anycubic「Kobraシリーズ」全機種の詳細解説
「Kobraシリーズ」は、現在までに
の【6種類】が発表されています(2023年5月時点)。
ここからは、
「Kobraシリーズ」全機種の特徴を確認
していきましょう!
エントリーモデルの【Kobra】
はじめに紹介する「Kobra」は、
「Kobraシリーズ」のスタンダードモデル
です。以下のような「Kobraシリーズ」の特徴的な機能をひと通りそろえています。
造形サイズ(幅×奥行き×高さ)は220×220×250mm³で、最大ノズル温度は260℃。このあたりは従来モデルや他社製品にもよく見られる標準的なスペックですね。
タッチ式ディスプレイを採用している点は、後述する「Kobra Go」「Kobra Neo」との違いになっています。
コスパ最重視のDIYモデルなら【Kobra Go】
「Kobra Go」は
Kobraシリーズで唯一のDIYタイプFDM3Dプリンター
です。
低コストが魅力のDIYタイプながら、
の優良モデル。
以下のページで詳細解説していますので、「Kobra Go」が気になる方はぜひご覧ください!
ダイレクトドライブ式・PEIシート採用の【Kobra Neo】
「Kobra Neo」は「Kobra」と同様にダイレクトドライブ式エクストルーダを採用しています。
ダイレクトドライブ式を採用するメリットはいくつかありますが、ここではAnycubic公式が強調している点をピックアップしてみましょう。
ちなみに、「Kobra Go」以前に発表された
の3モデルはボーデン式を採用していました。
スペックが近しい「Kobra」との主な違いは、
程度です。かなり似通った機種のため、価格差が選択の決め手になるのではないかと思います。
詳細スペックについては後述する比較表をご確認ください。
ちょっと大きめ3Dプリントには【Kobra Plus】
「Kobra」と「Kobra Max」の登場から2ヶ月ほど遅れて発表された、「Kobra Plus」。
「Kobraシリーズ」の中では、まさに「中間」のモデルという位置付け
造形サイズや本体サイズ、本体価格など、どれをとっても「Kobra」と「Kobra Max」の間のスペックになっています。詳しくは「Kobraシリーズのスペック一覧!」の項目をご覧ください。
中間サイズの機種とはいえ、造形サイズは300×300×350mm³もあります。
これはおよそバスケットボール相当の大きさとのことで、
「『Kobra』では物足りないけど、『Kobra Max』は本体サイズが大きすぎる!」
という方にとっての、ちょうどよい第三の選択肢の登場となっています。
大型3Dプリント向けの【Kobra Max】
「Kobra Max」の特徴は、
家庭用としては最大級の、大型の造形サイズ(400×400×450 mm³)
です。スタンダードサイズである「Kobra」と比較すると、幅・奥行き・高さのすべてが200mm近く大きくなっています。他社の3Dプリンターと比較しても右に出る機種は少なく、大型造形用途にはうってつけのモデルと言えるでしょう。
オートレベリング機能「LeviQ」に加えて、「Kobra Max」には、
も採用されています。デュアルZ軸を採用することで、精度を保ちながら大きな造形サイズを実現しています(下画像左側)。
高速&高コスパの優秀モデル!【Kobra 2】
2023年5月に発表されたKobraシリーズの最新機種が「Kobra 2」です。
その最大の特徴は、
低価格帯ながら最大300mm/sという高速プリントを実現
している点にあります。昨今の「高速プリント」のトレンドをコスパ高く実現し、より多くの人が手に取ることができるという点で優れた機種だと言えるでしょう。
「Kobra 2シリーズ」新4機種が登場!
2023年8月末に行われたAnycubicの8周年記念企画「ACF(A-Creators Fest)」にて、以下の「Kobra 2シリーズ」4機種が新たに登場しました。
詳細は以下のページで解説しているので、最新機種に興味のある方はぜひご覧ください。
【2023】Anycubic「Kobraシリーズ」スペック一覧
ここまで紹介してきた「Kobraシリーズ」のスペックについて、一覧で確認しておきましょう。
モデル名 | Kobra | Kobra Go | Kobra Neo | Kobra Plus | Kobra Max | Kobra 2 |
---|---|---|---|---|---|---|
本体イメージ | ||||||
メーカー | Anycubic | Anycubic | Anycubic | Anycubic | Anycubic | Anycubic |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 430 x 486 x 486 | 445 x 443 x 490 | 445 x 443 x 490 | 560 x 546 x 605 | 715 x 665 x 720 | 440 x 435 x 486 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 220 x 220 x 250 | 220 x 220 x 250 | 220 x 220 x 250 | 300 x 300 x 350 | 400 x 400 x 450 | 220 x 220 x 250 |
エクストルーダ | ダイレクト | ボーデン | ダイレクト | ボーデン | ボーデン | ダイレクト |
プリントスピード[mm/s] | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 300 |
最大ノズル温度[℃] | 260 | 260 | 260 | 260 | 260 | 260 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 110 | 110 | 110 | 100 | 90 | 110 |
組み立て | 半組み立て済 | 要組み立て | 半組み立て済 | 半組み立て済 | 半組み立て済 | 半組み立て済 |
プラットフォーム | PEIばね鋼 | PEIばね鋼 | PEIばね鋼 | カーボランダムガラス | カーボランダムガラス | PEIばね鋼 |
オートレベリング | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | × | × | × | ○ | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
密閉 | × | × | × | × | × | × |
ディスプレイ | タッチ式 | ノブ式 | ノブ式 | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | × | × | × | ○ | ○ | ○ |
データ入力 | SDカード | SDカード | SDカード | SDカード | SDカード | microSDカード |
本体重量[kg] | 7.5 | 7 | - | 11 | 16 | 8.4 |
スライスソフト | Cura Repetier-Host simplify3D | - | Cura | Cura Repetier-Host simplify3D | Cura Repetier-Host simplify3D | AnycubicSlicer PrusaSlicer Cura |
その他 | デュアル斜め支柱 | 最大プリントスピードはファームウェアアップデート後の値 | ||||
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
一覧表で比較してみると、各モデルの微妙な違いがわかります。
本体サイズを見ると、改めて「Kobra Max」の大きさを感じますね。フィラメントスプールホルダー(腕のような部分)も横に広がるタイプなので、導入の際には置き場所の確保を忘れないようにしましょう。
「Kobraシリーズ」をAnycubic従来モデルと比較!
「Kobraシリーズ」のスペックについて把握できたところで、Anycubicの従来モデルと比較してみましょう。
比較対象として、似たような機能や同等の造形サイズをもつモデルどうしで比較します。
オートレベリング機能をもつモデルどうしで比較!
まずは、オートレベリング機能をもち、かつ同等の造形サイズをもつモデルで比較してみましょう。
「Kobra」と従来モデル「Vyper」を比較していきます。
モデル名 | Kobra | Vyper |
---|---|---|
本体イメージ | ||
メーカー | Anycubic | Anycubic |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 430 x 486 x 486 | 508 x 457 x 516 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 220 x 220 x 250 | 245 x 245 x 260 |
エクストルーダ | ダイレクト | ボーデン |
プリントスピード[mm/s] | 100 | 180 |
最大ノズル温度[℃] | 260 | 260 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 110 | 110 |
組み立て | 半組み立て済 | 要組み立て |
プラットフォーム | PEIばね鋼 | ばね鋼 |
オートレベリング | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | × | × |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ |
密閉 | × | × |
ディスプレイ | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | × | ○ |
データ入力 | SDカード | SDカード |
本体重量[kg] | 7.5 | 10 |
スライスソフト | Cura Repetier-Host simplify3D | Cura |
その他 | ||
出典 | 公式サイト | 公式サイト |
並べてみると、
などの類似点・相違点があることがわかりますね!
オートレベリングの点数は「Kobra」のほうが多い一方で、「Vyper」には2軸モータ搭載の利点があります。価格は「Kobra」の方が安い。どちらを選ぶか非常に迷いどころですね。。。
ひとまわり小さく、かつフィラメントスプールホルダーが上部についている「Kobra」のほうがスリムです。軽量かつコンパクトで設置場所に困らない点も「Kobra」の隠れた魅力ですね。
大型造形サイズモデルどうしで比較!
次に、造形サイズが標準よりも大きい2つのモデルを比較してみましょう。
「Kobra Max」と従来モデル「Mega X」を比較していきます。
モデル名 | Kobra Max | Mega X |
---|---|---|
本体イメージ | ||
メーカー | Anycubic | Anycubic |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 715 x 665 x 720 | 500 x 500 x 553 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 400 x 400 x 450 | 300 x 300 x 305 |
エクストルーダ | ボーデン | ボーデン |
プリントスピード[mm/s] | 100 | 100 |
最大ノズル温度[℃] | 260 | 250 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 90 | 90 |
組み立て | 半組み立て済 | 要組み立て |
プラットフォーム | カーボランダムガラス | - |
オートレベリング | ○ | × |
フィラメントセンサ | ○ | × |
停電時自動回復印刷 | ○ | × |
密閉 | × | × |
ディスプレイ | タッチ式 | タッチ式 |
デュアルZ軸 | ○ | ○ |
データ入力 | SDカード | SDカード |
本体重量[kg] | 16 | 19 |
スライスソフト | Cura Repetier-Host simplify3D | Cura |
その他 | デュアル斜め支柱 | デュアルY軸 |
出典 | 公式サイト | 公式サイト |
並べてみると、
などの違いがあることがわかりますね!
大きいモデルを造形したいという用途において、少し中途半端であった「Mega X」から、他社3Dプリンターと比較してもかなり大きな部類に入る「Kobra Max」へ順当に進化した印象です。
さらに、造形サイズが大きいだけでなく、オートレベリング機能やフィラメント切れ検知機能のようなプリントサポート機能が充実している「Kobra Max」はかなり優秀なモデルとなっています。
【まとめ】Kobraシリーズは特徴さまざま。しっかり比較しよう
今回は、AnycubicのFDM3Dプリンター「Kobraシリーズ」について解説してきました。
最後に、「Kobraシリーズ」各種の特徴について復習して締めくくりたいと思います。
初心者に最適!スタンダードモデルなら【Kobra】
高コスパDIYモデル!【Kobra Go】
ダイレクトドライブ搭載・PEIシート採用モデル!【Kobra Neo】
「Kobra」と「Kobra Max」の中間スペックなら【Kobra Plus】
大型造形なら絶対にコレ!【Kobra Max】
比較表も参考にしつつ、自身の用途に合った最適な「Kobraシリーズ」3Dプリンターを選んでみてくださいね!