こんにちは、管理人のウノケンです。
今回は、幅・奥行き・高さのすべてが30cm以上のモデルをプリントできるおすすめの大型3Dプリンターについて解説していきます。
はじめに質問です。
Q. 一般的な家庭用3Dプリンターを使って、どれくらいの大きさの造形物が得られるでしょうか?
3Dプリンターを一度も使ったことがない人にはイメージがつきにくいですよね。
すでに使用している方でも、もう少し大きいモデルをプリントしたいけど、
わからないという方も多いでしょう。
そこで、今回は
していきます。詳細は後述しますが、「大型」として「幅・奥行き・高さのすべてが30cm以上」を基準としています。また、大型プリントに強いFDM方式を中心に紹介していきます。
大型造形可能な3Dプリンターは価格が高くなりがちです。今回は家庭での使用も想定し、入手できる目安の価格についても紹介していきます。
それでは見ていきましょう!
YouTubeでも動画でわかりやすく解説しています!
この記事の内容は、YouTubeでより詳しく解説しています。記事とあわせて活用してみてください。
- はじめに:家庭用3Dプリンターで作れる大きさとは?本体価格は?
- 【2024最新】高コスパ大型家庭用3Dプリンターおすすめ10選+α
- 【高さ1000mm】ELEGOO「OrangeStorm Giga」
- 【驚異的コスパ】ELEGOO「Neptune 4 Max」「Neptune 4 Plus」
- 【準産業用】Creality「CR-M4」
- 【マルチカラー&密閉型】Creality「K2 Plus Combo」
- 【高さ500mm】Anycubic「Kobra 2 Max」「Kobra 2 Plus」
- 【密閉型】QIDI TECH「X-Max 3」
- 【3辺400mm】MINGDA「Magician Pro2」
- 【マルチカラー】Prusa Research「Original Prusa XL」
- 番外編①:【コスパ光造形】ELEGOO「Jupiter SE」
- 番外編②:【最強エコシステム光造形】Uniformation「GK3 Ultra」
- 大型家庭用3Dプリンターおすすめ10選のスペック一覧
- まとめ:大型3Dプリンターは価格もさまざま。しっかり比較しよう
はじめに:家庭用3Dプリンターで作れる大きさとは?本体価格は?
はじめに、スタンダードな家庭用3Dプリンターでつくれる造形サイズについて確認しておきましょう。
していきます。
スタンダードな【FDM方式】3Dプリンターで作れる造形サイズ
FDM(熱溶解積層法)は、フィラメントを熱で溶かしながら積み上げていく方式です。
です。
また、造形領域が密閉されていないタイプのほうが、一般的に造形サイズを大きくすることが可能です。反対に、密閉型は筐体内部に造形領域を収める必要があるため、造形可能サイズは小さい傾向にあります。
スタンダードなFDM方式3Dプリンターについて、例を挙げて見てみましょう。
【密閉なし】Creality「Ender-3 V3」
まずは、密閉されていないタイプの例として、Creality「Ender-3 V3」をピックアップします。こちらは人気のCreality「Ender-3シリーズ」の最新スタンダードサイズモデルです。
実は、2017年に登場した「Ender-3」も同じく22×22×25cm。2024年にリリースされた「Ender-3 V3」に至るまで、家庭用3Dプリンターのスタンダードとして、上記のサイズが一般的となっています。
【密閉型】Creality「K1C」
密閉型のFDM方式3Dプリンターについても確認しておきましょう。2024年最新の密閉型機種の例として、Creailty「K1C」を取り上げます。
「K1C」も、密閉なしの「Ender-3 V3」と同じ造形サイズ。最近では密閉型でも1辺が20cm台の機種が多くなりました。ただし、造形領域全体を箱で囲う必要があるため、密閉なしのモデルと比べると、大型サイズの機種は少ない傾向にあります。
スタンダードな【光造形方式】3Dプリンターで作れる造形サイズ
続いて、光造形方式について見ていきましょう。FDM方式と大きく異なる点の1つが、
です。家庭用3Dプリンターのスケールではそこまで大きな問題にはなりませんが、下から上に積み上げるFDM方式に比べると、高さを出しにくい傾向にあります。
また、レジンを使用することから、光造形方式3Dプリンターはほぼ例外なく密閉型です。この点は造形サイズを大きくしにくい要因の1つと言えるでしょう。
【密閉型】ELEGOO「Mars 5 Ultra」
光造形方式についても、スタンダードな造形サイズを確認しておきましょう。こちらも人気の高いELEGOO「Marsシリーズ」から、「Mars 5 Ultra」をピックアップします。
このように、スタンダードな家庭用光造形3Dプリンターは、3辺すべてが20cm以下の場合も少なくありません。
【2024最新】高コスパ大型家庭用3Dプリンターおすすめ10選+α
ここまで、FDM方式・光造形方式それぞれの家庭用3Dプリンターに関して、そのスタンダードな造形サイズを確認してきました。
ここからは、スタンダードな造形サイズよりもひと回り大きい、3辺すべてが30cm以上の3Dプリンターを10台紹介していきます。造形サイズを大きくしやすいFDMを中心として、
をピックアップしています。
【高さ1000mm】ELEGOO「OrangeStorm Giga」
造形サイズ (mm):800×800×1000 | 価格帯:37〜38万円 |
最初に紹介するのは、ELEGOOの「OrangeStorm Giga」です。
今回紹介する中でも最も大きなサイズを誇ります。造形サイズは幅と奥行が800mm、高さが1000mmと、非常に大きなプリンターです。昨年末にクラウドファンディングが行われ、支援者には今年の4月から8月にかけて発送されました。価格は約2500ドル(約37万円)で、現在はソールドアウトとなっています。
【驚異的コスパ】ELEGOO「Neptune 4 Max」「Neptune 4 Plus」
Neptune 4 Max | |
造形サイズ (mm):420×420×480 | 価格帯:5〜7万円 |
Neptune 4 Plus | |
造形サイズ (mm):320×320×385 | 価格帯:4〜5万円 |
次に紹介するのは、ELEGOOの「Neptune 4 Max」と「Neptune 4 Plus」です。どちらも2023年後半に登場した機種で、高いコストパフォーマンスが魅力です。
人気のELEGOO「Neptuneシリーズ」最新の大型モデル。とくに、「Neptune 4 Max」の造形サイズは圧巻の42 x 42 x 48cm。並の3Dプリンター本体が収まってしまいそうな巨大サイズとなっています。
大型機種の中でも特に手頃な価格で購入できる点でも貴重な存在だと言えるでしょう。
【準産業用】Creality「CR-M4」
造形サイズ (mm):450×450×470 | 価格帯:13〜15万円 |
Crealityの「CR-M4」は、2022年末に発表された準産業用の大型3Dプリンターです。
幅と奥行が45cm、高さが47cmというサイズで、家庭用と産業用の中間に位置します。
【マルチカラー&密閉型】Creality「K2 Plus Combo」
造形サイズ (mm):350×350×350 | 価格帯:23万円 |
2024年に発表されたCrealityの「K2 Plus Combo」は、同社初のマルチカラー3Dプリンターとして注目されています。
幅・奥行き・高さがすべて35cmと、「マルチカラー」「密閉型」の2つの観点で、標準的な機種よりも大型な機種となっています。
【高さ500mm】Anycubic「Kobra 2 Max」「Kobra 2 Plus」
Kobra 2 Max | |
造形サイズ (mm):420×420×500 | 価格帯:6〜9万円 |
Kobra 2 Plus | |
造形サイズ (mm):320×320×400 | 価格帯:5〜6万円 |
次に紹介するのは、Anycubicの「Kobra 2 Max」と「Kobra 2 Plus」です。
どちらも2023年に登場した「Kobra 2シリーズの機種」で、サイズを含む各種スペックが似通ったELEGOOの「Neptune 4シリーズ」と競合しています。
スペックが近く、選択するのが難しいかもしれません。次の比較パートを参考にしてみてください。
おまけ:スペックが類似する「Neptune 4 Max」と「Kobra 2 Max」の比較
「スペック・価格の近い『Neptune 4 Max』と『Kobra 2 Max』、どっちを選ぶべき?」
という方のために、選択のポイントとなりうる主な違いを記載しておきます。
スペック | Neptune 4 Max | Kobra 2 Max |
---|---|---|
造形サイズ | 420x420x480mm³ | 420x420x500mm³ |
推奨(標準)プリントスピード | 250mm/s | 300mm/s |
最大加速度 | 8000mm/s² | 10000mm/s² |
最大ノズル温度 | 300℃ | 260℃ |
最大ヒートベッド温度 | 85℃ | 90℃ |
LED搭載 | あり | なし |
ファイル転送 | USB、Wi-FI/LAN | USB、クラウド (未実装、2023年4Q以降) |
実勢価格(2024年8月時点) | 56,799円 | 65,999円 |
使用する材料によってはノズル最高温度が決め手になったり、その時々のタイミングで価格が決め手になったりすることもあります。自分の用途と照らし合わせて、よく吟味しましょう。後述するスペック比較表や、スペック比較ツールも活用してみてください。
【密閉型】QIDI TECH「X-Max 3」
造形サイズ (mm):325×325×315 | 価格帯:12〜13万円 |
QIDI TECHの「X-Max 3」は、密閉型の大型3Dプリンターです。
幅と奥行きは「Neptune 4 Plus」や「Kobra 2 Plus」と同じくらいですが、密閉型でヒートチャンバー機能を搭載している点には注目すべきでしょう。
高額になりがちなスペックを備えながら、価格は約13万円。コスパに優れた機種となっています。
【3辺400mm】MINGDA「Magician Pro2」
造形サイズ (mm):400×400×400 | 価格帯:13万円 |
MINGDAの「Magician Pro2」は、幅・奥行き・高さがすべて40cmの大型3Dプリンター。
価格は約13万円で、日本ではSK本舗が独占代理店となっています。
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【マルチカラー】Prusa Research「Original Prusa XL」
造形サイズ (mm):360×360×360 | 価格帯:30〜60万円 |
Prusa Researchの「Original Prusa XL」は、マルチカラー対応の大型3Dプリンターです。
幅・奥行き・高さがすべて36cmで、最大5つのツールヘッドを搭載できます。
価格は約4000ドル(約60万円)と高価ですが、フィラメントの無駄を減らし、TPUの使用も可能なツールチェンジャー方式の注目マルチカラー機種となっています。
番外編①:【コスパ光造形】ELEGOO「Jupiter SE」
造形サイズ (mm):277.848×156.264×300 | 価格帯:9万円 |
光造形方式の代表的な大型機種は、ELEGOO「Jupiter SE」です。
その特徴は、
です。
数十万円以上が当たり前の大型光造形3Dプリンターの中で、「Jupiter SE」実勢価格は10万円を下回ります。
「できるだけ低コストで大型光造形3Dプリンターを導入したい!」
という方にとっては非常にありがたい存在でしょう。
番外編②:【最強エコシステム光造形】Uniformation「GK3 Ultra」
造形サイズ (mm):300×160×300 | 価格帯:15〜16万円 |
Uniformationの「GK3 Ultra」は、家庭用としては初となる「16K解像度」を実現した光造形3Dプリンターです。
価格は999.99ドル(約15万~16万円)で、洗浄機と二次硬化機のセットは1,599.99ドル(約24万~25万円)となっています。日本ではサンステラの独占販売となるようです。
大型家庭用3Dプリンターおすすめ10選のスペック一覧
FDM:10機種
モデル名 | OrangeStorm Giga | Neptune 4 Max | Neptune 4 Plus | CR-M4 | K2 Plus Combo | Kobra 2 Max | Kobra 2 Plus | X-Max 3 | Magician Pro2 | Original Prusa XL |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
本体イメージ | ||||||||||
メーカー | ELEGOO | ELEGOO | ELEGOO | Creality | Creality | Anycubic | Anycubic | QIDI TECH | MINGDA | Prusa Research |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 1214 x 1050 x 1377 | 658 x 632 x 740 | 533 x 517 x 638 | 655 x 700 x 865 | 495 x 515 x 916 | 735 x 640 x 740 | 605 x 564 x 630 | 553 x 553 x 601 | 650 x 600 x 670 | 700 x 720 x 900 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 800 x 800 x 1000 | 420 x 420 x 480 | 320 x 320 x 385 | 450 x 450 x 470 | 350 x 350 x 350 | 420 x 420 x 500 | 320 x 320 x 400 | 325 x 325 x 315 | 400 x 400 x 400 | 360 x 360 x 360 |
エクストルーダ | - | ダイレクト | ダイレクト | ダイレクト | ダイレクト | ダイレクト | ダイレクト | - | ダイレクト | - |
プリントスピード[mm/s] | 300 | 500 | 500 | 120 | 600 | 500 | 500 | 600 | - | - |
最大ノズル温度[℃] | 300 | 300 | 300 | 300 | 350 | 260 | 260 | 350 | 260 | 290 |
最大ヒートベッド温度[℃] | 90 | 85 | 100 | 100 | 120 | 90 | 90 | - | 110 | 120 |
組み立て | - | - | 半組み立て済 | - | - | 半組み立て済 | 半組み立て済 | 組み立て済み | 半組み立て済 | 組み立て済み /要組立(キットの場合) |
プラットフォーム | PEIシート | PEIばね鋼 | PEIばね鋼 | PCばね鋼 | フレキシブル | PEIばね鋼 | PEIばね鋼 | HF plate | PEI | Satin |
オートレベリング | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
フィラメントセンサ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | ○ | ○ |
停電時自動回復印刷 | ○ | ○ | ○ | ○ | - | ○ | ○ | - | ○ | ○ |
密閉 | × | × | × | × | ○ | × | × | ○ | × | ×(オプション) |
ディスプレイ | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 | タッチ式 | ノブ式 |
デュアルZ軸 | - | ○ | ○ | ○ | - | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
データ入力 | USB LAN Wi-Fi | Wi-Fi LAN USB | Wi-Fi LAN USB | USB drive USB-C cable RJ45 cable Wi-Fi | USB Ethernet Wi-Fi | USB Anycubic APP | USB Anycubic APP | Wi-Fi Ethernet USB | SDカード USB USB-C | USB LAN |
本体重量[kg] | 76.5 | 18.1 | 14.4 | 22.48 | 38.5 | 21 | 13 | 24.5 | 14.5 | - |
スライスソフト | ELEGOO Cura Cura | ELEGOO Cura | ELEGOO Cura | Creality Print Creality Slicer Cura | Creality Print 5.0 | AnycubicSlicer PrusaSlicer Cura | AnycubicSlicer PrusaSlicer Cura | QidiPrint Cura simplify3D | - | PrusaSlicer |
その他 | Efficient Heated Bed機能 マルチノズルプリント機能 | ディスプレイ取り外し可能 LED搭載 | ディスプレイ取り外し可能 LED搭載 | デュアルY軸(リニア) デュアル斜め支柱 デュアルスプールホルダ マルチプリンター制御 | リモート制御機能 AIカメラ(×2)搭載 エアフィルター搭載 LED搭載 チャンバー加熱<60℃ | 内部ストレージ(8GB) アプリコントロール対応 ダブルモーターデュアルZ軸 | 内部ストレージ(8GB) アプリコントロール対応 ダブルモーターデュアルZ軸 | チャンバー加熱<65℃ チャンバー循環ファン 活性炭エアフィルター付き | 温度インジケータLED搭載 デュアル斜め支柱 | ツールチェンジャー(最大5ツールヘッド) 16分割加熱ヒートベッド |
出典 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
光造形:2機種
モデル名 | Jupiter SE | GK3 Ultra |
---|---|---|
本体イメージ | ||
メーカー | ELEGOO | UniFormation |
本体サイズ(LxWxH)[mm] | 479.9 x 377.4 x 657.5 | 455 x 400 x 575 |
造形サイズ(LxWxH)[mm] | 277.848 x 156.264 x 300 | 300 x 160 x 300 |
Z軸精度[mm] | 0.02 | - |
積層ピッチ[mm] | 0.01-0.2 | 0.03-0.05 |
ピクセルサイズ[mm] | 0.051 | 0.02 x 0.026 |
ピクセル数(XY) | 5448 x 3064 | 15120 x 6230 |
プリントスピード[mm/h] | Max 70 | - |
データ入力 | USB | USB Ethernet WiFi |
本体重量[kg] | 19.5 | 30 |
スライスソフト | ChituBox Voxeldance Tango Lychee Slicer | UniFormation Slicer Chitubox Lychee |
その他 | 空気清浄機付き 自動レジン供給回収機能 4点レベリング | 自動レジン供給機能 レジン加熱機能 レジンドリップハンガー LED搭載 フリップ式UVカバー |
出典 | 公式サイト | 公式サイト |
まとめ:大型3Dプリンターは価格もさまざま。しっかり比較しよう
今回は、造形サイズの3辺すべてが30cm以上のモデルをプリントできる大型3Dプリンターについて解説してきました。
FDM方式では、10万円以下で50cmの高さを造形できるプリンターも登場。多くの大型3Dプリンターを見てきてわかるように、できるだけ価格を抑えて高さのあるモデルを造形したい場合、優先度が高いのはFDM方式でしょう。
一方で、フィギュア用途のように滑らかな表面はゆずれない!という場合には光造形方式も選択肢に入ってきます。
自身の目的に照らし合わせて、ひと回り大きい3Dプリンターの導入を検討してみてください。もちろん、本体サイズも大きいので置き場所はしっかり確保してくださいね!